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【開催報告&資料公開】AWS メディアセミナー Q3 ~クラウドライブプロダクション~

2021年9月2日にメディア業界のお客様向けに、AWSで実現するライブリモートプロダクションソリューションについてのセミナーを開催いたしました。ライブプロダクションの現場では、現地へ派遣するスタッフや機材を減らし、制作コストを抑えるニーズが高まっています。そこで本セミナーでは、AWSで実現するライブリモートプロダクションソリューションを実現するための課題とポイント、AWSのお客様の事例を交え、お客様がどのようにこの課題に対して取り組まれてきているのかについてお話をいただきました。

セミナーのアジェンダ:

  • アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパン : Cloud Live Production の展望
  • 株式会社フジテレビジョン様: フジテレビ ニュース総局 LIVE STUDIOとしての取り組み ~AWSを用いた番組制作とクラウド編集~
  • 株式会社フォトロン様: フォトロンが提供するクラウドライブプロダクション
  • 株式会社Jストリーム様: リモートプロダクション/ライブパブリッシングを実現するGrabyoサービスのご紹介 ~ソーシャルメディア配信の重要性と配信環境の課題について~

資料のダウンロード及び動画の視聴リンク

Cloud Live Production の展望

アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 小林 剛

ソリューションアーキテクト 小林 剛よりクラウドを用いたリモートライブプロダクションの概要と、これを実現するAWSの各サービスの紹介がありました。リモートでの映像制作は、リモート環境に全ての映像信号が集約され、リモート環境を介してどこからでも操作可能であること、クラウドのAIサービスを活用できることなどから、設備や機材の省力、集約化やオペレーションの最適化を可能にします。また、AWS Cloud Digital Interface (CDI)AWS WavelengthなどのAWSサービスをご利用いただくことで、LIVE映像制作を行う際に重要となる映像素材の伝送遅延や操作遅延を最小限に抑えることができます。本セッションでは、Grabyo Producer、Viz Vectar Plus、vMix Live Production、GV AMPPなどのAWS上で実行可能なライブプロダクションソリューションや、テレビ朝日様のAWS Elemental MediaConnectを用いたゴルフ中継の国際伝送、M2A Media様の映像伝送ソリューション、ブンデスリーガ様の試合映像のリアルタイム分析など、AWSを用いた実際のお客様事例についても合わせてご紹介させていただきました。

AWS_MediaSeminarQ3_AWS

フジテレビ ニュース総局 LIVE STUDIOとしての取り組み ~AWSを用いた番組制作とクラウド編集~

株式会社フジテレビジョン
ニュース総局 LIVE STUDIO局長職 技術統括 池田 昌隆 様
技術局 デジタルソリューションセンター配信技術推進部 松村 健人 様

フジテレビ様からは、AWSを用いた番組制作とクラウド編集についての現状についてご紹介をいただきました。オープンソースの伝送プロトコルであるSRTやAWS Media Servicesの登場によって、放送システムのソフトウェア化やクラウド化が進んでおります。さらに今後の5Gの普及も見込まれていることから、フジテレビ様では「スマホ中継」を実現すべく、スマートフォンからのライブ映像をAWSを経由して伝送する仕組みを構築し、実際にロンドンや上海からの映像伝送を成功させました。また、この仕組みとAmazon EC2上に構築したvMix Live Productionとを組み合わせて、クラウド制作基盤を構築されました。加えて映像伝送の低遅延化に向けて、AWS Wavelengthを介した映像伝送もご検証いただいています。さらに、様々な場所からの映像編集を実現するために、AWS Media Asset Preparation System(MAPS)Amazon Workspaces 上のEdius、Amazon FSx for Windows File Serverなどを組み合わせて構築された、クラウド編集環境についてもご紹介いただきました。

AWS_MediaSeminarQ3_FujiTV

cloud editing

フォトロンが提供するクラウドライブプロダクション

株式会社フォトロン
映像システム事業本部 ソリューション営業部 西尾 慧 様
映像システム事業本部 事業戦略室 中山 力 様

フォトロン様からは、Video over IPの伝送プロトコルであるNDIの特徴と、クラウドライブプロダクション実現するソリューションとして、Viz Vectar Plus/Viz Engine、Singular.Live、Photron Live Cloud Serviceのご紹介がありました。Viz Vectar Plusは、AWS上での動作にも対応したソフトウェアスイッチャで、Viz Engineと連携してリアルタイムCGを送出することも可能です。またSingular.Liveは、HTML5ベースのリアルタイムグラフィックスを作成、制御、送出ができるソリューションで、これらをHTMLやSDI、NDI形式で出力できるだけでなく、HTML素材をベースにAWS Elemental MediaLiveと連携して、AWS上の映像信号にモーショングラフィックをオーバーレイすることも可能です。Photron Live Cloud Serviceは、遠隔地や拠点間の映像伝送を可能とするソリューションで、高品質かつ低遅延で伝送できることに加えて、タリーの伝送も可能な点が特徴となっています。

AWS_MediaSeminarQ3_Photron

リモートプロダクション/ライブパブリッシングを実現するGrabyoサービスのご紹介 ~ソーシャルメディア配信の重要性と配信環境の課題について~

株式会社Jストリーム プラットフォーム本部 プロダクト推進部 河合 恭伸 様

Jストリーム様からは、ライブプロダクションソリューションのGrabyoをご紹介いただきました。Grabyoは、ブラウザ経由で操作可能であるなどクラウドネイティブな設計となっている点、ソーシャルメディアへの配信が可能である点、配信規模に合わせた機能プランを選択できる点などが特徴で、これ一つでライブ配信や編集、収録、複数SNSへの同時配信を行うことが可能です。MotoGPやe-Sports大会にてGrabyoを用いたリアルタイム動画配信が行われており、短期間での環境構築も実現しています。また、国際スポーツ大会やスポーツメディアサイトにおける動画素材の管理や編集でもこのGrabyoが用いられており、COVID-19下における限られたスタッフ数での運用や、Webブラウザのみで入稿動画のチェックからパブリッシュまでを行う効率的な運用などを実現しています。

AWS_MediaSeminarQ3_Jstream

おわりに

本ブログでは、2021年9月2日に開催されたメディア企業向けのクラウドライブプロダクションセミナーの各セッションの内容をご紹介させていただきました。今回セミナーに参加いただいた皆さま誠にありがとうございました。引き続き業界の皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。


参考リンク

AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)

AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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このブログはソリューションアーキテクト 小南が担当いたしました。