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消費財業界における Direct-to-Consumer 販売(直販)への道

消費者の購買習慣はパンデミックにより世界中で急速に変わり、多くの消費財(CPG)企業は、市場シェアの拡大とブランド構築、新商品のテストなど消費者により近づくための手段として Direct-to-Consumer (直販、以降 DTC)を伸ばす機会を狙っています。Forbes の記事で指摘されているように、e コマースは2020 年のパンデミックによって加速され、近年では 2 桁成長となっており、消費財企業は DTC 戦略を迅速に展開あるいは、拡大する方法を模索しています。しかし、消費財企業が DTC 展開を、リスクを最小限に抑えつつ妥当なコストで、かつ迅速に推進するにはどうすればよいのでしょうか。このブログでは、VTEX 社のエンドツーエンドテクノロジーソリューションである DTC Launchpad(訳注: ローンチパッドは発射台の意味。転じて素早く起動するためのもの)を紹介します。VTEX 社は長年にわたり AWS における小売業界コンピテンシーのテクノロジーパートナーであり、コマースソリューションを世界的に牽引するプロバイダーです。

消費財業界の DTC 販売における重要な要素

DTC 販売戦略の実現は困難な作業のように思えるかもしれません。e コマース分野で成功を収めるべく、小売業界はテクノロジーと流通システムに何年も投資をしてきました。 しかし、かつては不可能だったスピードと柔軟性を提供するクラウド技術により複雑な部分の多くが解消されました。

DTC 展開の成功のためには、すべての企業が以下のような点を考慮すべきです:

  • ウェブサイトとマーケティング – 消費財企業は、DTC 販売のためだけに新しいウェブサイトを準備したり、既存のウェブサイトを刷新しなくてはならない場合があります。商品を購入してもらうために消費者を小売パートナーのウェブサイトに誘導しないようにするためです。また、自社のウェブサイトで消費者に直接マーケティングを行います。商品の購入を通して重要な個人データを提供してもらえるよう、魅力的なブランド体験を提供する方法も必要です。
  • 顧客データ – 自社の顧客データ、あるいは名前、住所、電話番号といった個人を特定できる情報(personally identifiable information; PII)を収集、管理、保護することは、DTC 販売の重要な要素です。顧客データを取得することには大きなメリットがありますが、地域や州、国のデータ管理法に準拠するための戦略が必要です。
  • 支払いと消費税の現地対応 – 消費財企業において、DTC 販売は、小売パートナーへの商品の卸売りとは大きく異なります。 e コマースでの支払いや会計処理のためのシステムを導入してトランザクションを管理し、地域ごとの消費税規制に準拠しなくてはなりません。クレジットカード取引のデータ保護とセキュリティを確保するため、Payment Card Industry Data Security Standard(PCI DSS)にも準拠する必要があります。
  • フルフィルメント – 消費財企業は一般に、大量の商品を流通業者や卸売業者に出荷します。DTC 販売ではそのフルフィルメントモデルを変更して、商品を少量ずつ個別の消費者に配送する必要があります。

消費財業界にとっての DTC 販売のメリット

DTC 販売モデルを実現することで、消費財企業は消費者により近くなり、彼らの期待とニーズを理解してそれを満たす商品を開発し、消費者と長期的な関係を築くことができます。パーソナライズされたコンテンツや体験、プロモーションで消費者をナーチャリングすることで、より多くの商品を購入してもらうとともに、返品率を抑えます。結果として消費財企業にとっての顧客生涯価値(CLV)を高めることができます。

消費財企業のための DTC ローンチパッド

あなたが消費財企業の立場で DTC 販売モデルを実現しようとしているのであれば、DTC ローンチパッドは素早く成功を達成する助けになるはずです。VTEX により AWS 上に構築されており、AWS のクラウドネイティブなサービスと完全に統合された、エンドツーエンドのソリューションで、VTEX の提供する e コマースと、オンラインマーケットプレイスソリューションである Collaborative Commerce とを組み合わせたものになっています。消費財企業が DTC 販売戦略をできるだけ速やかに実現するために必要な機能を提供しています。

ウェブサイトとマーケティング

一つあるいは、複数の地域にわたるグローバルな運用をサポートするようにスケール可能な、完全な e コマース機能を備えたウェブサイトをわずか8〜10週間で作成できます。VTEX Collaborative Commerce プラットフォームには構築済みパーソナライズエンジンも付属していますが、Amazon Personalize との統合も選択できます。Amazon Personalize は、ウェブサイトを閲覧する購入者に、機械学習を利用してパーソナライズされた商品レコメンデーションを提供する、強力な顧客エンゲージメントツールです。また、Amazon Connect の利用で、DTC 顧客に応答性の高い効率的なサービスを提供することも考えられます。

