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週刊生成AI with AWS – 2025/2/10週

みなさん、初めまして。今週から週刊生成AIを担当する、AWS ソリューションアーキテクトの野間です。AWSや生成AIにあまり詳しくない方にも分かりやすいブログにしたいと思いますのでよろしくお願いします。

先週に引き続いてのご案内となりますが、2025 年 3 月 6 日 に AWS Innovate: Generative AI + Data がオンラインで開催されます。最新の AWS の生成 AI サービスとお客様事例を通じたユースケースを学ぶことができるイベントとなっています。アジェンダも公開されていますのでご覧の上ぜひご登録ください!

早速今週も盛りだくさんの内容になっています。2 月 10日週の生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

  • ブログ記事「Benchmark Education社、AWSの生成AIで採点を加速し学生へのフィードバックを強化」
    教育関連企業のBenchmark Educationは、先生方の採点業務の負担を減らすため、AWSと協力してAIを活用した採点支援ツールを開発しました。このツールは、生徒の記述式の回答を自動で採点し、フィードバックを提供します。先生はAIの採点結果を確認し、必要に応じて修正することができます。導入後、未採点の課題が減少し、先生方は生徒と直接関わる時間を増やすことができるようになりました。このように、AIを活用することで、教育現場での業務効率化と生徒へのサポート向上を実現しています。
  • ブログ記事「Amazon Bedrockインラインエージェントを使用した動的なロールベースAIエージェントの構築」
    Amazon Bedrockの「インラインエージェント」について説明しています。インラインエージェントは、ユーザーの役割や状況に応じて動的に機能を変更できるAIアシスタントを作成できる機能です。例として、HR(人事)アシスタントを構築し、従業員と管理者で利用できる機能を動的に変更する方法が紹介されています。従業員は休暇申請や経費精算などの基本的な機能を、管理者はそれらに加えて人事評価などの追加機能を利用できます。この機能により、複数のエージェントを作成することなく、1つのAIアシスタントで柔軟な対応が可能になります。
  • ブログ記事「Amazon Bedrock AgentsによるSAPインスタンス管理の活用」
    このブログは、AWSのAmazon Bedrock Agentsを使用してSAPシステムの管理を効率化する方法について説明しています。Amazon Bedrock AgentsとLambda関数を組み合わせることで、従来は手作業で行っていたSAP管理タスクを自動化することができ、管理者の作業効率が向上します。SAPの管理者は、自然言語を使ってSAPシステムの起動・停止、パラメータの確認、ログファイルの分析などの作業を実行できるようになります。また、Knowledge Base機能を使用することで、大量のログファイルから必要な情報を素早く見つけることも可能です。
  • ブログ記事「Amazon Bedrockで学習データを自動生成し、質問応答システムのファインチューニングを実現」
    このブログは、Amazon Bedrockを使用して大規模言語モデル(LLM)のファインチューニングを行う方法について説明しています。特に、データが不足している場合に、より大きな言語モデル(教師モデル)を使って合成データを生成し、それを使って小さなモデル(生徒モデル)をファインチューニングする手法を紹介しています。この方法により、限られたデータでもモデルのパフォーマンスを向上させることができます。実験結果も紹介されていますので是非ご参照ください。
  • ブログ記事「Amazon SageMaker AIでMedusa-1を使用したLLM推論の高速化を実現」
    このブログは、大規模言語モデル(LLM)の推論速度を向上させるMedusaというフレームワークについて解説しています。Medusaは、モデルに追加のヘッドを付け加えることで、複数のトークンを同時に予測できるようにし、約2倍の速度向上を実現します。Amazon SageMakerを使用して、まずLLMのファインチューニングを行い、その後Medusaヘッドを追加して学習させる方法が説明されています。モデルの品質を維持したまま処理速度を向上させることができるので、リアルタイムの文章生成や会話システムなどの低遅延が求められるアプリケーションに有効です。
  • ブログ記事「Amazon Bedrockモデル評価における判定者としてのLLM」
    このブログは、Amazon Bedrockで提供される「LLM-as-a-judge」という新機能について説明しています。この機能は、大規模言語モデル(LLM)の性能を自動的に評価するためのツールです。従来は人手で行っていたAIモデルの評価を、別のAIモデルが評価者(ジャッジ)となって自動的に行うことができ、評価にかかる時間とコストを大幅に削減できます。品質、ユーザー体験、指示への従順性、安全性など、様々な観点からモデルの性能を評価することができ、AWSのコンソールやPythonのSDKを使って簡単に利用することができます。企業がAIモデルの性能を効率的に評価し、最適なモデルを選択するのに役立つソリューションとなっています。
