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CMMC 対応の加速: AWS と Wiz がパブリックセクター組織を支援する方法
本ブログは 2025 年 11 月 10 日に公開された AWS Public Sector ブログ「Accelerating CMMC readiness: How AWS and Wiz help public sector organizations」を翻訳したものです。
米国政府のコントラクターおよびサブコントラクターにとって、Cybersecurity Maturity Model Certification (CMMC) の取得は片手間にこなせる仕事ではありません。この認証の取得にはリスクが伴い、要件は複雑です。国防総省 (DoD)(別名、戦争省)が新規契約および既存契約に CMMC を段階的に導入するなか、正しく対応しなければならないというプレッシャーは高まり続けています。そのため、チームや予算に過度な負担をかけることなく、CMMC 評価に備えて環境を調査する効率的でスケーラブルな方法がより強く求められています。
Amazon Web Services (AWS) と Wiz は、契約で定義された Controlled Unclassified Information (CUI) の所在を発見し、認証境界を適切なサイズに設定し、自信を持ってコンプライアンスを実証するために必要な証拠を収集することで、コントラクターがより迅速に明確性を得られるよう支援します。AWS と Wiz はこれらのプロセスを自動化することで、組織が管理リソースや組織リソースへの負担を軽減しながら、CMMC 対応準備状況を迅速に評価できるよう支援します。
2024 年 10 月 15 日に公開された CMMC 最終規則 32 CFR Part 170 は、CMMC コンプライアンスを 3 つのレベルに分類しており、レベル 1 と一部のレベル 2 コンプライアンスには自己評価で十分、一部のレベル 2 とすべてのレベル 3 にはCMMC サードパーティ評価機関 (C3PAO) による評価が必要です。Wiz と AWS は、CMMC に必要な技術インフラストラクチャとセキュリティコントロールの多くを提供し、組織が CMMC 評価を開始する前にセキュリティギャップの可能性がある箇所をより迅速に評価できるよう支援します。
次の表は、3 つのレベルのスコープ、要件、評価アプローチの概要を示しています。
図 1: Wiz と AWS は、CMMC レベル 1~3 に必要なさまざまな技術的コントロールのサポートと測定を組織が行えるよう支援します
CMMC が大きな負担である理由
国家を後ろ盾とする脅威アクターが防衛産業基盤 (DIB) を標的にし続ける中、CMMC フレームワークは非連邦システムにおける CUI を保護するために不可欠なものとなっています。DoD は現在、防衛関連業務に携わろうとするコントラクターにとって CMMC を必須かつ強制力のあるものと考えています。
しかし、多くの組織はまだ基本的な質問を投げかけています。
- どのシステムが CUI を含むまたは処理しているのか?
- 認証境界に何が含まれるのか?
- コンプライアンスを確保しながら、過剰な監査をどのように避けられるのか?
これらの不明点が共通の課題につながります。
- 環境の盲点が評価のスコーピングを複雑にします。
- 過剰な監査はコスト増加と無駄な労力を招きます。
- チームが適切な成果物を提示できないと監査の遅延が発生します。
- CUI データフローのマッピングは根拠のない推測作業になります。
従来の技術や手動の方法論に頼ると、CMMC コンプライアンスに必要な裏付け証拠を収集することは非常に困難になる可能性があります。例えば、現役軍人に高度な医療ケアを提供するために CUI 指定の患者データを扱う大規模な医療グループは、CUI がどこに存在し、どのシステムが相互接続されているかを分類するのに 2 年を費やしたと報告しています。この取り組みは、可視性の欠如、シャドー IT、クラウド環境におけるワークロードの分散所有権のために困難でした。Wiz は、これらのプロセスの多くを自動化し、手動の労働時間を必要とせずにシャドー IT を発見するのに役立ちます。自動化と可視性により、評価中に必要なデータの手動収集と関連付けを大幅に削減することで、CMMC 認証準備に必要な管理作業を大幅に削減できます。
Wiz と AWS の力
Wiz は、組織に AWS クラウド環境への完全な可視性を提供するクラウドセキュリティプラットフォームです。Wiz を AWS に接続すると、Wiz はパブリックセクターチームがリソース(CUI データが存在する場所を含む)の検出を自動化し、コンテキストに基づいてリスクを評価し、自己評価とサードパーティ監査の負担を軽減するために、防御可能な方法でセキュリティ体制を証明するのに役立ちます。
エージェントなしで数分で AWS 環境に接続することで、Wiz は次のことを特定できます。
- どのリソースが CUI を含むまたは CUI に接続しているか
- どのアイデンティティが何にどこからアクセスできるか
- どの脆弱性または設定ミスがセキュリティに影響を与えるか
