Amazon Web Services ブログ

あらゆる VMware 環境から Amazon FSx for NetApp ONTAP および Amazon EC2 へのシームレスな移行

このブログは 2024 年 10 月 30 日に Jay Horne (Principal Solutions Architect) と Randy Seamans (Principal Solutions Architect) によって共同執筆された内容を日本語化したものです。原文はこちらを参照してください。

過去 20 年以上にわたり、VMware などの市販のコンピューティング仮想化ソリューションは、コストの削減、効率性の向上、管理タスクの簡素化、オンプレミスの柔軟性の向上に使用される強力なツールとなっています。時間の経過とともに、ほとんどのクラウドプロバイダーは無数のクラウドネイティブサービスへの直接アクセスを提供しながら、従来のオンプレミス仮想化スイートで利用できる機能と同等かそれ以上の高度なストレージ、効率性、管理機能をハイパーバイザーに加えてきました。並行して、Broadcom による VMware の最近の買収により、クラウドとオンプレミスの両方で VMware の販売とライセンスの方法に多くの変更がもたらされました。代わりのハイパーバイザーを検討している場合、幸いなことに、関連するストレージを同時に移行しながらあるハイパーバイザーから別のハイパーバイザーへ移動することは、もはや危険で途方もない作業ではありません。

本日、図 1 に示すように、既存の VMware VM (仮想マシン) とストレージを、あらゆるクラウドベースの VMware ソリューションまたはあらゆるオンプレミスの VMware 環境から、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) および Amazon FSx for NetApp ONTAP の組み合わせに移行するための、シームレスで自動化されたソリューションを紹介します。移行プロセスは、カットオーバーを完了するための短時間の停止まで中断されることなく実行され、ソース上のあらゆるタイプのブロックデバイスをサポートします。最終的に、仮想化環境はハイパーバイザーとストレージデバイスの両方にわたって真に身軽で俊敏になります。このソリューションがどのように実現されるかみていきましょう。

Figure 1 Conceptualized framework for automated VM and storage migration

図 1: VM とストレージを自動移行するソリューションのコンセプト

直接的な移行

これまでにクロスプラットフォームの大規模な仮想化移行を行ったことがあるなら、移行プロジェクトの企画を管理するために必要な労力、それに伴うリスク、複雑さをご存知でしょう。AWS パートナーの Cirrus Data Solutions は最近、Amazon EC2 ハイパーバイザー、Amazon EBS、Amazon FSx NetApp for ONTAP ブロックのサポートを Cirrus Migrate Cloud (CMC) に追加しました。Cirrus は、図 2 に示すように、エンタープライズ級の移行を直接行っています。MigrateOPs によるワンクリックの大規模なエンタープライズ移行をぜひご検討ください。

Video 1 Migration from any premises or cloud through CMC図 2: Cirrus Migrate Cloud のアーキテクチャ

MigrateOPs は、YAML ドリブン (migration-as-code: 移行のコード化) な移行オーケストレーションツールです。これは理論上は十分なものであり、こちらのデモビデオでは、Windows と Linux の VMware VM とそのゲストストレージを AWS にライブ移行する様子を公開しています。デモでは移行された VM は 2 つだけですが、MigrateOPs は大規模なエンタープライズ環境をオーケストレーションできるため、人的リスク要因やデータ損失や移行失敗となるその他の原因を排除できます。

皆さんが何を考えているかはわかります。ストレージ環境はもう少し複雑かもしれません。ここで、オンプレミス環境のデータストアに現在使用している可能性のあるストレージプロトコルを見てみましょう。最新のブロックプロトコル (iSCSI、SCSI over Fibre Channel、NVMe over Fibre Channel、NVMe over TCP) や NFS などが考えられます。ここで紹介するアプローチでは、表 1 に示すように、前述のプロトコルの任意の組み合わせから自動的に移行できます。

Table 1: Sources, Targets, and Migration Tools

表 1: 移行元ストレージ、AWS 上の移行先ターゲットストレージ、移行ツール

右端の列に示されているように、Amazon Machine Image (AMI) を使用して EC2 インスタンスを起動するには、Amazon EBS が必要です。ただし、前の表では、特定のワークロードに最適なブロックサービスがどれであるかに応じて、ブロックデータを FSx for ONTAP ブロックサービスまたは Amazon EBS に移行できます。一部のアプリケーションは Amazon EBS に最適ですが、マルチアベイラビリティ ゾーン (AZ) とシングル AZ のサポート、大規模なスケールアップとスケールアウトのパフォーマンス機能、レプリケーション、シンクローン、およびデータ削減テクノロジが必要な場合は、FSx for NetApp のブロックストレージを検討する必要があります。CMC は、ベストプラクティスに従いながらパフォーマンスと容量に合わせて AWS ブロックストレージを構成することで、移行元ストレージに合わせて FSx for ONTAP ブロックストレージや Amazon EBS を自動的に構築/構成し移行をシームレスに実行します。実際、Amazon EBS のデプロイメントも対象としている場合、このソリューションを使用できます。

上の表の最後の 2 行は、移行元ストレージが VM に共有をプロビジョニングしていることを示しています (データストアの VMDK ではありません)。この場合、ブロックベースの移行ツールは OS ボリュームのみを移行でき、NFS に基づくデータ共有は移行できません。移行元 NFS ストレージが NetApp ONTAP で、移行先が AWS の FSx for ONTAP である場合は、NetApp SnapMirror タスクを Cirrus の 自動移行に組み込みます。移行元 NFS データストアが NetApp ベースでない場合は、AWS DataSync を使用して適切なファイルを FSx for ONTAP のファイルマウントポイントに移動し、最終的な DataSync 同期ポイントを Cirrus の自動化された移行タスクに組み込むことができます。

