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モノを作る会社から笑顔を作る会社へお客様との結びつきを DX で強化

2023

株式会社SUBARU
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システムインフラを使いこなすのは人間であり、その活動をサポートするには各種ツールが欠かせません。これらすべてがセットになったのが AWS であり、長期的に DX に取り組む上で最適なクラウドだと判断しました"

臺 卓治 氏
株式会社SUBARU 専務執行役員 CIO
IT戦略本部長 兼 経営企画本部副部長

社内全体で共有できるゴールを明確にし
2 つの領域でのデジタル化に着手

「自動車」と「航空宇宙」の 2 つの事業で、グローバルにビジネスを展開する株式会社SUBARU。航空機メーカーの DNA を持ちつつ、「安全」を最優先に考えた「人を中心としたモノづくり」は、同社の自動車ユーザーから高く評価されています。その主力市場となる米国で特約店がユーザーにアンケートを取ったところ、最も数多く出てきた言葉が「LOVE」だったという逸話があります。もちろん日本でも SUBARU 愛好家は数多く存在し、このようなユーザーは「スバリスト」と呼ばれています。

その SUBARU が 2019 年から加速しているのが、DX への取り組みです。しかし当初はなかなか一筋縄ではいかなかったと、専務執行役員 CIO でIT戦略本部長 兼 経営企画本部副部長を務める臺卓治氏は振り返ります。

「一般に DX というと、データやデジタルを活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、企業文化、風土も変えていくことを意味しています。自動車業界でも外的環境が変化しており、DX に取り組まなければならないという、強い危機感を持っていました。しかし自動車メーカーは単一ビジネスモデルで成立しており、その特性は大規模設備投資型です。そのため『ビジネスモデルの変革』といっても、そう簡単に着手することができない状況でした」

とはいえ、現実に社内プロセスの課題が認識されており、コロナ禍の影響もあったことから、社内の風土変革は不可避だと判断。そこでまずは、経営から従業員まで共有可能なゴール(ビジョン)を設定し、地に足のついた「SUBARU らしいデジタル化」を目指すことになりました。

「具体的には『SUBARUブランドとお客様との結びつきを強くする』ことをゴールに掲げ、大きく 2 つの領域で取り組みを進めることにしました。1 つは『コトづくり』でお客様向けの新たな価値を創出する DX、もう 1 つは『モノづくり』を強化するためのデジタイゼーションです」( 臺氏)

「コト」領域では「SUBAROAD」を開発
「モノ」領域では社内データ統合基盤を確立

まず「コトづくり」に関しては、SUBARUオーナーのためのドライブアプリ「SUBAROAD」の開発に着手。これはSUBARU車の基本性能の高さを活かしつつ、地域の特色を愉みながら気持ちよく走ることができるドライブコースを提案する、というものです。またドライブ中は車の位置情報とリアルタイムに連動し、観光情報などを音声コンテンツとして提供。さらに定額制音楽ストリーミングサービスとも連携し、車窓から見える景色に合った音楽を流すといった機能も装備しています。

「開発が始まったのは 2018 年。その後、先程のような議論を行いながら、具体的な形へと作り上げていきました」と臺氏は話します。リリースは 2021 年 12 月。その翌年には公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を受賞しました。

一方「モノづくりの強化」では、「グローバル PLM(Product Lifecycle Management)」と呼ばれる基盤を構築。それまで開発、調達、製造、販売、カスタマーサービスなど、部門ごとに分かれていた情報システムを、データレベルで連携しています。

「各部門のシステムはオンプレミスで運用されており、メインフレームを利用したシステムも存在します。これらを統合するためのシステムを新たに構築することは『システムをまとめるためにシステムを増やす』という矛盾をはらんでおり、根本的な問題解決にはつながらないと考えました。そこで、製品軸で車両生涯のデータを一元管理するための活動を展開。そのデータ統合基盤を『部門横断的なプロセス改革の基盤』にする、というアプローチを採用しました」(臺氏)

