AWS Startup ブログ

健康保険をオンライン化する Ottonova

フランク・バーツル氏が地元ドイツでヘルスケア企業を設立しようとしたとき、バーツル氏は多くの人と同じことをしました。グーグルで設立方法を検索したのです。しかし、「ドイツで健康保険会社を始める方法」で検索結果は返ってきませんでした。彼はこう言っています。「私はとても驚きました。今時、グーグルで何かを検索して結果がゼロなどということがあり得ますか?」 既存の戦略は存在せず、完全な白紙状態でした。そこで彼は、彼のデジタル時代のアイデアに対して若干古風なアプローチを取ることにしました。バーツル氏は当時を振り返って、「ロードショーのようなことをしたのです。構築する必要がある様々なコンポーネントのすべてを、車で見て回りました」と話します。 計画を立てるために、「私はホワイトボードを使って、システムがどのように構築されなければならないかについて主なアーキテクチャを描きだしました。」 2017 年 6 月、ドイツ初の完全にデジタル化された民間健康保険会社として Ottonova が立ち上げられました。(現に、Ottonova は 2000 年以来初めて設立された新しい民間健康保険会社でした。) Ottonova のユニークな提案は、健康保険を完全にオンラインで販売し、顧客経験全体をシンプル化することでした。見込み客は、それぞれの保険料をオンラインで計算し、数分で契約することができます。顧客はその後、ネイティブアプリを使って、健康保険に関する事柄のすべてをオンラインで管理できます。 バーツル氏の経歴は e コマースであったものの、結果的に、彼がアーキテクチャについて持っていた最初のコンセプトは的を得たものであったことが明らかになりました。「もちろん、それは私の当初の落書きよりもはるかに詳細で高度なものですが、私が最初に想像した設定とほとんど変わらないものになりました」とバーツル氏は語ります。彼は、大学からの昔なじみであるアンドレアス・カツィッシュ氏とチームを組みました。彼らは、2016 年に AWS Summit で偶然に再会するまで 10 年も顔を合わせていませんでした。この挑戦についてカツィッシュ氏は、「誰も触れない大きな壁があったのです。私たちは単に、その壁に最初に触れて、壊してしまう人物になりたかったのです」と話しています。カツィッシュ氏は、エンジニアリング部長としてチームに参加しました。 Ottonova チームは、製品を構築し、必要な規制当局の承認を受けるために 6 ヵ月の期間を設定しました。「稼働開始までの最初のタイムラインは 6 ヵ月でした」とカツィッシュ氏は言います。この分野は何でもありという状態だったので、バーツル氏と彼のチームはすべてを一から構築しました。チームは、レガシーソフトウェアを避け、最高のサードパーティーベンダーのみを選ぶことができました。その結果、彼らは AWS 認定サービスのみを使用し、すべてのデータをドイツ内に保持しています。彼らは、ドイツで最初の健康保険を設立したオットー・フォン・ビスマルクにちなんで、会社を Ottonova と命名しました。 当初、人々は Ottonova に対し、保険のような複雑な製品をオンラインで売れるわけがないと言いました。通常、民間保険は保険ブローカーを通して購入されます。それに加え、健康保険は、最初に連絡を取り合ってから契約まで長い時間差があり、6 ヵ月かかることもあります。このため、Ottonova は、スタートアップ企業の保険に加入することを怖がる可能性が少ない「典型的なテスラ購入者のような、物事を最初に試してみたい人たちであるファーストムーバー」をターゲットにしました。そのアカウント設定プロセスも、できる限り簡単かつ安全に設計しました。Ottonova は、機密性が極めて高い場合がある見込み客のデータを保護するために、二要素認証を使用しています。 保険会社に対する通常の期待とは対照的に、Ottonova は顧客中心のアプローチを取りました。カスタマーサポートはコンシェルジュサービスとしてリブランディングされ、その機能はすべてチャットを通じて利用できます。顧客は、アプリを使って予約を入れたり、新しい医師を探したりすることができます。また、カスタマーサービス担当者は、非常に多くの会社が依存するようになったチャットボットではなく、現実の人間です。Ottonova はそれ自体を高品質企業として位置付けているため、その顧客が可能な限り最高のサービスを受けることを確実にしたいと考えています。患者は、詳細な健康情報を提供し、生身の人間がそれに対応すると理解しておくことができます。「基本的に、医師に話しているかのように私たちに話すことができるのです」とバーツル氏は語ります。 健康保険は国家レベルで極めて入念に規制されているため、現在 Ottonova には会社をグローバル展開するという抱負はありませんが、Ottanova は、外国人居住者を含むドイツ全国で成長し続けており、外国人居住者には特殊関税も提供してます。昨年 6 月、Ottanova はドイツ公務員に対する特別保険料率を開始し、ドイツ最初の民間健康保険会社として全顧客に遠隔医療を提供しました。 これからは、グーグルで「ドイツで健康保険会社を始める方法」を検索すると、健康保険イノベーションに対して独自のロードマップを描いた会社の物語が表示されるようになるに違いありません。   このブログの作者:ミシェル・クン – Michelle Kung […]

