Amazon Web Services ブログ

Amazon Location Service と AWS Amplify によるインテリジェントフィールドサプライチェーン

この記事は、Intelligent field supply chain with Amazon Location Service and AWS Amplify を翻訳したのものです。

ダイレクト・ストア・デリバリー (DSD)、ルートセールス、フィールドサービスチームの最短経路を支援するためのソリューションガイダンスです。

交通渋滞は、ルートセールスやフィールドサービス技術者にとって時間の損失です。運行時間の短縮は、従業員の士気、顧客満足度、そして会社の収益に貢献します。このブログでは、Amazon Web Services (AWS) を利用して、運転状況をほぼリアルタイムで追跡しながらルートを作成し最適化するアプリケーションについて説明します。

誰が得をするのか?

多くの食品・飲料メーカーは、ダイレクト・ストア・デリバリー (DSD) フルフィルメントモデルを採用し、流通戦略やマーチャンダイジング (商品政策) を管理しながら、優れた店舗運営により顧客満足度の向上を図っています。しかし、現場の従業員の離職率は高く、ルートセールス担当者の年間離職率は最大 30 %にも上ります。DSD のルートは毎日変わるわけではありませんが、時々キャッチアップしなければなりません。顧客層や従業員の変化によりテリトリーが変更されたり、ドライバーが休暇を取ったり病気になったり、最優先で対応しなければならない店長からの緊急のメールが届いたりすることもあります。他の業界では、フィールドセールス・産業用や家庭用の機器設置と修理をするサービス技術者は、勤務終了前にその日の仕事をすべて完了させなければなりません。効率的な経路設計と便利な経路の再設計にすることで、お客様と接する時間が増え、在庫の回転率やマーチャンダイジングが改善され仕事のやりがいも向上します。満足している顧客と従業員は会社の利益にもつながります。

位置認識で道を切り開く

大企業のビジネスプロセスは、その企業特有のものであることが多く、IT チームは市販のビルディングブロックを用いてオーダーメイドのソリューションで解決策を考えなければなりません。ニアリアルタイムの位置情報と路程の管理、ジオコーディング / リバースジオコーディング、最適経路の生成などの新しいスキルや技術を定期的に学習し、動作検証をしなければなりません。

AWSソリューション– Intelligent Route Optimization and Tracking using Amazon Location Services and AWS Amplify – は、すぐに導入できる新機能で、AWS の複数システムをまとめたものです。既存のワークフローやアプリケーションに経路管理や位置認識を追加したり、新しいアプリケーションの基盤として利用することも可能です。このソリューションは Web アプリケーションとしてパッケージ化されており、運行管理者、ドライバー、顧客 (店主、個人顧客) 毎の異なるワークフローを含み、役割ベースのアクセスをサポートできます。3つのモジュールで構成され連動しています。

  • ルート入力
    地図をクリックしたり、検索ボックスに住所を入力するだけで、ルートの起点、終点、経由地が作成できます。マップビューにより、配車担当者が直感的にテリトリーの割り当てや再配置を行うことができ、他のドライバーを助けるために最も近いドライバーを特定することができます。
  • ルート計算
    総移動時間、道路網、距離、交通量などから、地点群を経由する最適な順序を自動的に算出するソリューションです。
  • ルート・トラッキング
    ドライバーの位置は、Internet of Things (IoT) やモバイルデバイスからのデータにより、ほぼリアルタイムで地図上に自動的に更新され、安全性が向上するとともに、近くのチームメンバーからの支援を受けられる可能性があります。

AWS のネイティブサービスを利用し、ルート入力・計算・トラッキングを簡素化

下図は、アプリケーションの3つのモジュールが裏側でどのように連携しているかを示しています。

  • ルート入力
    ルート入力コンポーネントは、AWS Amplify の React を使用した、フロントエンドの Web およびモバイル開発者が AWS 上で迅速かつ容易にフルスタックアプリケーションを構築するための専用ツールおよび機能のセットです。AWS Amplify の他に、このソリューションでは、最新の Web およびモバイルアプリケーションの構築を簡素化する AWS AppSync、サーバレスの GraphQL および Pub/Sub API サービスと Amazon DynamoDB (ハイパフォーマンスなアプリケーションを実行するために設計されたフルマネージドサーバレスでキーバリュー型の NoSQL データベース) を組み合わせることで、運行管理者が地図や検索ボックスから目的地や経由地を入力し保存できます。

    • AWS Amplify と Amazon Location Service は、アプリケーションに位置情報を確実に追加でき、地図を表示し、地図上で出発地、目的地、経由地を入力するために利用します。
    • AWS Amplify と AWS AppSync の連携 (AWS Amplify と API) は、Amazon DynamoDB をデータソースとした AWS Amplify map UI (React) のために、GraphQL スキーマを自動生成するために利用します。AWS AppSync は、Amazon DynamoDB の項目に運行識別情報 (主キー) と経路の位置座標 (緯度・経度) を格納します。
  • ルート計算
    経路計算コンポーネントは、AWS Lambda (サーバーレスでイベント駆動型の計算サービスであり、お客様はサーバーのプロビジョニングや管理を行わずに、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行できる)、Amazon Location マトリックスルーティングAWS AppSync を用いて、最適化された最短所要時間で最低コストのルートを自動作成し地図上に表示します。

    • AWS Lambda は、Amazon DynamoDB から初期位置座標を取得し、Amazon Location のルート計算機能であるマトリックスルーティングにより、最低コストのルートを計算します。
    • AWS Lambda は最適化されたルートを Amazon DynamoDB にソートされたポイントリストとして保存し、Amazon Location map API を使用して初期ルートを表示します。
  • ルート・トラッキング
    ルート・トラッキングコンポーネントは、AWS Amplify ベースの React アプリケーションと AWS AppSync、AWS IoT Core (クラウドにディバイスを接続できるサービス)、 Amazon Location tracker を組み合わせ、ドライバーがルート完走したか地図上で追跡できます。また、車両に搭載された IoT センサー / デバイスをシミュレートすることも可能です。

    • IoT デバイスは、IoT コアに位置情報の更新を送信します。
    • IoT コアは、Amazon Location tracker の AWS Lambda を呼び出し位置情報を更新します。
    • AWS Lambda (AWS Amplify と AWS Lambda 関数) は、 AWS Amplify map UI (JavaScript) を使用して、トラックの速度や時間計算に基づいて位置情報の更新を読み取ります。
    • AWS Amplify map UI (JavaScript) は、IoT デバイス / トラックの位置をほぼリアルタイムで地図に更新します。

より高度な機能実装に向けて

ルート最適化、運行、配送は日常的に行われていますが、サプライチェーン、カスタマー・フルフィルメント、サービスのリーダーは、ここで紹介した機能を基に、差別化されたサービスを作り、長期的に顧客価値を向上させることができます。AWS は、堅牢で優れたアーキテクチャーの永続化、可視化、交通手段とチームパフォーマンスのデータ分析を可能にします。
お客様は、このデータを AWS の機械学習ベースのテクノロジーと組み合わせて、配送が定刻目標を達成しているかどうかを判断し、サービスのキャパシティと予測される需要のバランスをとり、IoT を活用した AWS サービスにより、外出先での生産性向上をさせることができます。

DSD、ルートセールス、フィールドサービスのルートプランニングの自動化と簡略化をお考えなら、AWS はこのような重要な課題を克服し、オペレーションの改善するお手伝いをします。AWS アカウントチームまでご連絡ください。

翻訳は Solutions Architect の Takashi Inada が担当しました。