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【開催報告 & 資料公開】メディア向け re:Invent 2025 & Inter BEE 2025 振り返りセミナー
2025 年 12 月 1 日 – 12 月 5 日にラスベガスで開催された AWS re:Invent 2025 では、メディア&エンターテインメント領域における最新の AWS 活用事例が多数紹介されました。また、2025 年 11 月 19 日 – 11 月 21 日に幕張メッセで開催された Inter BEE 2025 では、Global AI x Cloud Pavilion にて Create、Connect、Captivate の 3 つのテーマによる展示を、また DX x IP Pavilion では複数局を集約した統合クラウドマスターの展示等を行いました。
本振り返りセミナーでは、上記 2 つのイベントのハイライトを、メディア&エンターテインメント業界のお客様向けにご紹介しました。また、AWS Black Belt Online Seminar 上でも本セミナーの資料を公開しています。
re:Invent & Inter BEE 2025 re:Cap メディア & エンターテインメント業界編 [資料]
re:Invent 2025 re:Cap メディア&エンターテインメント業界編
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト
小南 英司
re:Invent 2025 のセッションから、メディア&エンターテインメント業界に関連する事例を、コンテンツ制作、メディアサプライチェーン、Direct-to-Consumer、スポーツの 4 分野に分けて紹介しました。
コンテンツ制作では、Amazon MGM Studios が Amazon S3 と Amazon FSx でストレージを統合し、Amazon EC2 上にリモート編集環境を構築することで、数週間かかっていたメディア転送時間を大幅に短縮しました。これにより処理時間の 50% 短縮と 5,000 マイル離れた遠隔地からの 1 秒未満の遅延での編集を実現しました。また、Angry Birds を制作する Rovio は、 Amazon SageMaker AI に独自アートスタイルを学習させました。Amazon Bedrock で全社員が使える AI ツールを構築し、背景制作時間を 80% 削減、アーティストが反復作業から解放され、クリエイティブな業務に集中できる環境を手に入れました。
メディアサプライチェーンでは、Netflix が Amazon S3 Storage Lens と Apache Iceberg を組み合わせることで、2 エクサバイト超のデータを対象にストレージ増加の早期検知とコストの完全可視化を実現し、消されず残されたままとなったアセットや設定ミスによる不要データの特定が可能になりました。ブンデスリーガは Amazon Nova を活用することで、試合終了後数分以内のレポート自動配信と動画の多言語ローカライズを実現し、制作時間を 75〜90% 削減しながらパーソナライズドコンテンツを 5 倍に増加させることができました。
Direct-to-Consumer では、Amazon Prime Video が Amazon Managed Service for Apache Flink でリアルタイムストリーム処理基盤を構築し、NASCAR 中継において燃料戦略を 5 秒以内に可視化する業界初のシステムを 8 週間で立ち上げました。5 億 3,400 万インプレッションという大規模なメディア露出を獲得しています。またマルチエージェントシステムと Amazon Bedrock を組み合わせることで、アートワーク品質評価を数日から 1 時間未満に短縮し、1,800 万人同時視聴のライブ配信でもリアルタイムの品質監視も可能にしています。Olympics.com は Amazon OpenSearch Service と RAG を活用することで 160 億エンゲージメントの処理と 100〜200 ミリ秒でのコンテンツ自動生成を実現し、マイナー競技のロングテールコンテンツを自動配信できる体制を構築しました。
スポーツでは、NBA が Amazon EKS と Apache Flink でリアルタイム処理基盤を構築することで、14 年分のテラバイト級追跡データを統合し 50 ミリ秒の遅延で統計配信を実現しました。これにより従来定量化が困難だった選手の注目度を数値化した「プレイヤーグラビティ」と呼ばれる新指標が生まれ、すでに放送で活用されています。
マルチエージェントによる制作自動化、未活用コンテンツの価値最大化、低遅延リアルタイム体験の 3 つが re:Invent 2025 のメディア&エンターテインメント業界におけるトレンドでした。
Inter BEE 2025 re:Cap
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト
金目 健二
Inter BEE 2025 の Global AI x Cloud Pavilion AWS ブースでは、Create、Connect、Captivate の 3 テーマで展示を行いました。Create では、Amazon DCV や Amazon EC2 G6e インスタンス、 Amazon FSx for NetApp ONTAP を組み合わせたクラウドスタジオ環境や、ComfyUI、Griptape Nodes を使った生成 AI 制作ワークフローを実演しました。クラウド上に制作環境を構築することで、物理的なワークステーションに縛られず、必要な時に必要なリソースを確保して制作を進められることが可能となります。Connect では、MediaLake による自然言語によるコンテンツ検索が可能になることで、クリエイターが必要な素材を探す時間を大幅に削減し、編集作業そのものに集中できる環境を紹介しました。また Amazon Bedrock や Amazon Nova を活用した記事制作支援ツールにより、文字起こしから多言語翻訳、SNS 動画生成までを一貫して行うことが可能となり、記事公開までの時間短縮と言語展開のコスト削減が可能となることを示しました。Captivate では、Amazon Transcribe と Amazon Bedrock による 4 言語同時字幕翻訳や多言語ライブグラフィックスの生成により、自社コンテンツの IP を海外展開しマネタイズの幅を広げられることを紹介しました。GitHub リポジトリで公開されており、すぐにご利用いただくことが可能です。
出展者セミナーには 3 社にご登壇いただきました。株式会社毎日放送には、スポーツ中継で過去のシーンを即座に探し出して再生するクラウドリプレイシステムを紹介いただきました。従来、3 時間超の試合映像から手動でシーンを探す作業にはベテランの経験と膨大な時間が必要でしたが、AWS マネージドサービスと生成 AI を活用することで、クラウドに保存された映像から必要なシーンをわずか 10 秒で送出準備できる仕組みを内製開発しました。株式会社 TBS テレビは、生放送やイベント配信が一方通行になりがちで視聴者の参加感が不足するという課題を解決するために、Amazon Interactive Video Service (Amazon IVS) と Amazon Nova を活用した双方向型配信プラットフォーム「Kustamie」を開発しました。0.3 秒の超低遅延配信と最大 12 視点のマルチアングル配信に加え、不適切な発言を 1.6 秒で検知するチャットモデレーションにより、安心安全でインタラクティブなライブ配信環境を実現しています。株式会社 IMAGICA GROUP のエンターテインメントメディアサービスは、制作需要の波に対応するリソース確保や設備資産に縛られない運用を目指し、Amazon DCV や Amazon FSx、AWS Deadline Cloud でポストプロダクションの編集環境をクラウドに移行しました。編集開始までのリードタイムを大幅に削減可能で、オンプレミスとの単純なコスト比較ではなく、機器投資や保守運用、バックアップなどの隠れたコストも含めて総合的に判断することが重要であるとの考え方も共有されました。
DX x IP Pavilion では、AWS 上に集約型マスターを構築することで、番組編成に従ったインフラの自動オーケストレーションと AI による集約監視を実現し、従量課金を活かして信号送出がないタイミングでのコスト削減が可能となることや、監視業務の効率化を両立できることを、国内の放送機器ソリューションを組み合わせて示しました。
おわりに
本ブログでは、メディア&エンターテインメント業界のお客様向けに開催された re:Invent 2025 & Inter BEE 2025 振り返りセミナーの内容を紹介しました。セミナーにご参加いただいた皆さま、ご参加いただきましてありがとうございました。メディアチームでは、業界の皆様に役立つ情報を、引き続きセミナーやブログで発信してまいります。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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この記事は SA 小南英司が担当しました。