AWS Startup ブログ

Amazon Personalize の導入により、購入ボタンのクリック数 1.2 倍、フォロー数 1.5 倍に。REGALI 社の AWS 活用事例

3 社のスタートアップ企業による Amazon Personalize の活用事例を 3 日間連続でご紹介します!

第 2 弾はコーディネートや口コミからアイテムを簡単に探せる・買えるショッピング SNS「PARTE(パルテ)」と、UGC(ユーザー生成コンテンツ)や動画などのコンテンツを簡単に EC サイトに掲載できる、EC サイトの顧客体験向上ツール「LEEEP(リープ)」を運営する株式会社REGALIです。

同社はパーソナライズされたレコメンデーションの機能を提供する AWS のマネージドサービス Amazon Personalize を活用しています。「PARTE」でおすすめのアイテムやユーザーを表示するために、Amazon Personalize を使用してレコメンドデータを生成しているのです。

今回は REGALI 社へのサポートを行うアマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 アカウントマネージャーの坂井 英昭が、株式会社REGALI 代表取締役社長 稲田 光一郎 氏とエンジニア 泉 雅彦 氏にお話を伺いました。

レコメンド機能を簡単に実現する方法を探していた

坂井:まずは REGALI 社が運営するサービスについて紹介をお願いします。

稲田:事業としては 2 つありまして、ひとつは創業時から運営している「PARTE」です。ユーザーが投稿したコーディネート画像を経由して着用アイテムをすぐに購入できる、ファッションに特化したショッピング SNS になります。もうひとつが、昨年の 11 月から運営を開始している「LEEEP」です。以下のような機能を持った、EC サイトの顧客体験向上ツールになります。

・Instagram や Twitter から投稿を収集・掲載

指定したハッシュタグがついた投稿を自動で収集し、掲載したい UGC を選択して EC サイト上に表示可能。

・高画質でスムーズな動画掲載

ライブ動画や商品動画などを、タグひとつで EC サイト内に簡単に掲載可能。EC サイトに負荷をかけることなく、手軽に動画コマースを実現。

・UGC 経由の売上分析

UGC 別の効果比較や、UGC が売上にどのような影響を与えているのかなどを、管理画面より確認可能。UGC 接触ユーザーと非接触ユーザーでの効果の違いもレポートで確認できるため、EC サイトの各種数値の改善にも利用可能

現在、新型コロナウイルスの影響もあり各社が EC サイトに力を入れています。ですが、サイト上にただ商品を並べるだけでは、ユーザーへの訴求がどうしても弱くなってしまいます。そこで「LEEEP」を利用することで魅力的な UGC を EC サイト上に掲載し、ユーザーの購入体験を向上させることができます。

REGALI 代表取締役社長 稲田 光一郎 氏

「購入する」ボタンのクリック率が 1.2 倍、ユーザーのフォロー率が 1.5 倍に

坂井:「PARTE」では Amazon Personalize を活用されているそうですが、どのような経緯で導入を決めたのでしょうか。

稲田:SNS では、おすすめの投稿やユーザーを表示することで、サービスの満足度が大きく向上します。なるべく工数をかけずにそうした機能を実現する方法を調べていたところ、私たちのニーズに合致する Amazon Personalize を見つけました。

泉:サービスへの導入前に動作検証をし、効果がありそうなことを短時間で確認できました。その後、Amazon Personalize 周辺部分のアーキテクチャ構築や設計・実装は私一人だけで作業したのですが、わずか 1 か月ほどで全工程が完了しました。

坂井:ちょうど話が出ましたので、Amazon Personalize 関連のアーキテクチャについてもお話しください。

泉:レコメンド情報に利用するデータには、商品属性のように静的なもの、ユーザ行動に基づく動的なものが存在します。静的なデータはデータベースの値をそのまま使いますが、動的なデータは Amazon Kinesis Data Firehose を利用して収集し、Amazon S3 に配置しています。

これらの生データを Amazon Personalize が求める形に整形する必要があります。AWS Glue を用いてカタログ化し、Amazon Athena によって前処理・Amazon S3 のバケットへの出力を行っています。

