Amazon Web Services ブログ
Hornet が AWS でレンダリング能力を大幅に強化
想像力豊かなクリエイティブを大手広告代理店やグローバルブランド、エンターテイメント企業向けに制作するには、限りない想像力が必要です。そのためには、Hornet が 25 年以上にわたって実写映像、ビジュアルエフェクト(VFX)、ストップモーション、モーションデザイン、3D、セルアニメーション、ブランド戦略の仕事で発揮してきたような創造性が求められます。
こちらのスタジオでは継続的な成長と進化のため、作品の需要に応えるためにインフラストラクチャをレベルアップする必要があり、必要に応じたスケーラビリティ確保のため、Hornet はクラウドを活用する計画を立てました。SI 企業のインテグレーテッド・メディア・テクノロジーズ(IMT)と協力して、スタジオは最終的に Amazon Web Services (AWS) とのインテグレーションを選択し、効率的なクラウドベースのレンダーファームをデプロイしました。
「私たちの業界では、プロジェクトの増減にともなうリソースキャパシティーが常に課題となっていました。クラウドはそのための完璧なソリューションです。制作量の急増や特殊なマシン要件に対応するために必要な機材をすべて購入またはレンタルすることは、楽しくも経済的でもありません。そのため、必要に応じてリソースを増減できることは、私たちにとって大きなメリットとなります。」と、Hornet のマネージングパートナー Greg Bedard 氏 は語ります。
また、Hornet のパイプラインテクニカルディレクター Kevin Poli 氏は次のように付け加えています。「さまざまなクラウドオプションを検討しましたが、AWS は他とは比較にならないほど優れていました。これは間違いなく最も成熟したテクノロジーです。」「AWS のトレーニングを受けるための素晴らしい教育リソースがたくさんあり、とても利用しやすかったです。」
画像提供: Hornet
将来を見据えた構築
長年にわたってレンダリング管理ソフトウェア AWS Thinkbox Deadline を使用していた Hornet によるクラウドプロバイダーの決定の背景には、AWS とのネイティブ統合の影響もありました。スタジオは当初、2021 年にオンプレミスと AWS でハイブリッドレンダリングソリューションを開発していましたが、新しいクラウドベースの AWS 実装をゼロから構築したいと考えていました。この戦略は、2023 年にニューヨーク市のソーホー地区にある新しい場所へのスタジオ移転において、オンプレミスのデータセンター構築に多額の投資をせずに規模を拡大するための基盤となりました。人口密度の高い地域に移転すると、物理的な拡張はほとんど不可能になるため、機械をレンタルまたは購入するという物流上の問題を回避したいと考えていたためです。
クラウドベースのレンダリングに最適化することがパズルの最初のピースでした。セキュリティの強化も優先事項でした。Hornet のパイプライン責任者である Gareth Porter 氏は、「ファイルアクセスをより適切に制御できるようにしたかったのです。」と述べています。「IMT チームは、セキュリティのナビゲートに特に役立ちました。さらに、リソースの効率化のためにワークフローを最適化しました。」
Hornet は IMT チームと AWS サポートと協力して、オンプレミスインフラストラクチャに接続された AWS クラウドスタジオ環境を構築しました。デプロイには Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) スポットインスタンスによるレンダリングが含まれ、現在は GPU ベースのバーチャルアーティストワークステーションを含むように拡張されています。これにより、スタジオのリモートアーティストは、デジタルコンテンツ制作(DCC)ソフトウェアをクラウド上でローカルワークステーションと同じ応答性で実行するために必要となる高いパフォーマンスを得ることができます。
「私たちは AWS を使うには十分な知識がありましたが、クラウド上で複雑なプロダクションワークフローを構築するには十分ではありませんでした。IMT のおかげで、機能的なシステムを管理しているインフラストラクチャの中核要素に置き換えることができました。」と Poli 氏は説明しました。
「私たちのワークフローは今ではずっと安定しています。このプロセスと経験を積むことで、クラウドを最も効率的に使用する方法と、より多く成功するために管理する方法を理解し始めています。」と Porter 氏は付け加えました。
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クラウドへの接続
Hornet のオンプレミスファームは、アイドル状態または利用可能なコンピューティングを備えたアーティストワークステーションと専用のレンダリングノードが混在しています。マシンのスペックはさまざまで、チームは可用性と要件に基づいてレンダリングジョブを割り当てます。
