ラスベガスで開催されているアマゾン ウェブ サービスのグローバルカンファレンス「AWS re: Invent 2014」。Day2 基調講演には Werner Vogels(CTO, Amazon.com)が登壇し、Amazon EC2 Container Service、AWS Lambda、Amazon EC2 C4 インスタンス、そして Amazon EBS の大容量・高速ボリュームといった新製品発表を交えた講演を行いました。
ゲストスピーカーには、Splunk、Omnifone、The Weather Company、Pristine、Docker、Netflix、Intel が登壇。「Harder, Better, Faster, Stronger」を実現してきた企業、そして新製品リリースをサポートしたパートナーによる事例、製品に関する紹介が行われました。
こちらでは、AWS re:Invent 2014 Day2 基調講演の模様を現地からレポートいたします。
AWS re:Invent 2014 現地レポート
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2日目の基調講演では、EDM(Electro Dance Music)の DJ である Jack Novak がオープニング DJ を務めた後、Amazon.com の CTOである Werner Vogels が登壇。Day1 の基調講演で Andy が発表した、AWS Key Management Service、AWS CodeDeploy、AWS CodePipeline、AWS CodeCommit、Amazon Aurora についての振り返りから話を始め、素早いサービスや改善の提供は Amazon の DNA であるとしました。(Day1 基調講演のレポートはこちら)
前日の発表にもあるように、AWS は様々なサービスを次々に提供し、幅広く、そして深堀りされたサービス群をブロックのように組み立てて利用することができるということに触れ、日本のあきんどスシローの場合、回転ずしの皿の底に IC タグをつけ鮮度管理を行うために、Werner 自身が昨年の re:Invent で発表した Amazon Kinesis が活用されていることを紹介しました。
Werner はこうした様々な新製品のリリースによって、デベロッパーにとって、アプリケーションを構築するのであれば、今ほど素晴らしいタイミングはないといいます。そして、ミュージシャンのダフトパンクの曲名「Harder, Better, Faster, Stronger」というタイトルを流用し、これらのサービス群を活用することにより、「より強く、より良く、より早くそしてより強い」アプリケーションを構築していくことが可能だとしました。
こうした幅広いサービスは、AWS だけによるものでなく、AWS のパートナーが様々なアプリケーションを提供していることが大きく、こうしたエコシステムで提供される幅広いアプリケーションを活用することによって、よりアプリケーション開発が容易になると伝えました。
ここでモニタリングと管理を支援するパートナーである Splunk が登壇。コカ・コーラ、Nike などの事例を紹介し、自社サービスのインフラとして AWS を選択した理由について、お客様が求める信頼性、スケーラビリティー、セキュリティ、効率のすべてを AWS が提供しているからであると話していただきました。
Werner が再び檀上に立つと、幅広いサービスを提供するだけでなく、それは非常に入念に構築されたものであり、たくさんのプロパティーが入っていると続けます。
一昨年の re:Invent で 21 世紀のアーキテクチャーとは昔のようなリソース不足に意識を囚われるものではなく、常にアプリケーションに合わせて稼働するものである、という話が Werner によって伝えられました。AWS ではボタン一つで世界中のリージョン、Az にアプリケーションを展開することができ、AWS とパートナーの組み合わせによってさまざまな活用方法が生まれると話しました。
再びゲストスピーカーとして、音楽アプリケーションを提供する Omnifone が登壇し、自前ですべてのインフラ、システムを構築・運用していく中で、ユーザーが世界中に拡大するうちに、100 % のサービスを提供するのが困難になったことから AWS へシステム移行し、ハイレゾ音源の配信も Amazon CloudFront を活用することによって、音楽業界のクラウドができた、と話しました。
Werner は、多くの企業にとって俊敏性が重要な課題であると話し、開発とテストはこれまで以上に重要になるといいます。かつてはは新しいサーバーを構築するまでに 50 日かかるケースもあったが、今はそれがすぐに実現できることから、新たなイノベーションがすぐに可能となっているとし、その事例として、The Weather Company がゲストスピーカーとして登壇しました。
The Weather Company は、天気が世界の GDP の 3 分の2 に影響を与えているといい、AWS を活用して気象衛星から得られる天気に関わるビッグデータから、精度の高い天気予報情報を提供することができるようになった、と話しました。
The Weather Company に代わって Werner が再び檀上に上がると、Amazon EC2 により、より早く、より精度の高いテストができるようになってきたとしました。これがアジリティのために重要であり、アプリケーションを小さいブロックに分解することで Auto Scaling 等の様々なリソースを活用したよりよいシステムを構築することができると話しました。ここでそうしたアプリケーション構築を実現している Pristine をゲストスピーカーに招きます。
Google グラスとデバイスの連携を支援する Pristine は、手術、医療教育、救急機器やサービス、検査や日常のヘルスケアといったヘルスケアの改善を支援しています。その一環として、母親から隔離された未熟児を父親が Google グラスをかけて見ることで、母親が手元のデバイスでその様子を見ることができるという仕組みを提供していましたが、この技術を製造や他のヘルスケアに応用するために新たな取り組みを実施することになったが、このために AWS のパートナーの協力もあり、DevOps の仕事で 10 倍以上の成果を出すことができたと話しました。こうしたサービスには、 docker を使用しており、テスト、本番をすべて同じコンテナで作業することができ、docker と AWS の互換性がなければサービスを実現することができなかった、と締めくくりました。
