イオン株式会社

グループ一丸となった DX を目指し
開かれた「イオンデジタルアカデミー」で
マインドと企業文化を変革

2023

開かれた学びの場を提供し、数多くの人材を発掘
お客様第一主義を根底にした DX 推進へ

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アマゾンのお客様第一主義は、イオングループと共通した価値観でもあります。そういった観点からも AWS の取り組みには注目しており、今後もさまざまな共創が生まれると考えています

櫻庭 博文 氏
イオン株式会社 責任者 ICT 推進担当
イオンアイビス株式会社 取締役 副社長

DX 実現への大きな危機感から

デジタルアカデミーを立ち上げ

約 300 社の持株会社として、イオングループの事業展開を牽引するイオン株式会社。総合スーパーをはじめ、イオンモールやイオンタウンなどのディベロッパー事業、ダイエーやマックスバリュなどのスーパーマーケット、イオン銀行やイオンカードを運営する金融事業、ウエルシア薬局を代表とするヘルス&ウェルネス事業、ペット・シネマ・書店・スポーツ店などの専門店、さらにはキャンドゥといった百円ショップなど、多岐にわたる企業で約 56 万人が働く、極めて大規模な企業集団です。

巨大なイオングループの DX 推進を担っているのが、イオンの責任者 ICT 推進担当であり、イオンアイビスの取締役 副社長も兼任する櫻庭博文氏です。同氏は 2019 年に着任後、約 1 年かけてグループ内の述べ 63 社と意見交換を行い、大きな課題があることを実感したと振り返ります。

「経営層と社員、お店と本部、それぞれの立ち位置で一生懸命仕事に取り組んではいるものの、組織が大きすぎるせいなのか自分自身の仕事を限定してしまっていました。皆が変革をどこか他人事のように捉えていたため、このままでは必要なデジタル変革が起きず、イオンの将来すら危ういという危機感を抱きました。この問題を解決するには、スピード感を持ったリスキリングによる人材育成と、それを支える企業文化醸成が不可欠でした」そこで櫻庭氏が立ち上げたのが、『イオンデジタルアカデミー』です。「気づく場」「学ぶ場」「創る場」という 3 つの場を設け、グループ各社の従業員のマインドチェンジとスキル向上、そして企業文化の変革に乗り出しました。

全国から参加できる「イオンDXラボ」で

マインドチェンジを促進

櫻庭氏は DX の入り口となる「気づく場」として、2021 年 6 月から『イオン DX ラボ』を開催。ホールディングスや各社の人事部が行う教育プログラムの受講には所属会社からの推薦や審査が必要ですが、イオン DX ラボには誰もが参加できます。IT スキルの有無にかかわらず、店舗のパート社員から社長まで、すべての人々が同じ情報を得られるようにしました。

「これまで開催した 4 回のイオン DX ラボでは、趣旨に賛同いただいた産学官の有識者やグループ各社から 80 名以上にご講演いただき、毎回 3,000 名以上がセッションを視聴しています。2023 年からはこれを日常化した『デジタルカフェ』というウェビナーも毎月実施しています」

イオン DX ラボ開催後の受講者アンケートで明らかになったのが「DX に興味があるものの自分とは関係ない」と日常の業務では変革を諦めていた人が思った以上に多く、その人たちがイオン DX ラボの受講で火がつき、熱いメッセージを送ってきたことでした。櫻庭氏はこのような人々に直接アプローチし、思いを共有する活動を展開。デジタルとは関わりの薄い仕事をしている人々の中からも、DX に意欲を持つ人材を数多く発掘しました。

「学ぶ場」でリスキリングを促進し

100 名超の卒業生を輩出

イオン DX ラボでモチベーションを高めた人々が次に進むのが「学ぶ場」です。IT やデジタル未経験者が身近な業務から課題を見つけ、自らプロトタイプを作成して実装する「プロトタイプ作成トレーニング」などを用意しています。

「学ぶ場では技術だけではなく、企画力や発信力も同時に鍛えており、プログラミング以上に課題解決を行っていくスキルを重視しています。中には、数百円のセンサーで人流計測を行う仕組みを作り上げた者や、クラウドファンディングで資金を集めアイデアを実現する者など、すでにグループ企業 33 社から 100 名を超す卒業生を輩出しました」

