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AWS X-Ray SDK / Daemon の OpenTelemetry への移行
AWS X-Ray は、アプリケーショントレースの計装 (instrumentation) において、業界標準である OpenTelemetry への移行を推進しています。今後、アプリケーションからトレースを生成し AWS X-Ray に送信する方法としては、OpenTelemetry ベースの計装ソリューションが推奨されます。X-Ray の既存のコンソール体験と機能は引き続き完全にサポートされ、この移行によって変更されることはありません。
OpenTelemetry は、トレース計装とオブザーバビリティにおける業界標準のオープンソースプロジェクトであり、テレメトリデータを収集・ルーティングするための標準化されたプロトコルとツールを提供します。メトリクス、ログ、トレースといったアプリケーションのテレメトリデータを計装・生成・収集・エクスポートし、監視プラットフォームで分析・インサイト取得を行うための統一フォーマットを提供します。これにより、機能開発の高速化や、業界全体で一貫したより広範なツールやインテグレーションの利用が可能になります。OpenTelemetry の計装ソリューションは、フレームワークやライブラリへのより幅広いサポート、多言語対応、そしてコードを変更せずに計装を追加できるゼロコード計装 (zero-code instrumentation) 機能を備えています。
AWS X-Ray SDK と Daemon は、メンテナンスモードへと移行します。このフェーズでは、AWS は SDK と Daemon のリリースをセキュリティ上の問題への対応のみに限定します。SDK / Daemon は機能追加は行われません。ただしメンテナンスモードにおいても、X-Ray は既存の X-Ray SDK / Daemon から送信されるトレースの受信・処理を継続します。AWS X-Ray サービス自体は引き続き完全にサポートされ、ネイティブ OpenTelemetry サポート や Amazon CloudWatch Transaction Search といった機能拡張は継続します。Transaction Search は、X-Ray のすべての機能に加え、アプリケーションパフォーマンスモニタリング (APM) や Amazon CloudWatch Application Signals の機能セットをまとめた新しいコスト効率に優れた料金体系を提供します。今後の新機能開発は OpenTelemetry ベースのソリューションに注力する一方、既存機能はこれまでどおり動作し続けます。たとえば、SDK には新たなライブラリ計装の追加や既存ライブラリ計装の機能拡張は行われません。
X-Ray SDK / Daemon のライフサイクルとサポートレベル
| SDK ライフサイクルフェーズ | 開始日 | 終了日 | サポートレベル |
| 一般提供 (General Availability) | N/A | 2026 年 2 月 25 | このフェーズでは、SDK / Daemon は完全にサポートされます。AWS はバグ修正とセキュリティ上の問題修正を含む通常の SDK / Daemon リリースを提供します。 |
| メンテナンスモード | 2026 年 2 月 25 日 | N/A | AWS は SDK / Daemonのリリースをセキュリティ上の問題への対応のみに限定します。SDK / Daemon は新機能の追加を受けません。 |
移行を支援するため、AWS X-Ray のドキュメントで移行ガイドとサンプルを提供しています。
AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT) または Amazon CloudWatch と連携するネイティブ OpenTelemetry に移行すると、アプリケーションのヘルスモニタリングを強化する CloudWatch Application Signals や、アプリケーションのトランザクションスパンを完全に可視化する Transaction Search といった強力なツールを利用できるようになります。
OpenTelemetry、および OpenTelemetry を活用する AWS CloudWatch のソフトウェアソリューションについて、詳しくは以下を参照してください。
- Amazon CloudWatch with OpenTelemetry — OpenTelemetry を用いたアプリケーションで CloudWatch を利用し、Application Signals や Transaction Search などの強力な機能を有効化する方法を解説
- X-Ray による計装から OpenTelemetry による計装への移行 — AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT) または OpenTelemetry SDK への切り替え例を掲載
- OpenTelemetry 公式ドキュメント — OpenTelemetry の利用方法全般を解説
フィードバック
サポートやフィードバックが必要な場合は、AWS サポートまでご連絡ください。
また、GitHub 上でディスカッションや Issue を作成することもできます (Java、Python、JavaScript、.NET、Go、Ruby)。
AWS X-Ray SDK / Daemon をご利用いただきありがとうございます。
著者について
本ブログは 2025 年 11 月 14 日に公開された AWS X-Ray SDKs/Daemon migration to OpenTelemetry の日本語訳です。翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの日平が行いました