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AWS App Studio を使用して、自然言語でエンタープライズグレードのアプリケーションを構築 (プレビュー)

組織は、請求処理、在庫追跡、プロジェクト承認などの分野において、ビジネス上の問題解決に苦労することがよくあります。カスタムビジネスアプリケーションはこれらの問題を解決し、組織をより効果的に機能させるソリューションを提供できますが、構築と保守には専門の開発チームが必要とされてきました。しかし、多くの場合、開発能力が不足していたり費用がかかりすぎたりするため、企業は非効率的なツールやプロセスを使用し続けていました。

7月10日、AWS App Studio のパブリックプレビューについてお知らせします。App Studio は生成人工知能 (AI) を活用したサービスです。ソフトウェア開発のスキルがなくても、自然言語を使用してエンタープライズグレードのアプリケーションを数分で作成できます。

ここでは、App Studio でできる内容について、簡単に紹介します。App Studio にログインしたら、生成 AI アシスタントを使用して[CREATE A NEW APP] (新しいアプリを作成) を選択します。プロジェクト承認アプリが必要だと入力します。すると、App Studio が、ユーザーインターフェイス、データモデル、ビジネスロジックを備えたアプリを生成します。アプリ生成プロセス全体が数分で完了します。

注: 上のアニメーションは、デモンストレーション用に加速したフローを示しています。

この記事を書いているうちに、App Studio がさまざまな技術専門家の役に立つことがわかりました。App Studio を使用すると、IT プロジェクトマネージャー、データエンジニア、エンタープライズアーキテクトは、安全なビジネスアプリケーションを数日ではなく数分で作成および管理できます。App Studio は、組織によるエンドツーエンドのカスタムアプリケーションの構築に役立ちます。App Studio には主に次の 2 つのユーザーロールがあります。

  • 管理者 – このグループのメンバーは、グループとロールの管理、コネクタの作成と編集、組織内で構築された他のアプリの可視性の維持を行うことができます。これらの権限に加えて、管理者は独自のアプリを作成することもできます。App Studio の有効化とセットアップについて、または管理者としてできることについて詳しく知りたい場合は、「AWS App Studio の開始方法」セクションを参照してください。
  • ビルダー – ビルダーグループのメンバーは、アプリケーションを作成、構築、共有できます。アプリケーション構築の過程に興味がある場合は、「App Studioをビルダーとして使用する: アプリケーションを作成する」セクションに進んでください。

AWS App Studio の開始方法
AWS App Studio は AWS IAM アイデンティティセンターと統合されており、既存のシングルサインオン (SSO) と柔軟に統合したり、ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル (LDAP) と統合したりできるため、アクセスの保護が容易になります。また、アプリケーションのデプロイと運用を管理するので、アプリケーションの運用に必要な時間と労力を省くことができます。アプリケーションに機能を追加したり、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズしたりすることにより多くの時間を費やすことができるようになりました。

App Studio を使用してアプリケーションを作成する前に、サービスを有効にする必要があります。管理者が App Studio インスタンスを設定する方法は次のとおりです。

まず、App Studio 管理コンソールに移動して、[Get started] (開始) を選択します。

前述のとおり、App Studio は IAM Identity Center と統合されており、IAM Identity Center に既存の組織インスタンスがあるかどうかを自動的に検出します。IDC の組織インスタンスとアカウントインスタンスの違いについて詳しくは、IAM Identity Center の組織とアカウントインスタンスの管理ページをご覧ください。

この例では、私は組織インスタンスを持っていないため、App Studio が IAM Identity Center でアカウントインスタンスを作成する手順を案内してくれます。ここでは、管理者として [Create an account instance for me] (個人のアカウントインスタンスを作成) を選択します。

次のセクション[Create users and groups and add them to App Studio] (ユーザーとグループを作成してApp Studioに追加する) では、管理者グループとビルダーグループの両方を定義する必要があります。このセクションでは、自分自身を管理者として追加し、後ほどビルダーグループにユーザーを追加します。

オンボーディングプロセスの締めくくりとして、[Acknowledgement] (確認) セクションを確認してからチェックボックスをオンにし、[Set up] (セットアップ) を選択します。

