家電好き、キーボードを買う。

2020-10-01
How to be a Developer

Author : 西村 航

こんにちは、テクニカルトレーナーの西村 (@kuwablo) です。AWS トレーニングのトレーナーを担当しつつ、勉強方法を AWS 公式ブログに書く (自宅で学ぼう ! AWS 初学者向けの勉強方法 6 ステップ !) など、お客様の学びを支援する仕事をしています。

突然ですが、皆さんはコダワリの一品はありますか ?

私は買い物が好きで「このバスタオルの吸水性は度肝抜かれる !」「このテーブルはシンプルなデザインが最高だ !」などなど、知人にコダワリの一品をオススメして既読スルーされることがよくあります。

特に家電が好きで、興味のある家電に関しては型番を調べて トリセツ アプリに取扱説明書をダウンロードしたり、価格.com で家電の価格推移を調べたりしています。なお、一番好きな家電は食洗機です。

しかし恥ずかしながら、PC 周辺機器に関しては正直疎いです。というのも、テクニカルトレーナーという仕事柄、お客様のオフィスや研修会場など様々なところで研修を行います。そのため、持ち運ぶ道具を減らして身軽に移動できるように、極力 PC 周辺機器を持たないようにしていました。

ただ最近は自宅からのオンライン配信形式のトレーニングが主体で、持ち運びの必要が無くなったことで心地よい環境を整えることを意識し始めて、外部モニターやヘッドセットなどの PC 周辺機器が増えてきました。また、リモートワークで会議をしていると、コダワリの一品と思われる様々な PC 周辺機器がカメラ越しにチラ見え (my new gear ... と自慢しがち) する同僚が結構な割合でいて、気になっていました。

特に、ノート PC を使用しているにも関わらずキーボードを別で用意している同僚が多く、セパレートキーボードという空手家に瓦割りされたのかな ? と思うようなキーボードを持っている同僚もいたりするので、キーボードに関して調べてみたいと思いました。そのため、今回はトレーニング会場でもオフィスでもいつもキーボードを持ち歩いている印象が強い吉田さんに話を聞いてみることにしました。


西村
「吉田さんは開発環境にコダワリがありますよね。特に今回は吉田さんコダワリのキーボードに関して色々とお話を聞かせてください。」

吉田
「分かりました、キーボード以外にも紹介したいギアが多々あるのですが、グッと我慢して今回はキーボードだけお話したいと思います。」

西村
「はい、よろしくお願いします。」

吉田
「私はキーボードをよく使います。資料作成・プログラミング・チャットなど、常に何かをタイプしていますね。私は HHKB (Happy Hacking Keyboard) を 2014 年から使ってますが、最初は会社の同僚に HHKB と Kinesis Advantage2 を貸してもらって、最高だと感じた HHKB にしました。そこから自分でも購入して、今でも同じものを 6 年間使っているので、既に型は古くなっていますね。(HHKB Professional2 Type-S 白 英語配列)」

西村
「結構長く使ってるんですね。いま HHKB と Kinesis Advantage2 という名前が出てきましたが、色々なメーカーから出ているんですね。」

吉田さんに写真送ってくださいとお願いしたところ、まさかの 2 台写ってる写真が送られてきてビックリしました。会社用と自宅用の2台持ちらしいです。
キーボードって、そんな携帯の充電器感覚で買うものなの ? 

吉田
「はい、他にもあります。Filco、Mistel、REALFORCE、ErgodoxEZ、Lenovo などなど。最近では自作キーボードを使っている人もいて、少し気になっています。もちろん好みはあるので、自分の気に入るものを見つけるのが良いと思います。」

西村
「そんなに種類があるんですね、知りませんでした。そもそもなのですが、なぜ外付けキーボードが必要なのでしょうか ? PC にデフォルトで付いているキーボードでは、ダメなのでしょうか ?」

吉田
「HHKB は 静電容量無接点方式 で、ストロークが深く打感が良く、長時間使っても疲れにくい作りになっているのがポイントです。あとは、合理的キー配列になっているのも良いですね。HHKB はとてもコンパクトですので、英語配列の場合は Control キーの配置が変わっていたり、矢印キーが無いなどの特徴があります。」

西村
「矢印キーが無いと不便ではありませんか ?」

吉田
「Fn を押しながら [;/‘ を押すんですね。 最初は慣れないかもしれませんが、とても気持ちがよく、慣れるとこれ以外で操作できないぐらいです。他には製品ページを見てください。まあ細かいことは良いんです ! とにかく最高 ! 最高 of 最高だから買うんです !

