株式会社NTTドコモは「新しいコミュニケーション文化の世界」を創造する会社です。モバイルを核とした「スマートライフのパートナー」として、コミュニケーションの広がりや楽しさを追求していくと共に、様々な社会的課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。パートナー企業とイノベーションを起こし、日々の生活や社会をスマートに進化させ、社会へ新たな価値を提供していきます。
NTTドコモのシステムは大きく以下の3つに分けることができます。
- webサービスシステム:しゃべってコンシェルなどの Web サービスシステム
- 業務系システム:データ収集、分析、マーケティング基盤など
- ミッションクリティカルシステム:基幹業務
このうち、しゃべってコンシェルをはじめとする Web サービスシステムは 2012 年より AWS で構築し、Web サービスを担う重要なシステムとして 2 年以上運用してきました。この Web サービスシステムにおいて開発スタイル変革や急激なトラフィックの増加への対応などクラウド利用のノウハウを蓄積してまいりました。
しかしながら、業務系システムは重要なデータを扱うという特性もあり、より高いセキュリティ用件をクリアする必要があるため、2012 年当時はクラウドでの構築にはいたっておりませんでした。
安全性を担保するために、NTTドコモで構築する業務系システム等は、高い情報セキュリティ基準をクリアすることが前提となっています。
以前ではオンプレミス以外ではこの基準をクリアすることは厳しいと考えていましたが、
- ログ機能の充実
- セキュリティ機能の充実
- アクセス制御・統制
- ユーザ管理・統制
といった AWS の機能追加により、これらの基準をクリアするシステム構築が可能になりました。
このため、AWS 上でもオンプレミス同等の運用が可能と判断し、AWS のプロフェッショナルサービスの支援を受けながら、拡張性等も踏まえて選定をした結果、業務系システムである分析基盤にも Amazon Redshift を中心とした AWS 製品を採用するにいたりました。
既に AWS で稼働している多くのシステムと連携する際に、特別な開発を行うことなく設定の変更のみで対応することができます。これはデータを取り込む側だけでなく、データ提供元にとっても特に負担をかけることなく実施できるため、システム間連携の障壁が一段と少なくなります。
メインのデータの分析は Amazon Redshift で実行していますが、用途に応じて Amazon RDS に切り出したり、Amazon Elastic MapReduce で事前・事後処理を行ったりといった拡張が可能です。
アカウント管理やアクセス制限を厳密に実施できる上、個々の操作ログを特別な手間をかけることなく取得できるため、高いセキュリティの確保が可能です。
AWS を利用することで Web サービスシステムや業務システムを迅速に構築できた上、ビジネス展開に合わせて拡張することが可能となりました。特に今回のシステムでは、社内のセキュリティ要件をクリアできたことで今後構築するシステムにおいても同様に扱うことができ、更なる迅速化が見込める点を大きなメリットと感じています。ドコモでは今回検討したセキュリティ対策等を社内で共通ノウハウとして活用しており、社内のみならず社外へも「ドコモ・クラウドパッケージ」として展開しております。
また、今回のデータ分析基盤においてシステム間連携の容易性が実証できたことで、社外との連携も進めていく予定です。ドコモでは多くの API を公開しており、企業間連携によるイノベーションの実現に向け今後も取り組んでいきます。
- 栄藤 稔 様(株式会社 NTTドコモ 執行役員 イノベーション統括部長)