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AWS パートナーと実現する生成 AI — 現場を変える8つの実践事例 AWS Summit Japan 2026 Partner Breakout Session レポート

AWS Summit Japan 2026(2026年6月25日〜26日、幕張メッセ)では、「AWS パートナーと実現する生成 AI」と題したPartner Breakout Sessionを4部構成でお届けしました。AWSの4つのAIビルディングブロックをテーマに、8組のAWSパートナーとお客様が独自視点でお客様の課題に挑んだ実践事例を共有しました。

本ブログでは、各セッションのハイライトと、全セッションを通して見えてきた「AIの価値を現場で実現するために本当に必要なこと」についてお伝えします。


セッション全体のアーキテクチャ概念
本セッションは、AWSの4つのAIビルディングブロックに沿って構成されています。そして重要なのは、この4つのブロックにわたり一貫したセキュリティ、ガバナンス、運用の仕組みが支えていることです。

AIビルディングブロック 対応パート   該当事例     
AI を活用したアプリケーション開発 Part 1 Kiro × 東邦ガス / エッジAI × KMバイオロジクス
基盤モデルの活用 Part 2 文字起こし × 青森放送 / 音声AI × 品川区
AI エージェント活用 Part 3 エージェント本番化 × ミルボン / 従量課金AI × 36flip
AI 基盤とデータ活用 Part 4 エンタープライズAI × カラクリ / GraphRAG × 日本取引所

 


 

Part 1: 現場を変える AI ソリューションの実践


事例1: Kiro 導入で得られた開発プロセス改善効果と、AI 駆動開発に向けた組織課題
登壇: 東邦ガス情報システム 日沖裕介氏(デジタルソリューション部 主任)/ ソニービズネットワークス 濱田一成氏(開発本部 クラウド開発部 マネージャー)

東邦ガス情報システム様は、エネルギー契約者向け会員サイトの開発効率向上PoCに取り組みました。ソニービズネットワークスのKiro伴走支援のもと、AI駆動開発を組織に定着させる挑戦です。

  • ポイント:
    • Kiroのspec駆動開発により、要件定義〜実装の一連のプロセスを大幅に効率化
    • 単なるツール導入ではなく、組織全体のマインドセット変革が最大の課題だった
    • パートナーの伴走支援が「ツールの使い方」ではなく「開発文化の変革」を支えた
  • インサイト: AI駆動開発は個人のスキルではなく、チーム全体の協調と学習意欲が成果を左右する。技術的なハードルよりも「人がどう向き合うか」が鍵。

 
事例2: 現場の “気づき・判断・対応” を、人依存から “流れる業務” へ
登壇: KMバイオロジクス 田崎裕三氏(デジタルIT部)/ 富士ソフト 飯法師祐輔氏(組込/制御ビジネスユニット 営業統括部 九州営業部 リーダー)

製造業における属人化・現場依存・技術承継の課題に対し、後付け可能なエッジAIカメラとAWSのクラウド基盤、生成AIを融合したAI/IoTソリューションを展開。

  • ポイント:
    • レガシーな機器でも後付けAIカメラでデータ取得を可能に – 異常検知だけでなく、過去データから次のアクションをナビゲーション
    • Amazon Quickを用いた予兆保全にも活用可能
    • 「気づき→判断→対応」の全フローを標準化し、ベテラン不在でも品質を維持
  • インサイト: 製造現場のAI化は最新設備だけの話ではない。「今ある環境を活かしながら、AIを”流れる業務”に変える」という現場起点の発想が重要。

 
Part 2: Amazon Bedrock で言葉の業務を変革する


事例3: 青森の放送局が報道現場で磨き上げた Amazon Bedrock を活用した文字起こしシステム
登壇: 青森放送 内山匠氏(デジタル報道室)/ ヘプタゴン 三浦一樹氏(クラウドソリューション部 クラウドアーキテクト)

青森県で2025年度平均個人視聴率13%を誇る『RAB ニュースレーダー』。放送だけでなくネット配信にも注力する中で、日々のインタビュー文字起こし作業を劇的に効率化するシステム「dahande」を開発しました。

  • ポイント:
    • 現役報道記者自身が課題を感じ、パートナーと共にシステムを構築
    • Amazon Bedrock を活用し、方言や専門用語にも対応する高精度文字起こしを実現
    • 「報道のスピード」に耐えうる実用性 — 使われなければ意味がないという現場の厳しい基準をクリア
  • インサイト: 「使う人自身」が課題解決の主語になったとき、AIは初めて現場に根付く。記者とエンジニアが対等に対話したからこそ生まれた成果。

 
事例4: 「区民の問い合わせ、AI にどこまで任せる?」品川区 × SHIFT が挑む自治体音声 AI 実証
登壇: 品川区役所 西澤拓氏(企画経営部 DX戦略担当部長 CIO・CISO)/ SHIFT 寅野理司氏(AI・DX開発部 シニアクラウドアーキテクト)

戸籍・異動手続きの音声AI対応実証実験。Amazon ConnectとAmazon Bedrockを組み合わせ、RAG設計・セッション管理・有人窓口へのシームレスな接続を実装しました。