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【先進AWSユーザーインタビュー】株式会社VAAK : 画像認識技術をコアに、社会的課題への解決にも挑戦するAIスタートアップ

みなさんこんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパンで、スタートアップマーケティングを担当している石渡です。 注目のスタートアップ企業を紹介するインタビューシリーズを始めます。トップバッターを飾って頂くのは、高度な画像認識技術をコア技術としたAIスタートアップの株式会社VAAK社です。 百花繚乱のAI領域において、独自の技術で異彩を放つVAAK AIを活用したメディア認識技術は、我々 AWS も大変力を入れている領域です。様々な企業が注目するこの領域に、独自開発の画像認識+行動解析エンジンで切り込もうとしているのが、今回ご登場頂く株式会社 VAAK です。高い精度での映像認識に留まらず、対象の次の行動を予測することを通じて、「短期的には店舗の業務改善に、長期的には、犯罪の未然防止や人身事故の防止などにも適用を見据えています」と語る同社 CEO の田中氏に、同社の取り組みとAWSの活用方法、そして、今後のビジョンをお聞きしました。   速報:インタビュー後の9月6日、VAAK社が Industry Co-Creation(ICC)サミットKYOTO 2018 で行われたピッチコンテスト「Honda Xcelerator」で優勝したというニュースが飛び込んできました。詳しくはこちらをご覧ください 1. VAAKとは? 2017年11月に創業した株式会社 VAAK 。「バーク」というその社名は、Visualize, Analyze, Automate, prediKt という同社の4つのコアテクノロジーから得たものだそうです。それぞれ、可視化 (Visualize)、分析 (Analyze)、自動化 (Automate)、そして予測(prediKit) という点を、すべて一気通貫に手がけるところが同社の事業の守備範囲です。田中氏によると、社会貢献性と市場性という2軸で参入するべき事業領域を評価し、行動解析技術のもつ可能性に気づき、技術開発を経た上で、VAAKを創業したのだそうです。 インタビューを実施した時点で、既に2つのプロダクトをβリリースしています。 最初のプロダクトとして 2018/2にリリースしたのが、万引き防止を目的としたプロダクトである「VAAKEYE」(バークアイ)です。そして、2018年6月には、レジなし決済システムである「VAAKPAY」(バークペイ) をリリースしています。これらの2つのプロダクトには、VAAKがもつ3つの強み(検知、予測、効率化)がベースになっているといいます。 それがどのようなものか、同社のデモ画像があるので、まずはご覧ください。     特徴①:正確な検知能力 例えば、「ある商品をカバンにしまう」という万引きの行為は、「キョロキョロする」という犯行前の兆候から始まる可能性が高いといえます。VAAKの技術は、この動作をまず迅速かつ正確に検知するために、実に100を越える人間の動作ポイントを分析しているといいます。実際、先ほどのデモでも、「ハンドバッグを所持している」「辺りを見回している」などが認識され、画面上に表示されています。 特徴②:予測能力 兆候動作が正しく検知できた後に必要となるのが、その次に起こるであろう行動をモデルから予測することです。VAAK では、マクロ・ミクロの様々なモデルを組み合わせて、次の行動を予測しているといいます。 特徴③:効率化 最後の特徴は効率化で、VAAKのソリューションは、店舗に設置された既存のカメラ設備をうまく活用することができ、導入コストの削減につなげることができるのだそうです。   これらの3つの特徴を備えていることが VAAK のプロダクトの強みと言えそうですが、それらは、どのようにAWS上で実現されているのかを、詳しくお聞きしました。 2. システム上のチャレンジとAWS VAAK では、創業当初から […]

