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re:Invent 2021- パブリックセクター・パートナー セッションで発表された19の施策
今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「re:Invent 2021で開催されたパブリックセクター・パートナー・セッションでのトップ・アナウンスメント」を紹介します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、AWS Public Sector Blog へ掲載された投稿の翻訳となります。)
パートナーのイノベーションを加速するためのプログラムやイニシアティブの拡充
AWS Mainframe Modernizationの発表
AWS Mainframe Modernization (M2)は、パートナー各社がメインフレームのワークロードをクラウドに移行することを支援するために提供されています。AWSパートナーのMicro FocusとBlu Ageは、M2インスタンスにプロビジョニングされたツールチェーンを提供し、メインフレームの移行、リプラットフォーム、リファクタリングの最も一般的なパターンをカバーします。詳細はこちら。
AWS EHR統合アプリケーション移行イニシアチブも利用可能に
AWS Electronic Health Record (EHR) Integrated Applications Migration Initiativeは、ヘルスケアに特化したイニシアチブで、既存のプログラムと新しいプログラムの両方を活用して、ヘルスケア・アプリケーションのAWSへの移行を効率化します。現代の医療システムは、統合されたアプリケーションが連携するコミュニティを必要としています。AWSは、これらの重要なアプリケーションを体系的に特定し、AWSクラウドに移行することで、医療提供の運営と変革に必要なアプリケーションの医療システムコミュニティを構築していきます。この取り組みは、EHRワークロードを安全かつセキュアにAWSに移行するためのプログラムをお客様に提供するもので、必要とされる数百ものアプリケーションがすでにAWSに存在するという安心感があります。
AWSは医療機関向けクラウドでEpicデータベースの優れたパフォーマンスを提供
Epicは医療機関にとって重要なアプリケーションであり、Epicのお客様はAWSのサービスを活用してコストを削減し、エンドユーザーのイノベーションのためにリリースを迅速に展開することができます。AWSは、Epic on AWSをご利用のお客様のために、1秒あたりのグローバルリファレンス(GRref/s)のスケーラビリティを向上させました。これは、2019年にEpicのお客様のクラウド・プロバイダーとして承認されて以来、260%の増加となります。AWSクラウドは現在、Epicのお客様の90%に対応しています。Epic上で実行しているパートナーにメリットをもたらし、すべてのEpicデプロイメントの価値実現までの時間を短縮する、これらのパフォーマンスの向上について詳しくはこちらをご覧ください。
市場で通用する、スマートシティIoTソリューション
2021年7月、AWSは18社のパートナーとともに、AWS Internet of Things(IoT)Adoption Partner Program(IAPP)のもと、スマートシティ・パイロット・プロジェクトを開始しました。このパイロットは、戦略的なスマートシティ案件に携わるパートナー各社がAWS上でイノベーションを起こし、ソリューションを販売するためのキュレーション、開発、サポートを目的として設定されました。現在では、AWSがスマートシティのパートナーを募集し、開発し、市場に送り出すための単一のソースとなるプログラムとなっています。このプログラムでは、技術的および金銭的な支援と、パートナーのソリューションの差別化、対象となるパートナーのコミュニティ構築、マーケティングおよび販売支援を組み合わせることで、戦略的な価値提案を行っていきます。このプログラムは、2022年初頭にアメリカ大陸とアジア太平洋地域のすべての地域で提供される予定です。
近日開始予定:AWS Containers Rapid Adoption Assistanceプログラム
2022年第1四半期に、AWSはAWS Containers Rapid Adoption Assistance(CRAA)プログラムを開始します。このイニシアチブは、公共部門のパートナーが、より優れたポータビリティ、アジリティ、セキュリティ、障害隔離を備えた重要なアプリケーションの近代化と構築を支援します。AWS CRAAは、パートナーのワークショップをリードし、ビジネスプランの構築を支援し、概念実証をサポートする主題専門家(SME)からなる専任のAWSチームを通じて、パートナーのキャパシティ拡大を支援します。こうした実践的なガイダンスは、Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)、Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)、およびマイクロサービス・ベースのアーキテクチャを採用するパートナー各社にサービス開発のためのスピードを与え、各社が世界中の複雑なミッションをサポートするソリューションを迅速に展開するのに役立ちます。