  • ブログ記事「概念から現実へ:RAGの実証実験から本番環境への移行ガイド」
    このブログは、RAG(Retrieval Augmented Generation)を、実験段階から本番環境へ移行する際の重要なポイントについて解説しています。RAGを本番環境で運用する際には、品質、コスト、レイテンシーのバランスを取ることが重要で、Amazon Bedrockを活用することで効率的に実装できます。また、データの取り扱い方や分割方法、セキュリティ対策、システムの評価方法など、実用化に向けた具体的な最適化手法についても説明されています。RAGシステムを本番環境で活用したい開発者やエンジニアにとって、実践的なガイドラインとなる内容となっています。
  • ブログ記事「行政サービスの効率化に向けたAI活用のリーダーシップ」
    このブログは、政府機関におけるAI活用とクラウド技術の重要性について説明しています。米国政府のデジタル変革において、セキュリティや効率性を確保しながら、政府機関がAIやクラウド技術を活用することで、より良い公共サービスを提供できることが示されています。例えば、米国空軍では予測メンテナンスにAIを活用し、航空機の運用効率を向上させています。また、シンガポールや英国などの事例も紹介され、世界中の政府機関がAWSを活用してデジタル変革を進めていることが分かります。
  • ブログ記事「Amazon SageMaker JumpStartでFalcon 3モデルが利用可能に」
    Amazon SageMaker JumpStartでFalcon 3モデルファミリーの提供を開始しました。Falcon 3は、アブダビのTechnology Innovation Institute(TII)が開発した、科学、数学、コーディング能力に特化したオープンソースの言語モデルです。現在、SageMaker JumpStartでは、1Bから10Bまでの様々なサイズのモデルが利用可能で、ユーザーはUIを使用した簡単な操作か、PythonのSDKを使用したプログラミングのどちらかの方法でモデルをデプロイすることができます。このサービスにより、機械学習の専門家でなくても、高度な言語モデルを簡単に利用することが可能になりました。
  • ブログ記事「Amazon Bedrock Agentsを使用したバーチャル気象予報士の構築」
    このブログは、Amazon Bedrock Agentsを使用して、天気予報に関する質問に答えることができるAIバーチャル気象予報士を構築する方法について説明しています。このソリューションでは、ユーザーが自然な言葉で天気に関する質問をすると、AIが適切な回答を提供します。システムの構築には、Amazon Bedrock Agents、AWS Amplify、AWS Lambda、Amazon Cognitoなどの複数のAWSサービスが使用されており、ユーザー認証から天気情報の取得まで、すべての機能が統合されています。例えば「今日ダラスでバーベキューができますか?」といった質問に対して、天気状況を考慮した回答を提供することができます。
  • ブログ記事「Amazon Pharmacy、生成AIで処方箋処理時間を90%改善」
    Amazon Pharmacyをご存じでしょうか?、Amazonが提供するオンライン薬局サービスです。このブログでは、Amazon PharmacyがAWSの生成AIを活用して処方箋処理を改善した事例を紹介しています。Amazon Pharmacyは、生成AIを処方箋の受付、保険確認、処理、配送まで全体のプロセスに組み込むことで、処方箋の処理時間を90%削減することに成功しています。また、HIPAA準拠のチャットボットを導入することで、お客様は従来の対面式の薬局よりも素早く必要な情報を得られるようになりました。開発期間も9ヶ月から3ヶ月に短縮され、データ管理とテストを重視した開発アプローチが成功の鍵となりました。このケースは、生成AIが医療分野の顧客体験を大きく向上させる例を紹介しています。
  • ブログ記事「AWSの生成AIを活用したHansenによる通信事業者向け製品カタログの最適化」
    このブログは、HansenとAWSが中心となり開発した、AIを活用した製品ライフサイクル管理ソリューション紹介しています。このソリューションは、Amazon Bedrockの生成AIを使用して、通信サービスプロバイダー(CSP)の製品カタログを分析し、最適化するためのレコメンデーションを提供しています。従来は手作業で時間がかかっていたカタログ分析や製品の最適化が、AIアシスタントによって数秒で実行できるようになりました。
  • ブログ記事「Amazon Bedrockにおける最小権限アクセスの実装」
    このブログは、Amazon Bedrockにおける最小権限アクセスの実装方法について説明しています。最小権限アクセスとは、ユーザーやプログラムに必要最小限の権限のみを付与するセキュリティの考え方です。ブログでは、モデルの選択から運用までの各段階で、どのようにアクセス制御を実装すべきかを具体的に解説しています。
  • ブログ記事「最新のコミュニケーションハブを使用したAI駆動の顧客体験の構築」
    このブログは、SMSやWhatsApp、メールなどの複数のコミュニケーションチャネルを一元管理し、そこにAmazon Bedrockなどの生成AIサービスを組み合わせることで、パーソナライズされた顧客対応を実現する方法を紹介しています。顧客とのやり取りデータを一元管理し、分析できる仕組みも紹介されており、効果的な顧客対応実現の参考になります。