西村
「(急に説明が雑になってきたな。) 外付けのキーボードの場合は、カタカタという打鍵音が気になってしまいます。「カチャカチャカチャ・・・ッターン !」 と音を出してしまうと、家で仕事している場合は家族の視線が気になりませんか ?」

吉田
「HHKB を使っている人なら 「スコスコスコ」 というイメージがあるでしょう。確かに HHKB は打ってる本人は気持ちいいけど、隣で働いている同僚からにらまれることもあります (笑) そのため、私は Type-S を使ってます。これは高速タイピング性 (Speed) と静粛性 (Silent) に優れたキー構造を採用しています。また、オプションになりますが、吸振マットを買うこともできます。前の会社ではタオルの上に HHKB を置いている同僚もいましたね。」

西村
「なるほど、静粛性に優れているのは良いですね。私はリビングのテーブルで仕事をしていて、ケーブルがごちゃごちゃしていると片付けが大変そうなので、外付けキーボードは少し躊躇してしまいますね。」

吉田
「私は 6 年前から使用しているので有線モデルを使っていますが、今は無線 + 有線の Hybrid モデルもありますよ。」

西村
「なるほど ! 無線で使えると聞いて、急に買いたくなってきましたね !」

吉田
「ちなみに、料金は Hybrid + Type-S 仕様だと 35,200 円です。

西村
「(絶句) それは、、、少し驚きますね。」

吉田
毎日使えば実質無料ですよ。

西村
その理論はガバガバ過ぎませんか ?

吉田
「とにかく最高なんだから買わない選択肢はないと思います。本当に良いキーボードなので、私が買って西村さんにプレゼントしましょうか ?」

西村
「(ラッキー !! いや、待てよ。自分に合わなくて使わなくなったら後々気まずいことになりそうだし、さすがに 3.5 万円のキーボード買ってもらうのは気が引ける。でもコダワリが強い吉田さんがここまで薦めるってことは本当に良いものなんだろうな。) 悩みますね〜。」

吉田
「HHKB はファンが多いので、中古でも値崩れしないのが特徴です。自分に合わなかったら誰かに譲ればいいか、ぐらいの気持ちで、とりあえず買って見るのも良いと思いますよ。」

西村
「なるほど、本当に愛されているプロダクトなんですね。」

吉田
「選択肢は、私が買ってプレゼントするか、西村さんが自分で買うか、の 2 択になりましたね。いつ買うの ?

西村
「(いつのまにか買うって宣言するまで終わらないインタビューになっている !) う〜ん、買います !


当初はオススメの一品をヒアリングする企画だったのですが、私が吉田さんの熱量に押されてしまい、ガチ自腹で購入するという「家電好き、キーボードを買う」企画に切り替わりました。まさか初めての builders.flash の投稿記事で自腹を切る展開になるとは思っていませんでした。

ちなみに、高額な買い物なので事前に妻に確認したところ「私のノート PC 用の外部ディスプレイも一緒に買ってくれるなら、そのキーボードを買っても良い。」という謎の条件付き承認がおりたので、妻用の約 2 万円の外部ディスプレイと 約 3.5 万円の HHKB を一緒に Amazon で買いました。結果として計 5.5 万円支払うことになったので、 HHKB には 5.5 万円分のパフォーマンスを発揮してもらわないと。(シンプルに八つ当たり)


(2 日後)

ということで、購入した HHKB が我が家に届きました。

オーラが漂う外観です。

外箱に Type-S と書いていないので、少し焦りましたが、開封後にキーボードの右上に Typs-S と書いてあってホッと一安心。

my new gear... (言いたいだけ)

英語配列モデルを買いました。
キートップに記号や英数字が一切刻印されていない無刻印モデルは流石に勇気がなくて買えなかったです、すいません。

箱の中には、キーボード本体と電池と取り扱い説明書が入っていました。

バッテリー式ではなく電池式なのは、今どき古臭いなと思って調べました。キーボードの寿命よりも、バッテリーの寿命が先にきてしまうので、あえて電池にしているらしいです。長く使ってもらいたいという作り手の思いを感じて温かい気持ちになりました。古臭いとか言って、本当にすみません。

開封後は取扱説明書の通りにセットアップ (背面の DIP スイッチで設定モードを Mac 用に切替、電池の挿入、Mac との Bluetooth ペアリング) を行いサクッと完了しました。ちなみに、英数 / かな の切り替えは吉田さんに事前に聞いていた Karabiner-Elements で設定しました。

