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Security Hub が AI ワークロード保護と Microsoft Azure 対応のマルチクラウドサポートを追加

本ブログは 2026 年 7 月 14 日に公開された AWS Blog “Security Hub adds AI workload protection and multicloud support for Microsoft Azure” を翻訳したものです。

AWS Security Hub は、クラウドをまたぐフルスタックのエンタープライズセキュリティの基盤です。セキュリティ運用を一元化し、生のシグナルを優先順位付けされたインサイトに変換することで、チームはツールをつなぎ合わせる作業ではなく、実際のリスク管理に時間を使えるようになります。本日 (2026 年 7 月 14 日)、この基盤は、お客様から最も多くの要望をいただいた 2 つの方向に拡張されます。AI ワークロード専用の保護機能と、Microsoft Azure を対象としたセキュリティモニタリングの追加です。どちらも、優れたセキュリティツールは連携することでより賢くなるべきである、という大きな構想に向けた一歩です。

これらの拡張はお客様の声から直接生まれたものであり、セキュリティの過去ではなく、これから向かう先を反映しています。従来のセキュリティツールが約束していたのは、すべてを 1 つのビューに集約する場所でした。しかし、検出結果を集めること自体は難しい部分ではありません。難しいのは、それらを理解し、関連付け、攻撃者よりも先に行動すること、しかも現在の攻撃のスピードに合わせてそれを行うことです。これから成功するセキュリティプログラムは、最も多くのダッシュボードを持つものではなく、環境全体を見渡し、迅速に対応できるものです。それこそが AWS の目指すものであり、今回のリリースはその道のりの一歩です。

Microsoft Azure に対応するマルチクラウドセキュリティ管理

さまざまな業界のお客様が、AWS でのセキュリティ運用の中核として Security Hub を活用しています。その多くは何年も前から複数のクラウドを運用しており、Security Hub でセキュリティ環境の残りの領域もカバーしてほしいという明確な要望をいただいていました。本日、Microsoft Azure に対応し、他のクラウドにも順次対応していきます。

Security Hub は今回、Azure Virtual Machines、コンテナイメージ、Function Apps、アイデンティティを検出し、設定不備、インターネットへの露出、ソフトウェアの脆弱性を評価できるようになりました。また、CIS Microsoft Azure Foundations Benchmark™ に基づくポスチャチェックも行います。Azure の検出結果は、同じ検出結果フォーマット、自動化、対応ワークフローを使用して AWS の検出結果と並べて優先順位付けされるため、チームはセキュリティ環境全体にわたるリスクを 1 つの視点で把握しながら作業できます。Azure リソースの料金は、同等の AWS リソースと同じ料金体系で、追加料金はありません。また、Azure の監視には別枠で 30 日間の無料トライアルが用意されています。詳細については、What’s New の投稿を参照してください。

実は、AWS 以外への拡張はこれが初めてではありません。今年の初めに、Security Hub Extended を発表し、9 つのセキュリティカテゴリにわたるベストインクラスのパートナーソリューションを、既にお使いのエクスペリエンスに統合しました。これらのパートナーソリューションは、あらゆるクラウド、オンプレミス、企業が事業を展開するあらゆる場所で、エンドポイント、アイデンティティ、E メール、ブラウザ、データを保護します。Extended は既に、マルチクラウドとマルチワークロードに向けた最初の一歩となっていました。本日、AWS 独自のネイティブ機能がカバーする範囲を広げ、この 2 つの取り組みは今後歩調を合わせて進化していきます。

AI ワークロードの保護

私がお話しするどのお客様も、AI を活用した構築を進めています。Amazon Bedrock での生成 AI、Amazon SageMaker でのモデルトレーニング、Bedrock AgentCore を通じてワークフローをオーケストレーションするエージェントなどです。これらのワークロードは、多くのセキュリティプログラムが追いつけないスピードで本番環境に到達しています。しかも、モデルの呼び出しをモニタリングしたり、エージェントの動作を追跡したり、組織全体にどのような AI 資産が存在するかを把握したりするツールを、チームがまだ持っていないことも少なくありません。あるセキュリティリーダーは、基盤モデルを何千回も呼び出していた侵害されたサービスアカウントに気づけたのは、経理部門が請求書に疑問を持ったからだと話してくれました。会計レビューを通じてセキュリティインシデントが発見されたのです。可視性のギャップは現実に存在し、既に高い代償を生んでいます。

