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【Edit in the Cloud】AWSで編集環境を構築する方法 ~Cloud Video Editing テンプレート~
Edit in the Cloudシリーズの第1回目では、AWS上で様々な編集シナリオの想定モデルを実現するための基礎知識を説明しました。今回はいよいよGitHubのサンプルをデプロイする段階に入ります。このステップ バイステップガイドでは、AWS上で編集ホスト、ストレージをデプロイし、接続する方法を詳しく説明します。このテンプレートによりユーザーはAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) 上に編集環境を構築することができます。加えて、Amazon FSx for Windows ファイルサーバーはEC2インスタンスからストレージとして利用し、メディアアセットの共有リポジトリとして活用することができます。また、このテンプレートには、Teradici for Federated Loginと連携したAWS Directory Servicesが含まれており、シームレスな編集体験を可能にしています。では早速テンプレートを利用して環境を構築していきましょう。まずご自身のAWSアカウントを利用して、AWSマネジメントコンソールにログインしたら次のAWS CloudFormationデプロイメントテンプレートを使用します。本テンプレートは現在、US-East-1とUS-West-2で提供しています。
このデプロイメントガイドでは、以下の方法を解説します。
- US-West-2にCloudFormationテンプレートをデプロイする
- Teradici Cloud Accessソフトウェアを有効にする
- Amazon S3からAmazon FSx for Windows File Serverにデータを移動する
また、GithubにあるこのAWS サンプルを使って、コマンドライン(CLI)でこのテンプレートをデプロイすることもできます。
基本要件
このデプロイメントを実行するには、AWSアカウントのパーミッションが必要です。AWSアカウント内でウェブコンソールにアクセスし要求されたアセットをデプロイします。デプロイされたEC2インスタンスにアクセスするには、特定のリージョンのキーペアが必要です。最後に有効なTeradiciのライセンスが必要です。ライセンスをお持ちでない場合は、先に進む前にTeradiciにライセンスをリクエストしてください。
注: 新規のAWSアカウントにデプロイする場合、簡単なリソース検証が必要です。デプロイに失敗した場合は、スタックを削除してリソースを再デプロイしてください。
展開準備
こちらのUS-West-2リンクから始めましょう。このリンクは、AWSマネジメントコンソール上のCloudFormationサービスで今回利用するテンプレートがセットされた設定画面へ遷移します。必ずStack nameでデプロイの名前をつけてください。この例では「MediaEdit」としていますが、ユースケースに合わせて名前を決めてください。
デプロイ名
ネットワーク設定
開始するには以下が必要です。
- デプロイメントに使用する2つのアベイラビリティーゾーンを選択します。この例では、us-west-2aとus-west-2bを使用します。
- 新規ネットワーク構成を含む、Amazon Virtual Private Cloud(VPC)を展開します。デプロイスピードを上げるために、このテンプレートには必要なCIDR情報があらかじめ入力されています。構成はお客様のワークフローに合わせて調整可能です。
EC2 設定
Amazon G4dnインスタンスは、特にポストプロダクション、ビデオプレイアウト、ビデオエンコーディング、トランスコーディングでのご利用にお勧めです。
EC2インスタンスの設定を行います。
- 最初のドロップダウンメニューから、希望するG4dnインスタンスサイズを選択します。
- 「Edit Host Access CIDR」フィールドには、お客様のIPアドレスを記載します。次のスクリーンショットでは、フォーマットを示すために「X.X.X.X/XX」という例を使用しています。IPアドレスの検索に問題がある場合は、http://checkip.amazonaws.com をご利用ください。
- 「Amazon EC2 Configuration」の最後のドロップダウンメニューから、キーペア名を選択します。
Active Directory ドメイン
このステップではEC2インスタンスとFSx for Windows ファイルサーバーのユーザー資格を認証するためのMicrosoft Active Directoryを作成します。
- Domain Name(ドメイン名)を入力する。
- ドメインのNetBIOS名を入力します。これは短いバージョンのドメイン名を利用することも可能です。
- Domain Admin User(ドメイン管理者ユーザー)を入力します。デフォルトでは「Admin」を使用することをお勧めします。
- 管理者アカウントの「Domain Admin Password」を入力します。
FSx for Windows ファイルサーバー設定
FSx for Windows ファイルサーバーは編集ホストの共有ストレージとなります。
- FSx File System Sizeを入力する。
- テスト素材に合わせてFSx スループット容量を入力する。
- FSx AZ Deployment Modeを選択する。今回のテストでは「SINGLE_AZ_2」のDeployment Modeを使用することを推奨します。
S3 設定
次にパブリックなAmazon S3バケットを参照して、CloudFormationテンプレートを取得します。このセクションでは追加の変更は必要ありません。
スタックを作成する
テンプレートをデプロイする最後のステップは「Capabilities」ウィンドウに表示されている項目を確認し「Create stack」を選択することです。
このデプロイの完了には40~55分かかります。更新アイコンを選択すると現在のデプロイステータスが表示されます。
テンプレートのデプロイに成功!