顧客データ

DTC ウェブサイトを構築して自社の顧客データを収集することは、消費者の嗜好を知るためには最良の方法です。消費財企業はオンライン、オフラインにおいてよりパーソナライズされた体験を提供し、より多くの収益を得ることができるようになります。 DTC ローンチパッドには、Google Analytics などのオンライン分析ツールとの統合が予め組み込まれていますが、SegmentCordialAmperitymParticleTealium といった AWS リテールのトップパートナーが提供する他のツールとも統合できます。自社の顧客データをソリューションから出力して顧客データプラットフォーム(CDP)に取り込み、顧客とのパーソナライズされたビジネスを促進できます。

支払いと消費税の現地対応

DTC ローンチパッドは、ユーザーフレンドリーで直感的なチェックアウトプロセスとなっており、Amazon Pay と統合して、Amazon Pay が利用可能であればどこでもトランザクションを管理することができます。現在、Amazon Pay は米国や英国、ヨーロッパの多くの国でご利用いただけます。3,300 万人以上のアクティブユーザーから信頼されています。Cybersource などの決済代行や Avalara などの税額計算プロバイダーとも統合されていて、オンライン取引は PCI DSS と消費税規制に確実に準拠できます。

フルフィルメント

早く時間通りの配達を保証するため、DTC ローンチパッドは Amazon’s Multi-Channel Fulfillment (MCF)との統合機能が組み込まれています。在庫を Amazon の倉庫に保管し、顧客の注文があれば Amazon が商品をピックし、梱包し、1 日〜 2 日、あるいは標準の配送オプションで発送します。MCF は現在、北米、英国、およびその他の国々で利用可能です。

DTC ローンチパッドにより、消費財企業が合理的な販売戦略と高い顧客生涯価値を実現するために必要とする、あらゆるソリューションとプロセスを提供します。

SaaS サブスクリプションモデルでは、主要な技術実装に伴う典型的な多額の先行投資を伴う CAPEX コストではなく、OPEX の勘定科目の恩恵を受けることができます。 DTC ローンチパッドは、企業ニーズと DTC 販売戦略に合わせて構成することもできます。事前定義されたユーザーエクスペリエンステンプレートを使用することも、開発者がターゲット顧客に基づいたユーザーエクスペリエンスをカスタマイズすることもできます。ソリューション全体が AWS クラウドインフラストラクチャ上に構築されているため、99.99% のコンピューティング SLA を享受いただくことができ、購入繁忙日でも実質的なダウンタイムなしが保証されます。

あなたの会社が DTC 販売戦略を進めている場合、AWS 上で VTEX の提供するこのエンドツーエンドのソリューションが、リスクとコストを抑えながらデジタルコマース推進を可能な限り素早く立ち上げるのに役に立つはずです。Danny、Scott、VTEX、あるいは AWS に質問がある場合は、以下にコメントを残してください。デモをご要望の場合は VTEX か、AWS アカウントチームに今すぐお問い合わせください。


著者について

Danny Yin

Danny(Yen-Lin)Yin は、消費財業界における AWS パートナーのグローバルテクニカルリードです。 E コマースアプリケーションの開発と運用に18年の経験を持ち、2018年に AWS に入社しました。Danny は、消費財企業が消費者に提供するデジタルユーザーエクスペリエンスを向上させ、さまざまな事業分野で運用効率を高める支援をしています。 Danny は、 AWS における消費財業界テクノロジーと、コンサルティングパートナーのソリューションアーキテクチャと技術支援も担当しています。 AWS 以前は、トイザらスでデジタルエンジニアリングのディレクターを務め、アウトソーシングしていた世界最大の玩具ウェブストアを、オンプレミスと AWS のハイブリッドクラウドのアプリケーションへと自社開発で移行することに成功しました。

Scott Dahlgren

Scott Dahlgren は現在、北米 ISV / テクノロジーパートナーストラテジー チームを主導しており、VTEX 社とともに VTEX Collaborative Commerce ソリューションを強化する価値のある、有意義なエコシステムの構築を目指しています。Scott はキャリアの多くを様々な規模のテクノロジー企業に投じ、需要の増加と配送機能の拡張を生み出す価値の高いパートナーチャネルを開発する支援をしてきました。以前の役職としては、Magento でワールドワイドチャネルセールスの責任者、Akeneo でグローバルチャネル開発担当副社長、Drupal Commerce で米国マネージングディレクターを歴任してきました。

翻訳は Solutions Architect 杉中が担当しました。原文はこちらです。