株式会社東芝

“新しい未来を始動させる。”
東芝グループの原動力となる
デジタルエコノミー推進への道筋

2022

デジタルエコノミーの基盤はクラウドを前提に
開発から顧客向けサービスまで幅広く AWS を活用

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これからは量子分野をリードしながら、新たな産業を作り上げていきます。ここでもクラウドは欠かすことのできない基盤であり、AWS の活用領域も今後ますます広がっていくはずです

岡田 俊輔 氏
株式会社 東芝
執行役上席常務 最高デジタル責任者 兼
東芝デジタルソリューションズ株式会社
取締役社長 

「新しい未来を始動させる。」事業変革を DE、DX、QX の 3 段階で推進

東芝グループはデジタルエコノミーの推進を通じて、1 人ひとりの安全安心な暮らし、社会的・環境的な安定、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現による人と地球の持続可能性に、大きな貢献を果たせる企業集団を目指しています。グループの新たな事業戦略では、DE(Digital Evolution)、DX(Digital Transformation)、QX(Quantum Transformation)の 3 段階の事業モデルの変革を定義しています。東芝で執行役上席常務 最高デジタル責任者を務め、東芝デジタルソリューションズ(TDSL)の取締役社長も兼任する岡田俊輔氏は、次のように説明します。

「まず DE は、デジタル技術を活用して現在の業務内容の効率化・高度化を成し遂げ、事業のサービス化やリカーリング(継続的に商品の購入やサービスを利用してもらうビジネスモデル)化を進めていくことです。これに対して DX では、コミュニティエコシステムを形成するプラットフォーマーになり、ビジネスモデルを大きく変革して新たなビジネス構造を構築していきます。多くの企業が DX として掲げている領域を東芝はあえて DE と DX にわけているのです。これはビジネスモデルや視点の違いを明確にするためです」

さらに岡田氏は、サイバーとフィジカルを融合する CPS(サイバー・フィジカル・システム)技術によりバリューチェーン全体でデータを収集・蓄積できるようにすることも強調。東芝グループにはこの領域においてデバイス事業やエネルギー事業、インフラ事業で培った大きな強みのもと、世界有数の企業になれるポテンシャルがあるといいます。

「DX では DE で得たデータをプラットフォームに集約し、これらをかけ合わせて新たな価値を生み出していきます。そしてその先にあるのが QX の領域です。東芝は 20 年以上前から量子技術の研究開発に取り組んできており、この領域でも積極的な投資を行い、リーディングカンパニーになることを目指しています」

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顧客向けサービスや基幹システムで AWS を活用 TDSL の開発環境も全面的に移行

これらの事業モデル変革を推進する上で、パブリッククラウドは重要な役割を果たしています。

「クラウドかオンプレミスかという二者択一はもう古いと思っており、東芝グループのデジタルエコノミー実現基盤はクラウドがデフォルトです」と岡田氏は語ります。2019 年に CCoE(Cloud Center of Excellence)を立ち上げてクラウド活用を組織的に推進。マルチクラウド戦略のもとクラウドサービスの 1 つとして、AWS を広く活用しています。

東芝が培ってきた技術と AWS のクラウドサービスが融合した顧客向けサービスの一例が、音声を起点に人と人、人とモノをつなぐコミュニケーション AI『RECAIUS(リカイアス)』です。音声認識、音声合成、知識処理、対話応答という 4 つの音声技術が融合されており、すでに多くの企業や組織で活用されています。またポイント顧客システム『PointArtist』は多くの流通・小売業に導入され、累計ポイント会員数は6,000 万人を超えています。2021 年 3 月には東芝と AWS の技術を組合せてクラウドに対応し、Web API 化とともに機能も強化した『PointArtist2』がリリースされています。

東芝グループ内の社内システムもマルチクラウド環境であり、AWS の活用規模は最大だといいます。注目は、TDSL の開発環境の全面的な AWS 移行です。以前は 2 か所のデータセンターにラック 10 本以上を設置し、80 台以上の物理サーバーと 300TB 以上のストレージを運用していました。その上で動いていた膨大な仮想マシン(VM)は、IaaS である Amazon EC2 へ大半の VM を V2V 技術で一括移行し、残りの VM は順次、移行させています。

