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【開催報告 & 資料公開】AWS 秋の Cost Optimization 祭り 2025
みなさん、こんにちは。カスタマーソリューションマネージャーの西口です。2025 年 11 月 5 日に、AWS Japan が主催のコスト最適化関連イベントとなる、「AWS 秋の Cost Optimization 祭り 2025 〜最新アップデート&メソッドと生成 AI × コスト最適化〜」を開催いたしました。ご参加いただきました皆様には、改めて御礼申し上げます。AWS Cost Optimization 祭りは去年に続き、2 回目のイベントとなります。去年の開催ブログはこちらです (2024秋)。
本ブログでは、イベント内容概要の紹介とイベントの中で各登壇者が発表した資料を公開いたします。
イベント概要
「AWS 秋の Cost Optimization 祭り 2025」は、コスト最適化の最新アップデートやメソッド、生成 AI ×コスト最適化を学ぶイベントです。約70名のお客様にご参加いただき、約2時間にわたるイベントとなりました。
前半セッションでは、AWS の FinOps 最新情報セッションとしてコスト最適化フレームワークや CFM Tips、生成 AI とコスト最適化の最新傾向をご紹介しました。続く生成 AI ×コスト最適化に関するセッションでは、具体的な例として、Amazon Q Developer の活用方法や Well-Architected Framework Review と生成 AI を組み合わせたアプローチを解説しました。
後半セッションでは、実際のシステム開発や運用ノウハウとして、Amazon ECS と Amazon Aurora のコスト最適化に向けたポイントや技術的アプローチについて、実践的な知見を共有しました。
各セッションの概要と発表資料は以下をご覧ください。
セッション紹介
AWS の FinOps、およびコスト最適化に関する今年のアップデート
発表資料:AWS_秋のCostOptimization祭り2025_1_AWSFinOpsコスト最適化アップデート
まず、テクニカルアカウントマネージャーの堀沢から、AWS の FinOps およびコスト最適化に関する最新動向を紹介しました。FinOps とは、クラウドから得られる価値を最大化するために、組織全体が協力してデータに基づいたコスト最適化を行う取り組みです。AWS では Cloud Financial Management (CFM) というフレームワークを通じて、「可視化」「最適化」「計画・予測」「FinOps の実践」という4つの柱に沿った活動を推進しています。 2025年には、コスト最適化のための実践的なベストプラクティス集である CFM Tips の日本語対応や、自然言語でのコスト分析を可能にする MCP Server の導入、AWS Cost Explorer での任意の2か月間のコスト比較機能など、AI 技術を活用した新機能が追加され、より効率的なコスト最適化が可能になっていることをお伝えしました。
Accelerating your FinOps with Amazon Q Developer
発表資料:AWS_秋のCostOptimization祭り2025_2_FinOpswithAmazonQDeveloper
次のセッションでは、テクニカルアカウントマネージャーの加須屋より、Amazon Q Developer を活用した FinOps の効率化と加速について解説しました。近年、FinOps の適用範囲が拡大し、AI 関連のコスト管理 (FinOps for AI) や AI を活用したコスト管理 (AI for FinOps) の重要性が高まっています。Amazon Q Developer は、コスト分析作業の効率を大幅に向上させるだけでなく、CFM フレームワークの「可視化」「最適化」「計画・予測」「FinOps の実践」の各領域で活用可能です。具体例として、AI を活用したダッシュボードの自動生成、FinOps の知識ベース構築、コスト最適化ドキュメントの分析などが紹介され、これらを通じて FinOps 全体の加速が実現できることを示しました。また、実際のデモンストレーションも実施したため、会場でご参加の皆様は具体的イメージが湧きやすかったのではないかと思います。
Context-aware cost optimization〜Gen AI x Well-Architected Framework Review〜
発表資料:AWS_秋のCostOptimization祭り2025_3_Context-awarecostoptimization
前半最後のセッションでは、テクニカルアカウントマネージャーの三田より、Well-Architected Framework Review (WAFR) を生成 AI で効率化する手法を紹介しました。コスト最適化において、明示的なコストだけでなく暗黙的なコスト (可用性不足、技術的負債など) も含めたトレードオフを考慮することが重要です。従来の WAFR は時間がかかり、範囲が限定的で一時点の評価になりがちという課題がありましたが、Well-Architected IaC Analyzer を使用することで、数時間かかっていたレビューを数分に短縮できます。さらに、Amazon Q Developer などを活用してコンテキスト (背景情報) を生成・追加することで、より適切にトレードオフの判断が可能になり、効果的なコスト最適化を実現できることを示しました。
コンテナに移行したらコストが増えた!? ECS のコスト最適化に向けて改めて確認したいポイント
発表資料:AWS_秋のCostOptimization祭り2025_4_ECSコスト最適化
後半の最初のセッションでは、ソリューションアーキテクトの東より、Amazon ECS のコスト最適化に関するポイントを示しました。ECS ではいくつかのコスト最適化のポイントがありますが、本セッションでは特に ①スケーリングポリシーの最適化 (カスタムメトリクスや Metrics Math の活用)、②イメージサイズの最適化 (マルチステージビルドを含む Dockerfile 記述の Tips)、③ロギング戦略の見直し (FireLens を用いたログの振り分け)、④Capacity Provider の見直し (Spot インスタンスのフォールバックを含んだ活用例)、⑤継続的なタスクサイズの見直し (Container Insights の活用) を取り上げています。また、新たに登場した ECS Managed Instance という選択肢についても触れ、AWS Fargate と Amazon EC2 のメリットを両立できる新しいオプションとして紹介しました。上記に添付した資料内には当日の時間の関係上、触れられなかった内容も記載してあります。是非ダウンロードしてご覧ください。
Aurora のコスト構造を理解して最適化 〜技術的アプローチと実践〜
発表資料:AWS_秋のCostOptimization祭り2025_5_Auroraコスト最適化
最後のセッションでは、シニアテクニカルアカウントマネージャーの西原より、Amazon Aurora のコスト最適化を説明しました。Aurora のコスト最適化では Aurora のコスト構造を踏まえて Cost Explorer でコストの内訳を把握し、ワークロードに応じた最適な構成を選択することが重要です。コスト最適化の主な方法として、インスタンスのダウンサイジングやタイプの変更、リザーブドインスタンスの購入、未使用クラスタの停止などのインスタンス最適化があります。また、I/O コストが全体の 25% を超える場合は I/O 最適化インスタンスへの移行を検討することや、変動の大きいワークロードや開発環境向けには Aurora Serverless v2 の活用が効果的であり、リーダーインスタンスやセカンダリリージョンに Serverless v2 を採用する混在環境での利用も可能であることを紹介しました。
まとめ
本イベントでは、AWS FinOps の最新情報や生成 AI を使ったコスト最適化のアプローチ、ECS と Aurora のコスト最適化方法を紹介しました。本イベントにより、クラウドサービスをムダなく使いこなして、スマートに費用を抑えるコツを身につけて頂けますと幸いです。クラウドではコスト最適化に終わりはなく継続して実施することが重要です。今後もこのようなイベントを通じて、AWS からコスト最適化の情報発信を継続していきます。
本ブログは、シニアカスタマーソリューションマネージャーの西口、シニアテクニカルアカウントマネージャーの石王により執筆いたしました。





