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【開催報告&資料公開】AWS Media Seminar 2022 Q1 – データによるビジネス革新
はじめに
2022年3月10日、メディア関連企業における AWS Analytics サービス活用のベストプラクティスを紹介するイベント「 AWS Media Seminar 2022 Q1 – データによるビジネス革新」を開催いたしました。外部の調査会社による CIO 向けアンケートの結果でも、投資を増やしているテクノロジー分野の第1位が「ビジネスインテリジェンスまたはデータ分析ソリューション」となっている昨今、ビジネスの拡大、推進にデータ活用が不可欠となっております。そこで、本セミナーでは、 AWS Analytics サービスを活用したデータによるビジネス革新を実現されてるメディア関連企業のお客さまをお招きし、ベストプラクティスを共有いただきました。また、 AWS Analytics チームから、事業サイド (Line of Business) の方々にお役立ていただける AWS Analytics の最新アップデートもご紹介いたしました。
セミナーのアジェンダ:
- アマゾンウェブサービス (AWS) ジャパン : データ活用のベストプラクティスと、それを支える AWS アナリティクスサービス
- スカパー JSAT 株式会社様:データドリブンを推進させる Amazon QuickSight の活用
- 株式会社ブックリスタ様:電子書籍ストアにおけるデータウェアハウスの利活用と Amazon Redshift ML を使ったビジネス施策への取り組み
- 株式会社 CARTA HOLDINGS 様:まだレポーティング業務で疲弊してるの?
データ活用のベストプラクティスと、それを支える AWS アナリティクスサービス
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアアナリティクスソリューションアーキテクト 志村 誠より、データを活用するとはどういうことか、データ活用を始めるためのステップ、そしてそれを支える AWS サービスについてご紹介いたしました。データ活用の本質は、得られたデータをもとに施策を打ったり、その評価指標を明確にしていくことにあります。ビジネス課題に対して仮説に基づく施策を行い、その結果を検証するというサイクルを繰り返すことでビジネス上の改善を行えるようになります。そのデータ活用を推進する上で、適切なツールを選定することが必要です。多くのお客様はデータウェアハウスと BI ツールの組み合わせによりデータ活用の基盤を構築しているのが現状ですが、今後さらに多様化するデータ分析のニーズに対応するためには、ビジネスに合わせて適切な指標、ツール、データを選択できるような基盤を整備する必要があるでしょう。そのためには大量のデータを保持し、ツールに合わせてデータを加工整形できるデータレイクのような基盤が必要となってきます。データレイク活用の事例として、 Amazon の「プロジェクト Andes 」をご紹介しました。 Amazon では、 AWS のアナリティクスサービスを活用してデータを一箇所に集約し、拡張性に富んだ形で分析が行える基盤を構築しました。これにより、ビジネス部門が必要なデータを自分で選んで活用できるようになりました。最後に、このような基盤を構築するための AWS サービスをご紹介しました。まずはサーバーレスのサービスを活用してスモールスタートを切っていただき、規模が大きくなるにつれてガバナンスのサービスを使ってセキュリティの対策をしていただくというステップをご紹介いたしました。
データドリブンを推進させる Amazon QuickSight の活用
スカパーJSAT株式会社 メディア事業本部 コミュニケーションデザイン部 槌井 優 様より、データドリブンな意思決定を根付かせ、加速するための取り組みについてご紹介いただきました。同社の衛星放送サービスでは多様なジャンル、商品形態をとるコンテンツを提供されており、一方でお客様層も多様であるため、データを活用したきめ細かいお客様理解を必要としておりました。それまでは事業部門からデータ部門に依頼してレポートを生成するフローとなっておりましたが、マーケティングスピードを加速するためには、全社員がタイムリーにデータを確認できる環境が必要でした。また、さらに高度かつ多様なデータ分析を行うために、データの一元化による様々なデータの横断的な活用が必要となっておりました。そこで、 Amazon Redshift にデータを集約し、 Amazon QuickSight を用いて可視化することで、従来は事業部門からデータ部門にデータの出力依頼をしてから確認ができるようになるまでに1週間かかっていたところ、日次で連携される最新データを全社員がいつでも確認できるような環境を整えることに成功しました。データ管理を一元化したことで、複数のデータを組み合わせた新たな分析、打ち手の開発に注力できるようになり、きめ細かいマーケティング施策を打つことができるようになりました。この基盤を活用し、データドリブンな打ち手を開発した事例として、契約商品、アンケート、行動ログ等の情報を掛け合わせて、お客様がどんな分野のファンなのかを分析する「ファンジャンル分析」を用いて、より高度なレコメンドのパーソナライズを行った例をご紹介いただきました。最後に、今後更なるデータドリブン推進のために、 ML Insignt や SageMaker で作成した予測・分析等の可視化等にも取り組まれていくとのメッセージで締めくくられました。
