【就活にも役立つ ?】

卒業生が教える、学生が技術コミュニティに参加すべき理由

2022-01-05
インタビュー

森 啓輔 氏 (株式会社サイバーエージェント)

JAWS-UG (AWS Users Group ‒ Japan) は、AWS ユーザーが集い、勉強会やイベントを通じて、技術的な知見や楽しみを分かち合うために発足したユーザーコミュニティです。地域や技術テーマごとに 70 を超える支部が設けられ、コロナ禍のなかでも活発な活動を繰り広げています。

今回紹介するのは 2019 年に設立された学生支部「JAWS-SG (JAWS Student Group)」の運営スタッフを経て、現在サイバーエージェントのサーバーサイドエンジニアとして活躍中の森啓輔氏です。JAWS-UG での経験は、ご自身のスキルやキャリア形成にどのような影響をおよぼしたのでしょうか。森氏にお話を聞きました。


大学在学中にコミュニティ活動やベンチャー起業を経験

—サイバーエージェントではどのような仕事をされているのですか ?

森氏
「サーバーサイドエンジニアとして、オフラインでの購買データをもとに消費者の興味や関心を分析し、スマホに最適な広告を配信するシステムの開発に携わっています。」

—2021 年のご入社ですよね。日々のお仕事の印象をお聞かせください。

森氏
「楽しいですね。チームで使っている技術スタックはオール AWS ネイティブ。ユースケースや用途に合わせたAWSのマネージドサービスを組み合わせることで、インフラ構築は手早く・アプリケーションロジックに集中して実装を進めることができますし、
インフラの構築からサーバーサイド開発、フロントエンドの実装まで一気通貫でやれる規模感も気に入っています。」

—大学ではブロックチェーンを学ばれたそうですね。技術コミュニティとのかかわりはいつからお持ちだったのですか ?

森氏
「はい。近畿大学の福岡キャンパスにある産業理工学部で、イーサリアムを中心にブロックチェーン経済圏における応用技術、分散型 ID ソフトウェアについて学んでいました。技術コミュニティとのかかわりは、大学 1 年の時に九州の大学生を対象とした「チャレキャラ」というアプリ開発コンテストに参加したのが最初です。その後、イーサリアム開発者コミュニティ「Hi- Ether」や Ruby コミュニティ主催のカンファレンス「Ruby Kaigi」に参加するなど、コミュニティでの出会いや紹介を通じて活動範囲が広がりました。」

—森さんは、技術コミュニティ活動に対してどんな魅力を感じていますか ?

森氏
「新しい技術や活用事例を当事者から学べますし、関心のある技術を介して人の輪や技術的な知見が広がっていく面白さを感じます。チーム開発の楽しさを教えてくれたのもコミュニティでしたし、身に付けた技術を尖らせていきたいという目標ができたのもコミュニティの影響でした。大学 2 年の時に、自分と同じエンジニア志向のある学生を支援する「ハックツ」というベンチャーの起業に参画したのも、コミュニティ活動で得た人脈や経験が後押しになりました。」

—AWSに触れたのはいつからでしょう ?

森氏
「チャレキャラに参加後、個人プロジェクトで画像の保存先として Amazon S3 を選んだのが最初です。ハックツで受託開発案件にかかわるようになってからは活用の幅も広がり、CMS 管理システムを構築するために、AWS Lambda や AWS API Gateway を使うようになりました。小さなパーツを組み合わせて 1 つのシステムを構築する面白さに目覚めたのもこの時からです。」


インターンを通じて JAWS-SG の存在を知り、運営スタッフに

—JAWS-SG は 2019 年に設立されました。森さんはいつから運営に携わるようになったのですか ?

