導入事例 / オートモーティブ

2024
ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機、DX 基盤に AWS を全面採用。成長戦略を加速しブランド価値を高めることで、生涯を通じたヤマハファンを創造

約 3 日

サーバーの調達期間

運用・保守の負荷軽減

インフラ運用コスト最適化

ビジネス部門からの要求への迅速な対応

人的リソースの成長領域へのシフト

概要

「感動創造企業」を掲げ、グローバルに事業を展開するヤマハ発動機株式会社。現在、「Yamaha Motor to the Next Stage」を中長期計画に掲げ、3 つの DX の実現に同時並行で取り組んでいます。要となる DX 基盤にはアマゾン ウェブ サービス(AWS)を全面採用し、SAP S/4HANA のグローバル展開、インフラ環境のクラウド化/ モダン化、ならびに、人的リソースの成長分野へのシフトを推進しています。

ヤマハ発動機株式会社

ビジネスの課題 | Y-DX1、Y-DX2、Y-DX3 からなる 3 つの DX

ランドモビリティ、マリン、ロボティクスなどの領域で事業をグローバルに展開するヤマハ発動機。日本、北米、欧州、アジアなどに約 130 の拠点を持ち、海外売上比率は 9 割を超えるに至っています。2022 年―2024 年の中期経営計画では、モビリティサービスなどの新規事業と、産業用ロボットや産業用ドローンなどのロボティクス事業や、電動アシスト自転車を扱う SPV 事業の成長事業の 2 つを戦略事業領域に位置付け、経営資源を積極的に配分しています。

同社では現在、2030 年までの長期ビジョン「Art for Human Possibilities」に向けて IT・デジタル技術・データの戦略的活用を図るため、「Yamaha Motor to the Next Stage」を掲げ Y-DX1、Y-DX2、Y-DX3 からなる 3 つの DX を推進しています。

「Y-DX1 は『経営基盤改革』で、データ活用により予知型経営を実現し、基幹業務の標準化、効率化、シェアードサービス化を進めます。全世界のオペレーションを標準化、効率化し、ワンファクトワンプレースを実現するシステムを構築します。Y-DX2 は『今を強くする』で、デジタル重点 4 領域(コネクテッド、デジタルマーケティング、バリューイノベーションファクトリー、データ分析)を中心に既存ビジネスを強化します。Y-DX3 は『未来を創る』で、商品やサービスを通じて顧客とつながり、新たな価値を創造します」と語るのは IT 本部長の小野豊土氏です。

Y-DX1 では、グローバル連結データベースと経営ダッシュボードを構築して迅速な意思決定や、需要予測モデルを構築して販売データと実績データを基にした予測を実現しています。Y-DX2 でもスマートフォンアプリを介したつながるバイク・スクーターの市場投入や、工場のスマートファクトリー化などを実現しています。Y-DX3 では、事業を横断する形で新たな顧客価値を生み出すサービスの構築や、個社では難しい新たな価値の創造や社会課題の解決に取り組んでいます。

「現在、Y-DX1 ではグローバル ERP に RISE with SAP on AWS(SAP S/4HANA Cloud)を採用し、日本、欧州、北米に展開中です。将来的にはグローバル主要拠点の ERP を統一する計画です」(小野氏)

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成長戦略実現のための DX 基盤に AWS を採用しました。インフラ環境のクラウド化/モダン化とともに人的リソースの成長分野へのシフトを一層加速していきます"

小野 豊土 氏
ヤマハ発動機株式会社 IT 本部長

ソリューション | CCoE 準備プロジェクトにより社内標準 AWS 環境『AWS AU(AWS for Application Unit)』を構築

経営基盤改革を目的とした Y-DX1 において、同社が RISE with SAP on AWS のグローバル展開と並行して取り組んでいるのが、インフラ環境のクラウド化/モダン化です。現在、オンプレミス環境で稼働している 700 以上のシステムを順次クラウドに移行し、インフラ運用コストの最適化を進めています。IT 本部 プロセス・IT 部長(兼)アプリケーション基盤グループ グループリーダーの横田隆氏は「非競争領域は SaaS の活用を第一としています。しかしながら、競争領域についてはクラウドシフトを強く推進しています。既存システムは AWS に乗せ換え、新規システムは AWS 上でモダナイズをベースとしたアプリケーションを開発する方針で取り組んでいます」と語ります。