オンボーディングプロセスが完了すると、[Account] (アカウント) ページにて、App Studioが Active (アクティブ) で、使用できる状態になっていることがわかります。この時点で、アクセス可能な一意の App Studio インスタンス URL が生成されます。

このオンボーディングシナリオでは、IAM Identity Center にインスタンスがあらかじめ設定されていなくても開始する方法を示します。既存の IAM Identity Center インスタンスの使用方法について詳しくは、初回の App Studio インスタンスの作成とセットアップページをご覧ください。

App Studio が AWS IAM アイデンティティセンターのアカウントインスタンスを作成してくれたので、App Studio へのログイン手順が記載された E メールを受信しました。リンクを選択したら、アカウントのセキュリティ体制を強化するために、アカウントのパスワードを作成し、多要素認証 (MFA) を定義する必要があります。

これで、App Studio にログインできるようになります。

ユーザーを追加する (オプション)
App Studio は AWS IAM アイデンティティセンターを使用してユーザーとグループを管理します。つまり、App Studio インスタンスに追加ユーザーを招待する場合は、IAM Identity Center で招待する必要があります。

例えば、これが私のユーザーのリストです。[Add user] (ユーザーを追加) を選択すると、さらにユーザーを追加できます。ユーザーの追加が完了すると、アカウントを有効にする手順が記載された E メールが届きます。

追加のグループを作成する必要がある場合は、[Group] (グループ) ページの [Create group] (グループの作成) を選択します。次のスクリーンショットは、IAM Identity Center のアカウントインスタンスに定義したグループを示しています。

管理者として AWS App Studio を使用する
それでは、App Studioに切り替えて、管理者としてログインします。ここには、[Admin hub] (管理ハブ) と [Builder hub] (ビルダーハブ) の 2 つの主要なセクションが表示されます。

管理者として、既存のユーザーグループをロールセクションの [Roles] (ロール)に関連付けると、ユーザーに App Studio へのアクセス権を付与できます。

IAM Identity Center で作成したグループをマッピングするには、[Add group] (グループを追加) を選択し、[Group identifier] (グループID) と [Role] (ロール) を選択します。 設定できるロールは、管理者、ビルダー、アプリユーザーの 3 つです。各ロールの違いを理解するには、App Studioでのアクセスとロールの管理ページをご覧ください。

管理者として、コネクタを使って App Studio にさまざまなデータソースを組み込むことができます。App Studio には、Amazon AuroraAmazon DynamoDBAmazon Simple Storage Service (Amazon S3) などの AWS サービスと統合するための組み込みコネクタが用意されています。また、Salesforce 用の組み込みコネクタと、サードパーティーのサービスと統合するための汎用 API および OpenAPI コネクタもあります。

さらに、App Studio は私が使用を開始するためのマネージド DynamoDB コネクタを自動的に作成しました。また、[Create connector] (コネクタを作成) を選択して、追加のコネクタを柔軟に作成することもできます。

このページでは、AWS サービスへの他のコネクタを作成できます。他の AWS サービスが必要な場合は、[Other AWS services] (その他の AWS サービス) を選択します。コネクタの IAM ロールを定義する方法については、コネクタを使用した App Studio と他のサービスとの接続を参照してください。

App Studio をビルダーとして使用する: アプリケーションを作成する
ビルダーとして、App Studio の生成 AI を活用したローコード構築環境を使用し、安全なアプリケーションを作成できます。まず、「請求書を確認して処理するアプリケーションを構築する」など、必要なアプリケーションを自然言語で説明します。 次に、App Studio がデータモデル、ビジネスロジック、複数ページの UI を備えたアプリケーションを生成します。

楽しい時間の始まりです。App Studio でアプリを構築する時がやってきました。[Builder hub] (ビルダーハブ) ページで、[Create app] (アプリを作成) を選択します。

名前を付けると、アプリを構築するための 2 つの選択肢が表示されます。[Generate an app with AI] (AI を使用してアプリを生成)、または[Start from scratch] (ゼロから開始) です。[Generate an app with AI] (AI を使用してアプリを生成) を選択します。