こうして出力したデータを、定期的に Amazon Personalize にロードします。そして、ソリューションを作成してキャンペーンにデプロイし、サービス本体の API から呼ぶ構造になっています。

各処理は Amazon Personalize の API 経由で行うことができ、直観的に扱えました。ワークフロー管理には AWS Step Functions を、API サーバーには Amazon ECS(on AWS Fargate)を利用し、インフラ管理の工数を低減させています。

REGALI エンジニア 泉 雅彦 氏

坂井:各種サービスをフルに活用されていますね。Amazon Personalize の導入後は、事業にどれくらいの成果が出たのでしょうか。

稲田:「PARTE」には各アイテムのページに「購入する」ボタンがあるのですが、ユーザーがそれを押す割合が 1.2 倍ほどに増加しました。さらに、ユーザーが他ユーザーをフォローする割合も 1.5 倍ほどになり、かなり有意な差が出ました。

「PARTE」のみならず「LEEEP」も大きく成長させていく

坂井:事業やサービスの今後についても、お聞かせいただけますか。

稲田:今回のお話では「PARTE」の Amazon Personalize 導入事例の話がメインでした。私たちは「LEEEP」にもかなり力を入れているため、今後の展望としてこのサービスの話をさせてください。過去から現在、未来の順でお話ししていくと、もともと「LEEEP」の誕生には「PARTE」の存在が大きく影響しています。

「PARTE」では、多くのインフルエンサーがコーディネートを投稿しています。それらの投稿をクライアントの EC サイト上に掲載することで、EC のサービス体験が良くなるのではないかと考えました。そこで、「PARTE」のクライアントであるアパレル企業の一部を対象に、オプション機能として「PARTE」のコンテンツをその企業の EC サイトに載せる取り組みを始めました。

すると、インフルエンサーの投稿を載せた場合は、EC サイトのコンバージョンレートが数倍ほど高くなったのです。「PARTE」のアパレル系の投稿だけではなく、Instagram など他の SNS の投稿も活用できる汎用的な形で、コンテンツを EC サイト上に掲載するサービスとして独立させようと考え「LEEEP」が生まれました。

サービス黎明期はアパレル企業の EC サイトでの利用がほとんどを占めていましたが、現在はクライアントの半数以上がアパレル以外の業種になっています。今後は EC サイトに限定せず、より多様なサービスへと「LEEEP」のデジタルコンテンツを活用していきたいです。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 アカウントマネージャー 坂井 英昭

坂井:システムに関しての今後の目標はいかがでしょうか。

泉:「PARTE」や「LEEEP」をさらに成長させるためにも、システムのインフラの改善を続けたいです。なかでもセキュリティ面に関しては今後さらなる強化をしたいと考えています。機能とコストとのバランスを考えるのが、難しくもやりがいがあるところですね。

AWS のサービスとしては、AWS Fargate や AWS Step Functions を特に気に入っており、今後も積極的に活用したいです。私たちの開発チームはエンジニアの人数が少ないため、サーバーの運用をマネージドな形で任せられる AWS Fargate があることで、インフラの運用がかなり楽になっています。

特にAWS Step Functions はワークフローの構築が簡単にできるだけではなく、リトライやロールバックといった耐障害性を高める仕組みもあらかじめ備わっているため、こちらもインフラの運用工数を大幅に低減してくれます。

将来的にはデータ分析の基盤を整備したいです。先ほどのアーキテクチャの説明で、AWS Glue を使用している旨をお話ししました。仮にリレーショナルデータベースや各種ログファイルなど複数種類のデータソースがあったとしても、AWS Glue を用いることでそれらを一元的に抽出・変換・ロードするようなワークフローを組むことができます。

AWS Glue をはじめとしたデータ分析系の AWS サービスを有効に使うことで、今後も事業改善を進めたいと考えています。取り組みたい施策は数多くあるので、着実に一つずつ実現していきたいです。

坂井:AWS の各種サービスが、御社のシステム運用の支えになっていてよかったです。今回はありがとうございました。


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