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Agentic AI でつなぐモノ・サービスの改善サイクル 〜 蓄積する運用フェーズのデータを Amazon Quick で次の開発に活用する方法を学ぼう

モノやサービスが生まれる現場では、開発から運用に至るさまざまなフェーズで、日々多くのデータが生まれています。かつてのモノづくりの現場では、「製品が世に出たら、お客様がどう使っているかは見えづらい」ことが当たり前でしたが、この前提は変化しつつあり、現在はモノやサービスがリリースされた後も、さまざまなシグナルを得られる時代になりました。顧客管理や売上の履歴、お客様からの問い合わせ、レビュー、デバイスが送信する稼働メトリクスなど…。これらのデータから得られるシグナルを速やかにキャッチして改善につなげていくことが、モノ・サービスの競争力を高め、企業価値を成長させる大きな要素になりうるでしょう。

しかし現実には、これらのデータを活用し、開発サイクルへシームレスにつなげられている組織は、まだ多くありません。データは集まっている、だがそれらを活用しきれていない、といったお声はよくいただきます。

本記事では、どうすればリリース後のデータを活用し、得られたインサイトを次の開発サイクルに適用できるのかを掘り下げ、誰もが体験可能なサンプルシナリオとともに紹介します。

なぜ運用データは次の開発につながらないのか

運用フェーズにおけるデータ活用

図 :運用フェーズにおけるデータ活用イメージ

リリース後に集まるデータを製品の改善に活かそうとするとき、多くの組織が共通して行き当たるのが、二つの「サイロ」に関する課題です。

一つ目は、サイロ化されたデータに関する課題です。納品実績は営業部門に、問い合わせ履歴はサポート部門に、稼働データは保守部門に、製品仕様は開発部門にと、データは複数のドメインに分散しています。製品の問題解決や顧客要望に応える必要性が顕在化したとしても、担当者は自部門のデータにしかアクセスできず、全体像を見渡せないまま、調査の方向性を定めることすら難しいのが実情です。

二つ目は、サイロ化された人材に関する課題です。意味のある分析を行うためには、データを扱う技術、製品の知識、現場の実情という複数領域の知識が必要とされることも多いでしょう。しかしながら、多くの組織において、横断的な知識を備えた人材が存在することは稀です。真の課題にたどり着くために、複数のステークホルダーを集めて議論を重ねるケースも多いと思います。もちろんそれは有益であるものの、どうしても結論にたどり着くまでに時間がかかってしまい、スピーディーな解決につながりづらいことも多いと考えられます。

これら 2 つのサイロを乗り越え、日々集まるデータを改善サイクルの起点に変えていくには、次のような仕組みが鍵になるはずです。

  • さまざまな場所に分散するデータを、仮想的に一つにまとめて扱える仕組み
  • 構造化・非構造化を問わず、用途に応じて多様なデータを分析対象にできる仕組み
  • データとその分析結果を、組織共通の資産として共有できる仕組み
  • 分析の専門家でなくても自然言語で問いを立てられ、誰が使っても一定品質の調査結果を得られる仕組み
  • 指示されたデータの加工や集計を行うだけでなく、自ら問題を分析し、仮説を立ててデータで検証を進められる仕組み
  • 分析結果を、次のアクションにつながる形で他システムへ連携できる仕組み

Agentic AI アシスタント Amazon Quick によるデータと人のサイロの解決

これらの仕組みは、Agentic AI アシスタント Amazon Quick で実現可能です。Amazon Quick は、タスクの自動化・データ分析・Web アプリ構築・リサーチといった作業を、専門知識なしで一元的に行うことができるサービスです。

本来、AI エージェントを自前で動かすには、設備・電源・ネットワーク・サーバーなどのインフラ管理に加えて、モデルの選定やエージェントの実装、ガードレールの整備まで多くの手間が伴います。Amazon Quick はこれらをフルマネージドで引き受け、利用者はコードを書くことなくエージェントを設計・活用でき、ガードレール機能も組み込みで利用できます。さらに、入力したデータは自社の管理下に保たれ、基盤モデルの学習に使われることもありません。AWS のインフラストラクチャー自体もセキュアに運用されており、利用者は安心して分析に集中できます。

以下に、Amazon Quick の全体像を示します。AmazonQuickの全体像

図 :Amazon Quick 全体像

Amazon Quick では、Quick Spaces(以下 Spaces)という仮想的なデータコンテナを作成できます。Spaces には、さまざまな場所(AWS 上のストレージサービスやデータベースサービスのほか、外部 SaaS、オンプレミスのデータベースやファイルサーバーなど)にある構造化データおよび非構造化データを仮想的にまとめます。これによって、データサイロを排除し情報探索を効率化することができます。

