Amazon Web Services ブログ
【開催報告】アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間 第三十四回 (9/28)
みなさんこんにちは!
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの守田です。
2023 年 9 月 28 日に「第三十四回 アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」をオンラインで開催しました。本イベントは、AWS の数あるアップデートの中から「すぐ使える、運用に役立つ、あったらいいなと思ってた、おもしろい、重要」なものをピックアップし、ちょっぴり DiveDeep してカジュアルな雰囲気でお伝えするイベントです。
今回は「Container 編」ということで、AWS ソリューションアーキテクトや実際に AWS のコンテナサービスをご利用いただいているお客様から事例やサービスの機能についてご紹介頂きました。
今回も非常に多くの方にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
実施内容
AWS ソリューションアーキテクトから AWS のコンテナサービスの運用の工夫についてデモを交えてお伝えし、ゲストスピーカーとして株式会社ラクスの下西 章王様、freee 株式会社の藤原 彰人様 から AWS のコンテナサービスを用いたサービス構築・運用の事例についてご紹介頂きました。合計 1 時間半の中で盛りだくさんの内容でお送りしました。
本記事の中に資料や動画のリンクを記載しておりますので、ぜひご活用ください!
当日参加したメンバー
アジェンダ
今月のお勧め 5 分間アップデート (5 分)
スピーカー : アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 長屋 和真
今月の AWS のサービスアップデートを 5 分でご紹介しました。多くのアップデートの中から以下の 4 つをピックアップしました。
- Amazon CloudWatch Logs、フィルターパターン構文での正規表現のサポートを発表
- Amazon SES E メール受信サービスが 7 つの新しいリージョンに拡大
- API Gateway コンソールの更新のお知らせ
- AWS Identity and Access Management、直近にアクセスされたアクションに関する情報を 140 以上のサービスに提供
AWS の新着情報については 公式ページ のほか、毎週のアップデート情報をまとめて発信している 週刊 AWS を合わせてご覧頂くことがオススメです!
AWS 上でコンテナを爆速起動する⽅法をまとめてみた (15 分)
スピーカー : アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 祖父江 宏祐
本セッションでは、コンテナ起動時間に課題を抱えているお客様に向けて、いくつかのメソッドを提供したいと考えています。デモも用意しますので、ぜひご参加ください。
AWS でメール配信システムを構築! Amazon ECS on AWS Fargate で楽楽運用 (15 分)
スピーカー : 株式会社ラクス インフラ開発部 東京インフラ開発2課 アシスタントマネージャー 下西 章王 様
今の時代、友人と連絡を取り合う際は SNS が主流だと思いますが、ビジネスの世界ではメルマガや、取引先との連絡ツールとしてメールが使われています。メールは「送れば届く」と思われているのですが、実はそうではありません。 本セッションではメールの裏側では何が起こっていて、AWS サービスを利用し、どう解決したのか?に焦点を当ててお伝えいたします。 メールの裏側の仕組み、AWS でのコンテナ運用といったノウハウを少しでも提供できる時間にさせていただきたいと思います。
Amazon EKS と Argo Workflows で実現するタスク実行と AWS リソースとの連携方法 (15 分)
スピーカー : freee 株式会社 SRE / Developer Experience エンジニア 藤原 彰人 様
freee では kubernetes ネイティブのワークフローエンジンである Argo Workflows を採用しています。 登壇内容としては下記の
・Argo Workflows を導入することになった背景
・本番運用している Amazon EKS クラスターに対して、Argo Workflows 導入するために活用した [Amazon RDS へのタスク実行結果の保管] や [Amazon S3 へのアーティファクトの保管] などの機能やアーキテクチャについて
・タスク実行以外の Argo Workflows の活用方法 について
お話させて頂きます。
Amazon EKS と KubeVela でプラットフォームエンジニアリングに入門しよう!(15 分)
スピーカー : アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 後藤 健汰
プラットフォームエンジニアリングは、開発者体験や生産性を高めるためのプラットフォームをセルフサービスのプロダクトとして提供するという概念です。本セッションでは、Amazon EKS と KubeVela を用いて、プラットフォームエンジニアリングの世界にちょっぴり DiveDeep します。