森氏
「大学 3 年生の冬からです。その直前、いま勤めているサイバーエージェントで 1 カ月ほどインターンをしていた時、社内で JAWS-UG 大阪支部など関西でコミュニティ活動を展開されている小西宏樹さんとお会いする機会がありました。その時たまたま『僕もコミュニティ活動しているんですよ』とお話ししたところ「今年、JAWS-UG で学生専門支部が立ち上がったから参加してみない ? 紹介するよ』とおっしゃっていただいたので、つないでいただきました。」

—設立直後に参加されたんですね。JAWS-SG の運営に携わった感想を聞かせてください。

森氏
「僕が本格的に携わったのは、2020 年 5 月に実施したオンライン LT 大会からです。JAWS-SG はまだ規模が小さく、運営ノウハウも乏しかったので、参加者や登壇者の募集や映像配信の手配、当日の進行についても、AWS のスタッフや他の JAWS-UG のメンバーに助けていただき乗り切りました。このイベントでは僕自身も登壇者のひとりとして LT に参加したので当日はかなり忙しかったのですが、充実した時間を過ごせました。」

—ご自分が主催者でもあるオンラインイベントでの LT 。緊張したのでは ?

森氏
「そうですね。緊張はしましたが得たものも大きかったと思っています。当日話すべき内容に間違いがないか改めて調べ直したり、スライドづくりの段階で何をどのように話せば伝わるかを考えたりする機会が持てたのは、技術に対する理解を深めるのにとても役立ちました。LT が終わった後もご覧になってくださった参加者の皆さんからフィードバックをいただけたのもうれしかったですね。LT はアウトプットの場。でも事前のインプットや事後のフィードバックから多くの学びが得られるんです。今後につながる有意義な経験ができたと思います。」

—オンライン LT 大会以降はどのような活動を ?

森氏
「JAWS SONIC 2020 で、JAWS-SG の参加者と一緒にオンライン登壇する機会がありましたが、2020 年はコロナ禍と卒業を控えたていたこともあり、あまり大きな活動はできませんでした。それでも AWS やクラウドに関心がある同年代の学生や社会人の皆さんと知り合い、Slack などを通じて頻繁に情報交換できたのはコミュニティに参加していなければできなかった得がたい経験だったと思います。」


学内だけの人間関係になりがちな学生エンジニアに伝えたいこと

— Web サービスやアプリ開発のハードルが下がり、AWS に触れる学生さんも増えています。森さんは福岡で大学生活を送られました。福岡の学生エンジニアたちのコミュニティ事情について教えてください。

森氏
「東京に比べてしまうと開発志向のある学生エンジニアの実数は少ないのでしょうね。それに輪をかけて、大学間はもとより社会人中心の技術コミュニティとの交流が少ない印象は否めません。比較的人口が多い都市部の割に数が少なく思えるのは、コミュニティはあっても学内に閉じてしまっていて僕の観測範囲に入ってこないからかも知れません。」

—なぜ、学内に閉じて外部のコミュニティとのかかわりが薄いのでしょうか。森さんはどう思われますか ?

森氏
「気後れしてしまうのかも知れませんね。社会人と比較すると学生は知識も経験値も低いため、『外部のコミュニティに参加するのはちょっと怖いな』と、二の足を踏んでしまうんだと思います。でも実際は『怖さ』とは無縁な環境ですし、むしろ学生に対してもやさしく丁寧に接してくださる方ばかりです。初心者からレジェンドクラスのベテランまで、技術レベルもバックグラウンドも異なる人たちが集まり、知識を共有し合ってワイワイ楽しむのがコミュニティの面白さだと思います。学生だからといって小さくなる必要はないのに、ついつい怖いと思ってしまうのは、参加するきっかけがなく内情を知らないだけなんだと思います。」

—森さんご自身は JAWS-UG に参加する利点をどう捉えていらっしゃいますか ?

森氏
「まず参加者としてのメリットで申し上げると、まだ使った経験がない AWS の機能や特徴について、実際に使ってみた方から、詰まったポイントや解決のプロセスなど成功談、失敗談を問わずユーザー目線でシェアしてもらえるのはとても有益だと感じます。」

—運営メンバーとして、コミュニティにかかわることについてはいかがでしょう ?