Amazon Quick の Quick Chat(以下 Chat)は、データの探索、分析、アクションの実行を支援する対話型のアシスタントです。前述の Spaces と Chat は簡単な手順で接続でき、そうすると Chat は Spaces にあるリソースを使って回答、タスク遂行を行います。このとき Chat は、指示されたデータの加工や集計をこなすだけではありません。与えられたゴールに向けて、自ら分析の計画を立て、仮説の立案とデータによる検証を繰り返しながら、結論へと近づいていきます。Spaces にタスク遂行に必要なデータが集約されていれば、Chat の裏にある Agentic AI はタスクに関連するデータだけで結果を生成するため、ユーザーは関連性の高い回答を得られます。また、Chat にはエージェントの振る舞いを自然言語の指示としてあらかじめ定義できる機能(カスタムチャットエージェント)があります。ここに優秀なアナリストの思考手順を思考ルールとして仕込んでおくことで、誰が使っても一定以上の品質の調査やアクションを実行できるようになります。分析結果はチケット管理システムなどの外部ツールへ連携できます。このように、データを扱う技術・製品知識・現場の実情という複数領域の知識が一人に揃わなくても、Agentic AI がその隙間を埋めることで、人材のサイロを越えた分析が可能になります。

Quick Chat を活用したデータの深堀り分析アニメーション :Quick Chat を活用したデータの深堀り分析

製品改善サイクルのサンプルシナリオ

製造業の業務での活用イメージを明確にするために、一つの「モノ」の開発サイクルを例に、具体的なシナリオを辿ってみましょう。

あなたは、空調機器(HVAC)メーカーの品質マネージャーである、と想像してください。あなたは、製品の品質を向上することに責務を負っていますが、製品の内部仕様に熟知しているわけではありません。そのような状況で、「ある時点から『冷房が効かない』という問い合わせが急増している」という情報を得ました。あなたはこれに対処する必要があります。

あなたはまず、その事実を確認するために、Quick Chat を使って「問い合わせの傾向を分析してください」と依頼します。すると、Agentic AI は、裏で接続されたお問い合わせデータと顧客管理台帳を参照し、問い合わせ傾向の事実を確認します。

続いて、「なぜそれが起こったのでしょうか。仮説を立ててください」と依頼して、Agentic AI に根本原因の仮説を立てさせます。さらに、稼働データ、ソフトウェアのバージョン、製品仕様書…など、接続されたデータを行ったり来たりしながら仮説を検証させます。最終的に、あなたが Agentic AI の力を借りながら、複数の根拠を元にして問題の原因にたどり着くことができます。

特定した根本原因を解決する方法はいくつか考えられるはずです。それらを遂行するためには、これまでの分析の経緯と必要な対策を他部門に連携する必要があります。この連携のためのチケット情報を Agentic AI が生成し、他部門が利用するシステムへの連携を支援します。チーム間の情報連携は一般的に手間がかかりますが、カスタムチャットエージェントに情報連携のルールをあらかじめ定義しておけば、そのルールに沿って情報が受け渡されるため、開発チームはすぐに内容を確認し、改善に着手することが可能です。

このように、あなたは Amazon Quick 上の Agentic AI を活用して、モノに関わって生まれるさまざまなデータを製品価値の向上に活用し、製品の開発サイクル全体をシームレスに形成することができました。

ワークショップで体験する

本ブログでご紹介したとおり、Amazon Quick を活用して、製品・サービスの改善サイクルを作ることが可能です。これを擬似的に体験できるワークショップを用意しています。

Accelerating Smart Product SDLC with AI Agent Workshop

このワークショップは、ソフトウェア開発における、計画、開発、テスト、リリース、運用、の各フェーズを体験できる合計 5 つの Lab で構成されています。本ブログで紹介した運用フェーズにおけるデータ活用は、Lab 5 で体験できます。Lab 1 から Lab 4 では、計画からリリースまでのいわゆる製品開発の工程を体験できます。こちらの内容の詳細については、Accelerating Smart Product SDLC with AI Agent Workshop のご紹介 をぜひご覧ください。Lab 5 だけ体験することも、5 つの Lab のうちいくつかをピックアップして体験することも可能です。

まとめ

モノやサービスはリリースして終わりではなく、運用の中で生まれるデータこそが次の開発の起点になります。しかし多くの組織では、データと人材の 2 つのサイロがその活用を阻んでいます。Amazon Quick を使えば、分散するデータを Spaces でひとつにまとめ、Chat によって誰もが自然言語で横断的な分析を行い、その結果を開発チームへのアクションにシームレスにつなげられます。まずはワークショップで、運用データが開発サイクルへとつながる体験をお試しください。

ご質問や、自社での適用に関するご相談は、担当のソリューションアーキテクトまたは AWS へのお問い合わせまでお寄せください。

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