「2020年から開発環境の移行を開始し、現在までに約 1,500VM のクラウドシフトを完了してオンプレミスの施設を 2022年3 月に閉鎖しました。これにより老朽化更新やシャドウ IT を削減し、経費を約 50% 減らせました。現地保守作業がゼロになったことで働き方改革にもつながり、管理者の数も 7 人から 2 人まで削減し、その分の人的リソースを新たな業務に割り当てられるようになっています」(岡田氏)

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「広さ」と「深さ」のある教育を推進 クラウド人材の厚みを QX に活かす

AWS を積極的に活用する理由について、岡田氏は次のように語ります。

「運用も含めたコストがリーズナブルで、AWS が提供するクラウド移行時におけるコストアセスメントにより事前のコスト比較、検討が可能です。また高い可用性と柔軟性を備え、TDSL 独自の開発標準である『CommonStyle® Methodology』の実装も容易でした。また、クラウド全般の特性でもありますが、リソースのダイナミックな増減も大きなメリットです。特に開発環境では、本番環境のピーク時を見越した負荷テストを行う必要がありますが、AWS で規模や回数を十分に行い、より高品質なお客様サービスを実現できるようになりました」

さらに、AWS ジャパンのエンジニアが提供する各種支援の存在も、大きな魅力だと指摘します。

「システム環境の整備をはじめとして、様々な支援を受けています。特に、クラウド人材の教育には多くの社員がクラウド利用に慣れる『広さ』と、より専門的な領域まで踏み込む『深さ』の両方が必要であり、AWS のクラウド人材育成メニューを活用しています。TDSL だけで少なくとも 3,000 人は日常的に AWS を活用し、専門性の高い AWS 関連の資格取得も積極的に進めています」

クラウド人材育成はグループ全体にも広げ、2022 年度中には現在の倍の数を目指しています。クラウド人材の厚みを増やし、QX における競争力も強化していきます。

「一般社団法人 量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)の代表理事を株式会社東芝 代表執行役社長 CEO の島田太郎が務め、私が実行委員長として活動を推進し、海外産業団体とのワークショップ開催などを行っています。また量子コンピュータの研究から生まれた東芝独自のアルゴリズムによる疑似量子計算機『SQBM+』もすでに実現しており、世界初の様々な組合せ最適化問題に挑戦しています」

この SQBM+ の基盤としても AWS が活用されています。量子コンピューティングに期待されるビッグデータ処理、深層学習、組合せ最適化といった分野での計算ニーズは、ピークとそれ以外の時間の負荷の差が大きく、クラウドの特性を活かしやすい領域です。

「量子分野をリードしながら、東芝だけではできないことを他社と手を組みながら推進することで、新たな産業を作り上げていきたい。その一方で東芝にしかできないことも、この領域で着実に実現していくつもりです。そのいずれでも、クラウドは欠かすことのできない基盤になるでしょう。AWS の活用領域も今後ますます広がっていくはずです」

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カスタマープロフィール:株式会社東芝

  • 代表執行役社長 CEO: 島田 太郎 氏
  • 従業員数 : 連結 116,224名(2022年3月31日現在)
  • 事業内容: エネルギー、インフラ、デバイス、デジタルなど、幅広い領域で事業をグローバルに展開

実施施策

  • グループ内基幹システムや顧客向けサービスに AWS を活用
  • TDSL の開発環境を全面的に AWS へと移行
  • AWS の協力を得てクラウド人材の育成を推進

ご利用の主なサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon RDS

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。

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Amazon API Gateway

フルマネージド型サービスの Amazon API Gateway を利用すれば、開発者は規模にかかわらず簡単に API の作成、公開、保守、モニタリング、保護を行えます。API は、アプリケーションがバックエンドサービスからのデータ、ビジネスロジック、機能にアクセスするための「フロントドア」として機能します。

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AWS Lambda

AWS Lambda を使用することで、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、コードを実行できます。料金は、コンピューティングに使用した時間に対してのみ発生します。

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Amazon ECS

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

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AWS Fargate

AWS Fargate は、Amazon Elastic Container Service (ECS) と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の両方で動作する、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングエンジンです。Fargate を使用すると、アプリケーションの構築に簡単に集中することができます。

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Amazon DynamoDB

Amazon DynamoDB は、規模に関係なく数ミリ秒台のパフォーマンスを実現する、key-value およびドキュメントデータベースです。完全マネージド型マルチリージョン、マルチマスターで耐久性があるデータベースで、セキュリティ、バックアップおよび復元と、インターネット規模のアプリケーション用のメモリ内キャッシュが組み込まれています。

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