これでストレージをスムーズに移行できたので、次は AMI を使用する Amazon EC2 ハイパーバイザーで使用できるように VMware VMDK ファイルをどのように変換すればよいでしょうか。従来、ストレージの移行には EC2 Import/Export サービスと別のツールを使用してきました。しかし、ストレージと VM の移行を 1 つのユニットとして網羅する完全なソリューションの提供をお約束しました。VMware の vMotion ホットマイグレーションに精通している場合、Cirrus のアプローチは同様のパスを取ります。つまり、VM の実行を継続しながら、基盤となる OS ディスクをビットごとに移行します。OS ディスクとその他の補助ストレージがバックグラウンドで移行されたら、VM を停止し、最終的な同期を実行して EC2 インスタンスに切り替えます。何よりも優れているのは、vMotion とは異なり、この移行環境は真のクロスプラットフォームであるため、VM をハイパーバイザータイプ間で確実に移動できることです。移行の一環として、CMC は、FSx for ONTAP ブロックデバイスに必要な正しいマルチパスおよび iSCSI 構成に各 VM を自動的に修正します。たとえば、VM が新しい自動プロビジョニングされた適合した FSx for NetApp ONTAP ブロックデバイスにアクセスできるようにアクセスグループを構築します。この高度な自動化により、組織は移行方法ではなく、移行対象に集中できます。もう 1 つ詳細があります。移行中の VM とストレージの両方がスナップショットによって保護され、必要に応じて移行をシームレスにロールバックできます。

おめでとうございます。データと VM を手軽で俊敏にする方法を学びました。それだけでなく、将来 AWS から移行することに決めた場合も、同じように直接移行でき、離脱に伴うペナルティや料金は一切発生しません。AWS へようこそ!

クリーンアップ

AWS への移行が完了したら、Cirrus Migration ソフトウェアを完全にアンインストールできます。実際のワークロードを移行するのではなく、AWS アカウントで移行をテストする場合は、移行したインスタンスと関連する Amazon FSx for NetApp ONTAP リソースを必ず削除してください。最後に、概念実証 (PoC) を実行する予定がある場合は、AWS の無料利用枠と無料の Cirrus デモライセンスを使用できることを忘れないでください。

学習したこと

本日、CMC を使用して VMware VM をどこからでも Amazon EC2 および FSx for NetApp ONTAP に安全に移行する方法を学びました。他のユーザーが VMware 環境にこのオプションを選択しているさまざまな理由の詳細については、こちらの NetApp の記事NetApp ソリューションガイドをご覧ください。

AWS アカウントをお持ちでないが、これが組織でどのように機能するかを評価したい場合は、今すぐ AWS アカウント を利用して開始できます。AWS の Amazon FSx NetApp for ONTAP の機能に詳しくない場合は、ユーザーガイドをご覧ください。AWS パートナーマーケットプレイスで CMC の価格などの詳細を確認したり、無料の 1 TB ライセンスを開始することができます。Cirrus と AWS は、複雑な VM 移行を支援する完全なターンキーソリューションも提供しています。最後に、ユーザーが 1 回限りの移行コストを排除または削減できるように、Amazon は AWS VMware Migration Accelerator を導入しました。これは、任意の VMware Cloud on AWS 環境から Amazon EC2 および FSx for ONTAP に移行した VM 1 台あたり最大 400 ドルのクレジットを提供します。既存のオンプレミス環境の場合は、Amazon EC2 および Amazon FSx for NetApp ONTAP の移行クレジットの利用可能性について AWS の担当者に確認してください。

このソリューションが意味すること

新しい時代が到来しました。もはやデータと VM はハイパーバイザー間で移動可能になり、AWS ではデータとコンピューティングを別の場所に移行する場合でも料金はかかりません。FSx for ONTAP、Amazon EBS、Amazon EC2 の高度なストレージ機能を使用することで、コスト効率の高い方法で、エンタープライズクラスの高性能な高可用性 (HA) および災害復旧 (DR) 対応環境を構築できます。VM 環境を AWS Storage と Amazon EC2 に移行する可能性を検討している組織は、この記事の著者またはお近くの AWS 担当者にお問い合わせください。AWS は、VMware 環境の包括的な評価を実行し、費用対効果が高くシームレスな移行プランを作成できます。

翻訳はネットアップ合同会社の Sr. Cloud Solutions Architect for AWS の藤原様、監修は Cloud Support Engineer の戸松が担当しました。

Jay Horne

Jay Horne

Jay Horne は、AWS のワールドワイドスペシャリスト組織における Amazon FSx for NetApp ONTAP サービスのグローバルテクニカルリーダーおよびサービス連携ソリューションアーキテクトです。テネシー州ナッシュビルを拠点とする Jay は、さまざまなクラウド、ストレージ、サーバー、ネットワークインフラストラクチャに携わった 15 年以上のエンタープライズコンサルティング経験を持っています。世界中のストレージおよびクラウドカンファレンスで頻繁に講演を行っています。

Randy Seamans

Randy Seamans

Randy はストレージ業界のベテランであり、高性能ストレージ、コンピューティング (HPC)、および災害復旧を専門とする AWS のプリンシパルストレージスペシャリスト兼アドボケートです。ストレージに関する洞察や楽しみをさらに知るには、https://www.linkedin.com/in/storageperformance で彼をフォローしてください。