トレーニング受講者の感想には、成果物が社内で好評であることや、変化を楽しむ風土が芽生えてきたなど、前向きなコメントが多くみられます。櫻庭氏が特に印象に残っているのが、長年総務部に所属している受講者の「デジタルって思ったよりアナログなんだ」という一言でした。DX は意外と身近にあり、決して難解なものではないと実感したことに大きな意味があるといいます。

さらに「創る場」では、「気づく場」「学ぶ場」で得られた知見や成果を追体感できる「アカデミーポータルサイト」と DX に取り組む仲間が集い相談できる「コミュニティ」を用意し、新たな創造、共創を生み出しています。ポータルサイトのコンテンツは有志が制作し、デジタル関連ニュースやイオン DX ラボのアーカイブ、デジタルカフェのウェビナー、DX に関する 55 本の Tips 動画などが配信されており、現在も増え続けています。

「活動が軌道に乗り、イオンデジタルアカデミーから生まれた変革は社内でも注目されるようになってきました。2023 年 4 月に行われたグループ全体の幹部表彰では、28 名の有志が特別表彰を受けています」

「お客様第一主義」の価値観を共有する

AWS の支援をフル活用

イオンデジタルアカデミーには、AWS も積極的な支援を行っています。その 1 つが、アマゾンが提唱する『Working Backwards(お客様から考える)』を学ぶためのサービスデザインワークショップ「デジタルイノベーションプログラム(DIP)」です。DIP に参加したイオン九州は、「有償でも思わず加入したくなるプレミアム会員体験の創造」というテーマを掲げ、複数のチームが顧客視点のユニークなアイデアを創出。その成果は、第 3 回イオン DX ラボでグループ全体に対してイオン九州と AWS が共同発表しました。

また流通業ならではの取り組みが、アマゾンの最新フルフィルメントセンター(FC)の見学ツアーです。AWS はイオングループ向けに、2021 年はイギリスの 3 か所の FC とリアルタイムに接続したバーチャルツアーを実施、2022 年には当日見ることができなかった多くのお声に応える形で録画形式+リアルタイム QA を実施しました。また 2023 年 4 月には神奈川県の最新 FC を実際に現地訪問するツアーも行っています。

「アマゾンの FC ツアーは、同じ流通小売事業者である私たちにとって非常に興味深いものでした。他にも、クラウド活用知識の獲得や認定資格取得につながる AWS Cloud Practitioner Essentials のトレーニングや、デジタルリテラシーの底上げなど、まさに全方位で AWS からの支援を活用しています」

DX においてクラウド活用は絶対条件であり、そのための教育を今後さらに徹底していく必要があると語る櫻庭氏は、AWS 自体はもちろん、AWS のパートナーの力もフル活用していきたいと考えています。

「『アマゾンエフェクト』という言葉があるように、競合相手になり得るアマゾン傘下のクラウドを使うのはどうなのか、と思う方もおられるでしょう。しかし私自身はあまり気にしていません。むしろ AWS に小売の知見が多いことは、ユーザーである私たちにとってもメリットが大きいのです。またアマゾンの根底にあるお客様第一主義は、イオングループと共通した価値観でもあります。そういった観点からも AWS の取り組みには注目しており、今後もさまざまな共創が生まれると考えています」

イオンデジタルアカデミーでの学びを通じて DX を「自分事」と捉え、行動する人が増えていけば、クラウドを使いこなすことも当たり前になっていくと櫻庭氏は考えています。多くの学びが、イオングループのさらなる飛躍につながることは間違いありません。


カスタマープロフィール:イオン株式会社

  • 取締役 代表執行役社長:吉田 昭夫 氏
  • グループ従業員数:約 56 万人
  • 事業内容: 小売、ディベロッパー、金融、サービスなど

実施施策

  • 「イオンデジタルアカデミー」を立ち上げて人材育成と文化醸成を促進
  • AWS をはじめとする IT パートナー企業からの支援の積極的な活用

ご利用の主なサービス

AWS プロフェッショナルサービス

AWS プロフェッショナルサービスは、AWS クラウドを使用して期待するビジネス上の成果を実現するようお客様をサポートできる、専門家からなるグローバルチームです。当社はお客様のチームおよび選任された AWS Partner Network (APN) のメンバーと協力し、エンタープライズクラウドコンピューティングの取り組みを実行します。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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