全社共通のインフラ基盤となるクラウドサービスは、導入実績を重視し AWS を採用しました。続いて、CCoE 準備プロジェクトを立ち上げ後、2024 年 7 月より本格的に『AWS AU』環境の提供をスタートしました。

CCoE 準備プロジェクトは、AWS AU のコンセプト設計から基盤構築までを、外部ベンダーと IT 部門のキーマンで遂行しながら、技術支援のコアとなる体制や人材育成などを企画し、関係各部署に働きかけていくものです。IT 本部 プロセス・IT 部 アプリケーション管理グループの人見瑛一氏は次のように語ります。

「プロジェクトの目的は 2 つあります。1 つは Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)のような AWS のマネージドサービスをフル活用しビジネスの要求に迅速かつ柔軟に対応できる環境を用意することで人的リソースを成長領域へのシフトを加速すること。もう 1 つは CCoE が必要なスキルや人材育成ノウハウを身に付け、社内におけるモダン開発の支援活動を展開することです」

同プロジェクトでは、5 名の主担当者が AWS AU 環境の構築を進めており、2025 年 1 月からの本稼働を予定しています。IT本部 プロセス・IT 部 IT インフラグループ主事の浅野礼士朗氏は「現在はガードレール型統制、DevSecOps、コンポーザブル、CI/CD、クラウドネイティブをキーファクターに、マルチアカウント環境の構築やセキュリティの設定、運用設計などに取り組んでいます」と語ります。

導入効果 | ビジネス部門の要求にあわせたサービスをスピーディに提供

Y-DX1 における AWS AU の構築により、サーバー環境の調達期間はオンプレミスの約 13 日から約 3 日に短縮されました。また、AWS CloudFormation を用いた IaC(Infrastructure as Code)で環境をテンプレート化したことで人に依存していた作業も最小化され、初期構築環境の品質とスピードに安定感がもたらされました。さらに、次々とリリースされる AWS サービスの中から業務部門のニーズにあったサービス・機能を AWS AU に取り込み、常にアップデートができることも大きな AWS のメリットです。

「ビジネス部門からの要求に対して迅速に対応するのが IT 部門の役割です。一例として AWS 上にデータレイクを構築し、工場機器の生産実績情報を集約のうえ可視化し、製造条件の変化点管理、部品のトレーサビリティに活用しています。また、“AWS AU 環境上でアプリケーションを新たに開発したい”という問い合わせもすでに社内から寄せられています。今後は開発実績を社内全体に拡散しながらビジネス部門の要請により広く、応えていきます」(横田氏)25 年 1 月からは CCoE の組織体として活動し、CCoE の役割や機能の拡充とクラウド人材の育成に注力していく方針です。

「マネージドサービスを活用したアプリケーション開発が誰でも自由にできる組織・人材を創り支援していくことが、将来の IT 部門に求められる役割になると考えています。その実現のためにも、日々アップデートする AWS を追従しつつ、ヤマハ発動機の AWS AU も進化していきます」(人見氏)

「Y-DX1 については、AWS の活用により、いち早くレガシーから脱却し、モダナイズを加速していきます。Y-DX2、Y-DX3 については、「一品物のサービスを個別に提供する従来型のスタイル」から、「汎用化したサービスをスピーディに開発しながらお客様に提供していく新たなスタイル」に転換すべく、チャレンジを続けていきます。AWS には引き続き、グローバルレベルでの支援を期待しています」(小野氏)

カスタマープロフィール:ヤマハ発動機株式会社

日本楽器製造株式会社のモーターサイクル製造部門を分離独立して設立。二輪車の開発を起点とするパワートレイン技術、走行・航走を支える車体・艇体技術、制御技術やコンポーネント技術を核とし、二輪車や四輪バギー、電動アシスト自転車などのランドモビリティ事業、ボートや船外機などのマリン事業、表面実装関連機器や産業用ドローンなどのロボティクス事業、金融サービス事業、その他の事業などを展開する。

小野 豊土 氏

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横田 隆 氏

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人見 瑛一 氏

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浅野 礼士朗 氏

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