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AWS が、アフリカのスタートアップによる新興市場の課題の解決を支援する方法

今年の 9 月、AWS グローバルスタートアップエバンジェリストである Mackenzie Kosut は南アフリカを訪問し、アフリカのスタートアップが地域の起業家の課題をどのようにして解決しているかを学びました。こうした課題としては、不安定なインターネット、銀行の浸透不足、限られているスマートフォンの利用可能性、教育の機会の不足、非公式から公式までの輸送、古い保険の選択肢、郵便システムが確立されていない地域での郵送物流などがあります。アフリカはかなりの速度で成長していますが、まだインフラとシステムは現在の人口を支えるために奮闘しています。この大陸は、今日の問題を解決するだけでなく、今後数年間アフリカの道を開くのを手助けしてくれる起業家やスタートアップを探しています。以下は、Kosut が「Startups on Air」のためにケープタウンでの AWS スタートアップデーで話をした、AWS を使用している多くのスタートアップのほんの一例です。 Twitter で彼をフォロー (@mkosut) し、AWS スタートアップの詳細 (@AWSstartups) をご覧ください。  

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AWS Media Services Seminar

AWS Loft Tokyo で AWS Media Services に関するセミナーを開催しました

こんにちは、Startup担当SAマネージャーの篠原英治(@shinodogg)です。 2018年10月3日に、先日オープンしたAWS Loft Tokyoにて、AWS Media Servicesに関するセミナーを開催しました! AWS Media Services 概要: Amazon Web Services Japan 石井 悠太 動画メディア企業をソリューションアーキテクトとして数多くご担当させていただいているAWSの石井から、Amazon Media Services (AMS)を構成する各コンポーネントの概要と、それらを組み合わせて使う場合のベストプラクティス等を共有させていただきました。 AWS Elemental MediaPackageにおけるInput Redundancy や、AWS Elemental MediaConvertにおけるQuality-Defined Variable Bitrate (QVBR)のサポートといった最新のアップデートについても併せてご案内させていただきました。今後もAMSでは様々なアップデートが予定されておりますので、動画配信ビジネスをご検討の際は是非お近くのAWSの人間までお声がけください!   【MediaLive利用事例】ライブ授業配信システムのリニューアル: 株式会社葵 執行役員CTO 青木 啓剛 様 AWSでオーガナイズさせていただいているスタートアップCTOコミュニティにおいても日頃より大変お世話になっている、アオイゼミCTOの青木様から、AWS Elemental MediaLiveの活用事例をご紹介いただきました。 AWS Media Services導入以前のAWSを活用した配信基盤のご紹介から、現状の構成に至るまで、終始にわたり現場感あふれるご講演でした。 AWS Media Services利用時の監視方法や、Amazon CloudFrontの配信監視など、本イベント当日も4パラレルで授業をライブ配信をされている事業者様ならではの実践的なエピソードをご紹介いただきました。 AWSへの今後のご要望もお話いただきながら、Z会グループ内でもシステムをOEM提供されていたり、AMSを活用しながらビジネスを拡大されている様子が伺える素晴らしいお話でした。 NewsPicksの動画配信基盤: 株式会社 ニューズピックス サービス開発 桐畑 数寿 様 NewsPicksにおかれましては、親会社にあたるユーザベース様が上場される以前からAWSを広く深くご利用いただいておりますが、今回はエンジニアの桐畑様に動画配信基盤の今までの振り返りと現在の構成についてご紹介いただきました。 今やソーシャル経済メディアとしてビジネスパーソンには必須となったNewsPicksは会場内のエンジニアの皆さまにおいても非常に高い認知度を誇っていました! フェーズごとに機能拡張してきた歴史を振り返りながら、ライブ配信とオンデマンド配信を両立するための、機材や回線に至るまで、実物の写真とともに詳細をご紹介いただきました。 […]

