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カナダ初 – トロントに AWS Wavelength Zone を開設
ワイヤレス通信によって、人々の距離は縮まりました。5G ネットワークは、エンドツーエンドの低レイテンシーを必要とする新しいユースケースに対して、より多くを達成することを可能にします。AWS Wavelength を使用すると、5G ネットワークのエッジにある通信事業者のデータセンター内に AWS のコンピューティングおよびストレージサービスをデプロイできます。アプリケーションは、モバイルデバイスとエンドユーザーに 1 桁ミリ秒のレイテンシーを提供すると同時に、最も近い AWS リージョンの AWS のサービスにシームレスにアクセスできます。
例えば、低レイテンシーにより、次のような新しいユースケースが可能になります。
- ハイレゾかつハイファイのライブ動画ストリーミングの配信。
- 拡張/仮想現実 (AR/VR) アプリケーションの改善されたエクスペリエンス。
- 医療診断、小売、および工場のアプリケーション向けに、エッジでの機械学習 (ML) 推論の実行。
- 運転支援、自動運転、および車載エンターテインメントエクスペリエンスを改善する、クラウドとほぼリアルタイムで接続できるコネクテッドカーアプリケーション。
2020 年に米国で最初の AWS Wavelength Zone を開設し、その後、日本、韓国、英国、ドイツなどの新しい国に拡大しました。2022 年 4 月 26 日(米国時間)は、Bell Canada との協力の下、新たにトロントに Wavelength Zone を開設することをお知らせします。
AWS Wavelength で実現できること
Wavelength で実現できることの例として、トロントでの食料配達を見てみましょう。ほとんどの配達は 2km 以内で行われ、かなりの数の配達はコーヒー 1 杯などの一品目のみです。これらの配達に車を使用するのは時間と費用がかかり、二酸化炭素排出量が大きくなります。Tiny Mile は、より優れたソリューションを提供します。小型の遠隔操作ロボットを使用して、コーヒーやサンドイッチなどの少量の食料の注文を、従来の配送サービスの 10 分の 1 のコストで配達します。
遠隔地のスタッフは、ロボットからのカメラフィードを使用して、環境を理解し、標識を読み、ロボットを運転します。より効率的にスケールアップするために、Tiny Mile は AWS Wavelength を通じて提供される Bell のパブリック Multi-access Edge Computing (MEC) ソリューションを使用して、データを処理し、動画フィードをほぼリアルタイムで分析して、障害物を検出し、手動介入なしで衝突を回避できるようになりました。また、エッジでのコンピューティングにより、ロボットの重量とコストが削減され (高価なコンピュータが搭載される必要はありません)、運べる配達物の量が増えます。
Wavelength Zone の使用
ドキュメントの「Get started with AWS Wavelength」(AWS Wavelength の使用を開始する) の指示に従います。まず、新しい Wavelength Zone を使用するようオプトインします。カナダ (中部) リージョン向けの EC2 コンソールで、左上にある [New EC2 Experience] (新しい EC2 エクスペリエンス) を有効にします。ナビゲーションペインで、[EC2 Dashboard] (EC2 ダッシュボード) を選択します。[Account attributes] (アカウント属性) セクションで、[Zones] (ゾーン) を選択します。そこで、[Canada (BELL)] (カナダ (BELL)) Wavelength Zone を有効にします。
これで、Wavelength Zone を使用するようにネットワークを設定できます。Amazon Virtual Private Cloud (VPC) を作成するか、既存の VPC を拡張して Wavelength Zone にサブネットを含めることができます。ここでは、新しい VPC を使います。VPC コンソールで、[Your VPCs] (VPC) を選択し、次に [Create VPC] (VPC を作成) を選択します。後でサブネットを作成するために [VPC only] (VPC のみ) のオプションを選択します。VPC の名前を入力し、この VPC 内のリソースのプライベートアドレスに使用される IPv4 CIDR ブロックを選択します。その後、VPC の作成を完了します。
ナビゲーションペインで、[Carrier Gateways] (キャリアゲートウェイ)、[Create carrier gateway] (キャリアゲートウェイの作成) の順に選択します。名前を入力して、先ほど作成した VPC を選択します。[Route subnet traffic to the carrier gateway] (サブネットトラフィックをキャリアゲートウェイにルーティングする) を有効にして、サブネットからキャリアゲートウェイにトラフィックを自動的にルーティングします。
[Subnets to route] (ルーティングするサブネット) セクションで、[Canada (BELL) – Toronto] (カナダ (BELL) – トロント) Wavelength Zone に存在するサブネットを設定します。サブネットの IPv4 CIDR ブロックには、VPC 範囲内のブロックを使用します。その後、キャリアゲートウェイの作成を完了します。
ネットワークが構成されたので、超低レイテンシーを必要とするアプリケーションの部分を Wavelength Zone にデプロイし、それを残りのアプリケーションとカナダ (中部) リージョンで実行されているクラウドサービスに接続し直すことができます。
Wavelength Zone で EC2 インスタンスを実行するには、AWS Command Line Interface (CLI) の run-instances
コマンドを使用します。このようにして、Carrier IP アドレスを自動的に割り当てて EC2 インスタンスのネットワークインターフェイスに関連付けるオプションを渡すことができます。もう 1 つのオプションは、インスタンスを作成した後に、キャリアアドレスを割り当ててネットワークインターフェイスに関連付けることです。Carrier IP アドレスは、通信事業者のネットワーク内でのみ有効です。キャリアゲートウェイは NAT を使用して Carrier IP アドレスを変換し、トラフィックをインターネットまたはモバイルデバイスに送信します。
キャリアネットワークの EC2 インスタンスに関連付けられた IP を検出するには、describe-instances
コマンドを使用します。
出力の NetworkInterfaces
セクションに、Association
と CarrierIP
があります。
"Association": {
"CarrierIp": "207.61.170.56",
"IpOwnerId": "amazon",
"PublicDnsName": ""
}
これで EC2 インスタンスは Wavelength Zone で実行されるようになったので、アプリケーションの一部を EC2 インスタンスにデプロイして、モバイルネットワークを離れることなくアプリケーショントラフィックを非常に低いレイテンシーで処理できます。
次のステップでは、「Deploying your first 5G enabled application with AWS Wavelength」(AWS Wavelength を使用した最初の 5G 対応アプリケーションのデプロイ) を参照して、一般的な Wavelength のユースケースであるエッジでの機械学習推論の実装のチュートリアルに従います。
利用可能なリージョンと料金
カナダのトロントにある新しい Wavelength Zone は、Bell Canada の 5G ネットワークに組み込まれており、現在利用可能です。Wavelength Zones の EC2 インスタンスおよびその他の AWS リソースは、親リージョンとは料金が異なります。詳細については、「Wavelength の料金」のページを参照してください。
AWS Wavelength は AWS for the Edge サービスの一部であり、データ処理、分析、およびストレージを AWS データセンターの外部やお客様のエンドポイントに近い場所に提供するのに役立ちます。これらの機能により、生成された場所の近くでデータを処理および保存することができ、低レイテンシーでインテリジェントなリアルタイムの応答性を実現できます。
AWS Wavelength の使用を開始して、5G デバイス向けの超低レイテンシーアプリケーションを提供しましょう。
– Danilo
原文はこちらです。