この夏、AWS は 3 つのリリースでこのギャップを埋め始めます。2 つは脅威検出と調査のための GuardDuty の機能、3 つ目は新しい Security Hub AI inventory (AI インベントリ) です。

GuardDuty AI Protection (一般提供開始)

Amazon GuardDuty AI Protection は、Amazon Bedrock と SageMaker 専用に構築された脅威検出を提供します。異常なモデル呼び出し、コストハーベスティング (盗んだ認証情報を悪用して推論を実行させ、お客様に費用を負担させる攻撃)、そして Amazon Bedrock Guardrails との統合によるプロンプトインジェクションの試みを検出します。

コストハーベスティングは急増しています。認証情報が侵害されると、攻撃者はそれを使って基盤モデルを呼び出すケースが増えています。推論は高コストで需要も高いため、盗んだアクセス権は、インフラストラクチャを一切デプロイすることなく、そのまま価値に変換できてしまうのです。GuardDuty は AWS CloudTrail のデータイベントを分析し、大規模な環境で正常な呼び出しがどのようなものかを学習し、侵害や悪用を示す逸脱を検出します。これは AWS の規模だからこそ実現できる検出です。何が正常かを知るには、何百万ものワークロードにわたるシグナルを見る必要があるからです。GuardDuty AI Protection は、30 日間の無料トライアル付きで、すべての GuardDuty のお客様が利用できるようになりました。

GuardDuty AI-powered investigations (プレビュー)

AI を活用した調査 (AI-powered investigations) は、アラート疲れを引き起こし、対応を遅らせる要因となっていた手動の調査作業を引き受けます。この機能は、GuardDuty の検出結果とその周辺のアカウントを自動的に分析し、真の脅威と無害なアクティビティを切り分けます。

検出結果のコンテキスト、過去 90 日間の関連アクティビティ、影響を受けたリソース、脅威インジケーターを調査し、ナレッジグラフと脅威インテリジェンスを使用して、これまで数時間かかっていた作業を数分で完了します。各調査では、信頼度スコアを伴う判定評価、MITRE ATT&CK® 分類、裏付けとなる証拠、そして抑制、封じ込め、または修復のための明確な推奨事項が得られます。チームは、単一のアカウントでも AWS Organizations の組織全体でも、本物の脅威に集中でき、平均解決時間が短縮されます。GuardDuty AI-powered investigations は、10 の AWS リージョンでプレビューとして利用可能です。

Security Hub AI inventory (一般提供開始)

存在を知らないものを保護することはできません。Security Hub では、AI 資産とそのセキュリティポスチャを組織全体で継続的に最新の状態で確認できる AI インベントリが利用できるようになりました。チームがモデル、エージェント、パイプラインをデプロイしても、セキュリティ部門は何が動いているのかを把握できないことが多く、それらの資産をアクティブな脅威や設定不備と関連付けなければ、何を最初に保護すべきかを判断するのは困難です。

Security Hub AI inventory は、AWS 環境全体の AI ワークロードを 2 つの方法で検出してカタログ化します。マネージドサービスについては、Amazon Bedrock、SageMaker、Bedrock AgentCore のリソースを AWS Config 経由でインベントリ化します。セルフホストおよび外部のワークロードについては、ランタイム分析を通じて Amazon EC2、Amazon ECS、Amazon EKS 上で実行されているモデルを発見し、ワークロードが呼び出している外部モデルのエンドポイントを特定します。各資産を、コンピューティング、ネットワーキング、IAM ロール、データストアなど、その基盤となるインフラストラクチャにマッピングし、GuardDuty の検出結果などのセキュリティシグナルと関連付けます。そのため、GuardDuty AI Protection が異常な呼び出しを検出すると、AI インベントリはどのインフラストラクチャが関与しているか、何がそれに接続されているか、優先順位のどこに位置するかを即時に表示します。