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コネヒト株式会社で「ママリ」におけるAmazon Auroraの活用に関するお話を伺いました

こんにちは、Startup担当SAマネージャーの篠原英治(@shinodogg)です。 コネヒト株式会社でインフラエンジニアをされている永井さん(@shnagai)に、Amazon Aurora MySQLへの移行およびその後の運用に関するお話を伺いました。 永井勝一郎(@shnagai)さんについて インフラエンジニアとしてAWSを日々活用し、直近では、ママ向けQ&Aアプリ「ママリ」におけるAmazon ECSを用いたコンテナ化や、Amazon Auroraへのデータベースの移行などを手がけられています。2児の父として、週末はお子さんのサッカーに帯同しながら審判をご担当されることもあるそうです。 Amazon Auroraに移行しようと思った背景 Amazon RDS for MySQL のマルチAZ配置を利用している中で、スタンバイインスタンスにかかっていたコストが気になっていたことと、Amazon Aurora MySQLについて調べていくうちに、リーダーエンドポイントやクローン作成など魅力的な機能が豊富であることがわかり、検証してみたところ手応えを得ることが出来たこと、という2点を挙げていただきました。 どのようにAmazon Auroraに移行しましたか? Auroraリードレプリカを利用したデータ移行の方法を選択。元々MySQLに親しみのあったエンジニアにとっては、この機能を使ったマイグレーションは直感的で、検証段階から躓くことなく取り組むことが出来た、とのことでした。 移行作業において、どのような点に最も気を遣いましたか? データベースのダウンタイムを最小化することに焦点を当てつつ、データのロストが発生しないようAmazon RDS for MySQLへの書き込みを止めて、レプリカラグが無くなったことをもってアプリケーションの接続先をAmazon Aurora MySQL側へ切り替え。今回のデータベース移行はアプリケーションのロジックには全く変更を加える必要がなかったこともあり、移行作業そのものは滞りなくスムーズに予定通りに完了。”事前にしっかり検証出来ていたこともあり想定外のトラブルは全く発生しなかった”とのことでした。 ※ こちらの移行作業の詳細については、永井さんが執筆されたRDS for MySQLからAuroraへの移行 〜Auroraリードレプリカを利用した低コスト移行方式〜 – コネヒト開発者ブログを是非ご覧ください。 Amazon Auroraへ移行したことでのメリットはどのようなものがありますか? スタンバイインスタンスの台数が減ったこともあり、金銭的なコストメリットがありました。また、短時間でクローン作成できることで、今まで長時間かけてスナップショットからリストアして行っていた検証作業をすぐに行うことが出来るようになり、運用にかかる時間的コストも抑えることが可能になりましたね。そして、Amazon RDS for MySQLの際はデータベースのパフォーマンス低下を懸念して導入を断念していた監査機能をAmazon Aurora MySQLによって追加することが出来たことが挙げられます。更に、バッファープールキャッシュのウォームアップにより、”以前はデータベースを再起動する際に自身でウォームアップさせてから投入といったことを行っていたため、そういった手間がかからなくなったことも嬉しい”とおっしゃっていました。 現在取り組んでいることについて コンテナ化できていない部分にAWS Fargateを導入することを検討していたり、機械学習基盤における、運用も含めたソフトウェアのライフサイクル全体の属人化を解消をすることも視野に入れたAmazon SageMakerへの移行に取り掛かっていらっしゃるそうで、ママリの今後の展開も非常に楽しみですね! Startup Architecture of the Year 2018のファイナリストとしてご登壇いただきましたが、いかがでしたか? “エンジニアの方とお会いする際に『見ました!』と声をかけていただくことがあり、AWS Summit Tokyoというイベントの影響力の大きさを実感しました。登壇できて良かったです。” 愛読している技術書はありますか? “ウェブオペレーション――サイト運用管理の実践テクニック を定期的に読み返して、インターネットサービスのインフラストラクチャに携わるエンジニアとして、円滑にオペレーションを回していくためにどのように振る舞っていくべきかを再確認しています。” […]

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「挑戦をカタチにする場所へ」AWS Loft Tokyoの全貌をいよいよ公開!

