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【開催報告】AWS re:Invent 2024 製造業お客様向け 現地参加企業 Meet-up
昨年12月の AWS re:Invent に現地参加いただいた製造業のお客様を対象に、2025年2月7日(金)に「AWS re:Invent 2024 製造業のお客様向け 現地参加業 Meet-up」を開催しました。AWS re:Invent で学習いただいた内容を振り返りつつ、それを受けて各社で行っている活動内容をご共有いただき、今後の社内活動の発展につなげるネットワーキングの場としてしていただくことを目的としています。ご参加いただいた皆さまには、改めて御礼申し上げます。本ブログでは、当日のレポートをお届けします。
当日のアジェンダ
- オープニング
- AWS re:Invent Recap
- AWS re:Invent 2024 参加企業によるピッチコンテスト
- ピッチコンテスト表彰式・懇親会
- クロージング
AWS re:Invent Recap
アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術統括本部 自動車・製造グループ 本部長 岡本 京
AWS re:Invent で発表された最新情報や製造インダストリーでの取組みについて、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術統括本部 自動車・製造グループ 本部長 岡本よりダイジェストレポートをお届けしました。冒頭はクイズを実施し、re:Invent は昨年何回目だったか?、re:Invent 2024 で提供されたセッションの数は?と歴史や規模を振返りました(13回目、2,300セッションです!)。新しい Building Block として Inference (推論) が加わり、Amazon Nova や Amazon Bedrock の数学的手法を使った新しいガードレール機能、複数 AI エージェントのオーケストレーションを容易にする機能のアップデートなどを振返りました。また、製造業のお客様事例をピックアップして紹介しました。イタリアの産業用車両メーカーである Iveco Group では、AWSと戦略的パートナーシップを提携し、車両ソフトウェア開発環境の整備、技術文書管理システム、図面解析システムを構築し、例えば技術図面の検索時間90%短縮、技術文書の誤りを75%削減しています(PRO202)。イギリスのミールキット会社の Gousto は、工場のダウンタイム検知システムを構築し、稼働率目標を98%達成、スループットも10%向上しています(MFG202)。製薬会社の Moderna はサプライチェーン管理プラットフォームを4ヶ月で構築し、配送時間短縮、在庫管理の改善を実現しています(BIZ220)。エレベーター企業の KONE は生成AIを活用した技術者支援アプリを開発し、250人のフィールドサービス担当者に展開中です(AIM302)。その他、エッジコンピューティング活用事例として Wiwynn 社が AWS Outposts を利用してアプリのデプロイ時間を90%削減している例などを紹介しました(HYB201)。
AWS re:Invent 2024 参加企業によるピッチコンテスト
実際に現地参加いただいたお客様から、AWS re:Invent での学びと経験を自社に持ち帰り具体的に何を実現されようとしているのか、今後の活動見込みをご紹介いただきました。
三菱電機株式会社 AI戦略プロジェクトグループ 塚田 真規 様 お客様資料
ピッチコンテストのトップバッターは三菱電機株式会社 AI戦略プロジェクトグループ 塚田様に務めていただきました。AI戦略プロジェクトグループは、生成AI関連の取り組みを主導し、全社的な検証環境の提供や開発加速化支援を行っています。また、エンジニア同士のつながりを重視し、「Serendie Bootcamp コミュニティ」(1,400人以上が参加)や「MAWS-UG」といったコミュニティを運営しています。これらのコミュニティを活用し、事前交流会や事後報告会など、様々なイベントを実施しています。生成AIの具体的な活用事例として、生産ラインのトラブル対応の効率化プロジェクトを紹介していただきました。Amazon Bedrock の Multi-agent collaboration 機能と Model Distillation (蒸留) 機能を活用し、属人性の高い作業の自動化と運用コストの削減を目指しています。最後に、AWS re:Invent の現地参加の意義として、登壇者との直接交流を通じた「しこう」(考える思考とトライアルの試行)に触れることができる点を挙げ、そこで得た知見を社内で共有することの重要性を強調しました。
株式会社DNP デジタルソリューションズ コミュニケーションプロセス開発本部第1部 IPS オフショア課 Nguyen Dinh Hoang 様
