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週刊AWS – 2020/12/14週 (re:Invent 特別編集号)

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。
今週も週刊AWSをお届けします。

3週間に渡って開催した AWS re:Invent 2020 のWave 1が終了しました。今回は初のオンライン開催でしたが、みなさま楽しんでいただけましたでしょうか?第1週と第2週のセッションの多くはオンデマンド配信が開始になっています。こちらにカテゴリ別に整理されていますので、見逃した内容がある方はぜひチェックしてみてください。

今号は引き続きre:Invent特別編集号として、筆者らが独断でピックアップした重要アイテムを紹介する形でお送りします。今号はKeynote (Werner Vogels)とLeadership Session (IoT)で発表されたものを中心にご紹介します。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2020年1 2月14日週の主要なアップデート – re:Invent 2020 特別編集号

  • AWS Fault Injection Simulator のローンチを予告
    • カオスエンジニアリング用のマネージドサービス Fault Injection Simulator が2021年にローンチ予定である事が発表されました。
    • カオスエンジニアリングはシステム障害を意図的に発生させることで、システムの弱点を早期に特定、改善につなげるための手法です。
    • AWS Fault Injection Simulatorは実世界で発生しうる障害(例えばCPU利用率が100%に張り付く等)をユーザが定義し、意図的に発生させる事を可能にします。
  • AWS Wavelength が東京で一般提供開始に
    • 5Gネットワーク上で低遅延アプリケーションの構築を可能にするWavelentghが日本でも利用可能になりました。東京でKDDIが提供する5Gネットワークから利用可能です。
    • Wavelengthは、5Gキャリア(KDDI)のネットワークエッジにAWSサービスを配置し、エッジネットワークで応答を返すことで、5Gの低遅延を活かしたアプリケーション構築を可能にする仕組みです。
    • 5GでAWSを利用 = Wavelengthが必須という意味では無い点にはご注意ください。5G通信は通常のインターネットアクセスが可能ですので、エッジネットワークでの応答が必要ないようなケースであれば、Wavelengthを使わずとも(通常通り)AWSサービスを活用したサービス構築が可能です。
  • 位置データを活用したアプリケーション構築を可能にする Amazon Location Service がプレビュー開始
    • Amazon Location Serviceがプレビュー提供開始になりました。東京リージョンでもプレビューで提供を開始しています。
    • Amazon Location Serviceを利用すると、どこに居るかを認識したり、その位置に応じて応答を返すようなアプリケーションを構築できます。地図データはパートナー(現在はEsriとHERE)が提供しており、ユーザはどれを使うかを選択可能です。
    • 例えば地図を作り、SDKで簡単にアプリケーションに埋め込んだり、特定の領域を定義し、その領域にデバイスが入った際に通知を受ける(ジオフェンシング)といった機能が従量課金で利用可能です。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS IoT Greengrass 2.0 が利用可能に
    • エッジデバイスにAWS Lambda等の動作環境を提供するAWS IoT Greengrassの2.0が発表されました。V2.0では構成がモジュール化され、ユースケースもしくはデバイスの性能に応じてコンポーネントの組み合わせを調整しやすくなりました。
    • また、このバージョンからソースコードがApache 2.0ライセンスになり、ソースコードがGithubで公開されるようになりました。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • LoRaWANの接続・管理を容易にするAWS IoT Core for LoRaWANが利用可能に
    • 省電力で広い領域での通信実現するLoRaWANデバイスの接続や管理を実現するAWS IoT Core for LoRaWANがリリースされました。
    • IoT Core for LoRaWANでは、LoRaWANのネットワークサーバ(LNS)を提供し、プライベート LoRaWan ネットワークをセットアップ可能にします。また、AWS IoT のルールエンジンと連携することでデバイスからのデータをルールに基づいて処理することが可能です。
    • 現在はバージニアリージョンとアイルランドリージョンで利用可能になっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • FreeRTOSで長期間サポート(LTS)が提供開始
    • オープンソースのリアルタイムOS(RTOS)であるFreeRTOSに長期間サポート(LTS)が提供されることが発表されました。
    • リリースされたFreeRTOS 202012.00 LTSでは、カーネルだけでなく FreeRTOS+TCP、 coreMQTT、 coreHTTP等のライブラリも含まれており、これらすべてのライブラリについて最短でも2022年12月31日まで セキュリティアップデートと重大なバグ修正が提供されます。
    • 詳細はこちらのブログをご覧ください。またFreeRTOSのホームページでは今後のロードマップも公開されています。これによると、18か月ごとにLTSリリースが予定されていることがわかります。
  • AWS IoT EduKitを発表
    • AWSのサービスを使ったIoT機器開発を効率的に学ぶことができるAWS IoT EduKitが発表され、同時にそのリファレンスハードウェアが販売開始になりました。一般的にIoTの学習においては、学習で使う機能を満たすハードウェアを正しく選択する必要がありますが、IoT EduKitではリファレンスハードウエアと資料を合わせて提供することでこれを簡単にし、学習をスムーズに進められるようにします。