当日の様子
当日の内容を抜粋してご紹介します。
AWS上でコンテナを爆速起動する⽅法をまとめてみた
最初のセッションはソリューションアーキテクトの祖父江より、 3 つのコンテナ起動の高速化手法、①コンテナイメージサイズを小さくする ②イメージキャッシュを利用する ③遅延読み込みを利用する、をご紹介しました。上記の 3 つの手法は、コンテナの起動において特に時間のかかる処理である、「コンテナイメージの取得」の処理時間を短縮するものです。 今回は ③遅延読み込みを利用する にフォーカスし、 AWS Fargate (以降、Fargate) での Seekable OCI (以降、SOCI) を用いた遅延読み込みのデモを行いました。SOCI の詳しいご紹介はこちらをご覧ください。デモでは、SOCI インデクスの作成されたコンテナイメージを Fargate で起動し、起動時間が短縮されることが確認できました。コンテナの起動時間の長さで悩まれているお客様には必見の内容です。
AWS でメール配信システムを構築! Amazon ECS on AWS Fargate で楽楽運用
2 つ目のセッションでは、株式会社ラクスの下西 章王様より、メール配信システムの構築に Amazon ECS とFargate を採択した理由や実際の運用で良さを感じられている点についてお話しして頂きました。現在運用されているメール配信システム blastengine は、API 経由でメールを登録し、配信することで、高いメール到達率の実現を可能にするサービスです。Fargate の選定理由は、デプロイの手軽さ、可用性、Auto Scaling といった特徴により楽に運用を行うことができると考えられたためです。セッションでは、実際に上記 3 つの特徴をどのように活かされているかについてご紹介頂きました。リリース後のインフラ側の障害はゼロに抑えられており、運用者もお客様も安心して頂けるサービスとなっています。Fargate を用いてサービスの運用を楽にすることにご興味のあるお客様、是非こちらのセッションをご覧ください。
Amazon EKS と Argo Workflows で実現するタスク実行と AWS リソースとの連携方法
3 つ目のセッションでは、freee 株式会社 藤原 彰人様より、Argo Workflows を用いて Amazon EKS (以降、EKS) のクラスターのジョブ実行を管理する方法についてご紹介頂きました。EKS のジョブ実行管理に際して、Pull Request をトリガーとして Circle CI から EKS クラスターに対してシェルスクリプトを実行するという以前の構成では、権限統制の難しさ、Circle CI に与える権限の強さ、ジョブ実行の履歴の管理の難しさといった課題がありました。この課題を、Kubernetes 上で実行されるワークフローエンジンである Argo Workflows でのジョブ実行管理を行うことで解決されました。本セッションでは特に Workflow Archive と Artifact Repository の 2 つの機能にフォーカスしてご説明頂きました。Workflow Archive はワークフローの実行結果のデータを永続化することを可能にし、 Artifact Repository はログデータの永続化を可能にします。それぞれの構成内容や設定項目について具体的にご説明頂いているため、Argo Workflows を用いたジョブ実行管理にご興味のある方は是非ご確認ください。
Amazon EKS と KubeVela でプラットフォームエンジニアリングに入門しよう!
最後のセッションでは、ソリューションアーキテクトの後藤より、KubeVela を用いた EKS の運用の改善手法についてご紹介し、KubeVela を用いてアプリケーションをデプロイするデモを実施しました。EKS の運用のよくある問題として、Kubernetes の活用には専門知識が必要であることから、Kubernetes を管理するインフラチームの負荷が高くなってしまう点が挙げられます。この状況は、内部向けのプラットフォームとして独自の抽象化レイヤーを作成し、アプリケーション開発チームにとって十分な抽象化を提供することで改善することが可能です。抽象化レイヤーの作成には OAM (Open Application Model) という、プラットフォームを意識せずにアプリケーションを記述する仕様を用います。KubeVela は、Kubernetes で 上記の OAM を実装するための OSS です。本セッションでは KubeVela を用いて実現できる抽象化の具体例や、KubeVela を用いて開発するアプリケーションの構成要素についてご説明しています。デモでは kubectl apply
コマンドでマニフェストを適用してクラスター内のリソースを作成する流れと、Web UI を用いて GUI でアプリケーションをデプロイする流れを行いました。これにより、KubeVela を利用することでアプリケーション開発チームが Kubernetes の各種リソースの設定についての詳細な知識なしにアプリケーションをデプロイが可能であることが確認できました。EKS を活用されており、認知負荷を削減されたいと考えるお客様にぜひご覧頂きたい内容です。