AWS Data Led Migration (DLM) Rapid Adoption Assistanceプログラムの発表
AWS Data Led Migration (DLM) Rapid Adoption Assistanceは、複数のオンプレミスソースからデータを取得し、クラウド上のデータレイクに移行するためのキャパシティの拡張を支援するAWSのサブジェクト・マター・エキスパートをパートナー各社に紹介する自動化されたメカニズムです。AWS DLMチームが提供するハンズオン・ガイダンスは、パートナーがデータ主導の移行を加速し、アナリティクス、人工知能(AI)、機械学習(ML)サービスを顧客のデータに適用する準備を整えることで、よりスマートな意思決定と構成員のサービス向上のタイム・トゥ・バリュー(=価値提供が可能となるまでの所要時間)を短縮・加速します。詳細はこちらをご覧ください。
AWSエネルギー・コンピテンシーのグローバル提供開始を発表
AWS Energyコンピテンシーのグローバル提供を開始しました。このコンピテンシーにより、お客様は高度な専門性と信頼性を備えたAWSパートナーにアクセスすることができます。これらのパートナーは、エネルギー関連のお客様がテクノロジーを活用して石油・ガス資産の運用を効率化し、低炭素社会への移行に向けてオペレーターをサポートすることに成功しています。AWSエネルギー・コンピテンシーは、第三者による技術審査と顧客リファレンス監査を含む厳格な検証プロセスを経て、エネルギー関連の顧客をサポートする専門性を実証したAWSコンサルティングおよびテクノロジーパートナーを紹介しています。続きを読むには、こちら。
6社のパートナーがAWS Marketplace上で
データ主導型マイグレーションのプライベートオファーを提供
AWSパートナーのPresidio、SMX、Nephos、Mobilise、Enquizit、Keyrusから、6つのデータ主導型マイグレーション(DLM)のプライベートオファーがAWS Marketplace上で提供開始されました。これらのソリューションは、お客様がデータをクラウドに移行し、アナリティクス、AI、MLサービスを利用してリアルタイムな意思決定を行うことをサポートします。AWSコンサルティングパートナーは、アセスメント、インプリメンテーション、マネージドサービス、プレミアムサポートに焦点を当てたDLMプライベートオファーをバンドルしてお客様に提供することもできます。さらに、AWSテクノロジーパートナーは、パートナーの製品チームと協力して、アナリティクスやMLサービスをパートナーのソリューションに統合していきます。パートナーソリューションとAWSプロフェッショナルサービスを組み合わせたバンドルサービスは、お客様には通常は公開されていない特別な価格(=Private Offer)で提供されます。
AWS AIにより、公共機関のパートナーやお客様のIDP(Intelligent Document Processing)を実現
公共部門の各組織やパートナーは、物理的な文書を大量に処理することで過負荷に見舞われています。構造化されていない文書、もしくは構造化が中途半端にしかなされていない手書き文書からデータを抽出することは、時間がかかり、エラーが発生しやすく、コストがかかり、拡張が難しい状態が続いています。IDP(Intelligent Document Processing)は、AIやMLの技術を用いて、ドキュメントから特定のデータ要素を抽出し、処理することを可能にするソリューションです。AWS IDPスタックは、分類、抽出、ヒューマン・オーグメンテーション、エンタープライズ サーチに関連するいくつかのサービスを提供しており、事前に訓練されたDeep Learning モデルは、IDPソリューションに容易に統合することができます。AWSパートナーは現在、請求書、フォーム、IDドキュメントからテキスト、画像、リッチデータを抽出して分析するための顧客の運用コストを削減する目的で、このサービスを市場に投入しています。詳細はこちら。
中小企業のエンゲージメントを高めるThink Big for Small Business Communities
