Amazon Web Services ブログ
AWS Well-Architected Framework DevOps Guidance を発表
本記事は 2023年10月17日に公開された”Announcing the AWS Well-Architected Framework DevOps Guidance”を翻訳したものです。
2024年3月26日 AWS Well-Architected Tool の Lens Catalog に DevOps Lens として DevOps Guidance が追加されました。 このアップデートにより、ユーザはクラウドベースのワークロードをこれらのベストプラクティスに照らして自己評価し、ツールのレポートを通じて改善計画を確認可能です。
Amazon Web Services (AWS) は、AWS Well-Architected Framework DevOps Guidance を発表しました。AWS DevOps Guidance では、AWS DevOps Saga (訳注 Saga は冒険談や大河小説などを意味する単語です。DevOps を持続的に実践するには時間がかかり、継続的かつ相互に結びついた一連の能力が必要となることを反映し、「Saga」という言葉を用いています)について紹介しています。AWS DevOps Saga は、クラウドの規模でソフトウェア設計や開発、セキュリティ保護及び、効率的な運用を行っていくために、包括的なアプローチを形成していく最新の機能を集めたコレクションです。AWS DevOps Guidance は、Amazon 自身の変革の旅路から得た学びと、世界中に提供しているクラウドサービスを管理してきた経験を基に、あらゆる規模の組織にベストプラクティス、プロセス、技術的な能力を提供することで、ビジネス価値の向上とアプリケーションのより安全かつ高速な提供を促進するために作成されました。
Amazon の DevOps 変革の概要
2000 年代初頭、 Amazon は 独自の DevOps の変革を経験しました。この経験がオンライン書店から AWS クラウドコンピューティング部門の設立へと繋がっています。今日、 AWS は Amazon の経験した独自の DevOps のアプローチと同様の革新的な DevOps アプローチを採用した幅広いプロダクトとサービスを世界中のお客様へ提供しています。この変革のポジティブな効果により、AWS は DevOps の重要性を認識し、その採用と実装の最前線に立っています。
Amazon は自身の変遷と、クラウドへのマイグレーションやモダナイゼーションをお客様に支援してきた経験から DevOps の導入を成功させるための重要な能力についての洞察を得ました。これらの知見を活かし、お客様が DevOps を継続的に導入し実践できるよう、相互に関連する一連の能力を組み込んだ「DevOps Saga」を作成しました。各 DevOps Saga には、成功の指標となる能力、測定する指標、および避けるべき一般的なアンチパターンに対する規範的ガイダンスが含まれています。
DevOps Saga のご紹介
DevOps Saga は 5つの要素から構成され、AWS の DevOps のベストプラクティスを構成するソフトウェア開発プロセスにおける中核的な領域です。 DevOps Sagaを総合的に活用することでクラウド規模でのソフトウェアの設計や開発、セキュリティの確保、効率的な運用を包括的に行うための最新の機能を網羅できます。 DevOps Saga は、組織内での理解の共通化を促進し、DevOps という言葉に対する組織内の定義の統一に役立ちます。また、 DevOps の導入状況を長期間にわたり継続的に測定可能です。DevOps Saga を構成する要素は次の 5 つになります:
- 組織導入の Saga: お客様中心の適応力のある文化の形成を促進し、人間中心のプロセスの最適化、個人とプロフェッショナルとしての成長、開発者体験の改善に焦点を当てることで、DevOps 導入の基盤を築きます。
- 開発ライフサイクルの Saga: 組織のワークロードを迅速かつ安全に開発、レビュー、デプロイする能力を高めることを目指しています。フィードバックループ、一貫したデプロイ手法、「すべてをコード化する」アプローチを活用することで、デプロイの効率化を図ります。
- 品質保証の Saga: 開発プロセスに統合されたテストファーストな手法を提唱することにより、設計観点で well-architected であり、安全で、コストが最適化され、持続可能で、自動化を通じて俊敏性が向上したアプリケーションの提供を保証していきます。また、自動化によるアジリティが向上するように推進します。
- 自動化ガバナンスの Saga:開発プロセス全体で指令、検出、予防、対応措置の実施を容易にします。自動化されたプロセス、ポリシー、ガードレールを通じて、リスク管理、ビジネスプロセス遵守、アプリケーションおよびインフラストラクチャのコンプライアンスを様々な規模で実現することを重視しています。
- 可観測性(オブザーバビリティ)の Saga:環境やワークロードに可観測性を組み込むアプローチを提示します。これによってチームが問題の検知や対処、パフォーマンスの改善、コストの削減およびビジネス目標と顧客ニーズとの整合性を確保できるようにします。
AWS DevOps Guidance は誰が利用すべきか?
私たちは、すべての組織がユニークであり、 DevOps を実践するための万能なアプローチはないと認識しています。本記事で提示した推奨事項と例は、お客様の組織の環境、品質、セキュリティのニーズに合わせたカスタマイズして活用いただけます。AWS DevOps Guidance は、幅広いプロフェッショナルや組織を対象に設計されています。初めて DevOps に取り組むスタートアップ企業、プロセスの改善を図る企業、公的機関、クラウドネイティブな企業、AWS クラウドへの移行を検討する企業など、さまざまな組織に適しています。最高技術責任者 ( CTO ) や最高情報セキュリティ責任者 ( CISO ) として戦略的方向性を示す立場の方、ワークロードの設計や展開に携わる開発者やアーキテクト、品質保証、監査、ガバナンスを監督するコンプライアンス担当者など、どのような役割の方々にとっても、このガイダンスは役立つものとなっています。
ネクストステップ
AWS DevOps Guidance のリリースを受け、お客様には本書をダウンロードし一読いただき、推奨事項に従ってワークロードの実装とテストを実施いただくことをお勧めします。AWS Well-Architected Framework と併せて AWS DevOps Guidance を活用することで、お客様の組織や個々のワークロードが DevOps のベストプラクティスに準拠しているかを評価し、強みと改善の余地がある領域を特定してください。開発者、運用担当者、意思決定者など、さまざまな役割のメンバーでチームを結成し、評価結果を共有しましょう。AWS DevOps Guidance から得られた洞察を活かして改善領域の優先順位を決め、DevOps 能力を継続的に向上してください。 AWS DevOps Guidance は、AWS Well-Architected サイトからダウンロードできます。詳細については、AWS アカウントチームまでお問い合わせください。アーキテクチャやサービスの設計を検討する際や、Well-Architected レビューを実施する際には、AWS Well-Architected Framework やその他のガイダンスと同様に、AWS DevOps Guidance を早期から積極的に活用することをお勧めします。AWS DevOps Guidance をご利用の際には、ベストプラクティスやテクノロジーの進化に合わせて改善できるよう、ご意見やご感想をお寄せください。一般的なユースケースや新しい指標、ベストプラクティスが出てくる度に、内容は継続的に更新されます。
本記事はアマゾンウェブサービスジャパン合同会社の畠泰三が翻訳を担当しました。原文はこちら