「もし締め切りが間近に迫っていて、1 時間分のレンダリングをこなす必要がある場合は、できるだけ多くのノードを立ち上げてそれを実行します。」と Porter 氏は説明します。「私たちは、このシナリオで最も費用対効果の高いマシンを選択することを目指しています。時間があれば、より少ないノードを選択するかもしれませんが、そうでない場合は、状況に応じて必要なリソースを手に入れます。」
スタジオは AWS Thinkbox Deadline 10 を使用してハイブリッドレンダリングファームを管理し、スポットイベントプラグインを活用して Amazon EC2 スポットフリートでレンダリングリソースをスケーリングしています。Hornet の主要な制作ツールには、Autodesk Maya、Foundary Nuke、Maxxon Cinema 4D、SideFX Houdini などがあります。また、Blender と Epic Games の Unreal Engine についても研究しています。
「Thinkbox Deadline のスポットイベントプラグインは素晴らしいです。このおかげで、逼迫した時間帯にレンダリング担当者にとって大変なストレスになりかねない多くのタスクが自動化されます」と Poli 氏は語ります。「使用量ベースのライセンス(UBL)も、私たちにとって非常に大きな意味があります。すべてのコンピューティング環境が揃っていますが、サードパーティのリソースにも依存しています。Thinkbox Deadline を使用すると、それらを簡単に導入できます。AWS は究極の追加機能です。」
「業界標準ツールのレンダリングライセンスを個別に購入すると、それぞれ数百ドルかかり、一度に 1 台のマシンでしか使用できませんが、使用量ベースのライセンスでは、同じレートで 1 時間に 100 台のマシンを起動したり、10 台のマシンを 10 時間利用したりできるので、柔軟なソリューションとして有効です。」と Porter 氏は説明しました。
Hornet チームは、ジョブのタグ付けを通じてより多くのクラウド使用状況データを収集するようになったおかげで、レンダリング予算をより正確に見積もり、プロジェクトごとの支出を予測できるようになり、より自信を持って利用できるようになりました。
画像提供: Hornet
プロダクションでのAWS利用
クラウドの導入によって、Hornet はクライアントからのフィードバックをもとに、アーティスティックな戦略をたて、技術的な実現を最短の工程で実行できるようになりました。柔軟性の高いスケーラビリティにより、スタジオはより大規模で複雑な作業を引き受けられるようになりました。この能力は、仮想ワークステーションの利用が開始されるとさらに強化されます。アーティストの観点から見ると、クラウドで強化されたワークフローでは、ユーザー体験に影響を与えることなくレスポンスがすぐに返ってくるため、試行錯誤の時間を短縮し制作を加速することができます。
「私たちは主にコマーシャル分野に携わり、制作期間は通常 1 〜 2 か月なので、時間の余裕はありません。AWS は、すぐに立ち上げたり止めたりができるので、当社のようなスタジオにとってゲームチェンジャーとなります。」と Bedard 氏は言います。「ビジネスの観点から見ると、クラウドは非常に強力です。これまでクラウド制作を見てきましたが、他にこのような方法ははありません。」
「クラウドの外では、アーティストが数千フレームのシーケンスをレンダリングし、修正指示を受け取り、新しいバージョンを同じ日にサブミットすることは現実的ではありません。AWS といくつかの技術的な魔法でこれを実現できました。」と Poli 氏は言います。「予算とニーズに基づいてパラメータを調整できるので、レンダリング時間自体はあまり心配されません。アーティストは、限られたリソースの中で作業する代わりに、たくさんのテストをサブミットできます。また、ショットを仕上げるのに十分な計算能力があることを知っているので、より安心できます。」
Bedard 氏はこう締めくくりました。「当社の AWS ワークフローは、1 つの施設内でさまざまなクリエイティブ分野をサポートできるようにするための最善の道筋を示してくれます。特にレンダリングにおける使用量ベースのライセンス(UBL)は、私たちにとって大きなものでした。そして今、次のステップは仮想ワークステーションです。これらの基本的な要素は、パイプラインの成長と進化を続けるのに役立ち、IMT や AWS との関係により、はるかに早く開発面で達成したい場所にたどり着くことができました。」
クラウドベースのクリエイティブワークフローに AWS を使用する方法の詳細を確認するか、AWS for Media and Entertainment の担当者にお問い合わせください。
著者について
この記事は Hornet supercharges render capacity with AWS を翻訳したものです。翻訳はVisual Compute ソリューションアーキテクトの森が担当しました。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWS のメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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