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AWS re:Inventで開催された AWS Healthcare and Life Sciences Executive Symposium 2023ハイライト

この記事は “Highlights from the AWS Healthcare and Life Sciences Executive Symposium 2023 at re:Invent” を翻訳したものです。

re:Invent 2023の初日11月27日にラスベガスでAWS Healthcare and Life Sciences Executive Symposium 2023を開催しました。この半日の対面イベントには、180の組織から300人以上のリーダーが参加し、データ、分析、機械学習(ML)、生成AIを活用してイノベーションを加速するための各社の取り組みが発表されました。

今年のシンポジウムは、生成AIの可能性によってもたらされた業界の変革的な転換のため、昨年のシンポジウムとは内容が明らかに異なっていました。それは、研究開発の活性化やビジネスのオペレーションの改善、従業員の満足度向上や患者体験の向上など、様々な側面での影響をもたらしました。今年のシンポジウムの主な目的は、これらのユースケースを掘り下げるだけでなく、ビジネス上大きなインパクトをもたらすMLや生成AIアプリケーションを構築する鍵は高品質なデータへの柔軟なアクセスにあることを強調することでした。

以下は、セッションからの主なハイライトと注目すべきインサイトです。


オープニング基調講演のハイライト

シンポジウムは、AWSとMerckによる共同の基調講演で開始されました。基調講演で語られた重要な点は、生成AIにとってお客様自身が保有するデータが差別化要因になるということです。組織を本当に変革することができる強力な生成AIアプリケーションを構築することに成功する企業は、堅牢でエンドツーエンドのデータ戦略から始める企業です。

この概念を具体的に示すために、MerckのCIOであるデイブ・ウィリアムス氏がステージに登場し、クラウド上でデータを活用して自分たち自身を再発明し、AI/MLを活用して再先端の科学を支えるためにAWS上でデータ基盤を構築している方法を紹介しました。彼らのセッションで強調されていたポイントは、CEO主導のデジタル変革プログラムがあったこと、BlueSkyと呼ばれるクラウド推進プログラムがこの変革を進めるための重要な役割を果たしていたことです。さらに、彼らは、組織全体でデータがスムーズに流れるようにするためのOne Merck Data戦略を紹介し、この戦略的アプローチによって促進される影響度の高いAI/MLの利用事例を出席者に紹介しました。MerckのAWSとの連携について詳しくはこちらをご覧ください。

基調講演では、この後に続くセッションを大きく二つのパートに分けて紹介しました。

  • シンポジウムの第1部では、エンドツーエンドのデータ戦略の概要と、AWSの包括的なヘルスデータポートフォリオが組織がその堅牢なデータ基盤を構築し、MLと生成AIの可能性を最大限に解き放つ支援方法に焦点を当てました。
  • シンポジウムの第2部では、AWS上でMLと生成AIのブレイクスルーを解き放つアプローチにフォーカスしました。このパートで、すぐにでも活用できる関連するユースケースと、MLと生成AIを責任を持って活用したアプリケーションを構築するための確率されたガイドラインを探求しました。

第1部のハイライト:データと分析を活用してイノベーションをスケールさせる

オープニングのAWS主導のデータセッションでは、エンドツーエンドのデータ戦略が何を含むかについて包括的な概要を出席者に提供しました。組織内のサイロを超えた横断的なデータの統合から、サードパーティやリアルワールドのデータセットへの安全でシームレスなアクセスの促進、マルチモーダルデータからの洞察を抽出するための能力の開発まで、このプレゼンテーションでは、これらの異なる要素が堅牢なデータのバックボーンとして調和して統合される必要があることが説明されました。


※[社内データサイロを取り除く/適切なユースケースに重要なデータクラスの識別と検索性/サードパーティ・リアルワールドデートへのアクセス・シームレスな統合/外部組織とのデータ連携のためのセキュアでプライバシーを保護する環境/患者の病歴や研究データからインサイトを得るためにマルチモーダルデータを解析するケーパビリティ/データを実行可能なインサイトに変換する包括的な分析、機械学習、生成AIのケーパビリティ]

セッションはまた、具体的な「how」の実践的な側面にも踏み込みました。参加者は、AWSの包括的なヘルスデータポートフォリオが組織がイノベーションのハブを作成するのにどのように役立つかについて、AWS HealthOmicsAWS HealthImagingAWS HealthLakeAWS HealthScribeなど、パーパスビルドなソリューションを通して理解することができました。セッションでは、AWS Data ExchangeAWS Clean RoomsAmazon DataZoneなど、内部および外部のデータにアクセスして共同作業するための適切なソリューションについてもトップレベルの視点を提供しました。

参加者は、AWS上でエンドツーエンドのデータ戦略のさまざまな要素を積極的に構築している同業者から学ぶ機会を得て、情報をより実践的かつ適用可能にするための貴重な洞察を得ることができました。

  • Genomics Englandは、AWSを使用してマルチモーダルデータの保存、検索、ガバナンスを変革している方法について共有しました。セッションでは、AWS上でがんのための世界最大のマルチモーダルデータプラットフォームの構築方法について説明しました。
  • Bristol Myers Squibbは、AWSを活用することで社内のデータサイロを打破し、データを利用可能な状態にする方法について紹介しました。参加者は、彼らが構築したデータメッシュアーキテクチャに触れ、組織全体でデータへのアクセスや新薬発見を改善するために、いかにAmazon DataZoneを活用する予定かを学びました。
  • Inovalonのセッションでは、AWSを使用して外部データコラボレーションを推進する方法について述べ、Inovalon ONE Platformがヘルスケア・ライフサイエンスの組織がプロプライエタリなデータセットにアクセスし、患者体験を向上させるためによりよい判断を下すための支援方法について説明しました。プレスリリースはこちら。
  • Boehringer Ingelheimは、彼らのRWE Center of Excellenceを紹介しながら、リアルワールドデータ(RWD)を活用してイノベーションを加速する方法について共有しました。このセッションでは、新しい世界中のRWDを発見、評価し、エンタープライズレベルのRWDコラボレーションを促進し、リアルタイムに近いデータセットの統合を通してインサイトの創出を加速させるために、Amazon Data Exchangeの利用を詳しく説明しました。

