Amazon Web Services ブログ

廃棄物ゼロに至る道:ゴミ収集車両の走行ルートを最適化する

今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「サンタフェ市が、市の運用するゴミ収集・リサイクル品収集車両の走行ルートを最適化した事例」について紹介します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、AWS Public Sector Blog へ掲載された投稿の翻訳となります。)

現代において最も緊急性の高い環境問題に取り組むことほど、大きな価値のあるミッションはありません。アマゾンがお届けする4部作のドキュメンタリーシリーズ「Climate Next」は、世界中の政府や組織がアマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド技術を利用して、地球の変化に対応し続けるためのイノベーションを推進し、気候変動に対処するためのスケーラブルなソリューションを構築するなど、コミュニティが地球を保護・保全するためにどのような力を発揮しているか──を探っていくものです。シリーズの1つのエピソードでは、ニューメキシコ州サンタフェ市がクラウド技術を利用して、廃棄物とリサイクルの管理業務をより効率的に行い、廃棄物の埋め立てという処理手法を回避し、温室効果ガスの排出を削減している様子を紹介しています。

動画へのリンクはこちら:

ニューメキシコ州の州都であるサンタフェ市は、2020年時点の人口が87,505人で、同州で4番目に大きな都市です。サンタフェ市では、すべての住民が週に一度、ゴミとリサイクルの収集車両による回収を行っていますが、以前はそうではありませんでした。サンタフェ市は、AWSテクノロジーパートナーであるルビコン社と提携し、廃棄物・リサイクル・サステナビリティの業務全体のパフォーマンスを向上させることを決断しました。クラウドを利用して住民に対して直接リサイクルプログラムを提供することで、同市は市民のリサイクル率を劇的に向上させ、市政府はより多くの廃棄物を埋め立てることなく処理し、市の温室効果ガスの排出を削減することができました。

AWSパートナーの技術を採用

サンタフェ市は、市政府がより効率的で効果的、かつ持続可能な運営を行えるよう支援するクラウドベースのテクノロジー、「 RUBICONSmartCity™」を活用しています。ルビコン社は、 Amazon CloudWatchAmazon Relational Database Service (RDS) for SQL ServerAmazon Simple Storage Service (Amazon S3)などのAWSサービスを利用して、パワフルなクラウド・アプリケーションを構築し、スマートデバイスを廃棄物・リサイクルトラックに配備することで、IoT(Internet of Things)対応の廃棄物収集車両を効果的に運用しています。
サンタフェのゴミ収集車は、「RUBICONSmartCity」の技術を使用して、1日あたり800〜900軒の家庭でのゴミやリサイクル品の収集を行っています。ドライバーはスマートフォンを持ち歩き、ルビコン社独自のアプリを使って、最適な収集ルートやテレマティクスのライブ情報をドライバーに提供し、クラウド経由で本社にデータをストリーミングします。同市のマネージャーやスーパーバイザーは、市内の各家庭でのサービス状況、ルートの進捗状況、現場での問題、車両の故障、保留中の車両の故障、最終目的地の位置など、プログラムの効率的な運用に必要な情報を把握することができます。市は、回収漏れを減らし、紙のルートシートや顧客側で生じた問題を手作業で追跡することをなくし、回収ルートを最適化することで顧客サービスを向上させるとともに、燃料消費、車両の消耗、不必要な残業を減らす──などのアクションにより納税者の負担を節約しました。

リサイクル時の住民体験を改善

2015年6月以降、サンタフェのドライバーは、住民が[回収を希望する物品を道路脇に配置しておくための]カートを縁石に置かなかった1,300件以上の事例を把握しています。この情報を取得することで、サンタフェは、回収に間に合わなかったリサイクル品を回収するためにドライバーを再度派遣することを回避し、また、次の運行でトラックが何時に到着するかを住民に伝達することができるようになりました。サンタフェでは、ドライバーがリサイクル品の汚れ具合を識別し、それを画像で記録して回収をスキップすることで、廃棄物回収のさらなる効率化を図ることができました。これにより、最終的にドライバーは、市の仕分け担当者に渡すことができる最もクリーンな製品を提供することが出来るようになったのです。回収ができなかった場合や、住民から問い合わせがあった場合、サンタフェはRUBICONSmartCityアプリで収集したデータをもとに、回収できなかった理由を住民に正確に伝えることもできます。一般的な理由としては、コンテナ車両が近づく際の障害物の存在や、他の物との接近、ビンの汚染などが挙げられます。
リサイクルにおける汚染とは、家庭用化学物質、殺虫剤、除草剤、自動車用化学物質などの有毒成分を含む廃棄物のことです。このような汚染は、リサイクルプログラムの主要な費用の一つであり、汚染されたアイテムと相互作用する他の材料がリサイクルされるのを妨げる可能性があります。汚染されたビンを特定すると同時に、リサイクルの収集に含めることができる材料とできない材料について住民を教育することで、資源を合理化し、市の費用を節約し、住民が参加できる透明で効率的なリサイクルプログラムを提供することができるようになりました。

ゴミもデータも収集する車両

 クラウド技術を利用することで、市の車両は単にゴミを回収するだけではなく、他にも様々なことができるようになりました。サンタフェ市のゴミ収集車は市の保有する多数の車両の中でも、市内の「すべての通り」を週に1回以上行き来する、「唯一の車両」です。RUBICONSmartCityを使えば、これらのゴミ収集車は、[道路や外壁などに生じた]欠損や落書きの検出などの追加タスクをこなすモバイルデータ収集センターになります。サンタフェのリサイクル車両のドライバーは、このアプリを使って、300箇所以上の落書きを除去するプロジェクトが完遂されたことを確認しました。RUBICONSmartCityのようなクラウドベースのリサイクル技術により、州政府や地方自治体は、顧客中心の持続可能性と スマートシティプログラムを推進する革新的なソリューションを利用することができます。サンタフェで見られたように、クラウドはプログラムを近代化(モダナイズ)するだけではありません。政府がテクノロジーを活用して従来の業務を合理化し、長期的な持続可能性の目標に向けて取り組むことを可能にします。AWSとAWSパートナーが提供するクラウド技術は、気候変動との戦いにおいて、州政府や地方自治体がより大きなインパクトを生み出していくことに貢献します。 サンタフェの「廃棄物ゼロへの道」や、他のAWSのお客様が革新的なクラウド・テクノロジーを活用して気候変動への対処方法を革新している事例については、 「Climate Next」で詳しくご紹介しています。

Learn More

日本の公共部門の皆様へのご案内

AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。

今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。「クラウド×公共調達」の各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、ぜひAWSまでご相談くださいContact Us)。

* * * *

このブログは英文での原文ブログを参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

* * * *


小木 郁夫
AWSジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
LinkedIn
Twitter
#AWSCultureChamp (2021年7月~)