AWS 内にデプロイされているリソース、それらのリソースの接続方法、どのアイデンティティがアクセス権を持っているかに関するコンテキストを含む完全な可視性を持つことは、CMMC レベル 2 と 3 の重要な要素であり、Wiz ではすぐに利用できます。AWS GovCloud (US) のセキュリティ機能と組み合わせることで、組織はミッションを遅らせることなく、コンプライアンスのための安全でスケーラブルな基盤を構築できます。
AWS GovCloud (US) は、テクノロジーリーダーが機密データや CUI データをホストするために信頼する革新的なコンプライアント対応クラウドソリューションです。これは、物理的および論理的に分離された 2 つの米国主権リージョン、AWS GovCloud (米国東部) と AWS GovCloud (米国西部) で構成されており、米国内で米国市民によって運用されています。政府機関のお客様、テクノロジーパートナー、および高度に規制されたエンタープライズクラウド要件を持つ組織は、AWS GovCloud (US) のコンプライアンスプログラムと機能を使用して、ワークロードを保護し、運用許可 (ATO) を取得する能力を加速しています。
AWS GovCloud (US) は、連邦、州、地方レベルの米国政府機関、クラウドで機密ワークロードを実行するコントラクター、教育機関、その他の米国のお客様の特定の規制およびコンプライアンス要件に対応するように設計されています。すべての AWS リージョンに適用される保証プログラムに加えて、AWS GovCloud (US) リージョンは、お客様が米国武器国際取引規則 (ITAR)、Federal Risk and Authorization Management Program (FedRAMP)、および DoD Cloud Computing Security Requirements Guide (SRG) Impact Levels 2、4、5 に準拠できるように設計されています。AWS GovCloud (US) がサポートする米国のコンプライアンス基準の完全なリストについては、AWS Compliance をご覧ください。
自信を持って CMMC 評価に臨む
AWS と Wiz が組織と緊密に連携して CMMC 監査プロセスを合理化し、本番環境への移行時間を短縮し、イノベーションを促進する方法を以下に示します。
CUI データフローを理解する
Wiz は、Data Security Posture Management (DSPM) 内のカスタムデータ分類ルールを通じて、CUI がどこに存在するかを理解するという一般的な課題にチームが対処できるよう支援します。これらのルールは、防衛契約、作業記述書 (SOW)、業績作業記述書 (Performance Work Statements) 内で定義された CUI を検索するために使用できます。クラウド環境内で CUI が存在する場所を特定することで、組織はこれらのデータに対する適切な保護が実施されていることをより簡単に確認できます。
組織は、防衛契約で定義されているように、CUI が Basic か Specified かを追跡する必要があります。この区別は重要です。なぜなら、CUI Specified には、ITAR によって義務付けられているようなより厳格な法的要件が伴うことが多く、AWS GovCloud (US) や Wiz for Gov などの特殊な環境で見られる強化された保護が必要になるためです。
次のスクリーンショットは、Data Findings ダッシュボードを示しています。
図 2: Wiz は、統合された DSPM 機能を通じてデータ検出を自動化し、データが存在する場所を特定し、検出されたセキュリティリスクの修復に優先順位を付けるのに役立ちます
CUI の検出と、どのシステムとリソースが相互接続されているかを自動化することで、組織は CUI Specified データに対する高度なセキュリティ要求とコンプライアンスを満たしているかどうかをより簡単に評価できます。
CMMC のスコープを最適化する
AWS クラウド環境全体を認証しようとすることは、単に高額であるだけでなく、多くの場合不要です。適切な可視性があれば、組織は CMMC に必要なものだけを含む明確で防御可能な境界を定義できます。
境界を適切なサイズに設定するには、エンジニアリング、コンプライアンス、法務チーム間のパートナーシップが必要です。これは圧倒的に思えるかもしれませんが、CUI が存在する場所、どのリソースとアイデンティティが接続できるか、これらのシステムが外部にどのように公開されているかの検出を自動化することで、境界を設定できます。
Wiz は、このプロセスを加速するための可視性を提供します。組織の AWS インフラストラクチャ全体にわたるコンテキストに富んだインサイトにより、次のことが可能になります。
- CMMC 環境のスコープを適切に定義する
- どのアイデンティティとリソースが CUI にアクセスできるかを明確に示す
- 無関係なリソースの監査にかかる時間とコストを回避する
このバランス(セキュリティと俊敏性)は、厳しい予算とスケジュールで作業する政府のコントラクターとサブコントラクターにとって不可欠です。次のベン図は、最小限の境界を持つ厳密なスコープと、すべてを囲む境界を持つフルスコープの交差を示しています。厳密なスコープとフルスコープの重なりを示す中央の領域には、CUI と関連システムの周囲に CMMC 評価境界を配置することの利点がいくつか記載されています。