続いて、株式会社DNP デジタルソリューションズ コミュニケーションプロセス開発本部第1部 IPS オフショア課の Hoang 様より、参加報告をいただきました。DNP 社からは熱意のあるメンバー4名で参加され、AWS 関連サービスのキャッチアップ、現地でしか体験できないハンズオンセッションへの参加と Expo での交流を目的としていました。特に印象的だったのは、世界中から6万人が集まる規模感と、セッションの質の高さ、基礎から応用まで実務に即した内容で、開発者と直接対話できたことでした。また、AWS re:Invent で知った AWS Builders Cards (カードゲーム形式の学習教材) にインスピレーションを受け、同社のIPS (Information Processing Service) 業務の改善に向けて、社内向けにアレンジした教材を独自に開発しています。これにより、リモートワーク環境下でのコミュニケーション活性化や、新フレームワークの理解促進につながっています。
得られた知見を活かした自己成長と、より効率的な学習教材の開発という具体的な成果を挙げ、「行って良かった」と締めくくりました。
ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター 主任技師 前川 博志 様
三社目は、ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター 前川様からの参加報告です。AWS re:Invent でインパクトが大きかったことの1つとして、Amazon CTO Dr. Werner によるキーノートから「Simplexity」という言葉を挙げました。システムはどんどん複雑になっていくので、自分たちで扱える単位に分割して、ある部分を他者に委ねることが重要と考え、例えば Amazon Aurora DSQL のようなものを自分たちで作ろうとすると複雑になりコストも掛かるが、AWS のサービスをうまく使うことで、自分たちで複雑なシステムを開発・管理する負担をオフロードしていけるのではないか、と述べました。また、敢えてこの時代に AWS re:Invent に現地参加したことの意義について触れ、Chalk Talk や Code Talk といったホワイトボーディングやソースコードを見ながらのセッションが非常に多く、日本では考えられないほど大盛況になっていたのに驚き、現地で対面で話すことの意義が大きいと感じています。自社に帰ってからは、社内コミュニティに AWS メンバーを巻き込んだり、他社コミュニティとの共同イベント実施の企画、社内の RAG システム戦略を Amazon Bedrock を最大限活用するものにアップデートしています。
コニカミノルタ株式会社 技術開発本部 システム技術開発センター アーキテクチャ開発部 第1グループ 井田 匠海 様
最後に、コニカミノルタ株式会社 技術開発本部 システム技術開発センター アーキテクチャ開発部 第1グループ 井田様より、初めて参加した AWS re:Invent でのご経験を共有いただきました。先端技術と熱気に触れることで当事者意識が芽生え、モチベーションが向上したこと、言語の壁を超えて、自然とコミュニケーションが生まれていったことを現地参加の効果として挙げています。また、ぜひ取り入れていきたい新サービスとして、Amazon Q Developer、AWS Transfer Family Web Apps、Centrally managing AWS IAM root access を挙げ、その理由とともに紹介しました。また、AWS GameDay にも参加し、57チーム中22位という成績を収め、グローバルな技術レベルを体感できた点についても触れました。最後に、AWS初心者や英語が苦手な人でも、グローバルな基準を実際に見られる貴重な機会として、イベントへの参加を強く推奨しました。一週間という集中的な学習期間で、専門分野を超えた人との繋がりや、新しい技術への知見を得られる機会として、非常に有意義な経験だったとの報告でした。
ピッチコンテスト表彰式・懇親会
コンテストはご参加いただいた約30社の皆さまで投票を行い、見事第1位に選ばれたのは、三菱電機株式会社 塚田様の発表でした。おめでとうございます!その他3社の皆様も、ご登壇いただきありがとうございました。懇親会では、登壇された方を囲むようにして質問をされる方が続いたり、それぞれの AWS re:Invent 体験談の共有、各社のコミュニティ事情について意見交換し合ったりなど、積極的な交流がされていました。
まとめ
AWS re:Invent の期間中には日本企業向けの Meet-up もありますが、開催後にフォローアップの Meet-up イベントを AWS 主催で行うのは実は初めてのことでした。AWS re:Invent に現地参加された方々は、最新技術のキャッチアップや活用、社外との交流に意欲的なだけでなく、学んだことを自社に持ち帰って、自社のサービスや業務改善に素早く取り入れたり、より多くの仲間に体験を共有し、コミュニティを活性化することで同じ経験を広げていきたいとするモチベーションが高い方ばかりでした。「2ヶ月前の熱気を思い出せてとても満足だった」「現地は人が多すぎて、製造業同士で交流するチャンスがなかったので、大変ありがたいです」「ぜひ大阪などでも開催いただきたいです!」「他社の参加された方が持ち帰った内容や、自社での共有、活用方法をお聞きでき、とても参考になった。ぜひ来年も開催していただきたい。」などのコメントが寄せられました。また1年後も、さらにスケールアップした Meet-up が開催できるのを楽しみにしています。
本ブログはソリューションアーキテクトの中山 七美が執筆しました。