電子書籍ストアにおけるデータウェアハウスの利活用と Amazon Redshift ML を使ったビジネス施策への取り組み
株式会社ブックリスタ デジタルマーケティング部 データアナリスト 滝澤 俊哉 様と同 小田 友莉乃 様よりデータウェアハウスの構築までの流れからデータの可視化および社内での利活用に関する取り組みと、 Amazon Redshift ML を利用したビジネス施策の取り組みをご紹介いただきました。ブックリスタ様のストア事業では、 ReaderStore 、および au ブックパスの二つの書店の運営を担っており、データ分析においては、それぞれの書店のそれぞれのリレーショナルデータベースに保存されたデータを参照する必要がある状況でした。また、それぞれの書店で使われているデータベースへアクセスしてデータを取得する必要があるため、ストアのサービスに影響を与えてしまう懸念や運用面での不便さ、また保存場所が分散していることで高度な分析を行いづらいという課題がございました。これらの課題を解決するために、 Amazon Redshift でデータウェアハウスを構築し、データを一元化することでこれらの課題を解消することに成功した事例についてご紹介いただきました。ブックリスタ様ではさらに取り組みを進め、「データの民主化」と呼ぶ取り組みを推進され、全社員が自分が必要なデータを自分で抽出できるようになり、元々他部署から依頼されてレポート作成等を行っていたデータアナリストが自ら価値ある施策提案を打ち出せるような体制を作り上げることができました。さらに、データアナリストが自ら提案し、ビジネス施策につなげることができた成果の一つとして、 Redshift ML を用いて期間限定ポイント付与の対象者を最適化を行った事例をご紹介いただきました。この最適化では、期間限定ポイント付与により購入を促すことができるユーザーを予測し、その結果をもとに対象ユーザを絞ることで、ポイントの無駄打ちを回避するとともに、ポイントにかかる予算の管理がしやすくなるという効果を実現されております。
まだレポーティング業務で疲弊してるの?
最後に、CARTA HOLDINGS (旧VOYAGE GROUP) Zucks アドプロダクト事業本部 近森 淳平 様より、アドテクノロジープロダクトである Zucks でのデータ活用の経験を踏まえ、いかにレポーティング業務に費やす時間を抑えて事業成長につなげてきたか、その取り組みとそこから得た教訓についてご紹介いただきました。「事業成長機会を増やしたいなら、注力すべきはレポーティング業務ではない。ネクストアクションを生む分析。」という力強いメッセージから始まり、レポーティングとは何かを定義した上で、レポーティング業務がなぜ「大変で、退屈」となるかをご紹介いただきました。その上で、 Zucks ではいかにレポーティング業務を効率化していったかをご紹介いただきました。ビジネス上で必要なレポートの種類は多岐にわたるため、全ての要求に答えることは一見困難に見えます。しかし、要件を深掘りし、二種類のレイヤーに分類することで、それぞれの要件にあったレポートを生成できる基盤を構築できることに成功したことをご説明いただきました。データ基盤に AWS をご活用いただいた理由として、フルマネージドサービスを活用することで実装、運用ともに手間が省け、少数のエンジニアで運用が可能だった点、設計レビューや新サービスのレクチャー等手厚いサポートが受けられる点、お客様のフィードバックに基づいた新サービス、新機能の提供という3点をご紹介いただきました。最後に、レポーティング業務を効率化することで生まれた時間を、ネクストアクションにつながるデータ分析に使うことで、事業成長機会が増やすことができるというメッセージで締めくくられました。
おわりに
本ブログでは、2022年3月10日に開催されたメディア企業向けのデータによるビジネス革新セミナーの各セッションの内容をご紹介させていただきました。本セミナーに参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。引き続き業界の皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。
参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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このブログは Solutions Architect の浦野が担当しました。