AI 資産は急速に増えていきます。ある開発者が概念実証のために Amazon Bedrock エージェントを立ち上げます。データサイエンスチームが内部テスト用に SageMaker エンドポイントを構築します。別のチームは AWS Lambda 関数を通じて外部モデル API を組み込みます。これが数百、数千のアカウントで起これば、すぐに把握しきれなくなります。AI インベントリは、組織内のすべてのアカウントを横断したビューを提供します。この機能は Security Hub エッセンシャルプランで追加料金なしで利用できます。

フルスタックセキュリティへの新たなアプローチ

これらのリリースには、注目に値する共通点があります。AI 保護を別製品として調達する必要はなく、Azure 用に別の運用体制を立ち上げる必要もありません。既に運用している Security Hub にそれらを追加するだけで、優先順位付けされたリスクのビューに表示されます。この同じ考え方を、セキュリティ環境の残りの領域にまで広げるのが Security Hub Extended です。

Security Hub Extended には現在、9 つのカテゴリにわたる 21 のキュレーションされたパートナーが参加しています。7AIBritiveCrowdStrikeIdira (CyberArk)CyeraIslandLayerXNative SecurityNomaOktaOligoOptiProofpointSailPointSentinelOneSplunkSublimeUpwindVaronisZenityZscaler です。これらは、エンドポイント、アイデンティティ、E メール、ネットワーク、データ、ブラウザ、クラウド、AI、セキュリティ運用にわたるベストインクラスのソリューションです。どのパートナーも、無条件に選ばれたわけではありません。それぞれが、エンタープライズセキュリティの向かう先についての共通のビジョンにコミットし、AWS とともにそれを構築するために投資することで、その地位を獲得しました。キュレーションこそが重要なのです。選ばれないという結果があり得るからこそ、推奨には意味があります。

Extended のビジネス面のメリットは今すぐ得られます。従量制料金、AWS への一本化された請求、EDP (Enterprise Discount Program) の適用対象であること、長期契約が不要であることです。しかし、AWS が最も力を入れている取り組みはその先にあり、調達の話ではまったくありません。参加しているすべてのソリューションの検出結果は Open Cybersecurity Schema Framework (OCSF) 形式で出力され、Security Hub に集約されます。AWS は、それらすべてを横断する単一の相関分析の実現に取り組んでいます。これにより、エンドポイントソリューション、アイデンティティソリューション、クラウドソリューションからのシグナルが、3 つのばらばらのアラートではなく、1 つのエクスポージャーと 1 つの攻撃パスとして統合されます。また、サブスクリプション登録から価値を実感するまでのデプロイとオンボーディングの手間を減らす取り組みも進めています。さらに、パートナーの検出結果が互いを強化し合う仕組みを構築しており、既に信頼しているベストインクラスのツールが、単独で使うとき以上の価値を発揮するようになります。これが、AWS が投資している差別化された未来であり、お客様の次の要望に導かれながら、オープンに構築を進めています。Extended の詳細については、What’s New の投稿を参照してください。

さらなる前進へ

一歩引いて見れば、全体像は明確です。Security Hub は、Azure を皮切りにクラウドプロバイダーを横断して拡大していきます。専用の AI 保護とインベントリにより、ワークロードタイプを横断します。そして、Extended とキュレーションされたパートナーを通じて、セキュリティカテゴリを横断します。AWS のセキュリティ検出結果を整理する手段として始まったものが、より多くの企業がフルスタックセキュリティを運用する方法へと発展しました。

検出と可視性が土台となります。その上に AWS が構築するのは、信頼するすべてのソースからのシグナルをつなぎ、より迅速な対応を支援するセキュリティエクスペリエンスです。まだ Day 1 であり、お客様の環境と直面する脅威が変化し続ける中、Security Hub は拡張を続けていきます。


Michael Fuller

Michael は AWS に 16 年間在籍し、11 年間にわたり AWS セキュリティサービスのプロダクトを率いてきました。業界歴は 29 年で、IBM、Cisco、Amazon においてプロダクトマネジメント、ビジネス開発、ソフトウェア開発のさまざまな役割を務めてきました。アリゾナ大学でコンピュータエンジニアリングの理学士号を、ワシントン大学で MBA を取得しています。

本ブログは Security Solutions Architect の 中島 章博 が翻訳しました。