Amazon Web Services ブログ
半導体サプライチェーンのレジリエンス向上のためのリファレンスアーキテクチャ
このブログは、「Semiconductor Supply Chain Resiliency with AWS」を翻訳したものです。
はじめに
AWS は、PLM-CAD-ERP のワークフロー全体をクラウドに移行することにより、コンピュータリソースとパフォーマンスのリスクを軽減しながら、半導体企業のバリューチェーンの変革を支援することができます。SAP のデータは AWS 上のデータレイクと機械学習用途の Amazon SageMaker に取り込まれ、予測分析やさまざまなシナリオのシミュレーションに使用されます。例えば、サプライチェーンの障害や需要の急増に対応することに使用されます。また、予測の結果は、エンジニアリングとビジネスインテリジェンスのために Amazon QuickSight を介して可視化することができます。
設計開発の組織は、AWS 上で EDA アプリケーションや EDA デスクトップソリューションを使用することで、組織が守るべき規制や規則に準拠し、セキュアで標準化された設計フローでツールを展開することができます。また、クラウドインフラストラクチャの管理者は、コスト効率の高い方法で AWS インフラストラクチャを一元管理することも可能です。これらのソリューションを使用することで、企業は遠隔地にいる従業員間のコラボレーションを促進し、生産性を向上させるとともに、セキュリティとパフォーマンスの要件も満たすことができます。
データレイクの構築と活用のための実績のある方法
AWS は、ユーザーがデータレイクを確立し、その恩恵を受けるための実績のある方法を用意しています。ユーザーは、非常に短い時間で、データレイクをセットアップして運用を開始することができます。AWS 上のデータレイクは、既存システムや実施済みの投資から、さらなる価値を迅速に得られるようにします。AWS 上のデータレイク構築は、データの取り込みに利用できる11種類のさまざまな AWS サービスを通じて、Amazon S3 にデータを取り込むことから開始します。
次のステップでは、 AWS Identity and Access Management (IAM) や AWS Key Management Service (KMS) などの AWS サービスを使用してセキュリティを管理します。次に、選択したオープンデータフォーマット (ORC や Parquet など) を使用してデータをカタログ化し、検索可能な中央のカタログ内のデータにタグ付けをします。データが Amazon S3 にあるため、ユーザーは AWS Glue を使ってデータの分析を開始すると、数分で利用できるようになります。また、 Amazon Redshift や Amazon Athena を活用して従来通りに SQL 分析を実施したり、ビジネスインテリジェンスのために Amazon QuickSight を利用することもできます。例として、以下のリファレンスアーキテクチャを見てみましょう。
このリファレンスアーキテクチャは、オンプレミスのデータセンターをどのように AWS クラウドの設計開発用 VPC と接続するかを示しています。オンプレミスの製造実行システム (MES) のログと ERP アプリケーションが Amazon API Gateway を使ってクラウドに接続され、工場ネットワークが AWS IoT Greengrass サービス経由でクラウドに接続されることを示しています。構造化、非構造化を含むデータの取り込みと処理が一度完了してしまえば、Amazon Athena を使用して、オンプレミスのデータセンターや工場のワークロードレポートのビュー構築のような、データの準備作業を行うことができます。最後に Amazon QuickSight を使用して、クエリを実行し、可視化したりダッシュボードを構築したりすることで、ビジネス上、および技術上のメトリクスからインサイトを発見することが可能になります。
上記のリファレンスアーキテクチャは、データを実用的なインサイトに導き、半導体サプライチェーンのレジリエンスを向上するための意思決定支援プラットフォームと、それを提供するプロセス、利用されているAWS サービスを示しています。また、次のサプライチェーンフレームワークの図は、外部データ、 ERP システム、パートナーエコシステムの上に構築された、より一般的でハイレベルな AWS サービススタックの概要です。
まとめ
ここまで見てきたように、AWS 上で稼働する統合された ERP システムは、AWS 上のアナリティクスと データレイク アーキテクチャを組み合わせた単一の情報源 (single point of source) となり、サプライチェーンのすべてのポイントでリアルタイムなインサイトを提供します。また、レガシーのオンプレミスシステムよりも、需給問題への対応力を向上することができます。
AWS のサービスやソリューションを活用することで、半導体エコシステムのサプライチェーンのレジリエンスを適切に設計し管理することができます。 AWS 上でユーザーのワークフローを実行するための詳細については、半導体およびエレクトロニクスの資料 をご覧ください。
翻訳はソリューションアーキテクトの宇佐美が担当しました。原文はこちら。