AWS Startup ブログ

【新規事例ご紹介】dely 株式会社:マネージドサービスを活用してスピード感のある開発を実践

皆さんこんにちは、AWS のスタートアップアップマーケティング、石渡です。

レシピ動画サービスの「クラシル」を提供中の dely 株式会社の執行役員/CTOの大竹様に動画事例の作成にご協力頂きました。創業当初から AWS をご利用頂き、2018年の夏に、機械学習ソリューションである Amazon SageMaker の導入に至るまでの過程などをお話し頂きました。ビデオは以下からご覧いただけます。

 

今回は、編集上カットしたスクリプトの部分も含めて、大竹さんにお話し頂いた内容を紙上再現します。

なお、大竹さんには、2019年3月27日に行われるAWS Startup Day 2019 Tokyoにおいて、『機械学習を用いたサービス改善の考え方〜僕らが機械学習の導入に成功した理由〜』というタイトルでお話し頂きます。詳細は、文末をご覧下さい。

 

delyのCTOの大竹と申します。

事業について

dely は、70億人に1日3回の幸せを届けるというのをミッションにして、レシピ動画サービスのクラシルというサービスを展開しています。

サービスの開始は、2016年の2月からでしたが、当初、動画メディアの立ち上がりの様子を見ていて、レシピを動画で解説していくというのが、わかりやすくていいんじゃないかというアイデアから、サービスを開始しました。

最初はフェイスブックやインスタグラムで配信し始めて、これにすごい需要があるな、ニーズがあるなというのを確認したあとに、アプリをリリースしたのが立ち上がりのきっかけです。

そこからどんどん伸ばしていって、2017年の3月にテレビ CM を開始して、2017年の年末、12月に、ちょうど1000万ダウンロードを突破したというぐらいの規模感になっています。

 

IT戦略やクラウドの方針について

会社設立の当初からすべて、クラウド上でサービスを開発しています。最初から AWS を採用していますが、当時からクラウドがデファクトスタンダードになっていく、というのが僕らの見解だったので、特に抵抗なく AWS にしようってことで開始しました。

スタートアップなので、初期は開発者のリソースというのは限られているので、AWS のサービスをうまく組み合わせていくことによって、展開できるのがものすごく魅力ですし、初期の段階、ユーザー数が少ない段階は、従量制なので低コストで始められるのが魅力です。それがさらに、構成を大きく変える必要がなく、十分にスケールすることがあったので、スタートアップがより成長していくところに適したサービスとして、僕らも受け止めています。

 

AWSを導入した時期について

導入した時期は2014年の前半くらいでした。そのきっかけは、AWS Activate というプログラムがスタートアップ向けに用意されていて、スタートアップには一定金額まで無料で利用可能枠が用意されているものです。一定金額以上になってから、支払いが開始されるというプログラムです。スタートアップなので、最初は、資金が全然ないということがあり、初期コストを抑えられるというのがメリットでした。さらに、サポートの方も柔軟に対応してくれました。また、AWS を利用中の他の企業の方にも、質問ができ、教えてくれるという環境もあったので、AWS を導入することに決めました。
AWS はスタートアップに最適なサービスじゃないかなと思います。

 

AWSを選択した理由やきっかけについて

AWS は、他の先輩スタートアップ企業でも導入してるところが多くあったので、僕らが何か困ったときに聞けるというのが、安心材料としてありました。

細かい使い方みたいなところは、AWS の担当者さんがハンズオンで教えてくれるっていう機会を、何回か作っていただいたので、そこで本当に細かいところまで聞きながら、そうやってやるんですね、ということを勉強していったというような形ですね。

 

利用するサービスと用途について

沢山利用してるのですけども、主要なところでいくと、動画の変換のために Amazon Elastic Transcoder というサービスを使っています。アプリの中で動画を頻繁に再生するということがあるのですが、そういうときに、ユーザーさんが、読み込みを早くできて、快適に再生できるようにするために、プログレッシブ再生に対応したいなと思っていました。元の MP4 ファイルの動画ファイルを HLS 形式に変換して、Amazon S3 に置くところの部分で、Amazon Elastic Transcoder を使っています。

もう一点が、Amazon SageMaker というサービスです。僕らのサービスで、どのレシピをユーザーさんにあてるかっていうのを提案するのがものすごく重要で、人それぞれ好みに合ったレシピを提案するというのをしたいと思い、機会学習の技術がものすごく重要になってくるところの中で、Amazon SageMaker がフルマネージドで機械学習サービスの基盤を提供しているのを知りました。(delyの開発)人数もそんなに多くない中で、スピード感持って開発していくために、Amazon SageMaker が最適だなと思ったので利用しています。

クラシルのユーザーさんは色んな本当種類の方がいて、例えば、お子さんがいる方といない方で、好みというか、見たいレシピが違っています。お子さんがいる方であれば、例えば、野菜が嫌いだったとしても、野菜を使ったレシピはいっぱい見れたほうがいいし、食べさせたいから見れたほうがいいし、一方で、自分で一人暮らししてクラシルを使うっていう人は、本当に好きな食材とか、食べ物があったときはそれを普通に見たいというのがあるので、それぞれに対して、違うニーズがあります。

これまで僕らは、本当ひとつの提案の方法しかできなかったのが、Amazon SageMaker を使って、機械学習とパーソナライズをして、レシピ提案してくっていうことができると、どちらにも最適な提案ができるかなと思っていて、そういう開発をしています。