森氏
「運営メンバーになるとスケジュール管理や人集め、勉強会の準備、参加者と登壇者の双方をケアする必要もあり大変な面もありますが、その分関係者の皆さんと密に接することができるので、おのずと出会いや知り合いも増えます。実際、僕自身もコミュニティ活動でいろいろな方を紹介していただきましたし、たまたま知り合った CTO とお話ししていたところ、その場でインターン入社を即決していただいたり、カジュアル面談を設定していただいたりしたこともありました。」

—就職活動にも役立ったんですね。

森氏
「そうですね。勉強会やイベントで出会うエンジニアの皆さんからご自分の会社のカルチャーや社内の雰囲気、チームで使っている技術や開発手法など、実際に働いている方にしかわからないことを教えていただく機会があり、会社選びの参考になりました。コミュニティでは多様なバックグラウンドを持ったエンジニアの皆さんとの出会える場でもあります。そうした方々をロールモデルに、今後自分がどうしていきたいかを考えられたのは就職活動にも良い影響がありました。技術的な知見が得られるだけでなく自分の将来に役立つ話が聞けるのもコミュニティに参加する魅力ですね。」

コミュニティへの貢献は後回しで OK。まずは体験してほしい

—今後、社会人としてどのようにコミュニティとかかわっていきたいですか ?

森氏
「社会人になってまだ間もないこともあり、いまのところコミュニティ活動はお休み中ですが、いずれサーバーレス技術やコンテナ技術関連のコミュニティに参加したいですね。いま勤めている会社には、業務時間の一部を特定のテーマの学習に費やすことができる『社内ゼミ制度』があるので、それを使って週に一度、AWS ゼミの参加者と一緒にハンズオンに挑戦したり、AWS に関する情報共有を行ったりしています。いまの仕事が落ちついたら活動範囲を社外にも広げたいと思っています。」

—森さんは今後どんなエンジニアを目指したいですか ?

森氏
「これからもバックエンドエンジニアとして経験を積んでいきたいですね。僕はどちらかというと新しい技術を事業に還元していくことに関心が強いので『AWS の活用で困ったら森に相談しろ』と、名前が挙がるようになれたらと思っています。先ほども話に出た、僕を JAWS-SG に紹介してくださった小西さんも、サイバーエージェント社内では AWS 領域の Next Experts というロールで、次世代の技術の顔となる有識者です。僕も小西さん後に続けるよう努力していきたいと思っています。」

—最後に、これからコミュニティに参加する学生エンジニアの皆さんにメッセージをお願いします。

森氏
「僕自身もあまり社交的なタイプではないのでよくわかるのですが、勉強会に参加しても誰とも話せなかったらどうしようとか、懇親会にも参加しても浮いてしまうのではないかと先走って考えてしまいがちです。でも学生は社会人に比べて知識が乏しくてあたり前。JAWS-UG には懐の深い方が大勢いるので、開き直って質問していけばきっと受け止めてもらえると思います。

コミュニティの世界では、よく『情報をテイクするより、自分から情報をギブすべき』という話を耳にします。でも最初から『ギブ』できる学生はそう多くありません。最初のうちはテイクばかりだとしても気にせず、いずれギブできる時がきたらそうすればいいだけなので、気楽な気持ちで参加してみほしいですね。

AWS にはクレジットカードがなくても登録でき無料利用枠もある「AWS Educate」という学生専用サービスも用意されています。まずは自分でいろいろ試してみて、コミュニティで知見を深めるのがいいのではないでしょうか。コミュニティ活動は学生にとって得るものが多いので、ぜひスキルアップやキャリアアップに活用してください。」


builders.flash メールメンバーへ登録することで
AWS のベストプラクティスを毎月無料でお試しいただけます

プロフィール

森 啓輔 氏
株式会社サイバーエージェント AI事業本部

近畿大学産業理工学部情報学科在学中から、エンジニア志向のある九州在住の学生のスキルアップ支援する技術イベント「チャレキャラ」やイーサリアム開発者コミュニティ「Hi-Ether」に参加。福岡や東京でのインターンの傍ら、大学 2 年次にはアプリ開発や学生エンジニアを支援するベンチャー「ハックツ」の創業、JAWS-UG の学生支部「JAWS - SG」の運営に携わる。2021 年、大学卒業と同時にサイバーエージェントに入社し、現在は同社のサーバーサイドエンジニアとして広告配信プラットフォームの開発に従事。

AWS を無料でお試しいただけます

AWS 無料利用枠の詳細はこちら ≫
5 ステップでアカウント作成できます
無料サインアップ ≫
ご不明な点がおありですか?
日本担当チームへ相談する