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経済産業省 GENIAC 基盤モデル開発支援事業 (第3期) における採択事業者への支援を開始
2025年7月4日、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) が実施する Generative AI Accelerator Challenge (GENIAC) の一環として実施している基盤モデル開発支援事業の第3期 (2025年4月公募) における採択事業者のキックオフが行われ、本事業の採択事業者が発表されました。今回 AWS は NVIDIA H100 Tensor Core GPU を搭載する Amazon EC2 P5 インスタンス (p5.48xlarge
)、NVIDIA H200 Tensor Core GPU を搭載するAmazon EC2 P5en インスタンス (p5en.48xlarge
) 等の学習・推論に必要な仮想サーバーに加えて、採択事業者のニーズに合わせ Amazon SageMaker HyperPod および Amazon EC2 Trn2 インスタンスを提供します。
AWS は、GENIAC バーチャルチームを組成し、以下の支援を提供します:
- 計算資源: Amazon EC2 P5, P5en, Trn2 インスタンス、あるいは Amazon SageMaker HyperPod の提供、
- 技術支援: AWS Solutions Architect (SA) を中心としたメンバーにより、コンピュート (EC2)・ネットワーク (Elastic Fabric Adapter (EFA))・ストレージ (Amazon FSx for Lustre および Amazon S3) で構成される分散学習環境の AWS ParallelCluster や SageMaker HyperPod を活用した構築・管理の支援、
- 開発者コミュニティ支援: 海外モデルプロバイダーの開発メンバーとの交流イベントによる最先端の開発動向調査や海外視察、国内の機械学習エンジニア同士の交流による知見共有をはじめとした Meetup の実施、
- 事業化支援: GENIAC を通じて開発された基盤モデル・生成 AI アプリケーションの Amazon Bedrock Marketplace、AWS Marketplace の活用による go-to-market (GTM) 支援、利用企業との AWS 主催イベントを通じたマッチング機会の提供。
これらは、経済産業省商務情報政策局情報処理基盤産業室、NEDO、ボストン コンサルティング グループ (BCG)、および AWS パートナーであるクラスメソッド株式会社と密に連携のうえで提供されます。
採択事業者のうち AWS を利用する事業者は以下です (現時点で承諾が得られたもののみを掲載):
- SDio株式会社
- カラクリ株式会社
- Sansan株式会社
- ストックマーク株式会社
- Zen Intelligence株式会社
- Degas株式会社
- Direava株式会社
- Nishika 株式会社
- 株式会社野村総合研究所
- 株式会社Preferred Networks
- ONESTRUCTION株式会社
- 株式会社リコー
採択事業者からコメントを頂きました:
GENAICサイクル3において、エンタープライズ向けの大規模映像基盤モデル(LVM)の開発に取り組むにあたり、AWSのEC2 P5インスタンス および AWS ParallelCluster を活用することで効率的に研究開発を進めることができると考えております。多方面での実用的なサポートをいただき大変感謝しております。
— SDio株式会社 代表取締役 カイ アバ
AWS様には第2期に続き、GENIAC第3期でも生成AI開発の基盤としてご支援いただいております。引き続きAWS Trainiumを活用することで、学習コストを抑えつつ高性能なモデル開発を実現できており、大変心強く感じております。
また、インフラの安定性やドキュメントの充実度に加え、技術だけでなくビジネス面も含めた総合的な支援により、スピード感をもって開発を推進できています。今後もAWS様との連携を通じて、より実用的かつ価値ある生成AIの社会実装を目指してまいります。
— カラクリ株式会社 CPO 中山 智文
Sansan株式会社では、文書特化基盤モデル「Viola」をスクラッチで開発し、自社プロダクトのデータ化プロセスに導入しています。GENIACサイクル3では、EC2 P5インスタンスを用いて「Viola」を拡張し、Visual Grounding機能を搭載した「Cello」を開発します。AWSの高性能コンピューティングリソースを活用することで、ビジネスインフラとして働き方に革新をもたらすことを目指します。