次のページでは、必要なものをテキストボックスに入力するだけで、アプリの構築を開始できます。右側のパネルにあるサンプルプロンプトを選択することもできます。

その後、App Studioがアプリの要件を準備してくれます。プロンプトを絞り込み、更新された要件を確認することで、アプリケーションの計画を改善できます。満足のいく結果が得られたら、[Generate app] (アプリを生成) を選択すると、App Studio がアプリケーションを生成します。

App Studio でアプリを構築し始めたとき、これは私にとって良い経験であるとわかりました。App Studio に組み込まれた生成 AI 機能のおかげで、他のツールを使って同じポイントに到達するのに何時間、あるいは何日もかかっていたところ、たった数分でアプリを生成できました。

数分後、アプリの準備が完了します。また、App Studio には、さまざまな機能を操作して理解するための簡単なチュートリアルが用意されていることもわかりました。

App Studio には、[Pages] (ページ)、[Automations] (自動化)、[Data] (データ) という 3 つの主要な領域があります。私は、まずデータモデルを定義してアプリの構築を開始することが好きなので、[Data] (データ) セクションに移動します。

[Data] (データ) セクションでは、DynamoDB を搭載したマネージドデータストアまたは使用可能なデータコネクタを使用して、アプリケーションデータをモデル化できます。このアプリは AI に生成させることにしたので、すべてのデータエンティティが定義されます。手動で行う場合は、アプリケーションのさまざまなデータテーブルとフィールドタイプを表すエンティティを作成する必要があります。

データエンティティに満足したら、ビジュアルページを作成します。ここでは、ユーザー向けの UI を作成できます。テーブル、フォーム、ボタンなどのコンポーネントを追加および配置して、エンドユーザーに合わせたエクスペリエンスを作成できます。

アプリの構築中に [Preview] (プレビュー) を選択すると、ライブプレビューが表示されます。これはアプリケーションのレイアウトと機能をテストするのに役立ちます。

しかし、これら 3 つのエリアの中で、もっとも役に立つのが[Automations] (自動化) です。自動化を使用すると、アプリケーションのビジネスロジックを定義または拡張するルール、ワークフロー、任意のアクションを定義できます。このアプリケーションを App Studio の生成 AI アシスタントで構築することにしたため、アプリケーションに必要な複数の異なるオートメーションが自動的に作成され、連携されました。

例えば、新しいプロジェクトが提出されるたびに、プロジェクトを作成して通知メールを送信するアクションがトリガーされます。

API コールアウト、AWS Lambda、またはその他の AWS サービスを呼び出して、ビジネスロジックを拡張することもできます。プロジェクトを作成する以外に、プロジェクトをフラットファイル形式で S3 バケットにアーカイブしたいとも考えているとします。そのためには、何らかの処理を行う必要がありますが、たまたま既存の Lambda 関数に機能が組み込まれているとします。

ここでは、先ほどのスクリーンショットのとおり [Invoke Lambda] (Lambda を呼び出す) を選択します。次に、コネクター関数名関数イベントペイロードを設定して、既存の Lambda 関数に渡す必要があります。

UI ページ、データエンティティ、自動化のすべてに満足したら、[Publish] (公開) を選択して公開します。[Testing] (テスト) 環境または [Production] (本番) 環境で、柔軟にアプリを公開できます。これは、アプリケーションを本番環境にプッシュする前のテストに役立ちます。

プレビューにご参加ください
AWS App Studio は現在プレビュー段階で、アクセスできるのは米国西部 (オレゴン) AWS リージョンのみですが、アプリケーションは他の AWS リージョンのデータに接続できます。

AWS App Studio を使用して、安全かつスケーラブルでパフォーマンスの高いカスタムビジネスアプリケーションを構築し、ミッションクリティカルなタスクを最新化および合理化しましょう。すべての特徴や機能の詳細については、AWS App Studio ドキュメントページをご覧ください。また、AWS デベロッパー用 Slack ワークスペースの #aws-app-studio チャンネルでの会話にご参加ください。

構築がうまくいきますように。

– Donnie

原文はこちらです。