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コスト最適化を実践する EBA FinOps Party

みなさん、こんにちは、カスタマーソリューションマネージャー (CSM) の西口です。このブログ記事では、CSM としてお客様のクラウド活用やクラウド移行の加速をご支援している経験を踏まえ、クラウドの体験型ワークショップ (Experience-Based Acceleration(EBA)) の Party の一つである EBA FinOps Party をご紹介します。

FinOps という用語を皆さまご存じでしょうか。もしかするとあまり馴染みのない用語かもしれません。同じような用語でより耳にすることの多い DevOps が Development (開発) と Operations (運用) が密に連携して、高い品質を確保しつつ開発速度の向上と運用の効率化を目的とした取り組みを指しますが、それと同じように、FinOps は Financial (財務) と DevOps (開発および運用) が密に連携して、クラウドの費用予測や計画をより精微化しコストを最適化することで、財務の面でもクラウドリソースの効率的な利用を進めることを意味しています。
お客様はこの FinOps の一部の取り組みを EBA による実践的なアプローチで体験することが可能です。 EBA ではクラウド利用や移行におけるお客様課題に対して 5 つの Party と呼ばれるワークショップを提供しています。EBA FinOps Party はそのうちの一つです。この EBA FinOps Party を通じて、お客様ご自身で自らの部門やシステムを対象に FinOps を実践します。 EBA の詳細はこちらの記事をご確認ください。


EBA FinOps Party は、移行を行った後などでクラウドの支出が増えており組織として最適化したい、オンプレミスとクラウドの財務の考え方の違いが整理できておらず適切にクラウドを活用できているか自信がない、クラウドの費用計画では財務部門と IT 部門の連携が必要であることは理解しているが連携の一歩が踏み出せない、といったお客様に特におすすめします。

EBA FinOps Partyを実践する効果

EBA FinOps Party を実践する効果として、お客様内のコスト管理を担当する組織 (財務部門、業務部門、IT 部門) が「コストを最適化し続ける」意識を持つための契機を作ることができます。
昨今、IT システムのクラウド化をお客様クラウド推進組織 (Cloud Center of Excellence) が推進していただいている成果として、大変多くのお客様に AWS をご利用いただいています。しかし、それと並行して、景気の低迷や急激な円安によりクラウドの利用料が想定していたよりも高騰し、ビジネス課題として「コスト『削減』」が挙げられることも多くなってきました。これらに対し、AWS では単純な「削減」作業を実施するのではなく、定常的に無駄なコストを減らし適切なコスト状態とするための「最適化」活動として FinOps の実施および活動の定着を推奨をしています。この活動を実践するためのフレームワークが Cloud Financial Management (CFM) です。
EBA FinOps Party は、このフレームワークと最適化手法をお客様が理解し、定常的な活動計画の立案までを体験するプログラムです。

EBA FinOps Partyでのアジェンダ例

今回のブログでは、日本のお客様向けアジェンダ例をご紹介します。日本では、お客様環境を変更するためのプロセスとして変更作業前に財務部門やアプリケーションチームとの協議、承諾といったプロセスが存在していたり、事前に手順検証を実施しリスクを軽減しておくといったプロセスが存在していることが多く、ワークショップ中に環境を変更するにはとてもハードルが高いと推測します。
そのため、日本のお客様向け EBA FinOps Party ではまず FinOps を始める契機を作ることを目的とし、以下 3 つに焦点を当てています。

  1. CFM フレームワークを理解、認識する
  2. コスト最適化が可能な箇所の確認および最適化の手法を理解する
  3. エグゼクティブスポンサーからコスト最適化活動に対する支援を獲得する

標準的なアジェンダ例として、Day1 : 基礎編、Day2 : 実践編、Day3 : 報告会の 3 日間です。特に Day2 ではハンズオンやデモを取り入れ、活動施策を Day3 に向けた宿題として検討します。そして Day3 で施策を発表することで定量的な最適化成果を明示的に意識する内容となっています。これにより参加者に「コスト最適化活動し続ける」意識を高める体験を得ることができます。

  • Day1 (基礎編) : CFM フレームワーク (座学)

    • AWS の提唱する CFM フレームワークに関して、コストを最適化し続ける重要性と4つの柱「可視化」、「最適化」、「計画・予測」、「 FinOps の実践」を実現するための取組をセミナー形式で実施します。
  • Day2 (実践編) :コスト最適化⼿法についての AWS サービスのハンズオンやデモ