Think Big for Small Business (TBSB)プログラムのAWSパートナーをサポートするために、AWSはTBSB Communitiesを立ち上げます。TBSB Communitiesは、AWSが主導するピア・ツー・ピアのフォーラムで、学び合いや情報提供を行い、公共部門でサービスを提供している中小企業のパートナーコミュニティ間のコラボレーションを可能にします。TBSB Communitiesは、AWSとの強力なビジネス関係を築くことができる小規模・少人数経営のビジネスパートナーに投資し、繁栄するコミュニティを構築することに焦点を当てています。世界中のパートナーの多様なニーズを考慮し、地域に密着したサポートを提供するために、様々なコミュニティが地理的に設立される見通しです。
AWSガバメント・コンピテンシーの強化
2022年、AWSは「AWS Government Competency Enhancement」を開始します。このプログラムは、米国連邦政府のパートナー向けに特化したものです。これらのパートナー各社は、米国の連邦政府、民間、防衛、情報機関において、政府機関が義務を果たし、コストを削減し、効率を高め、イノベーションを促進するための高品質なソリューションを提供した経験があります。メンバーは、連邦政府に特化したパートナーが集うイベント( federal-specific partner advisory council )に参加して、連邦政府機関との関係を深めることができるほか、そうした高度なコンピテンシーを有する企業として認知度も高まることになります。
パートナー各社の成し遂げたことを祝う
AWSパートナーがAWS GovCloud(US)を活用してDoD IL5認証を取得
国防総省(DoD)は、インパクトレベル5(IL5)を、より高度な保護を必要とする管理下の未分類情報(CUI=controlled unclassified information)を収容するケイパビリティを持つものと定義しています。今日の時点で、AWSは、IL5での使用を認可された98のサービスを持っています。現在、IL5でシステムを運用しているパートナーは、Diligent、GDIT、PTC Cloud Services、Splunk、Zscaler、Splunk、Palantir──の6社で、今後も増える予定です。これらのIL5のワークロードをホストするために、AWSパートナーはAWS GovCloud(米国)を利用しています。
EsriがAmazon Redshiftと統合し、ジオデータ分析を拡大
EsriとAWSは共同でArcGISをAmazon Redshiftに拡張しました。お客様は、Amazon Redshift を使用して地理空間の SQL クエリ・データに素早くアクセスして保存し、Amazon QuickSight を統合してベース マップを含むインテリジェントなデータ分析を行うことができるようになりました。この新機能により、より高いパフォーマンスと大規模データのサポートが可能になり、お客様はGISデータとクラウド・ネイティブ・データベースを統合し簡単に分析できるようになります。この統合により、ユーザーが複数の空間データセットを分析できるケイパビリティは、量的にも、速度の観点でも増強されます。Esriによるジオデータ分析の拡張についてはこちらをご覧ください。
IronNet社は、ニューヨーク州向けに州全体のサイバー脅威の検知と対応能力を発表
IronNet社は、米国最大の州の公共電力組織であるニューヨーク港湾局(NYPA)と提携し、州の公共エネルギーのエコシステムを保護することを発表します。50以上の自治体や協同組合に電力サービスを提供しているNYPAは、IronNetと協力して「ニューヨーク州サイバーセキュリティ集団防衛コンソーシアム(CCDC)」を立ち上げ、統一的なサイバー防衛戦略によって州の送電網を守る能力を強化します。CCDCは、ニューヨーク州内の50以上の地方自治体や協同組合を結びつけ、重要インフラへのサイバー攻撃を検知・防御します。CCDCは、匿名化された脅威情報をネットワーク内で迅速に共有し、サイバーセキュリティの状況をレーダーのようにダイナミックに把握することができます。
アフリカン・リーダーシップ・グループは、グローバルな人材採用ソリューションを確立し、クラウドコンピューティングのキャリアを持つアフリカ発の優秀な人材を世界に向けて育成
アフリカン・リーダーシップ・グループ(ALG)は、グローバルな人材を需要の高い技術的なキャリアに結びつけるために、スケーラブルな人材マッチングソリューションを構築することを発表しました。ALGは、「労働力」の厚みと習熟度が増強されるための取り組みを推進し(bolster workforce readiness and proficiencies)、対象となる人材に業界最高度のITスキルを身につけさせ、個人的な経済力・資産状況を改善できるよう、有為の人材を新規に特定・育成することをミッションとする機関です。AWSは、ALGと協力して、The Room Intelligence Platform(TRIP)の人材マッチングソリューションを提供し、クラウドトレーニングのカリキュラムを提供します。詳しくはこちらをご覧ください。
Presidio社がCPCランサムウェア緩和キットと管理・検知・対応ソリューションを発表