みなさんこんにちは、マーケティングの石渡です。 2018/5/30の AWS Summit Tokyo での発表以来、粛々と準備を進めてきた AWS Loft Tokyoがいよいよそのお披露目の時を迎えました!2018/9/19日に、アマゾンジャパンとアマゾン ウェブ サービス ジャパンが合同で行った、新社屋の関係披露記者説明会で、AWS Loft Tokyoもメディア向けに初公開されたのです。それに併せて、AWS Loft Tokyoのウェブサイトも、オープンしました!   今回は、10/1の正式オープンに先立って、AWS Loftの雰囲気を感じて頂けるよう、フォトレポートをお送りします。AWS Loftそのものについては、以前のBlog記事もご参照ください。 AWS Loft の共通メッセージ:CODE HAPPY AWS Loftは、東京が3拠点目の常設拠点となり、他にはサンフランシスコとニューヨークにもあります。そのいずれの拠点にも、「CODE HAPPY」というメッセージが掲げられています。実は、メッセージは決まっているのですが、定められたデザインなどはなく、拠点ごとの独自性を出していい(ほしい)というのが、Loftプロジェクトリーダーからの話でした。プロジェクトメンバーで検討を重ね、東京はポップなテイストの以下のサインを採用しました。 この文字の中に入っているもの、何かわかりますか?薬のカプセルようにも見えますし、おもちゃのブロックのようにも見えますよね。答えは。。。。ぜひぜひ、AWS Loft Tokyoにお越しになって直接お確かめになって下さい。写真の右下にある、黄金に輝く謎のカブトムシにもご注目を。存在感があるので、写真上は敢えて半分だけ登場してもらってます(笑)                                   この「CODE HAPPY」ですが、お越しの皆様に、HappyにCodingして頂きたいという思いはもちろんですが、HappyなCodingから出てきたプロダクトやソフトウェアで、世の中にもHappyを届けて頂けるような場所になるといいなと、LoftとAWS Loft Tokyoのメンバーは願っています。   いつでもAWSのエキスパートに相談ができるAsk An Expertカウンター […]

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【Startup Architecture of the year 2018受賞者インタビューシリーズ】Game Server Services 丹羽一智氏