    • リファレンスハードウエアはM5Stakベースであり、Amazon.comM5Stack公式ホームページ等から購入が可能です(ただし記事執筆時点ではどちらも入荷待ちになっています)
    • リファレンスハードウエアを入手した後は、こちらのワークショップ資料にそって学習を進めることが可能です。
  • Amazon CloudShellが利用可能に
    • AWSのCLI(コマンドライン)環境に簡単にアクセスできるAmazon CloudShellが発表され、一般利用可能になりました。管理コンソール上部にCloudShellのアイコンが設置されており、押すだけですぐにCLI環境にアクセスが可能です。
    • 環境はAmazon Linux 2ベースで、作業に必要なAWS CLIやBashだけでなく、Pythonやgit等のコマンドも導入済です。
    • $HOME領域には1GBの容量が割り当てられており、ここにファイルを置いておく事が可能です。ただしセッション終了後120日間アクセスが無い場合は削除される点にご注意ください。$HOME以外の部分は永続的ではありません。つまり、$HOME以外の領域を更新してもセッションが終わると元に戻るようになっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS LambdaでAmazon DynamoDBやAmaon Kinesisと連携したストリームデータ処理が可能に
    • DymanoDB StreamやKinesis Data Streamに入ってくるストリームデータをLambdaに渡し、Lambdaでストリーム処理を実現できるようになりました。
    • タンブリングウィンドウ(時間枠単位)でデータを受け取り、合計や平均を出すといった計算処理を実現可能です。これまでこういった処理にはKinesis Data Analytics でSQLやApache Flinkを使った構築が可能でしたが、これに新しい選択肢が加わった形です。
  • AWS Systems Manager Fleet Manager が利用可能に
    • AWS Systems ManagerはAWSリソースだけでなく、オンプレミスのリソースも統合して管理するハブ機能を提供しています。今回発表されたFleet Managerは、管理化のサーバ内リソースをOS独自のコマンドやシェルログインなしで管理する機能を提供します。
    • 管理対象のサーバ(AWS、オンプレミス)にSystems Manager エージェントを導入することで管理が可能になります。対応OSはWindows、 Linix、macOSです。
    • 管理対象のファイルの内容確認や、CPU・メモリといったリソース状況等がGUIから確認可能です。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon Managed Service for GrafanaとAmazon Managed Service for Prometheusがプレビュー提供開始に
    • AWSとGrafana Labs とのパートナーシップにより、複数ソースからのデータを視覚化して分析するGrafana環境をマネージドサービスとして提供されるAmazon Managed Service for Grafana (AMG) のプレビューが開始されました。詳細はこちらのブログをご覧ください。
    • 同時にOSSのモニタリングソリューションであるPrometheusをマネージドサービスとして提供するAmazon Managed Service for Prometheus (AMP)もプレビュー提供開始になりました。プレビューには、Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) および Amazon Elastic Container Service (ECS) のサポートも含まれますし、オンプレミスのKubernetes クラスターの管理にも利用可能です。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon Route 53 が DNSSECをサポート
    • ドメインネームシステム(DNS)サービスであるAmazon Route 53が、セキュアなDNS問い合わせ実現するDNSSECをサポートしました。設定についてはこちらのドキュメントをご覧ください。
  • Amazon SQSのFIFOキューでハイスループットモードがプレビュー提供開始
    • サーバレスのキューサービスであるAmazon SQSのFIFOキューに、より高いスループットを提供するモードが、プレビューとして利用可能になりました。
    • FIFO (First-in, First-out)は、キューに入った順番をまもって取り出すことができるキューです。プレビューではこれまでの10倍にあたる秒間最大3,000メッセージが処理可能になっています。現在バージニア、オハイオ、オレゴン、アイルランドの各リージョンでプレビュー利用が可能になっています。

今週も大盛の内容になりましたが、まだまだお伝えできていない内容がたくさんあります。このre:Invent 2020 第3週の内容は今日(12/21) 18時からのAWS Blackbelt オンラインセミナーで詳細に説明しますので、こちらもぜひご覧ください。こちらから申し込みが可能です。また、第1週分の説明スライドはこちら第2週分はこちらで公開していますので、ご参考になさってください。

そしてre:Invent 2020はまだ終わっていません。Wave 2が2021年1月12日~14日で開催される予定です。こちらもお楽しみに。

 

週刊AWSの今年の分は今号で最後です。読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。どうかよい新年をお迎えください。

(でも今週たくさん発表があったら、年内にもう一回書くかもしれません)

 

ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)