  • ブログ記事「Amazon Q Business、企業のナレッジベースの大規模統合を簡素化」
    このブログは、企業の大規模なデータを効率的に取り込み、処理する方法を紹介しており、特にAWSのサポートエンジニアリングチームでの実際の活用事例を基に解説しています。Amazon Q Businessを使用することで、社内の文書やデータを安全に統合し、自然な会話形式で必要な情報にアクセスできるようになります。このソリューションにより、企業は業務効率を向上させ、より迅速な情報アクセスと意思決定が可能になります。
  • ブログ記事「国防総省のためのゼロトラスト構築:国防総省CIOゼロトラストプログラム管理室長Les Callからのインサイト」
    このブログは、米国国防総省(DoD)のゼロトラスト戦略の実装に関する内容を解説しています。従来のセキュリティモデルでは十分な対応が難しくなってきている中、DoDはAWSと協力してゼロトラストアーキテクチャの導入を進めています。組織全体での相互運用性の確保や、AIを活用した予防的なセキュリティアプローチの採用など、様々な取り組みが行われています。
  • ブログ記事「Rich Data CoとAWSの生成AIによる与信判断の変革」
    このブログは、Rich Data Co (RDC)という企業がAWSの生成AIを活用して、クレジット審査の意思決定を改善する取り組みについて説明しています。Amazon Bedrockを活用してデータサイエンスチームをサポートする「データサイエンスアシスタント」と、ポートフォリオマネージャーや分析者をサポートする「ポートフォリオアシスタント」という2つのAIアシスタントを開発・構築され、複雑な質問への回答やコード生成、データベース検索などの機能を提供しています。
  • ブログ記事「Amazon BedrockとAppianの生成AIスキルによるビジネスプロセスの革新」
    このブログは、AmazonのBedrockとAppian社の生成AIスキルを組み合わせたビジネスプロセス改革についての取り組みを紹介しています。特に住宅ローン処理の期間短縮や、金融サービスでのデータ抽出時間の削減、法的文書のレビュー効率化などの事例が紹介されています。
  • ブログ記事「DeepSeek-R1、CrewAI、Amazon SageMaker AIを使用したエージェントAIソリューションの構築」
    このブログは、Amazon SageMaker AIとDeepSeek-R1、CrewAIを組み合わせて、AIエージェントシステムを構築する方法について説明しています。研究を行うエージェントと文章を作成するエージェントの2つを連携させて動作させる実践的な例を紹介しています。
  • ブログ記事「Crop.photoとAmazon Rekognitionによる一括画像編集の自動化」
    このブログは、AWSのパートナーであるEvolphin Software社が提供する「Crop.photo」というサービスについて説明しています。Crop.photoは、AIを活用した画像の一括編集ツールで、主にEコマースやスポーツ業界向けに開発されました。Amazon Rekognitionと連携することで、大量の商品画像やスポーツ選手の写真を自動で効率的に処理することができます。例えば、ある小売業者では画像編集の生産性が70%向上し、数日かかっていた作業が数秒で完了できるようになりました。
  • ブログ記事「コンソール上の Amazon Q からベストプラクティスを学ぼう」[翻訳記事]
    このブログは、Amazon Qの活用方法について説明しています。Amazon Qは、AWSコンソール上で開発者やIT担当者の作業をサポートする便利なツールです。具体的には、AWSサービスの学習支援、コードスニペットの生成、システム設計のアドバイス、コスト分析などができます。質問をすると自然な会話形式で回答が得られ、AWSの知識が少ない方でも簡単に利用できます。また、プロンプトの書き方のコツもなど、より良い回答を得るためのヒントも記載されています。
  • ブログ記事「20 Minutes 社がAmazon Bedrock で生成 AI を活用してジャーナリストを支援し購読者を惹きつけている方法」[翻訳記事]
    このブログは、フランスの主要メディア「20 Minutes」が、ジャーナリストの作業効率を向上させるため、記事の要約作成や関連タグの提案、ニュース通信社からの記事の書き直しなどの作業を生成AIを利用して自動化しています。また、広告主向けに記事のブランドセーフティ(広告掲載に適しているかどうか)を自動評価する機能も実装しました。その結果、1記事あたり平均8分の時間短縮を実現し、ジャーナリストが本来の取材・執筆業務に集中できるようになりました。
  • ブログ記事「AWS が生成 AI で E コマースにおけるショッピングアシスタントを強化」[翻訳記事]
    このブログは、AWSが提供する新しいAIショッピングアシスタントについて紹介しています。このAIアシスタントは、オンラインショッピングをより便利で楽しいものにするために開発されました。例えば、DIYプロジェクトのための建材選びなど、商品選択に迷う顧客に対して、パーソナライズされたアドバイスを提供します。Amazon Bedrockなどの最新のAI技術を活用し、顧客の質問に自然な対話で応答しながら、最適な商品を推薦することができます。