最後に、Stanford Health Careのデータリーダーらを迎えた「MLと生成AIを活用するためのデータの解放」に関するパネルディスカッションが開催され、生成AI利用をProof of Concept段階から全社的な利用につなげるために活用したデータ基盤について議論しました。このセッションはシンポジウムの前半を見事に締めくくり、さまざまな要素が調和してデータ駆動型の組織を作り上げ、MLと生成AIの力を十分に解放する方法を示しました。


第2部のハイライト:ヘルスケア・ライフサイエンスにおけるMLと生成AI

イベントの第2部は、AWS主導のセッションで始まりました。このセッションでは、ヘルスケア・ライフサイエンスの企業、組織がAWS上で簡単にMLと生成AIを始める方法に焦点を当てました。セッションでは、AWSの包括的なAI/MLのサービス群がお客様に対してビジネスに応じた適切なツールを構築、購入、カスタマイズできる柔軟性を提供しており、より簡便に、最適なコストで、そして実務上使える状態で、テクノロジーを利用する方法を、説明しました。

参加者は、Amazon Bedrockの新機能を学びました。これにより、ビルダーはAI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Stability AIなどの主要なAI企業の最新の基盤モデルを選択して、生成AIアプリケーションを責任を持って、簡単に作成およびスケールができるようになりました。また、このセッションでは、Amazon Bedrockの簡単な概要を説明し、数クリックでAgents for Amazon Bedrockが基盤モデルを構成し、マニュアルのコードは不要でタスクを自動で分解しオーケストレートします。

実用性を高めるために、現在利用可能なさまざまな関連する生成AI利用事例のクイックデモを紹介しました。これには、公衆衛生と腫瘍学のためのRAGベースのチャットボット、製薬マーケティングコンテンツ生成、新薬探索ワークベンチ、医薬品製造のコンプライアンス監査、およびエンタープライズシステムとデータソースを使用してタスクを実行するエージェントが含まれています。

セッションでは、NVIDIA BioNemo on AWSでサポートすることも発表されました。これにより、生成AIを使用して先進的な治療法の研究開発を加速するためのR&Dが可能になります。NVIDIA BioNemoは、新薬探索用の生成AIプラットフォームであり、現在AWS ParallelCluster経由でAmazon SageMaker上やNVIDIA DGX Cloud on AWS上で利用可能です。これにより、製薬企業の研究者や開発者は、自社のプロプライエタリデータを使用して基盤モデルのトレーニングを簡素化し、加速化することで、新薬探索を容易に速く進めることができます。

AWS上でMLと生成AIアプリケーションを構築する話題は、その後の一連の顧客向けライトニングトークにも続きました。

  • ライフサイエンス分野では、Genentech(Roche)が、コマーシャルバリューチェーン内の3つのユースケースで生成AIをAWS上でどのように使用しているかを共有しました。それは、1/個別化された顧客エンゲージメント、2/実行可能な顧客ニーズの検知、および3/測定の自動化と収益シミュレーションです。参加者は、これらのユースケースを実現するためのAWSベースの技術スタックを垣間見るだけでなく、OneRoche Responsible AI Frameworkの仕組みも知ることができました。このフレームワークは、Genentechがエンタープライズレベルのセキュリティを備えた、責任あるソリューションの構築を支援しています。
  • ヘルスケア分野では、国内最大の放射線診断を行なっているRadiology Partnersは、AWSのAWS HealthImagingなどの目的に特化したサービスが、彼らのAIオーケストレーションプラットフォームであるRPX AIを支えている方法を紹介しました。これにより、彼らがサービスする3600人以上の医師と3300以上の医療施設のニーズに応えるために、病院や医療システム向けのAI医療画像ツールを迅速に展開することが可能となります。

MLと生成AIの急速な拡大は革新的なブレイクスルーを確固たるものとしますが、同時に、プライバシー、セキュリティ、ガバナンス、公正性などの新たな課題が提起されています。この日の最後のセッションでは、Anthropic、Baxter、Deloitteのリーダーとの「責任ある安全な生成AIの構築」に関するファイアサイドチャットを開催しました。このセッションでは、各組織が「責任あるAI」をどのように定義し、この急速に変化する状況に対処するための独自のアプローチを概説しました。聴衆は、データセキュリティ、プライバシー、IP保護、および信頼性に関する貴重な知識を得て、AIを組織内で真の善の力として促進するために、複雑さをうまく乗り越えることができるようになりました。


私たちが17年前にAWSを立ち上げたときから、ヘルスケア・ライフサイエンスのお客様は最前線でクラウド利用を進められました。そして、このシンポジウムでMLと生成AIを使用して個別化医療や精密医療に向けて大きな一歩を踏み出す業界のリーダー企業を目の当たりにして感銘を受けました。これは、いわゆる「可能性の範囲内で最善を実現する」をまさに表している取り組みでした。

私たちの包括的なデータ、ML、生成AI提供について詳しくは、AWS for Healthcare and Life Sciencesのウェブサイトをご覧ください。

re:InventでのHCLSの他の発表やハイライトについては、ブログをご覧ください。

このブログはヘルスケア・ライフサイエンス事業開発 片岡が翻訳しました。