Amazon S3について

クラシルでは動画を扱ってるので、動画ファイルを最終的にどこのストレージサービスに置くかというのを意思決定しなくてはなりません。データが無くなってしまったということが発生すると、大変な損失になってしまうので、一番安心感がある格納先に置きたいという思いがあります。その中で、Amazon S3 は、ストレージサービスとしては絶大な安定感と安心感を持っています。その意味でも、Amazon S3があるというのが、(クラウドサービスのプロバイダを) 簡単に決めることができたかなと思ってます。

導入の効果について

特にクラシルをリリースする時は、開発リソースが足りない状況でした。動画のサービスなので、動画を(各種デバイス向けに)変換して保管しておくのが重要なんですけど、従来であれば、オープンソースのライブラリで変換処理を書いて、変換サーバーをオートスケールさせるということを、全部やらなくてはいけないのですが、我々は Amazon Elastic Transcoder を使って、そこをフルマネージドでやってもらうことにしました。通常であれば、一ヶ月くらい必要だったと思うのですが、それを一週間以内とかでできてしまったので、時間の削減、リソースの削減につながったかなと思っています。

クラシルのは、料理を作るサービスなので、料理前の時間帯にトラフィックが急激に増えるということが特徴としてあります。その前に、前もってオートスケール機能を使ってスケジューリングしておいて、サーバーの可用性、負荷を耐えられるようにしてるのですが、そういうのも、ちょっとしたスクリプトを書けば、オートスケール機能を使って、スケールさせることができるので、AWS ならではの特徴で良いところかなと思っています。

サービスが急速に成長していく中で、インフラ側にはスケーラビリティがすごく求められるのですが、AWS でサービスを構築していると、スケーラビリティを安心して担保できるというのがあり、いいところかなと思っています。

また、AWS がクラウドの中でのデファクトスタンダードに近い存在になっているのがあるので、他の AWS を使っている企業の方にに話を聞きに行けば、自分たちが困っている課題を解決できることが多いというのがあるので、そこが大きなメリットになってます。

三つ目が、世の中で、新しい技術とかトレンドっていうのが出てきたときに、それがサービスとして AWS の中で提供されるっていうスピード、サイクルがすごい早いというのがあります。そこに我々として、いち早く対応したいなって思ったときに、AWS の対応が早ければ、僕らも早く対応できることで、市場の中での競争優位性に繋がるっていうところもあるので、そのサイクルの速さっていうのも魅力だと思ってます。

サポート体制について

最近、機械学習を使ってサービスを強化していく中で、新しいサービスである Amazon SageMaker を利用しました。初めての機械学習基盤の導入であったので、フルマネージドで色んなコンポーネントが対応しているというメリットがあると考え、Amazon SageMaker の導入を決定しました。

ただ、新しいサービスであるというところで、そもそも使い方みたいなところがわからないと思っていたんですけども、そこは AWS の担当者の方のサポートが手厚くて、わからないところをすごい細かいところまで、教えてもらいました。その結果、サービス導入しようって取り組みはじめてから1.5ヶ月で導入しようすることができました。

僕らとしても機械学習のサービスを導入するのが初めての体験だったので、Amazon SageMaker だと必要な要素がフルパッケージで提供されているので安心して導入することができました。かつそのサービス自体がフルマネージドの形で提供されているので、運用の面でもスケールすることになっても安心して運用できるかなと思っていました。今思うと、そこが大きなメリットだったなと思っています。

 

導入を検討しているサービスについて

Amazon Athena でデータ分析基盤を構築しようと思っています。Amazon Athena のメリットとしては、Amazon S3 にログ情報を置いておけばそれだけで分析可能であるというのもありますし、AWS Glue や Amazon kinesis などとモジュール単位で組み合わせて作っていくことができるので、将来的にそのデータ分析基盤を拡張していくとか機能を追加していくという時にも対応しやすいというのがメリットとしてあると思っています。

 

今後の計画について

少ないインフラチームであっても最大限のパフォーマンスを発揮できるようなチームにしたいなと思っていて、そういった意味で AWS から今後新しく出てくるであろうサービスっていうのが積極性に導入していって生産性を高めるようなことに、取り組んでいきたいなと思ってます。

特にフルマネージド型のサービスっていうのは、AWS は強いと思うので、そういうものが出てきた時に積極的に導入していってチームとしてのパフォーマンスを最大化するってことをやっていきたいなと思っています。

クラシルは今だとレシピを探すっていうところに一番価値を持っているサービスと思うんですけど、実際この料理をするっていう面においてだと、もっといろんな工程があって、例えばレシピを探した後に、今日の献立をどうするかというのを考えるのにもいろいろな考える要素ってのもありますし、それを買いに行くっていう時に、値段がどうだったりとか鮮度がどうだったりとかっていう買う時の考えなくちゃいけない悩みみたいなこともありますし、実際に作るっていう時にうまく作れるかどうかということも考えていると思うんですね。

今クラシルがカバーできている領域っていうのは、料理の工程においてほんの一部分かなと思っているので、今後はその料理をするにおいて本当に全般的にクラシルがいいなと思ってくれるようなサービスになれるようにサービスとしても発展性を持ってやっていきたいなと思っています。

 

ご案内

AWS Startup Day 2019 Tokyo: 2019年3月27日に品川シーサイドの Amazon Fashion Studio で行います。dely株式会社大竹様は、午後2時からのセッションで、同社の機械学習の導入のストーリーをお話し頂きますので、ぜひご参加ください。

AWS Startup Day 2019 Tokyo お申し込み

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