導入事例 / 保険

2025
住友生命保険相互会社

住友生命、DX・デジタル戦略の加速に向けて
AWS 大阪リージョンにミッションクリティカルな
基幹系システムを移行、インフラコストを
15% 削減

15%

インフラコストの削減

数日~数週間

インフラの調達期間

80%以上

クラウドチームへの問い合わせ対応負荷の軽減

AWS の大阪リージョンをメインリージョンとしたインフラ運用

概要

大手生保の住友生命保険相互会社(以下、住友生命)は、DX・デジタル戦略の加速に向けて次世代 IT アーキテクチャの検討を開始。オンプレミス環境で運用している基幹系システムのクラウド移行を決断し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の大阪リージョンをメインに、全社共通イントラシステムと販売情報システムを移行しました。これにより、インフラコストを従来比で約 15% 削減し、併せて運用負荷を軽減しています。現在も、クラウドファーストの方針に基づき、さまざまな業務システムの移行を進めています。

住友生命保険相互会社

ビジネスの課題 | DX・デジタル戦略の加速に向けて次世代 IT アーキテクチャを構想

「住友生命グループ Vision2030」のもと、ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』を目指す住友生命。従来型の生命保険に加えて、保険と健康を組み合わせた新たなサービス『住友生命「Vitality」』を 2018 年から展開しています。Vitality のシステムはユーザーとのつながりを目的とした SoE(System of Engagement)に位置付け、AWS 上で全面運用しています。

従来型の生命保険システムはデータを記録する SoR(Systems of Record)に位置付けており、個人保険や企業保険などの契約管理システムはメインフレームで運用しています。契約情報をもとに、営業職員、代理店、内勤職員などがそれぞれの業務で利用するシステムは、オープン系システムとしてオンプレミス環境で運用し、250 ほどのシステムを 5~7 年単位で更新を重ねてきました。

しかし、オンプレミス環境で開発したオープン系システムは、将来を見据える中でやりたいこと、やるべきことができなくなる(機能性低下)、資源調達に必要以上の時間がかかる(柔軟性低下)、コストがかかる(生産性低下)、など、さまざまな懸念がありました。そこでリスク分析・点検を実施し、2019 年より次世代 IT アーキテクチャの検討を開始。その結果、必要に応じてクラウドや外部サービスを組み合わせて実現する必要があるとの結論に至りました。「新しいテクノロジーを活用して迅速に保険サービスを提供すること、開発コストやインフラコストを抑えて生産性の向上を図ることを目指してクラウドファーストを決断しました」と語るのは、情報システム部長代理の藤原祥雅氏です。

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基幹系システムを AWS 上で稼働させることについて、当初は若干の不安もありました。実際に移行してみると安定性が高く、次世代 IT アーキテクチャの第一歩として成功を収めることができました"

藤原 祥雅 氏
住友生命保険相互会社 情報システム部長代理

ソリューション | 金融機関として初めて大阪リージョンをメインに採用

オープン系システムのクラウド化は、顧客接点の進化を図りながら既存アプリ資産を有効活用する方針とし、5~7 年単位のシステム更改のタイミングで段階を踏みながらクラウドに移行する計画を立てました。

クラウドについては、Vitality のシステムや、SoI (System of Insight)の基盤として 2020 年に構築したデータレイク・分析環境の稼働実績から AWS を採用しました。スミセイ情報システム 基盤システム第 1 部グループ長の神野司氏は「Vitality で得た情報と連携して保険販売に活用することも想定し、基盤を AWS で共通化するメリットが大きいと判断しました。加えて、システム要員のスキルを集約化することで人員の負荷を下げられる点や、稼働中システムに対するトラブルサポートやアドバイスなども期待して AWS の採用を決めました」と語ります。移行先については金融機関として初めて AWS の大阪リージョンをメインリージョンに採用し、東京リージョンを災害対策環境とする構成としました。

「当社の場合、メインフレームが関西にある関係で、自社システムとの連携やシステムの可用性などを考えて大阪をメインリージョンにしました。当時は東京と大阪で AWS の提供サービスに差があったものの、AWS ジャパンの担当者が米国 AWS の開発チームと協議して必要なサービスの早期リリースを確約していただいたので、スムーズに開発・移行を進めることができました」(藤原氏)