この取り組みは 2019 年に着手され、2022 年 3 月にグローバル PLM が完成。これによって、クルマ 1 台の開発・生産からアフターメンテナンスまで一元的な情報管理が実現されました。クルマの健康状態を、そのライフサイクル全体で把握できるようになりました。その中にはお客様情報を管理する CRM も組み込まれており、万一生産段階で問題が発見された場合には、その同型車を購入したお客様に即座に連絡できるようになっています。

優れたインフラも使いこなすのは人間
人材育成と支援ツールも揃った AWS を採用

これら 2 つの領域でのデジタル化を推進するためのインフラとなっているのがアマゾン ウェブ サービス(AWS)です。臺氏は AWS 採用の前段階として次のように話します。

「私は 4 年ほど前に CIO に就任したのですが、それまでは長年にわたってクルマの開発に携わってきました。ご存知のようにクルマにもさまざまなソフトウェアが搭載されており、その開発経験もあったため、当初はこれと同じ方法を DX 領域に適用できると考えていました。しかし、クルマのソフトウェア開発とは異なる点が、大きく 2 つあることに気付きました。1 つは企画・開発スタイルです。クルマのソフトウェアでは、サプライヤーと共同で独自のソフトウェアをゼロから『クリエイト(創造)』すればいいのですが、DX ではその前にハードウェアや環境を『セレクト(選択)』しなければなりません。またソフトウェアが完成した後は、クルマの場合にはそのまま『フィックス(固定)』されますが、DX ではソフトウェアの維持・改造・運用といった『ランニング』を考える必要があります。つまり DX では『ランニング』を視野に入れながら、適切な環境を『セレクト』しなければなりません。そうでないと、後々に大きな問題が発生する懸念があります」

そこで、DX を迅速に推進するためにクラウドの活用を決断。その中で 3 つの要件を満たしていた AWS を選定しました。第 1 はグローバルレベルでの高いセキュリティを実現していること、第 2 は多様な機能に加えて周辺ツールも十分に揃っていること、そして第 3 が、会社としての AWS が人材育成に積極的なことです。

「いくら優れた機能を持つシステムインフラでも、それを使いこなすのは人間であり、その活動をサポートするには各種ツールが欠かせません。これらすべてがセットになったのが AWS です。長期的に DX に取り組む上で、最適なクラウドだと判断しました」(臺氏)

これからも「コト×モノ」のDXを加速し
お客様の「笑顔を作る」会社を目指す

社内の人材育成も、方針を明確にした上で取り組んでいます。DX に必要なスキルを 6 つのレイヤーに分けた上で、社内ではその第 4 レイヤーにあたる「データサイエンティスト」や「AI エンジニア」の育成に絞り込んでいます。「UX/UI デザイナー(第5レイヤー)やプログラマー(第 6 レイヤー)は、パートナーの力をお借りすることにしました。また上位レイヤーとなるアーキテクトやビジネスデザイナー、プロデューサーに関しては、第 4 レイヤーの人材が育ってくることで、自然にステップアップする人が登場すると期待しています」(臺氏)

このような人材育成でも、AWS は重要な役割を担っていると指摘します。実際に SUBARU の社員が AWS に出向いて必要な知識やスキルを学んでくることも多く、AWS も SUBARU 側の要望に対して迅速に対応してくれると語ります。

今後も「お客様との結びつき」と「モノづくり」の両面を、「コト×モノ」の DX によって強化し続けていきたいと臺氏は語ります。その 1 つとして視野に入っているのが、すでに提供しているコネクトサービスの進化です。新たなコネクトサービスのテスト環境も、すでに AWS で構築・運用されているといいます。「最終的に当社が目指すのは、モノを作る会社から、笑顔を作る会社になることです。AWS には今後もそのインフラとして、重要な役割を担っていただきたいと考えています」


株式会社SUBARUについて

  • 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者): 中村 知美 氏
  • 従業員数: 単体: 16,961 人、連結: 36,910 人(2022 年 3 月 31 日現在)
  • 事業内容: 自動車ならびにその部品の製造、修理および販売。航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売および修理

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 「 SUBAROAD」の開発・提供
  • グローバル PLM によるデータ統合

ご利用中の主なサービス

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