Cloud EndureとPresidio & Crowdstrike(CPC)は、米国国立標準技術研究所(NIST)フレームワークの5つの柱をカバーする復旧・保護戦略を提供するランサムウェアのミティゲーション・キットを共同で開発しました。このCPCミティゲーションキットの目的は、コミュニティ全体の免疫的な防御力(community immunity)を活用してランサムウェア攻撃を面的かつ迅速に検知・防止することであり、公共部門の各組織が迅速に対応して攻撃を緩和し、被害の拡大を横断的に防ぎ、バックアップの復旧、ビジネスの回復力の向上、業務の効率化を通じて日常のオペレーションを回復することができます。CPC Mitigation KitおよびPresidio社のManaged Detection and Response (MDR)ソリューションの詳細はこちらをご覧ください。
GEヘルスケアは、放射線科向けワークフロー自動化ツールを発表
GEヘルスケアの「EDISON TRUE PACS」は、新たにインテリジェントなワークフローの設計・設定機能を提供し、AWS上での放射線科のワークフローを効率化するソリューションです。また、EDISONはAI診断アルゴリズムを提供し、放射線科チームの画像解析・診断の専門性を補完することもできます。これらの新機能により、GEは放射線科医によるTRUE PACSのテストを行い、90%のワークフローの高速化と20%の診断精度の向上──という計測結果を公表しています。
AWSを利用したUK BiobankとDNANexusによるゲノミクス分野での発表
UK Biobank Research Analysis Platform (RAP)は、UK Biobankの大規模な生物医学データベースと研究資源を扱う多数の研究者たちが、世界のどこからでもクラウドでアクセスできる環境を保証するプロジェクトです。DNANexusの技術とAWSを利用することで、RAPは生物医学データへのアクセス性を飛躍的に向上させ、世界中の研究者がヒトの病気に対する理解を深めるのに役立ちます。RAPは、UK Biobankの膨大かつ増大し続けているリソースに対応するように設計されており、研究機関が50万人のボランティア参加者から得られたUK Biobankの表現型、ゲノム、画像、健康記録データ──などの「宝庫」を探索・分析するのに役立ちます。
AWSパブリックセクター・コンサルティング・パートナー・オブ・ザ・イヤーに2社を表彰
#1: Leidos社
Leidos社は、123億ドルの売上に至るまで成長したテクノロジー、エンジニアリング、サイエンスのソリューションとサービスを提供する企業で、防衛・情報・市民生活・医療の各市場において、世界の難問を解決するために活動しています。デジタル・モダナイゼーション、サイバーセキュリティ、ミッション達成に欠かせないソフトウェア、統合システム、ミッションに特化したオペレーション、AI/MLなどの実現技術などの幅広い能力を持ち、AWSプレミアコンサルティングパートナーとしての専門性を発揮しています。Leidosは、5つのAWSコンピテンシー、4つのAWSパートナープログラムを保有し、世界をより安全に、より健康に、より効率的にすることを自社の使命としています。
#2: SAP NS2
SAP NS2は、データとアナリティクス、政府関連のコンピテンシーを持つISV Advance Tierパートナーで、AWS GovCloud (US)デリバリープログラムに参加しています。SAP NS2は、SAPアプリケーション、アナリティクス、データベース、サイバーセキュリティ、およびクラウド・ソフトウェアソリューションを、米国の連邦政府、防衛、航空宇宙、および重要インフラストラクチャ企業の独自の要件を満たすための特別なレベルのセキュリティとサポートとともに提供しています。
Learn More
マックス・ピーターソン氏のリーダーシップ・セッションをはじめ、その他の基調講演やブレイクアウト・セッションなどは、re:Inventのバーチャル・プラットフォームからオンデマンドでご覧いただけます。[*2022年4月追記:配信は、YouTubeへ移動しました。Sandy Carter の登壇はこちら。]
日本の公共部門の皆様へのご案内
AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。
今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。「クラウド×公共調達」の各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、ぜひAWSまでご相談ください(Contact Us)。
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このブログは英語原文での投稿を参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。
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