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[Edit in the Cloud] Blackmagic Design 社との取り組み : DaVinci Resolve リモートワークフローの実現

クリエイティブビデオテクノロジーを開発している Blackmagic Design 社は、ポストプロダクションにおいて最も普及しているハードウェアとソフトウェアを提供しています。その革新的なエンジニアリングアプローチと、手頃な価格で高品質なソリューションを提供するコミットメントは、クリエイティブ業界に大きく貢献しています。Blackmagic Cloud は、2022 年の国際放送機器展( NAB )で発表された新しいサービスで、クリエイターは世界のどこからでも DaVinci Resolve で共通のプロジェクトに取り組むことができます。Blackmagic Cloud は、Amazon RDS for PostgreSQLAmazon Elastic Container Service ( Amazon ECS ) 、Amazon CloudFront などのクラウドサービスを活用し Amazon Web Services(AWS)上に構築されます。

“新しい Blackmagic Cloud は、異なる DaVinci Resolve のエディター、カラリスト、ビジュアルエフェクトアーティスト、オーディオエンジニアを接続することにより、誰でもグローバルなポストプロダクションワークフローを作成することができるようになりました。各人が同じプロジェクト、さらには同じ編集タイムラインを異なる場所、異なる国から作業することができます。つまり、エディターがロサンゼルスで編集し、カラリストがロンドンで同じタイムラインをグレーディングすることができるのです。すべて同時進行で!”- Blackmagic Design 社 CEO、Grant Petty 氏

“この新しいワークフローが可能になった理由の1つに、AWS があります。Blackmagic Cloud が AWS を活用するのは、AWS のセキュリティ、信頼性、スケーラビリティを提供するためです。Blackmagic Cloud でお客様がどんなことができるようになるのか、とても楽しみです!” – Grant Petty 氏

進化したリモートコラボレーション

Close-up photo of male hands with laptop. Man working remotely at home. Concept of networking or remote work. Global business network. Online courses.

Blackmagic Cloud は、Blackmagic Design と AWS の長年のパートナーシップから生まれたものです。業界がリモートワークへのシフトを進める中、舞台裏で迅速に作業を進め、DaVinci Resolve 上でリモートコラボレーション機能を提供しました。こうした努力の結果、AWS での長編映画のリモート制作環境の構築への取り組みはすぐに実現し、2020 年後半に完了しました。

同じ頃、Blackmagic Design はこれまで一部のユーザーが環境の初期構築に苦労していた Linux への DaVinci Resolve Studio のインストールを簡素化する方法の検討を開始しました。2021 年第 1 四半期、Blackmagic Design は、DaVinci Resolve 17 Studio をインストールし、ピクセルストリーミングに必要なドライバーを含む NICE DCV と共にパッケージングした CentOS ベースの Amazon Machine Image ( AMI ) を AWS Marketplace でリリースしました。この開発により、ソフトウェアライセンスをお持ちのユーザーは、AWS 上で DaVinci Resolve Studio の作業をすぐに開始することができるようになりました。

Blackmagic は、NAB 2022 で発表した DaVinci Resolve Studio 18 のリリースにより、ソフトウェアのクラウド機能をさらに進化させました。この機能により、あらゆる規模のクリエイティブチームが Amazon Elastic Compute Cloud ( Amazon EC2 )  G4dn または Amazon EC2 G5 の高性能 GPU ベースのインスタンスを使用して、AWS 上で動作する DaVinci Resolve から世界中のほぼすべてのモニターに忠実で色正確な H.265 , 4:4:4 , 10 ビットビデオを直接ストリーム配信することが可能になりました。

Diagram showing DaVinci Resolve running on an AWS EC2 G5 instance, streaming HEVC 4:4:4, 10-bit video down to a BlackMagic Design UltraStudio Device. Remote Workstation access via NICE DCV

DaVinci Resolve Remote Monitoring アプリケーションと NICE DCV などの高性能リモートデスクトップソリューションを組み合わせることで、システムモニターへの 4K ライブビデオストリーミングが可能になります。別の方法として、Micro Panel などの DaVinci Resolve コントロールサーフェスを接続し、クライアントワークステーションの対応 UltraStudio または DeckLink Card を介して、色精度を担保し HDMI または HD-SDI ビデオフィードを出力ことができます。エディターとカラリストは、それぞれ好きな方法で作業することができます。

注: 4:4:4 カラーを実現するには、受信側ワークステーションで対応する NVIDIA カードが必要です。詳細については、NVIDIA のビデオデコードサポートマトリックスを参照してください。

プロ仕様のツールをより身近なものに

クラウドの活用は、ハイレベルなプロダクションに柔軟性を与えるだけでなく、次世代の映画制作アプローチに変革をもたらすことができます。アリゾナ大学、Oakley Anderson-Moore 率いるネイティブアメリカンの高校生向けプログラム Kinlani Film Project と提携し、AWS と Blackmagic Design は、学生のフィルムメーカーがクラウドベースのツールを活用してナバホ族の文化を伝えるショートフィルムの制作を支援しました。

手頃な価格の高品質な Blackmagic Design カメラと DaVinci Resolve Studio 、そして Amazon EC2 G5 インスタンス、Amazon Simple Storage Service(AmazonS3)、Amazon FSx for Windows File Server などの AWS サービスを活用し、学生たちはビジョンを現実のものに変えていきました。Moxion は、アリゾナ州フラッグスタッフの学生とアリゾナ州フェニックスの編集者をつなぐリモートレビューセッションで重要な役割を果たしました。クラウドを活用した映画制作のアプローチは、限られたオーバーヘッドとトレーニングで簡単に実装でき、最終的に強力なプロフェッショナルツールへのアクセスを拡大することができました。このプロジェクトは、2022 年の Hollywood Post Alliance (HPA) Tech Retreat でデビューしました。

“未来のワークフローとビジュアルストーリーテリングのツールは日々変化しています。現在クリエイティブを学んでいる学生は、過去 30 年のクリエイターとは大きく異なるツールやワークフローの風景の中で働くことになるでしょう。” – Blackmagic Design, Business Development Manager, David Hoffman 氏

“クラウドベースのツールやワークフローは、まだ登場したばかりです。高校生や大学生のクリエイターは、社会人になったときに、これらの新しいツールやプロセスを自分たちの技術の標準として知ることになるでしょう。Blackmagic Design と AWS は、クリエイターの声に力を与え、彼らの、そして我々の業界の未来を語ることを可能にしたいと思います。” – David Hoffman 氏

Diagram showing camera raw upload to Amazon S3 bucket, moving content from S3 with AWS DataSync to Amazon FSx for Windows File Server, connected to DaVinci Resolve Editor workstations running on AWS G5.4xlarge instances.]

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DaVinci Resolve Studio 18 の Blackmagic Cloud とストリーミング機能の詳細については、DaVinci Resolve 製品ページをご覧ください。


参考リンク

AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)

AWS のメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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翻訳は  BD 山口、SA 金目が担当しました。原文はこちらをご覧ください。