Werner は、なぜ、開発者はコンテナが好きなのかという問いに触れ、それは、開発が容易で、ポータビリティに優れており、アプリケーションのデプロイも容易だからとしました。一方で、リソースの管理や可用性を高めるための仕組み、ローリングアップデート管理などの観点で、現在の仕組みでは難易度が高いことを指摘しました。
ここで、これらの課題を解決する新しいサービスである、「Amazon EC2 Container Service」(ECS)のリリースを発表しました。ECS は、高いスケーラビリティと高いパフォーマンスを持つコンテナ管理サービスで、Multi-AZ を利用した高可用性の仕組みを持つことができ、リソースを効率的に利用することができる仕組みをもち、これらの機能をシンプルな API で操作することができると紹介した後、ECS のデモのために AWS の Head of Product Marketing、Paul Duffy を招きました。Paul によってクラスタの構築、タスクの登録、アプリケーションの登録などの流れを紹介し、簡単にコンテナ管理が行えることを紹介されました。
ここで Dockerについて紹介するために Docker の CEO である Ben Golub が紹かれ、Docker とはどんなコンテナなのか、どういったものなのか、そして簡単に使えるようにするため、以下のような特徴を持つことが伝えられました。
- 軽いコンテナの作成
- 利用の容易さ
- エコシステムの構築
- Multi-Docker アプリケーションモデルの実現
- すべてを移行できるプラットフォームの構築
Werner が壇上に戻ると、ECS は、無料であることが伝えられ、会場から拍手が沸き起こりりました。
Amazon EC2、Storageそしてコンテナなどは、プリミティブな実行環境を提供している一方で、アプリケーションにおけるプリミティブなものは何か、それは、関数とデータとイベントだと考えているとしました。
イベントと関数が一緒になったデータ駆動をビルディングアプリケーションのように作ることができないかと考え、それに必要なものは長期間維持できる完全なスタックが必要であるとしました。たとえば、AWS のお客様である wetransfer は 1 ヶ月で 65 万回、11 PB のデータを転送きてきましたが、こうしたアプリケーションに必要なものはどのようなものだったのか、という疑問に対して、動的アプリケーションのためのイベントドリブンなコンピューティングサービスである、新サービス「AWS Lambda」が発表されました。
AWS Lambda は、Amazon EC2 無しにただコードを書くだけで動的なアプリケーションを実行できる環境で、Amazon S3 のイベント通知、Amazon DynamoDB のストリーミング、Amazon Kinesis からのイベントやカスタムイベントなど異なる形式、サイズでイベント受け、JavaScript のコードを書けば動作します。簡単に、早く実行ができるだけでなく、非常にコスト効率が高いのが特徴です。実際の用途としてはバックエンドサービスを構築したり、データトリガーで処理を実行したりセンサーの変化で処理を行うようなIoTでの利用方法、Amazon DynamoDB のインデックス処理、そしてモバイルからの写真アップロードなどで利用することができます。
ここで AWS Lambda を使って効率的にアプリケーションを作られた Netflix がゲストスピーカーとして登壇しました。
Netflix は、AWSを使い 5,000 万人のユーザに対してサービスを提供しており、AWS Lambda によってファイルのバックアップ、リージョンコピー、検証が容易にできるだけでなく、効率的なシステムの開発ができるといった内容が伝えられました。
そして、Werner から AWS Lambda の料金が 100 万リクエストで $0.20, 実行時間 100 / 秒 単位、メモリ 128 MB で、$0.00000021 であること、そしてすべてのお客様に対して無料利用枠で、月間 320 万 /秒の実行時間と 100 万リクエスト分が無料で提供されることが伝えられました。
Werner は AWS はコアビルディングブロックを今後も改善していくとして、Amazon EC2 の 新しいインスタンスタイプ「C4」を発表しました。最高速のプロセッサである Intel Haswell プロセッサ搭載で、EC2の中で最も速いCPU能力を持つだけでなく、EBS 最適化が標準であることが伝えられました。
さらに、Amazon EBS に新しいボリュームとして、16 TB までの容量を持ち、スタンダードボリュームの SSD で 10,000 IOPS、プロビジョンドIOPS で 20,000PIOPS のボリュームが追加されたことが発表されました。
ここで、AWS と Intel の関係について紹介するため、インテルの DataCenter Group SVP & GM の Diane Bryant が招かれました。インテルからはアマゾンとは戦略的な連携しており、C4 については、アマゾンのためだけに作られた最新の CPU であり、開発には、エンジニア同士の協力によって実現されたと伝えられました。AWS に最適なチューニングがされ、最も高いパフォーマンスが出ているとのことです。
インテルはこの日の夜開催されたパーティー re:Play パーティーもサポートしていることが伝えられ、ゲストパフォーマンスにグラミー賞で最優秀ダンス/エレクトロニカ・アルバム賞と最優秀ダンス・レコーディング賞、最優秀リミックス・レコーディング賞を受賞している Skrillex が登場することが発表されました。
最後に Werner は午後の技術セッションの話に加えてスタートアップのセッションについて紹介し基調講演は締めくくられました。
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