スーパーファミコンや初代プレイステーションを彷彿とさせるクラシックなカラーリングが個人的に超好みです。

ホワイトは経年劣化で黄ばむ可能性があるため、ホワイトかブラックかで最後まで悩んだのですが、ホコリも目立たなさそうですし、ホワイトを購入して良かったです。色味も Mac と合っていて良いかと。

一緒に写っている Mac は MacBook Pro 13inch ですので、HHKB のサイズ感の参考にしていただければと。

早速タイプしてみたところ、手首がちょっと痛かったです。なぜだろうと思ったら、キーボードに段差が付いているからですね。ダンボールで段差を無くしたところ、だいぶ手首が楽になりました。 

サクッと数分で作れました。写真には写っていないですが、滑らないようにダンボールの下に滑り止めマットを敷いています。忖度してダンボール (XM50) をチョイスしました、自分サラリーマンなんで。

早速 HHKB を使って数日間仕事してみました。

数日間使用してみた感想としては「超気持ちいい」に尽きます。正直言うと最初はストロークの深さに違和感がありました。騙されて買ったつもりが本当に騙されてるじゃないか、と初日は思いました。しかし、慣れてくると事前に聞いていた通りタイピングしたときの深さや音、独特の打鍵感は普通のキーボードとは全然違うと気づきました。特にタイピングしたときに指で感じる絶妙な反発力は癖になりますね。ファンが多いのも頷けます。ストロークが深い = 深いから打ちにくい、と勝手に想像していたのですが、指をスッと置くとタイピングされるので無駄な力が要らない点も実際に使ってみて気づきました。

また、思ったよりも本体が軽い & コンパクトなので、購入する前は自宅のみで利用する予定で考えていましたが、ケースなどを購入して外に持ち運ぶのもアリだなと思いました。デザインや質感が好みで、好きな洋服を着ると外に出かけたくなるように、好きなデザインの仕事道具だとテンションが上がりますね。なお、リモート会議などで、自分のカメラ越しに HHKB が写るようにしてみましたが、誰からもツッコまれませんでした。

ちなみに、一番懸念していた矢印キーですが、最初は無いことに違和感がありましたがすぐに慣れました。個人的には一番右上のキーがバッククォート (`) で、ターミナルソフトを触ったり markdown を書いたりするのがちょっとラクになったのが地味に嬉しいです。また、PgDn ( Fn + .) と ↓ ( Fn + /) が横に並んでいるのもブラウザをスクロールする時にラクですね。

そして、一番感動したのが、手が熱くならないこと !!! トレーニングをオンラインで配信する際に、配信ソフトが CPU をかなり食うので、 Mac が熱くなります。そのため、HHKB を使うまでは手汗をかきながらタイプしていたのですが、 HHKB 導入後 は全く手が熱くならないので非常に快適になりました。(HHKB に限らず外付けキーボード全般に言えますが。)

ちょっと気になるポイントとしては、Mac で FileVault 機能が有効になっている場合は、起動後ログイン時のパスワード入力は HHKB の無線接続ではできないことです。そのため、Mac のデフォルトキーボードを使用するか、もしくは HHKB 有線接続 でパスワード入力する必要があります。なお、スリープ復帰時のログインは HHKB の無線接続でも大丈夫です。初回起動ログインにかかる時間よりタイピングしている時間の方が長いですし、初回起動ログイン時だけ我慢すれば良いので許容できる範囲かと個人的には思っています。

また、有線ケーブルは付属しませんので、自分で用意する必要があります。Hybrid モデルとして販売しているので最初から付属してくれるとありがたいな、とユーザーとしては思いました。

あとは価格ですね、私は勢いで購入しましたが約 3.5 万円なので十分に納得してから購入すべき金額だと思います。そのため (買ってから知ったのですが) 実際に実機を触ることが出来る タッチ & トライスポットという HHKB のショールームもありますので、ちょっと触ってみたい方や興味がある方は一度触ってみることをオススメします。使えば使うほど良さが分かるものなので判断は難しいかもしれないですが。もしくは、周りの知人や同僚の中で HHKB ファンを見つけて、実際に借りてみたりするのも良いかもしれません。