サービスアップデート

  • Amazon Q Developer now supports upgrade to Java 21
    Amazon Q Developerは、Java 21へのアップグレードをサポートするようになりました。開発者は安全にシステムを最新化することができ、性能向上やセキュリティ強化といったメリットを得ることができます。この機能は、Visual Studio CodeやIntelliJ IDEAといった一般的な開発ツールで利用可能です。
  • Amazon Q generative SQL is now available in additional regions
    Amazon Q generative SQLの提供リージョンを拡大し、米国東部(オハイオ)とアジア太平洋(ソウル)でも利用可能になりました。Amazon Q generative SQLは、Amazon Redshiftのウェブベースのクエリエディタで使用できる機能で、自然言語を使用してSQLクエリを作成できます。この機能により、SQLの専門知識に関係なく、ユーザーは会話形式でデータベースに対してクエリを実行することができます。
  • AWS HealthScribe now supports GIRPP note template for behavioral health
    AWS HealthScribeの新機能として、メンタルヘルスに関する診療記録をGIRPP形式で自動生成する機能をリリースしました。この機能は、医師と患者の会話を生成AIが自動的に文書化することで、医療従事者の記録作成の時間を大幅に削減することができます。この機能は米国東部(バージニア北部)リージョンで利用可能となっています。
  • Anthropic’s upgraded Claude 3.5 Sonnet now available in the Asia Pacific (Sydney) Region
    Anthropicの最新モデル「Claude 3.5 Sonnet」がアジアパシフィック(シドニー)リージョンで利用可能になりました。

以上、今週も盛りだくさんでしたが、さらにもう一つだけ。

AWSのBIサービスである Amazon QuickSight に生成AIアシスタントである Amazon Q の機能が追加され、自然言語で質問や分析ができるのはご存じでしょうか?その生成AIの機能を簡単に試していただけるデモサイトがこちらにあります。Amaon Q in QuickSight は正式には日本語サポートをしていないのですが、すでにかなり日本語を解釈するようになっています。デモサイトには日本語のサンプル質問文がありますので、ぜひ試してみてください。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Aiichiro Noma

野間 愛一郎(Aiichiro Noma)

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様を中心に日々クラウド活用の技術支援を行なっています。データベースやデータ分析など、データを扱う領域が好きです。最近は自宅焼き鳥で串打ちにハマっています。