    • Day2 では、お客様課題に合ったコスト最適化手法について AWS サービスのハンズオンやデモをご提供します。
      ※一例 AWS Cost Explorer を用いたお客様のご利用状況確認手順ハンズオン、 AWS BudgetsAWS Instance SchedulerAmazon QuickSight のデモまた、このハンズオンやデモの内容を踏まえ、参加メンバーには Day3 へ向けてご自身が関係するシステムやプロジェクトにおける最適化活動施策をご検討いただくことを宿題としてお渡しします。
  • Day3 (報告会) :施策報告

    • Day2 で宿題として検討した最適化活動施策を、エグゼクティブに向けに発表します。エグゼクティブ向けに発表を行うことで、エクゼクティブには今後この施策を後押ししていただけるスポンサーになっていただくことを目的としています。

FinOps ベストプラクティス

CFM フレームワークにもあるとおり、 4 つの柱のうち「可視化」、「最適化」、「計画・予測」の 3 つアクションを定常的に「 FinOps の実践」として実施することが非常に重要です。

  •  可視化

  • 最適化

    • 「可視化」により確認した対象に対し、AWS の提唱する最適化手法である「クイックウィン最適化」あるいは「アーキテクチャ最適化」を計画、実施します。
      • クイックウィン最適化
        • 適切なインスタンスサイズの選定、未使用リソースの停止等ご利用環境にて、オペレーションすることで最適化を実践できる手法です。
      • アーキテクチャ最適化
        • IaC による運用の自動化やサーバレス、マネージメントサービスの利用といったクラウドネイティブ化することで最適化を実践できる手法です。
  • 計画・予測

    • 新しいシステムの導入やサービスへの機能追加などによりクラウド環境が拡大する等、ビジネス状況を鑑みたクラウド利用料の計画、予測を行い、AWS BudgetsAmazon ForecastAWS Cost Anomaly Detection を利用しモニタリングします。
      • AWS Budgets
        • 設定した予算に対し、閾値を設定することでその閾値を超過した場合、E メールまたは SNS 通知によるアラート通知が可能です。
      • Amazon Forecast
        • AWS Cost Explorer では過去 12 か月分のデータを基にした予測となりますが、Amazon Forecast は AWS Cost and Usage Reports の請求情報データから機械学習を用いて、クラウド利用料の予測を行います。
      • AWS Cost Anomaly Detection
        • AWS サービスの利用状況を機械学習モデルにより学習し、ベースラインを設け、このベースラインから大きく逸脱した値を「異常」として検知し、E メールまたは SNS 通知によるアラート通知が可能です。

コスト最適化を実践しているお客様事例

FinOps として CFM フレームワークの可視化、最適化、計画・予測を実践することで、コストの最適化がより身近になり、定常的なコスト最適化活動に一歩近づくでしょう。ここではコスト最適化活動を実践しているお客様の例を紹介します。ナビタイムジャパン様では、CFM による包括的なコスト最適化の診断の結果、ストレージコストを約 10% 削減しました。また EC2 のダウンサイジングなど 段階的なアプローチを行い、インフラコストはオンプレミス比で 30% の削減を達成できています。加えて、次世代プロセッサーを具備した最新世代のインスタンスへ変更したことにより、さらなるコスト削減とパフォーマンス向上を見込んでいます。 また、NTT ドコモ様では、IT 部門と利用部門に対して意識改革を促すため、CFM ワークショップを実施し、コストの最適化を進めた結果、過去の最大利用料より 30% のコストを削減しました。他のお客様においても、EBA FinOps Party を実施した結果、金融業界のお客様で約 120,000 USD、通信業界のお客様で約 500,000 USD、製造業のお客様で約 190,000 USD のコスト最適化を見込んでいます。

EBA FinOps Partyの始め方

EBA FinOps Party は、AWS のクラウド移行トータル支援プログラムである「 AWS ITトランスフォーメーションパッケージ 2023 ファミリー」の準備・移行フェーズにおける継続的なコスト最適化支援の無償プログラムの一つです。
EBA FinOps Party または AWS IT トランスフォーメーションパッケージにご興味ある方のご利用に向けた入り口は 2 つあり、 1) Web フォームからお問い合わせ、 2) 担当営業までご連絡、どちらからでも可能です。
AWS へのコンタクトをお待ちしております。

参考情報