連載企画:Startup Architecture of the year 2018 受賞者インタビューシリーズ こんにちは。AWS でスタートアップ領域のマーケティングを担当している石渡です。今回から3回にわたって、先日の AWS Summit Tokyo で行われた「Startup Architecture of the year」の受賞者インタビューシリーズをお届けします。 この企画は、スタートアップ企業のシステムアーキテクチャに着目し、優れた実装を行っているものを表彰しようというものです。このたび、入賞した3社をお尋ねして、トロフィー贈呈と合わせたインタビューを行ってきました。コンテストの際のショートピッチでは語り尽くせなかった思想なども、ご紹介していきます。 まず初回は、「オーディエンス賞」を受賞した、Game Server Services 株式会社(以下: GS2 と記載)代表取締役 CEO の丹羽 一智 氏とのインタビューです。 ちなみに、オーディエンス賞は、AWS Summit のスタートアップ専門展示エリアの「Startup Square」で行われていた投票結果に基づく賞です。いわば、当日来場していたエンジニアから、最も興味・関心を集めたアーキテクチャだったと言えるでしょう。 気鋭のモバイルゲームプラットフォーマーが選んだ先進のFaaSアーキテクチャ GS2 社は、愛知県名古屋を拠点として2016年9月に設立したゲーム向けの開発プラットフォームを提供するスタートアップです。ゲーム向けと言っても最近では市場が細分化されています。その中でも、同社が注力するのは、いわゆるゲーム専用端末でのプレイを前提とした、コンソールゲーム向け市場ではなく、スマートフォンやタブレットなどからのアクセスを主に想定した領域を狙っており、この領域を総称してモバイルゲーム市場と呼んでいます。 モバイルゲームへの急速なシフトと今後も堅調な成長が予想される市場 現在、ゲーム市場は、ゲーム専用端末を用いる「コンソール向け」、「PC向け」、そして「モバイル向け」の3つのカテゴリに分類されることが一般的なようです。その3つの中で、既にモバイル向けが、51%のトップシェアを占めています。そして、今後も2桁での成長が期待されている、極めて成長性の高いのがモバイルゲーム市場なのです。   モバイルゲームとは?:従来のゲーム作りの勘所が効かない独特の難しさ モバイルゲーム市場の高成長期待から、様々なゲーム開発会社の参入が起こっており、そして、今後も参入が予測されているそうです。しかし、丹羽氏は、「モバイルゲームは、従来のゲーム市場にはない難しさがある」と言います。それは、需要予測が事実上困難なほどに難しいという点だそうです。コンソールゲームやそれを前提とするネットワークゲームであれば、販売数を元にした予測などの手法もあるそうですが、モバイルゲームとなると、いわゆる「バズった」際の急激なアクセス増が予測を難しくしているのだと言います。仮にバズっても、落ちることなくサービスを提供しつづけなくてならない、というのが多くのモバイルゲーム開発者の多くに共通した課題なのだと言えそうです。 しかし、丹羽氏はこうした難しさを事業機会として着想し、GS2としての事業化に着目します。ここに機会を見いだした原点は、任天堂時代の経験にあるといいます。 サーバーのノウハウがない開発者にもユニークなタイトル作りに挑んで欲しい 丹羽氏は、任天堂時代に、サーバーサイドの知識が乏しいゲーム開発者が躓くところを見てきたといいます。特に、大量のアクセスが世界中から発生する大型のゲームタイトルとなると、少しのミスでも取り返しの付かない大規模障害に発展することもあるといいます。そうした障害に繋がるようなミスというのは、大体の場合、「設計ミス」、「実装ミス」、「キャパシティプランニングのミス」のいずれかが起因しているといいます。 ゲーム開発者が、こうした課題に頭を悩ますこと無く、すなわち、インフラの知識や経験を気にすることなく、ゲーム作りに専念できるようにしたいと考えたのが発端なのだそうです。 GS2が選んだアーキテクチャ そうした背景で起業に至った丹羽氏。創業当初からプラットフォームに AWS を採用頂いています。その理由は、任天堂時代からAWSに触れる機会はあり知識があったこと、そして、気軽に相談に乗ってくれるソリューションアーキテクトが居たことも大きいとのことです。しかし、AWS を選んだ最大の理由は、AWS Lambda による関数だけでなく Amazon API Gateway や […]

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‘JSTOR’ はアラビア語で何と言いますか? ADRI がアラビア語学術文献を大規模に翻訳する方法