図 3: CMMC 評価のスコープに何を含めるべきかを決定することは、監査のコストと期間、およびスコープとサービスを拡大する柔軟性に影響を与える可能性があります
包括的な監査証拠を収集する
監査人は証拠が示されることを期待します。しかし、脆弱性、設定、アクセスコントロールなどにわたって適切な成果物をまとめることは困難な場合があります。
Wiz は、AWS 環境を継続的に監視し、関連性のある検出結果を表面化させることで、このプロセスを自動化します。Wiz は、Amazon Bedrock、AWS Certificate Manager (ACM)、AWS CloudTrail、AWS Key Management Service (AWS KMS)、AWS Lambda、AWS Network Firewall、Amazon OpenSearch Service、AWS Secrets Manager など、多数の AWS のサービスを検査します。Wiz は、手動入力を必要とせず、監査要件をサポートするドキュメントを迅速に提供するために、カスタマイズ可能なレポートを生成できます。
次の画像は、検出結果、コンプライアンス、インベントリレポートを示す Wiz Cloud-Native Application Protection Platform (CNAPP) レポートユーザーインターフェイスのスクリーンショットです。各レポートカテゴリの下には、ネットワーク露出、脆弱性、データ検出結果、コンプライアンス評価、コンプライアンスのための脆弱性、データストア、クラウドリソースインベントリなど、レポートサブカテゴリのオプションがあります。
図 4: Wiz は、CMMC 監査をサポートするために必要な情報を迅速にエクスポートするための、カスタマイズ可能なオプションを備えたいくつかのすぐに使えるレポートを提供します
継続的な監視プロセス、脆弱性とリスク指標の迅速な特定、ベストプラクティスと技術的ベンチマークへの準拠、ベースラインからの逸脱が検出されたときのアラートの自動化の組み合わせはすべて、組織が NIST SP 800-171r2 へのコンプライアンスを迅速に示すのに役立ちます。DoD CMMC 最終規則 32 CFR Part 170 は、CUI データが CMMC レベル 2 (Self および C3PAO) 認証のために十分に保護されているかどうかを評価するための技術標準として NIST SP 800-171r2 を指定しています。
例として、Wiz には、多数の技術的ベンチマークに対するすぐに使える自動評価が付属しています。これには、Center for Internet Security (CIS) フレームワークと Defense Information Systems Agency (DISA) Security Technical Implementation Guides (STIGs) が含まれます。これらの自動評価は、サイバーセキュリティの脅威からシステムを保護するための強化要件を満たしているかどうかを特定するように設計されています。これにより、組織は NIST SP 800-171r2 の Configuration Management コントロールファミリー内の多くのコントロールを迅速に満たすことができます。
CMMC クラウドサービスプロバイダー (CSP) 要件を満たし、それを超えるために、AWS と Wiz はどちらも FedRAMP High 認可環境を提供しています。Wiz for Government と AWS GovCloud (US) は、ITAR、FISMA、HIPAA、FedRAMP を含む多くの規制フレームワークを満たすか、それを超えるように構築されています。これらの FedRAMP High 認可は、これらの環境のセキュリティを証明するための追加ドキュメントを削減または免除することで、CMMC を含む監査を簡素化するのに役立ちます。
Wiz for Government が支援できる CMMC および NIST SP 800-171r2 コントロールの詳細については、Wiz for CMMC Certification データシートを参照してください。
CMMC の達成: 標準をセキュリティに変える
CMMC への準備は、DoD と契約またはサブコントラクトを結ぶ多くの組織にとって、もはや任意ではありません。しかし、長く困難なプロセスである必要もありません。
AWS の堅牢な保護と Wiz の CNAPP の可視性を組み合わせることで、パブリックセクターチームはスコーピングを簡素化し、検出を加速し、自信を持って監査準備態勢に移行できます。
組織が AWS GovCloud (US) で構築している場合でも、既存の環境を拡張している場合でも、Wiz は CUI が存在する場所を特定し、セキュリティコントロールを検証し、データでコンプライアンス境界をサポートすることで、手動で生成および保守されるスプレッドシートの必要性を排除することがよくあります。
Wiz の FedRAMP High 認可が AWS のお客様のセキュリティをどのように強化するかについてお読みください。
CMMC への取り組みを加速する準備はできていますか? 今すぐ AWS Global Security & Compliance Acceleration (GSCA) と Wiz の使用を開始する方法の詳細をご覧ください。
著者について
このブログは WWPS Proposal Writer 中村昌幸が翻訳しました。



