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【開催報告】 SVG Japan Sports TV Forum – クラウドテクノロジーの活用とスポーツコンテンツの未来

はじめに

2025年2月20日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンオフィスにて開催されたクラウドテクノロジーの活用とスポーツコンテンツの未来をテーマにした SVG Japan Sports TV Forum では、160 名以上のスポーツ制作のプロフェッショナルにお集まりいただきました。
放送局によるライブクラウドプロダクション (LCP) の実践事例、EurovisionとAWSによるグローバルな取り組み、そしてスポーツリーグ各社の具体的な活用例が共有されました。クラウド化による効率的な映像制作・配信の実現、生成 AI を活用した新しい視聴体験の創出、そしてファンエンゲージメントの向上に向けた様々な取り組みについて、活発なディスカッションが行われました。

イベントハイライト

パネルディスカッション

▶︎ ライブクラウドプロダクション (LCP) と映像演出の取り組み [ビデオ]

パネリスト: 永山 知実 様 (TBS テレビ ), 石村 信太郎 様 (WOWOW エンタテインメント), 荒木 優 様 (朝日放送テレビ), 山中 勇成 様 (AbemaTV)
モデレーター: 山口 賢人 (アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

ライブクラウドプロダクション (LCP) は、設備投資の削減や必要時のみのインフラ起動、リモートワークの実現、AI など新技術との連携のしやすさなど、多くのメリットがあります。このような背景のもと、放送局各社が取り組むライブクラウドプロダクションの取り組みについて、朝日放送様が開発された STADIUM TUBE Touch というタブレットベースの制作システムや TBS テレビ様・WOWOW エンターテインメント様で開発された Live Multi Studio を活用したリモートプロダクション、AbemaTV 様でのクラウドでの映像制作、自動ハイライト生成など具体的な事例が共有いただきました。完全 IP 化による効率的な制作・配信の実現や異なる技術の融合への対応など、今後の展望についても活発な議論を行っていただきました。

▶︎ Global Trends of Live Cloud Production & Generative AI [ビデオ]

パネリスト:  Mathieu AICHMAYER (Eurovision), Paul Devlin (Amazon Web Services)
モデレーター: Ken Kerschbaumer (Sports Video Group)

クラウドと AI によるスポーツ放送の革新について、Eurovision サービスと AWS から、パブリッククラウドの特徴や活用方法、セキュリティの確保についての知見が共有されました。パブリッククラウドは世界中に分散したリソースを提供し、その中に VPC (仮想プライベートクラウド) を作成できることで、従来のオンプレミス環境と同等のセキュリティを確保しながら、柔軟な実験的取り組みが可能になります。

このような背景のもと、NHL が実施した完全クラウドベースの制作事例や、全豪オープンでの若年層向けの実験的配信など、具体的な活用例が紹介されました。特に NHL の事例では、30 台以上のカメラを使用したトップレベルのスポーツ制作をクラウド上で実現し、4 種類の異なる配信フィードを提供することに成功しています。また、Amazon Bedrock を活用した安全な生成 AI 機能の実装や、PGA ツアーでのチャットボットによる映像・データの統合的な提供など、新しい視聴体験の創出についても議論されました。IP 配信による効率的なコンテンツ配信の実現や、データを活用した視聴者分析と最適化、そして完全なパーソナライズ化の実現など、今後のスポーツ放送の展望についても活発な意見交換が行われました。

▶︎ スポーツリーグ及びスポーツフェデレーションによるパネルディスカッション [ビデオ]

パネリスト: 渡邉公悠 様 (パシフィックリーグマーケティング), 室口裕 様 (日本ラグビーフットボール協会)、岩貞和明 様 (バスケットボール・コーポレーション)
モデレーター: 松原 一樹 (アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

スポーツリーグやスポーツ連盟による映像制作と活用をテーマに、パシフィックリーグマーケティング、日本ラグビーフットボール協会、B リーグによるパネルディスカッションが行われました。

主なポイントとして、映像制作・管理の効率化と、ファン拡大に向けた活用の 2 つの側面が議論されました。効率化については、各団体のクラウドを活用した映像管理システムの構築についてお話頂き、AWS からはブンデスリーガにおける AI によるメタデータ付与の自動化などに取り組みについて具体例としてお話しました。またパシフィックリーグマーケティング様からは 1 球単位の詳細な打席データと映像の連携による映像アーカイブシステムの構築について紹介いただきました。
ファン拡大に向けては NHL での若年層向けのアニメーション化や、視聴者ごとのパーソナライズ化など、新しい視聴体験の創出について AWS から紹介しました。B リーグではアリーナ観戦とオンライン視聴の相乗効果を目指していることをお話頂きました。

今後の展望として、完全クラウド化による効率的な映像制作・配信の実現や、AI を活用した新しいファンエンゲージメントの創出、そしてグラスルーツレベルでの技術活用による競技力向上など、スポーツ全体の発展に向けた取り組みが共有されました。

実践的ケーススタディー

スポーツ映像制作と管理・配信に関する具体的なケーススタディーを次の3 社より共有いただきました。

▶︎ パリ聖火リレーとレッドブル「Wings for Life World Run」でのクラウド制作 [ビデオ]

スピーカー: 朝比奈 宏樹 様 (TVU Networks)

▶︎ 日本ラグビーフットボール協会によるケーススタディー [ビデオ]

スピーカー: 横田 杏那 様 (日本ラグビーフットボール協会)

▶︎ ドイツサッカー 1 部リーグでの Dolby Atmos によるライブリモートプロダクション [ビデオ]

スピーカー: 数金千恵 様 (オタリテック)

おわりに

本ブログでは、2025 年 2 月 20 日に開催されたSVG Sports TV Forum について紹介しました。ご参加いただいた皆さま誠にありがとうございました。引き続き業界の皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。

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参考リンク

AWS for Media & Entertainment
AWS for Sports
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)

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このブログは AWS 山口が担当いたしました。