AWS の採用決定後、最初の移行対象としたのが 4 万人弱の営業職員向けの営業端末のシステム基盤である『販売情報システム』と、1 万人以上の内勤職員向け業務端末のシステム基盤である『全社共通イントラシステム』です。

開発フェーズでは、AWS プロフェッショナルサービスを活用し、設計やコストの最適化を図りました。具体的には、VPC 構成の検討、アカウントの設計、サービス共通化の検討、パフォーマンスの最適化などです。スミセイ情報システム 基盤システム第 1 部の丘本悠真氏は「AWS のコンサルタントはネットワークや金融システムに関してもナレッジが豊富で、当社の環境を理解したうえで的確なアドバイスをいただきました」と振り返ります。

同様に AWS プロフェッショナルサービスから人材育成に関する支援も受け、エンジニア向けのモダンアーキテクチャに関するワークショップや管理職向けのワークショップも実施。1 年半にわたるプロジェクトを通してエンジニアの意識も大きく変わりました。

スミセイ情報システム 基盤システム第 1 部コンサルタントの八木祐二氏は「これまで、アカウントを管理するエンジニアからの問い合わせがすべてクラウドチームである私たちに寄せられていました。今回、AWS プロフェッショナルサービスに技術支援を依頼したことで、エンジニアが自ら課題解決に向き合う意識が芽生えました。その結果、クラウドチームへの問い合わせが従来から 80% 以上減りました」と語ります。

アーキテクチャ

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導入効果 | AWS プロフェッショナルサービスを活用した確実な移行、および AWS の支援を活用しコストを最適化

プロフェッショナルサービスによるアーキテクチャ検討支援を受けて AWS への移行を終えた『販売情報システム』と『全社共通イントラシステム』は現在も安定稼働を継続しています。

「ミッションクリティカルなシステム群を AWS 上で稼働させることに当初は若干の不安もありました。実際に移行してみると非常に安定性が高く、次世代 IT アーキテクチャの第一歩として成功を収めることができました」(藤原氏)

開発フェーズでの AWS プロフェッショナルサービスの活用や、運用フェーズでの AWS のエンタープライズサポートの活用によりコスト最適化も進み、インフラコストをオンプレミス比で約15% 削減しています。

「開発フェーズにおいてプロフェッショナルサービスからサイジングに関するアドバイスをいただきました。また、Savings Plans や Migration Acceleration Program 2.0(MAP2.0)クレジットを適用する提案を AWS の支援チームから受けることでコスト削減が進みました。運用フェーズにおいても AWS のテクニカルアカウントマネージャー(TAM)との定例ミーティングでアドバイスを受け、当初の予定より AWS の利用料金を下げることができました」(神野氏)

今後については、オンプレミス環境上で保守サポートが終了するシステムから順次 AWS への移行を進め、最終的には 2027年を目処にクラウド移行を完了する予定です。将来的には既存システムのアーキテクチャのクラウドネイティブ化や生成 AI の活用に着手するほか、メインフレームの保険契約管理システムについても、他システムとの連携が容易にできるように API 化を進めたり、AWS 上のクラウドネイティブなアプリケーションに段階的にマイグレーションしたりする構想を描いています。

「クラウド推進については、CCoE を中心に継続的に共通基盤の強化とコスト最適化を進め、AWS の TAM/CSM と弊社の CFM の成熟度についても確認をし、ワンタイムのコスト最適化に終わらず PDCA サイクルでコスト最適化の見直しをする取り組みを、AWS のユーザーコミュニティ等を活用して最新の情報を収集しながら取り組んでいきます」(神野氏)

カスタマープロフィール:住友生命保険相互会社

「社会公共の福祉に貢献する」をパーパスに、豊かで明るい健康長寿社会の実現、持続可能な社会の実現、ウェルビーイング(よりよく生きる)への貢献を目指す。長期的に目指す姿として、『日本・世界・地球未来のウェルビーイングに貢献し続ける保険会社グループ』を掲げ、Vitality を核とした先進価値で、保険や健康増進といった顧客ニーズに応える領域はもとより、地域創生や地球環境など社会課題の解決にも積極的に取り組む。

住友生命保険相互会社
藤原 祥雅 氏

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神野 司 氏

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八木 祐二 氏

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