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HTML5 モーショングラフィックスオーバーレイでライブストリームを強化する
ライブコンテンツにHTML5のグラフィック要素を追加することは、その容易さからリニア放送の強化のため一般的に利用されるようになってきています。これらのグラフィック要素は標準的なウェブ技術を用いて構築されているため、コンテンツ制作者は専用のオーサリングツールやレンダリングツールを使用する必要がありません。一般的な使用例としては、スポーツイベントにスコアボードやチームステータスを追加したり、ニュースチャンネルのLower Third(ローワーサード)をスクロールさせたり、エピソードコンテンツに今と次のバナーを表示したり、単にチャンネルロゴを追加したりすることが挙げられます。AWSはお客様からのご要望にお応えしてクラウド型のAWS Elemental MediaLiveとオンプレミス型のAWS Elemental Liveのビデオ処理ソリューションにHTML5ベースのグラフィックスのレンダリング機能を追加しました。
グラフィック要素はHTML5のウェブページで定義されています。例えば個々の要素のオン/オフ、スコアの更新、透明度の設定などはすべてグラフィックページ内で制御されます。AWS Elemental MediaLiveとAWS Elemental Liveはエンコード処理の際にビデオの上にグラフィックを重ねて表示します。MediaLiveとElemental Liveでグラフィックスを有効にするための一般的なアプローチは似ていますがいくつかの違いがあります。
MediaLiveでモーショングラフィックスを有効にする
MediaLiveでの利用にはまずMediaLive チャンネル全般設定にあるMotion Graphicsオプションを有効にします。有効にするとチャンネルの開始時にグラフィックスのオーバーレイに必要な追加リソースが配置されます。
そしてスケジュールアクションを使ってグラフィックの取得場所やオン/オフのタイミングをコントロールします。「Motion Graphics Activate 」アクションでは、グラフィックスページのURLと、必要に応じてアクセス認証情報を定義します。また、グラフィックスを画面に表示する時間(ミリ秒)を指定します。継続時間をゼロに設定すると「Motion Graphics Deactivate」アクションをスケジュールするか、チャンネルを停止するまでMediaLiveはグラフィックスをオーバーレイし続けます。AWS SDKまたはAWS CLIを使用して、スケジュールされたアクションを制御することもできます。
Elemental Liveでモーショングラフィックスを有効にする
Elemental LiveはMOV、PNG、アクションベースのSWFソースからモーショングラフィックスを挿入することに数年前から対応していました。バージョン2.21.0 GAではこの機能が強化され、HTMLソースからのレンダリングも可能になりました。MediaLiveと同様なチャンネルレベルでこの機能を有効にしますが、Elemental Liveではチャンネル(イベント)の設定で入力URLを指定します。
次にElemental Liveがグラフィックスオーバーレイをチャンネルの開始時に直ちにアクティブにするかどうかを定義し、オプションとしてmotion_image_inserter REST APIエンドポイントや受信ストリームに表示されるSCTE-35マーカーによる制御を有効にできます。SCTE-35 制御では、SCTE-35またはSCTE-104メッセージをエンコーダーの上流に挿入して、オーバーレイを有効または無効にするストリームのポイントを指定し、継続時間を指定するかしないかを決めることができます。SCTE-35の場合、システムはsegmentation_type_idが0x38(Provider Overlay Placement Opportunity Start)およびタイプが0x39(Provider Overlay Placement Opportunity End)のtime_signal()メッセージに反応します。
価格
MediaLiveではモーショングラフィックスオーバーレイの価格は、モーショングラフィックス機能を有効にしたチャンネルのランタイムに対して、グラフィックスの有効・無効に関わらず課金される従量制となっています。詳細はMediaLiveの価格ページをご参照ください。
Elemental LiveではHTML5グラフィックスは、有料のモーショングラフィックス・アドオン・ライセンスの一部として含まれています。この永久ライセンスは、アプライアンス上で実行されているすべてのチャンネルのモーショングラフィックス機能を可能にします。モーショングラフィックスを有効にすることで、チャンネルの密度(エンコード負荷)に与える影響を考慮することが重要です。Elemental Liveはモーショングラフィックスタスクにコンピュートリソースを割り当てるため、構成によってはこの追加負荷により各アプライアンス上で実行できる同時チャンネル数が減少する可能性があります。
独自のHTML5グラフィックページを生成することもできますし、すぐに使い始めたい場合や、グラフィックテンプレートやオペレーターまたはデータによる更新などの高度な機能を必要とする場合は、LIGR Systems、Singular.live、Videoflowなどのサードパーティのソリューションを利用することもできます。
質問やフィードバックがある場合や、他のコミュニティメンバーとのディスカッションに参加されたい場合は、AWS Developer Forums: Media Servicesをご覧ください。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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翻訳は BD山口とSA斎藤が担当しました。原文はこちらをご覧ください。