  • ポイント:
    • 区民の属性や状況によって聞き返しの分岐が複雑に変わる業務に対し、業務マニュアルをAIネイティブに変換するRAG設計を実施
    • 「AIに任せる業務 / 人が担う業務」の境界線を実証を通じて明確
    •  自治体DXの現場視点(品川区)と技術アーキテクチャ視点(SHIFT)の両輪が重要
  • インサイト: AIの価値は「全てを自動化する」ことではない。「どこまで任せ、どこから人が担うか」を現場と技術者が一緒に線引きするプロセスこそが、信頼されるAI実装の基盤。

 
Part 3: 企業が今すぐ始める AI エージェント活用


事例5: AI エージェントを”検証”から”本番活用”へ — ミルボン様と進める、Amazon Bedrock 活用の実践
登壇: ナレッジコミュニケーション 奥沢 明氏

案件初期から動くモックアップで活用イメージを具体化し、Amazon Bedrockを活用したセキュアなAWSアーキテクチャでAIエージェントの本番活用を実現する実践を紹介。

  • ポイント:
    • モックアップファースト — 初期段階から動くプロトタイプを提示し、お客様の「使いたい」を引き出す
    • PoCで終わらせない「本番活用」への確実なステップ設計
    • Amazon Bedrockのマルチエージェントコラボレーションを活用
  • インサイト: AIエージェントを「検証」で終わらせず「本番」に進めるには、初期段階での”手触り感のある体験”が意思決定者の背中を押す。

 
事例6: 無駄な費用ゼロ!「使った分だけ」で始める企業向け生成 AI ソリューション
登壇: 36flip 谷口慶多氏 / KDDIアイレット 平野健介氏

従来の定額・ユーザー数課金型AIサービスの常識を覆す、アクティブ数連動型の企業向け生成AIソリューション。コストを最適化しながら、ビジネス現場の生産性を最大化する新しいモデルを提案。

  • ポイント:
    • 「使った分だけ」の料金体系で、組織全体への展開時のコストの壁を解消
    • Amazon Bedrockをバックエンドに、スケーラブルで安全な基盤を構築
    • 「全社導入したいがコストが見えない」という経営層の最大の懸念に正面から回答
  • インサイト: AI全社展開の最大の障壁は技術ではなく「コストの不透明さ」。ビジネスモデルのイノベーションがAI普及を加速させる。

 
Part 4: AI実装を支える AI 基盤とデータ活用


事例7: 現場で機能するエンタープライズ AI とは — Upstage・Karakuri の実践知
登壇: カラクリ 中山智文氏(CPO)/ Upstage AI 松下紘之氏(代表取締役)

日本語特化LLM、Document AI、エージェント型AIワークフローを組み合わせ、実際の業務環境で機能するAIの実装方法を解説。AWSとともに、インフラ・学習・推論・本番運用までの実践知を共有。

  • ポイント:
    • 汎用LLMだけでは不十分 — 日本語特化モデル × Document AI × エージェントの組み合わせが現場品質を実現
    • AWS Trainiumを活用したコスト効率の高い学習基盤
    • 「実験」から「実装」への移行に必要なインフラ設計の勘所
  • インサイト: エンタープライズAIは「一つのモデルで全て解決」ではない。複数の技術を組み合わせ、現場の業務フローに溶け込ませる設計力が問われる。

 
事例8: GraphRAG Toolkit (ナレッジグラフ) による暗黙知の形式知化
登壇: 日本取引所グループ 夏目卓哉氏(IT企画部 課長)/ 豆蔵 高田恵子氏(AIコンサルティング事業部 データ戦略グループ シニアコンサルタント)

日本取引所グループにおけるベテラン職員の「暗黙知」を、オントロジー技術を基盤としたナレッジグラフ(GraphRAG Toolkit)により「形式知化」した事例。

  • ポイント:
    • 従来のRAGでは捉えきれない構造的な知識の関係性をナレッジグラフで表現
    • データ前処理・実行環境・ユーザー評価の3観点で取り組みを整理
    • ベテランの「なぜそう判断するか」のプロセスをAIが再現可能に
  • インサイト: 暗黙知の形式知化は、テクノロジーだけでは完結しない。ベテラン本人が「言語化」に協力する意思と、それを引き出すファシリテーション力がプロジェクトの成否を分ける。

 
全セッションを通して感じたこと — AIの価値を実現する「人の力」


4部・8事例を通して、一つの共通点が浮かび上がりました。

AIの本当の意味での価値を実現するには、単なる技術やプロセスではなく、多くの人の意思、協調、現場力が不可欠だということです。

技術的に優れたAIモデルは日々進化しています。しかし、それを現場で価値に変えるのは、課題を自分ごととして捉え、部署を超えて協調し、「変えたい」という意思を持った人々です。それが文化となり、プロセス変革の推進力となり、AIによるビジネス価値を実現できるのではないでしょうか。

 

まとめ


AWS Summit Japan 2026のPartner Breakout Sessionは、AWSパートナーがお客様と共に挑んだリアルな実践の場でした。PoCで終わらず、現場で使われ続けるAIを作るために必要なのは、最先端の技術だけではありません。

現場の人々の意思と協調 — それこそが、AIの価値を最大化する最も重要なファクターです。

AWS パートナーエコシステムは、お客様の AI ジャーニーをあらゆるフェーズで支援しています。本セッションで紹介された各パートナーへのお問い合わせは、AWS パートナーファインダーからご確認いただけます。

 


 
本ブログは AWS Summit Japan 2026 の Partner Breakout Session「AWS パートナーと実現する生成 AI」の内容をもとに作成しました。

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