ここまで良かった点と気になる点を書きましたが、総合的にはかなり満足しています。興味が湧いてきた方は以下の公式サイトを是非のぞいてみてください。

HHKB 公式サイト
https://happyhackingkb.com/jp/

さっそく数日間使用してみた感想を、吉田さんに共有しました。


西村
「吉田さん、HHKB めちゃ良かったです。タイピングの感触が最高ですね !」

吉田
「そう言ってもらえてよかったです。逆に困った点とかありますか ?」

西村
「そうですね、段差があって手首が痛くなったのでダンボール敷いていますが、それはどうにかしたいと思っていますね。」

吉田
「パームレストを HHKB の手前に置くと痛くないので一緒に買ったほうが良いですね。 公式サイトにも載っていますよ。」

西村
「へー、公式で販売されているんですね。」

吉田
「今はあまり機会はないですが、カフェでノマドワークする時とかちょっと置きにくいですよね ?」

西村
「確かに置けないです。思ったよりも HHKB が軽量だったから持ち歩こうかと思っていたので、カフェの小さいテーブルだとスペース的に置きにくそうですね。」

吉田
「尊師スタイルやってます ?」

西村
「そんし ?」

吉田
「Mac の上に載せてみて ?」

リチャード・ストールマンが PC の上に HHKB を置いてタイピングしていたことから、このスタイルを 尊師スタイルと言うようになったらしいです。  

西村
「おお ! ピッタリ載りますね。位置によってはキー押されちゃいますね。」

吉田
magicTraySNS とかキーボードブリッジとか尊師スタイル用のプレートを買っても良いかもしれません。」

西村
「なるほど、尊師スタイルの人けっこう多いんですね。カフェで作業するようになったら買います。」

西村
「そういえば吉田さんの HHKB はキートップの色違いますよね。限定品ですか ?」

吉田
「青と赤 ?」

西村
「そうそう、それです。」

吉田
「キートップだけ別売りで普通に買えますよ。最近だと自分で作ってる人もいますけど。」

西村
「別売りで買う ? 何のためにですか ?」

吉田
「かっこよさだろ ! みなまで言うな。」

西村
「なるほど。」

吉田
「住所教えて、送るから。

西村
「おぉ、あざす !」


冗談だと思っていたら、本当に買ってくれて、我が家に届きました ! あざす !

キートップを引き抜く工具もセットなので、定期的に掃除する際に役立ちそう。

スーパーファミコンの A ボタンと X ボタンみたいでかっこいいかも ! 本当にかっこいいだけだけど。(笑)

いかがでしたでしょうか ?

正直に言いますと、今回の企画を考えた最初の段階では「自分には外付けキーボードなんてまだ早い」と思っていましたし、当然買う意志もありませんでした。コードをめちゃめちゃ書くわけでもありませんし、外付けキーボードはプログラマーのためのキーボード ! みたいなイメージがあって、自分なんかが使っていいのか ? という思いもありました。

しかし、HHKB を買ってみて気づいたのは、意識してなかったけどキーボードって仕事中ずっと触っているんだな、という事です。コードを書く、レポートを書く、メールを書く、ブログを書く、などなど、仕事中にアウトプットする時は必ずキーボードを使っています。であれば、気持ちよくタイピングできる方が絶対トクだなと感じました。勝手に敷居が高いものだと自分が思い込んでいただけで、よく考えたら自分が外付けキーボードを使っても周りに迷惑かけるわけではないですし、普通にネットでポチッと買うだけじゃないかと (笑)。

毎日長時間使うものにお金をかけたほうが QOL が高くなると言いますし、仕事の時にテンションも上がるので、プログラマーじゃなくても PC を仕事で使うなら自己投資として外付けキーボード購入はアリという結論に至りました。

調べれば調べるほど深みを感じられてキーボードって面白いなと思えたので、 HHKB に限らず外付けキーボードを使っている人がみなさんの周りにいたら、雑談するときのネタで聞いてみてくださいね。コダワリが強い人だと 1 時間ぐらい拘束されるかもしれません、そして「いつ買うの ?」と言われるかもしれません !

なんにせよ、誰に言うでも無く個人的に毎年作成している「今年の買ってよかったものリスト」に入るぐらいの買い物でしたので本当にホッとしました。(なんせ自腹なんで。外部モニタも買わされたし。)

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんのオススメのギアも、Twitter / はてブコメント とかで是非教えて下さい〜。買っちゃうかもしれません !

また別の記事でお会いしましょう ! それでは !


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筆者プロフィール

西村 航 (@kuwablo)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
トレーニングサービス本部 テクニカルトレーナー

多くの人に AWS を学ぶ楽しさを伝えたいと思い、テクニカルトレーナーになりました。
サウナとキャンプと買い物を心から愛しています。
 

話者について

吉田 慶章
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
トレーニングサービス本部 テクニカルトレーナー

ウェブエンジニア/プログラミング講師などの経験から AWS テクニカルトレーナーに。教えることを本職とし、効果的な学習メソッドを考え続けている。教えることは最高の学習である。Keep on Learning 👍

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