いただいたご質問とその回答
「AWS 上でコンテナを爆速起動する⽅法をまとめてみた」について
Q. SOCI は AWS Graviton ベースの Fargate でも利用可能でしょうか?
A. 先日 ARM64 の CPU アーキテクチャにも対応したため、ご利用頂けます。
「Amazon EKS と KubeVela でプラットフォームエンジニアリングに入門しよう!」について
Q. KubeVela の Definition を自分達で作成する場合には、どのような流れで作成することになるのでしょうか?
A. プラットフォームを管理するチームが CUE 言語を使って書くことになります。ただし、 KubeVela CLI を用いて既存の YAML ファイルから Definition を作成することが可能なので、CLI を用いて雛形を作成し、その後カスタムして頂くことで手順を簡略化できます。
「Amazon EKS と KubeVela でプラットフォームエンジニアリングに入門しよう!」について
Q. ナレッジシェアの観点において KubeVela と Kubernetes どちらでも必要になると思いますが、KubeVela の方が簡易に学習可能ということでしょうか?
A. どちらの場合もナレッジシェアは必要になりますが、KubeVela をうまく活用することでナレッジシェアの量を減らすことができると考えております。例えば、Kubernetes のリソースの詳細についての理解が不要となります。
次回予告
次回は「Serverless 編」です。
ゲストスピーカーとして、株式会社ゼンリンデータコムの 新谷 亮人様、株式会社 Serverless Operations の 金 仙優 様、Ragate 株式会社の久保 翔太様、木村情報技術株式会社の徳山 鐘三様をお招きしまして、AWS でのサーバーレスな環境を構築・運用するための 4 のセッションをご提供します。
次回も多くの方々のご参加を心よりお待ちしております!
『アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間』の視聴申し込みでは複数月分をまとめてご選択頂くことが可能です!また、イベント開催直前にリマインドメールをお送りいたします。下記リンクから参加ご希望月の申し込みをお願いいたします。
第三十五回「アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」- Serverless 編-
- 開催日時:2023 年 10 月 26 日(木)16:00 – 17:30 オンライン開催
- アジェンダ
- 16:00 – 16:10 オープニングセッション
- 16:10 – 16:25 100 台のサーバー運用からの脱却を目指して:初めての AWS サーバレス環境構築の裏側
- スピーカー: 株式会社ゼンリンデータコム プロダクト第一開発部、シニアエンジニア 新谷 亮人 氏
- 16:25 – 16:40 人気番組の新作配信を安定起動させた、サーバーレスな AWS 分散負荷試験ソリューション「Distributed Load Testing」を使った負荷試験の仕組み
- スピーカー: 株式会社 Serverless Operations COO 金 仙優 氏
- 16:40 – 16:45 Q&A
- 16:45 – 17:00 【RDB 開発者向け】Amazon DynamoDB 設計ベストプラクティス事例紹介
- スピーカー:Ragate 株式会社 開発部、プロジェクトマネージャー 久保 翔太 氏
- 17:00 – 17:15 AWS マルチアカウント戦略を採用したサーバーレスアプリケーションの管理と運用
- スピーカー: 木村情報技術株式会社 システム開発本部 第三開発部 徳山 鐘三 氏
- 17:15 – 17:20 Q&A
- 17:20 – 17:30 クロージングセッション
- アジェンダ
このブログの著者
守田 凜々佳 ( Morita Ririka )
ソリューションアーキテクトとして ISV/SaaS 系のお客様の技術支援を行っております。好きなサービスは Amazon QuickSight です。週末はヴァイオリンを弾いて過ごしています。