Outputs “タブではFSxのシェア名やインスタンスIDなど新しい環境に関するより詳細な情報が表示されます。
これでEC2編集ホストに接続することができます。上部メニューバーのServicesドロップダウンに移動して、Computeカテゴリー内のEC2を選択します。
“win-host “という名前の新しいEC2インスタンスを選択し、IPv4パブリックIPアドレスをコピーします。
Windows 接続ステップ
お客様がアクセスする端末にMicrosoft Windowsを使用している場合、まずRemote Desktopを開きます。「スタート」メニューを選択し、検索バーで「MSTSC」と検索すると、リモートデスクトップアプリケーションが見つかります。プロンプトが表示されたら、編集ホストのIPアドレスを追加し「Connect」を押します。
ユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されます。
- ユーザー名:Admin
- パスワード:Active Directory Domainステップで設定したドメインパスワード
MacOS 接続ステップ
お客様がアクセスする端末にMacOSをお使いの場合はこちらからAppStoreにアクセスするか、直接AppStoreにアクセスしてMicrosoft Remote Desktop Clientをダウンロードする必要があります。
アプリケーションのダウンロードが完了したらアプリケーションを開き、+アイコンを選択します。次に「Add PC」を選択します。ウィンドウが開き「PC Name」と書かれた部分に編集ホストのIPアドレスを入力します。”Edit Host “のようなわかりやすい名前を指定してもよいでしょう。最後に「Add」を選択します。
これで、接続オプションに新しいPCが追加されます。新しいPCをダブルクリックして編集ホストに接続します。ユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されます。
- ユーザー名:Admin
- パスワード:Active Directory Domainステップで設定したドメインパスワード
Teradiciライセンスのアクティベーション
Teradici ライセンスを有効にするには、お客様のデスクトップメニューにある Teradici アイコンを探します(下図参照)。アイコンを右クリックして「ライセンス」を選択します。
PCoIP Control Panelに登録コードを入力し、「Register」を選択します。
Teradiciのライセンスが有効になったら、Teradici PCoIP Clientを使って編集ホストに接続できます。
接続画面では編集ホストのIPアドレスと接続名を入力します。ユーザー名とパスワードの入力を求められたら、以前にRDPを使ってインスタンスに接続したときと同じ認証情報を使用します。
これでTeradiciで”Edit Host”に接続できます。
NVMe ディスクをマウントする方法
このデプロイではスクラッチメディアの編集スペース用にEphemeral storage をマウント、利用します。Ephemeral storage は物理的に接続されたストレージであるため、編集ホストからのレイテンシーを小さくすることができます。
注:この論理ボリュームに保存されたアセットは、編集ホストが再起動またはシャットダウンすると失われます。編集内容を後述するFSx for Windows File Serverのネットワークファイル共有に保存するために、適切な手順を踏むことをお勧めします。
NVMe ディスクをマウントし、スタートメニューを選択し、検索バーに「powershell」と入力してWindows Powershellターミナルを開きます。Windows Powershellを管理者として実行するには、Windows Powershellを右クリックして「Run as administrator (管理者として実行)」を選択します。
Windows Powershellによるデバイスの変更を許可する旨のアラートが表示される場合があります。その場合は「はい」を選択してください。
Windows Powershellのターミナルが開きます。次のPowershellコマンドを入力して正しいディレクトリに変更します。
cd C:\ProgramData\Amazon\EC2-Windows\Launch\Scripts
そして、以下のPowershellコマンドを入力してNVMeディスクをマウントします。
.\InitializeDisks.ps1
FSx for Windows ファイルシステムの使い方
FSxのファイル共有は下図のようにユーザーのログイン時にFドライブにマウントされます。
S3からデータをロード
上記の手順で新しいWindows Powershellターミナルを開きます。今回はWindows Powershell for AWSを選択します。
Windows Powershell for AWSを使用して以下のコマンドを実行していることを確認してください。
- まずFSx File Shareのドライブへ移動します。
F:
- メディア用の新しいディレクトリを作成します。
mkdir Media
- ここから、以下のコマンドでS3バケットの中身を一覧表示します。
aws s3 ls s3://<bucket-name>
※<bucket-name>はお客様の映像素材を格納したバケット名に変更ください。 - S3バケットのデータをFSxファイル共有に読み込むには、以下のコマンドを使用します。<key-prefix>にはファイル共有に読み込みたい任意のフォルダやオブジェクトを指定します。
aws s3 sync s3://<bucket-name>/<key-prefix> .\Media\
これらのコマンドの実行例は次のスクリーンショットを参照してください。
ファイルがS3からFSxファイル共有に同期されたことを確認するにはWindowsのファイルエクスプローラに移動し、F:ドライブにマウントされているFSxファイル共有に移動します。前のセクションで作成したMediaフォルダが表示されているはずです。そのフォルダの中にS3バケットの同期されたコンテンツがあります。
結論
このブログ記事ではAWSクラウドで編集ホストをデプロイして接続するために必要な手順とAmazon S3バケットからCloudFormationテンプレートの一部として展開されたFSx for Windows ファイルサーバーのネットワーク共有にデータをロードする方法について説明しました。次回のEdit in the Cloudシリーズでは、コストの最適化、セキュリティ、コネクションブローカーについて説明する予定です。
AWS Media & Entertainment 参考コンテンツ
・AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
・AWS Media & Entertainment Blog (英語)
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翻訳は BD山口とSA安司が担当しました。原文はこちらをご覧ください。