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新機能 – Amazon S3 Replication が複数の宛先バケットのサポートを開始しました

Amazon Simple Storage Service (S3) は、2019 年にローンチされた S3 Same-Region Replication (SRR)、および 2015 年から利用され続けている S3 Cross-Region Replication (CRR) などの数多くのレプリケーションタイプをサポートします。本日、AWS は複数の宛先バケットに対する S3 Replication のサポートを発表します。これにより、S3 Replication は、1 つのソースバケットから複数の宛先バケットにデータをレプリケートできるようになりました。S3 Replication (複数宛先) を使用すると、同じ AWS リージョン内のデータの場合は S3 SRR、異なる AWS リージョンにまたがるデータの場合は S3 CRR を使用してデータをレプリケートでき、これらの組み合わせを使用することもできます。

このローンチまでは、異なる S3 バケットにあるデータの複数のコピーを作成する必要がある場合、S3 イベントを監視し、作成されたオブジェクトを識別して、各宛先バケットにオブジェクトをコピーするための AWS Lambda 関数を使用することによって、独自の S3 Replication サービスを構築しなければなりませんでした。

このローンチによって、複数の宛先全体へのデータのレプリケーションに独自のソリューションを開発する必要がなくなります。S3 Replication (複数宛先) の柔軟性は、用途に応じて異なるストレージクラス、異なる暗号化タイプ、または異なるアカウント全体でデータの複数のコピーを保存するために利用できます。さらに、複数の宛先にレプリケートするときは、CloudWatch メトリクスを使用して各リージョンペアのレプリケーションの進行状況を追跡できます。

S3 Replication (複数宛先) は S3 Replication の拡張機能であり、レプリケーション時間のコントロール (RTC)、および DeleteMarkerReplication などの既存の S3 Replication 機能のすべてをサポートします。サービスレベルアグリーメントで保証された予測可能なレプリケーション時間が必要な場合は、RTC を使用してオブジェクトを 15 分未満でレプリケートできます。

S3 Replication (複数宛先) の使用開始方法
S3 Replication を動作させるには、レプリケーションに関与するすべてのバケット (ソースおよび宛先) でバケットバージョニングが有効化されている必要があります。

S3 Replication (複数宛先) を設定するには、レプリケーションルールを定義する必要があります。新しいルールは、バケットの [管理] ページにある [レプリケーションルール] で作成できます。

ルールの追加のスクリーンショット

新しいレプリケーションルールを作成する場合の重要なステップのひとつに、レプリケーションのためのアクセス許可の設定があります。S3 はユーザーに代わってオブジェクトをレプリケートする必要があるからです。これを実行するには、S3 ドキュメントページに記載されている指示に従ってください

レプリケーションルールは、コンソールのステップに従うだけで作成できます。このルールが適用されるバケットのオブジェクト、宛先バケット、レプリケートされたオブジェクトのストレージクラスを変更するかどうかに加えて、レプリケートされたオブジェクトにその他多くの設定を指定することができます。

レプリケーションルールの設定のスクリーンショット

ルールをアクティブ化する時の留意点は、アクティブ化した時点以降にバケットに追加されたすべての新しいオブジェクトに対してレプリケーションが開始されるという点です。ルールの作成前にバケットにアップロードされたオブジェクトは、S3 バッチオペレーションS3 コピーといった 1 回限りの操作を使ってコピーする必要があります。

CloudWatch メトリクスを使用してレプリケーションの進行状況を監視したい場合は、[レプリケーションメトリクスと通知] チェックボックスをオンにするようにしてください。

レプリケーションルールメトリクスの設定のスクリーンショット

レプリケーションに複数の宛先がサポートされるようになったため、同じ宛先を持つルールが 2 つ以上ある場合は、ルールの優先順位が使用されます。この場合、優先度が最も高いルールが適用されます。同じ宛先バケットについては、レプリケーション設定に重複するスコープを持つルールが 2 つ以上ある場合、優先順位の低いルールは適用されません。スコープが同じで宛先が異なるルールが 2 つ以上ある場合は、両方のルールが適用されます。

すべてのルールの概要は、バケットの [管理] ページにある [レプリケーションルール] のリストで確認できます。

レプリケーションルールリストのスクリーンショット

レプリケーションのモニタリング
すべてのルールを設定したら、ソースバケットへのオブジェクトのアップロードを開始して、それらが異なる宛先にレプリケートされる様子を監視できます。

ソースバケット内のオブジェクトのレプリケーションステータスは、オブジェクトの [詳細] で [レプリケーションステータス] を確認できます。ステータスタイプは以下のとおりです。

  • 完了: レプリケーションがすべての宛先で正常に行われました。
  • 保留中: レプリケーションが現在進行中です。
  • 失敗: レプリケーションが少なくとも 1 つの宛先で失敗しました。レプリケーションが失敗した場合にそれを修正する唯一の方法は、オブジェクトを再度アップロードすることです。

オブジェクトメタデータのスクリーンショット

レプリケートされたオブジェクトについては、[レプリケーションステータス] に [レプリカ] ステータスが表示されます。

CloudWatch メトリクスを使用してレプリケーションを監視することもできます。まず、ルールごとにメトリクスを有効にする必要があります。そうすると、バケットの [メトリクス] でメトリクスを表示するルールを選択でき、ルールそれぞれのグラフを表示できます。メトリクスは CloudWatch コンソールでも使用できます。

レプリケーションメトリクスのスクリーンショット

利用可能なリージョン
S3 Replication (複数宛先) は、本日からすべての AWS リージョンでご利用いただけます。使用を開始するには、AWS マネジメントコンソールSDKS3 API、または AWS CloudFormation を使用して、1 つのソースバケットから複数の宛先バケットへのレプリケーションルールを作成できます。

各ルールには、S3 Replication (複数宛先) の料金が適用されます。料金の情報は、Amazon S3 の料金ページをご覧ください。

この新機能の詳細については、S3 Replication ページを参照してください。

Marcia