AWS によって、ミニストップの給与システムと HP システムは、オンプレミスの 50% のリードタイムで構築することができました。運用コストも、今後 5 年間で約 30% の削減を見込んでいます。
今後も業務システムから店舗システムまで、AWS に移行できるものはすべて持っていくオールイン体制を進めていきます。
地挽 孝幸 氏 ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 部長

コンビニエンスストアのフランチャイズビジネスを手がけるミニストップ株式会社は、日本国内に 2,256 店舗、海外に 3,097 店舗(2017 年 11 月末現在)を展開しています。ミニストップの特長は、コンビニエンスストアと店内加工のファストフードを組み合わせた「コンボストア」という独自のスタイルにあります。ソフトクリームをはじめとするコールドスイーツやポテト、フライドチキンなどのホットスナックは、創業当初から人気商品として長く愛され、さらに食料品から日用品に至るまでイオングループのシナジーを活かした幅広い生活のサポートにより、多くの消費者から支持されています。

度重なる自然災害の発生や少子高齢化といった課題を抱える日本の社会において、コンビニに求められるサービスは年々変わりつつあります。高齢者や女性の利用が増え、小商圏の優位性があらためて見直される一方、慢性的な人手不足の中で店舗システムの強化による業務の省力化が求められています。また、多様化する消費者ニーズに対応するため、商品の受発注や在庫を管理する基幹システムの役割も高まっています。

ミニストップが運用してきたインフラ環境においては、定期的なハードウェア更新などの運用や保守にかかる負担が課題となっていました。加えて、オンプレミスでは構築や増強の対応スピードに限界があり、クラウド活用の可能性を模索していました。「容量やスピード不足への柔軟な対処が難しいサービスの利用を見直すとともに、基幹システムをクラウド環境に完全移行して、クラウドの真のメリットを享受したいと考えました。」と話すのは、ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 部長の地挽 孝幸氏です。同社は、既存システムの更新のタイミングで全社の IT インフラを順次、クラウドに移行する決断を下しました。

複数のクラウドサービスを比較して AWS を採用した決め手は、豊富な導入実績と先進的な技術への期待にあったといいます。「人員も IT の知識も限られた当社の情報システム部にとって、クラウド専業のトップベンダーは必然の選択肢でした。最新の技術がスピード感を持って提供される AWS なら、コストの低減にもつながると考えました。」(地挽氏)

AWS を基盤とするシステムとして同社は、新規構築する店舗系の給与管理システムを最初のターゲットに設定しました。システム設計を 2016 年 7 ⽉に開始し、10 月には Amazon EC2 によるテストサーバーが稼働、2017 年 6 ⽉に本稼働を迎えました。「これまで通りのオンプレミス環境で構築していたら、おそらく 2 倍以上の期間がかかったと思います。」と、ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 店舗システムチーム マネージャーの山本達朗氏は振り返ります。

また、このプロジェクトと並行する形でホームページ(HP)の更新プロジェクトも立ち上がりましたが、そこでも AWS が採用されています。「AWS を使ったことで HP 更改のタイミングを 2 か月前倒しでき、システムを止めることなく切り替えられました。」と、ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 本部システムチーム マネージャーの倉田一樹氏は語ります。

「AWS によって、ミニストップの給与システムと HP システムは、オンプレミスの 50% のリードタイムで構築することができました。運用コストも、今後 5 年間で約 30% の削減を見込んでいます。」(地挽氏)

さらに、ミニストップでは、AWS の柔軟性についても評価しています。以前はテレビや SNS で商品が取り上げられた際など、通常の数十倍もの突発的なアクセス増によって HP の接続が不安定になることがありましたが、AWS ではサーバーリソースの柔軟なスケールアップが容易にできるようになったことで、このリスクも解消されています。

また、運用保守をアウトソーシングしている AWS パートナーとの協業体制も強化されています。「レスポンスが早く、打ち合わせもオンラインで済むことが多いので、あらゆる対応がスピーディーに進みます。AWS サービスのほとんどがメニュー化されていて、わかりやすいのもメリットです。」(倉田 氏)

現在、同社が本丸として取り組んでいるのは、商品の受発注、在庫管理、マスターメンテナンス、収納代行など主要な業務を管理する基幹システムの移行です。基幹システムは約 30 年近くにわたってメインフレームで運用してきましたが、クラウドファーストの方針に則り、2019 年 4 月に AWS 上で稼働させる計画が進んでいます。「スピードが求められるコンビニ経営において、インフラが顧客サービスの足かせになってはいけません。IoT によって膨大なデータが生まれる時代のビジネス基盤としてクラウドは不可欠であるだけに、今後も AWS を広く活用していく方針です。」(地挽氏)

ミニストップでは、今後も既存システムを順次 AWS に移行していく方針です。「今後も業務システムから店舗システムまで、AWS に移行できるものはすべて持っていくオールイン体制を進めていきます。」(地挽氏)

また、コンビニ業界における競争力強化に向けて、分析系システムの高度化にも取り組んでいます。「これまでのオンプレミス環境では一般的な分析しかできませんでしたが、柔軟性の高い AWS に移行して、地域性、気温、商品など、多様な切り口で分析ができるシステムを構築する予定です。さらに店舗サーバーのクラウド化や、AI による分析にもチャレンジしていきたいと思います。」(山本氏)

今後の検討課題として、働き方改革や端末のセキュリティー強化に向けてクラウドベースで仮想デスクトップを実現する Amazon WorkSpaces にも期待を寄せているといいます。多様化するコンビニサービスに AWS を活用するミニストップの取り組みは、これからも続いていきます。 

- ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 店舗システムチーム マネージャー 山本 達朗 氏

- ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 部長 地挽 孝幸 氏

- ミニストップ株式会社 オペレーション改革本部 システム部 本部システムチーム マネージャー 倉田 一樹 氏

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