アリ・マズラーさんがオンラインでアラビア語の学術文献を入手することがいかに困難になり得るかを身をもって経験したのは、戦略研究の修士号を取得するためにニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントンで学んでいたときでした。国連 UNHCR 協会を通じてニュージーランドに再定住したイラン出身のマズラーさんは、自ら新しい未来を切り開こうと努力していましたが、研究を進めるために必要であった信頼性のある学術文献を入手することか極めて困難であることを知りました。アラビア語の学術的著作物の大半が印刷物でしか利用できなかったからです。マズラーさんは「これがこのアイデアを思いつくきっかけになったのです」と語りました。彼は、世界中の出版者がボタンを押すだけでアラビア語の学術的文献を共有し、利用できるプラットフォームを開発したいと決心しました。そのためには、学術研究が保存され、中東と北アフリカ全域に発信される方法を変える必要がありましたが、アラビア人学者たちが彼らの知識を世界的に共有できるよう支援するという目標は、それに値するものでした。 2014 年、マズラーさんは Arabic Digital Reform Institute という会社を立ち上げました。それからの 2 年間、ADRI は、研究しては開発するというサイクルを何度も繰り返しました。最初の大きな課題は技術的なものでした。ADRI は、「greenfield」スペースとして知られる、プロジェクトをサポートする既存の作業結果が全くないソフトウェア開発領域で作業を行っていました。プラットフォームに使用するためのオンラインのアラビア語学術的文献はほとんど存在しませんでした。マズラーさんは、「アラビア語の学術的文献の大半は、現在も印刷物のままです」と説明しています。そのような文献を入手してデジタル化する効率的な手段を見つけることは、重大な妨げとなっていました。 これらの技術的な課題のため、ADRI はプラットフォームを一から作り直すことをやめました。その代わり、マズラーさんと ADRI は、アラビア語学術的文献のための学術リポジトリを作成する方法を見つけるべく、オープンソース市場に進出し、研究機関アーカイブ向けにすでに広く使用されており、入手も簡単なソリューションである DSpace を見つけました。既存の技術アーキテクチャとデータモデルを導入することによって、ADRI は時間と経費を節約することができました。 しかし、言語面での課題がまだ数多く残っていました。既存のコンテンツ/文書管理システムは依然としてアラビア語の言語的特徴に対応しておらず、アラビア語の翻訳ツールも概して低レベルでした。2 年間試行錯誤した後、ADRI は、アラビア語テキストのためのカスタムメイドソリューションは ADRI のリソースには適していないという結論を出しました。これは ADRI にとって打撃ではありましたが、「チーム内の逆境力を養う助けになりました」とマズラーさんは言っています。ADRI は、自動化された翻訳エンジンを作成するために Amazon の翻訳サービスへのアクセスを活用して、それをプラットフォームに統合することに決めました。現在 ADRI は、英語を瞬時にアラビア語に翻訳するため、人口知能と Amazon Translate の自然言語処理を使用しています。このようなアラビア語の一括翻訳はユニークで、ADRI は今や自動翻訳における第一人者となりました。 ADRI のサービスとビジョンには大きな需要があり、アラビア語を話すコミュニティ全体に彼らのサービスを提供できることを確実にする国際的なパートナーのネットワークもすでに確立しています。ADRI の英語からアラビア語の翻訳済み文献の品質チェックを請け負うパートナーも取り集めています。ADRI はまた、2017 年の初めに、そのサービスを中東と北アフリカの後発途上国にある 14 の大学に提供するため、国際電気通信連合 (アラブ諸国) とのパートナーシップを締結しました。このパートナーシップは 2019 年の初めに開始され、2023 年まで継続する予定です。 ADRI は真の国際企業です。ニュージーランドのウェリントンを拠点とするこの会社の社員は、カイロ、ハンブルグ、およびロンドンで勤務しており、その中核となるチームは 12 の異なる言語を話します。マズラーさんはこのように語りました。「ADRI には、実験と思考の多様性を推奨する力強いサンドボックス文化があります。わたしたちの目標は、アラビア人学者がその成果を世界的に共有する支援をすることです。そうすることによって、ADRI は、わたしたちが中東の […]

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Depop が AWS を使用してデータスワンプ (沼) を脱し、データレイク (湖) へと改善した方法とは