— Sansan株式会社 技術本部 研究開発部 Automationグループ 研究員 内田奏
「製造業等で扱われる複雑でハイコンテクストな資料を実用レベルで読み解けるAIは未だに存在しておらず、ストックマークはこの領域での更なる強力な基盤モデルの開発にGENIACサイクル3では挑戦致します。強力なモデルの構築には、大規模でも実行効率高くかつ安定的に動くマルチノードGPUクラスタが不可欠であり、GENIACサイクル2に続いてAWSを活用させていただくことと致しました。」
— ストックマーク株式会社 取締役CTO 有馬 幸介 氏
Zen Intelligenceでは、Physical AIを通して建設業界の社会課題解決を目指しております。
GENIAC 第3期では、AWS様のAmazon EC2 P5enインスタンスを活用させて頂き、建築現場の施工管理を自動化する基盤モデルの開発を加速させていきます。
AWS様には、今後も大規模なモデル開発を進める上で多様かつ有用なサービスを期待しておりますとともに、多大なご支援感謝致します。
— Zen Intelligence CEO 野﨑 大幹
Degasは、先端AIと衛星観測データの力で、発展途上国の課題解決に挑むスタートアップです。今回のGENIAC採択を受け、衛星データ解析の直感性と実用性を飛躍的に高めるリモートセンシング用視覚言語モデル(VLM)の開発に取り組みます。
開発においては、Amazon EC2 P5インスタンスを活用し、大規模な基盤モデルの学習を効率的に推進します。AWS様と協力しながら、柔軟性とスケーラビリティを兼ね備えたインフラを活用し、AIの社会実装に向けた技術革新をさらに加速してまいります。
— Degas株式会社 CTO 中山 洋平
弊社は、GENIACにおいて手術支援のためのVision-Language統合AI基盤モデル開発に注力します。この革新的な取り組みにおいて、AWSが提供するEC2 P5インスタンスやAWS ParallelClusterといった最先端のインフラを最大限活用できることに深く感謝しております。 これらの強力なサポートを得て、術中の判断支援や意思決定を助ける生成AIの開発を効率的に推進し、医療現場の安全性と質の向上に貢献していきます。
— Direava株式会社 CTO 斎藤 洸輔 氏
GENIAC Cycle3に採択され、世界初のBIM情報要件(IDS)生成基盤モデルの開発に着手します。本プロジェクトではAWSのEC2 p5en.48xlarge(NVIDIA H200搭載)を活用します。AWSの圧倒的なレジリエンスと信頼性と、弊社のbuildingSMART Internationalの国際標準規格開発メンバーに、日本企業として唯一参画する弊社の強みを活かし、建設業界の高度な国際標準技術を民主化します。
AWSとのパートナーシップが、この挑戦を成功に導く重要な鍵となることを確信しています。
ー ONESTRUCTION株式会社 事業開発ユニット AI Lead 日高 洸陽
Nishikaでは、AWS様のEC2 P5インスタンスを活用し、要約タスク等を目標に出力形式への追従能力を高めたSLMを開発してまいります。今後、オンプレミス環境におけるより幅広いユースケースをターゲットとしたSLMを開発していく予定で、継続的に協働させていただければと思います。
— Nishika株式会社 代表取締役CTO 松田裕之
AWS様には生成AI実用化推進プログラムの支援で大変お世話になりました。
GENIACサイクル3では Amazon EC2 P5en インスタンスを活用し、業界・タスク特化型LLM構築を中規模モデルに拡張して取り組んでまいります。
— 株式会社野村総合研究所 AIソリューション推進部 チーフエキスパート 岡田 智靖 氏
前回に引き続きの採択となりましたが、さらに複雑な図表へ対応と高度な推論能力を持つマルチモーダルLLMの開発を通じて、企業に蓄積されたドキュメントの有効活用を実現して企業競争力のアップに貢献したいと考えております。開発を進める中では計画変更が避けられませんが、LLM開発においては大きな計算機資源の機動的な確保が必要になります。その対応力とサポートに優れたAWS様に今回もお世話になります。
— 株式会社リコー RICOH Digital Services BU AIサービス事業本部 デジタル技術開発センター LMM開発室 室長 長谷川 史裕
AWS では日本のお客様に対し、2023年の AWS LLM 開発支援プログラムにはじまり、 グローバルの Generative AI Accelerator や AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラムといった取り組みを通して生成 AI ワークロードを支援しています。そこで得られた知見をもとに、GENIAC における日本の生成 AI 開発力向上に貢献できれば幸いです。