今回のゲスト寄稿者は Depop 社のリードプラットフォームエンジニア、Alexej Tessaro 氏です。 2011 年に PIG Magazine および RETROSUPERFUTURE サングラスの共同創業者である Simon Beckerman が設立したロンドンベースのスタートアップ企業、Depop は友人やインフルエンサーがその瞬間に掘り出したものをベースとしたユニークなアイテムを顧客が売ったり、買ったり、発見したりできるソーシャルマーケットプレースを提供しています。 こうしたネットワークは必然的に大量のデータを生成します。アプリ上では刻々とユーザーが互いにフォローし、メッセージを送り、新しい商品が公開、販売され、そうした商品に対しコメントやいいねなどのリアクションが起きています。Depop ではそうしたデータをすばやく効率的に処理できなければなりません。なぜならこうしたイベントのひとつひとつが、ビジネス戦略、運営、マーケティング、商品開発、その他の活動において、十分な情報を得たうえでの決定を下すのに欠かせない極めて貴重なインテリジェンスをもたらすからです。 これを実現するため、私たちはビジネス構造とニーズをサポートするデータアーキテクチャを定義し、Depop が機能するためのこうしたコンポーネントのパフォーマンスや可用性に影響を及ぼさない、信頼性と回復力があり高パフォーマンスなデータパイプラインを構築する必要がありました。 背景として、私たちは元々、プライマリデータストア、特に、リレーショナルデータベースとキーバリュー型データベースしか持っていませんでした。商品情報を必要としていた組織のすべてのチームがそうしたデータベースに負荷のかかるクエリを実行していました。当社のマーケティング、運営、製品チームはユーザーのアクティビティをモニタリングし、統計的なインサイトを収集し、負荷の掛かる複雑な SQL クエリを実行するビジネスインテリジェンスツールを使用していました。その一方で、当社のユーザーは iOS や Android のアプリ、また当社のウェブサイトを利用していました。 これではわざわざ障害を起こそうとしているようなものです。実際に、この (非) アーキテクチャのせいで私たちはたびたび機能の停止を経験しました。さらに、着々と増え続けるユーザーベースも重なり、データレイヤへのアクセスをスケーリングすることはさらに困難になったのです。最終的にチームはデータレイクの概念を採り入れることを決め、その後、スキーマの更新を望んではいませんでした。当社のビジネスストラクチャとニーズをサポートするデータアーキテクチャを定義する間に私たちが学んだことについて詳しくは、こちらをご覧ください。   このブログの作者:ミシェル・クン – Michelle Kung ミシェルは、AWSのスタートアップマーケティングチームに所属し、コンテンツ制作を率いています。AWSに参加する前は、Index Venturesのコンテンツリードとして活躍していました。それ以前には、The Wall Street Journalにおける貴社および編集者を経験、Huffington Postのビジネス記事編集者、THe Boston Globeの特派員、Publisher’s Weekでのコラムニスト、Entertainet Weeklyにおけるライターの経験を持っています。

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SmartNews の San Francisco オフィスで Amazon SageMaker の活用に関するお話を伺いました

こんにちは、Startup担当SAマネージャーの篠原英治(@shinodogg)です。 サンフランシスコのダウンタウンにあるSmartNewsのオフィスで、KeiさんとYuheiさんからAmazon SageMakerを活用した機械学習基盤のお話を伺いました。 現在、機械学習エンジニアとしてご活躍されているKeiさんは、経営企画やファイナンスのお仕事をされた後にアフリカでの起業経験もあるユニークなご経歴をお持ちの方。全体の処理の流れの中から機械学習の肝になる部分に至るまで分かりやすく説明してくださいました。 SmartNewsでは、記事の収集からエンドユーザーにそれを届けるまでの全体のシステムをAmazon Kinesis, Amazon DynamoDB, Amazon CloudSearchといったAWSによるマネージドサービスを活用して下記のようなフローで構成していますが、その中でKeiさんは”Analysis”の部分でAmazon SageMakerを利用しています。 Keiさんは、堅実な機械学習モデルの管理やモニタリングと早い開発サイクルの両立について特に強調されていました。そして、Amazon SageMakerを使えば、チームで開発を進めていく中で、誰が/いつ/どの パラメーターやアルゴリズムを変更したのかをトラックしながら、呼び出し側はエンドポイントを変えるだけでいい。プロダクション環境に持っていくプロセスが以前と比べて格段に楽になった、とおっしゃっていました。 現在、KeiさんがAmazon SageMakerを活用して取り組んでいるのは、アイデアを形にしてプロダクション環境に持ち込むまで5日間(1週間)という短期間で行うというもの。このサイクルを早くしていくためには、機械学習エンジニアがビジネスに関するコンテキストを理解していることが重要で、それが精度の高いError Analysisにも活かされる、とのこと。 この点に関して、プロダクトマネジメントディレクターのYuheiさん(先日、日本からアメリカに移住され、そのことに関して執筆されたブログ記事の 【退職エントリー】ニュースとテクノロジー – SmartNews Engineering Blog が話題に)は、今後ビジネスをより拡大していく中で、コンテキストを理解した機械学習エンジニアがインフラのことを意識せずに、スピード感を持って開発を進められるようなプラットフォームを構築していくことに注力されているとおっしゃっていました。 今後の開発計画のお話などもお聞かせいただきましたが、ワクワクするようなエキサイティングなプロジェクトがいくつも動いていて、これからのスマートニュースに目が離せません。 Keiさん、Yuheiさん、お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました!また是非お話を伺わせてください。

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