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月刊 AWS 製造 2026 年 7 月号

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの吉川です。FIFA ワールドカップ 2026 がいよいよ佳境を迎えていますね!先月号では「さあ、キックオフです!」とお伝えしましたが、決勝トーナメントの熱戦が続く中、もうひとつの熱い戦いの結果をお届けします。そう、6 月 25-26 日に幕張メッセで開催された AWS Summit Japan 2026 です。製造ブースには多くの方にお越しいただき、大盛況で幕を閉じました!今月の「月刊 AWS 製造」では Summit 特集として、製造ブースの展示レポートと、関連するセッション動画・ブログをまとめてお届けします。なお、リンク先には英語の記事も含まれていますが、解説を加えていますのでぜひご覧ください。

ピックアップトピック : AWS Summit Japan 2026 — 製造ブース展示レポート

6 月 25 日(水)〜 26 日(木)の 2 日間、幕張メッセ Hall 7 の AWS Industries Zone に設けられた製造業向け展示エリアが大盛況のうちに終了しました。「AI で加速する製造業のルネッサンス」をテーマに、未来の製造業を体感できる Highlight 展示と、「すぐに使える」テクノロジーを実機デモで体感できる Industry 展示の 2 エリアで構成しました。多くの来場者にお立ち寄りいただき、ありがとうございました。ここでは各展示の見どころを振り返ります。展示エリア全体の概要は「AWS Summit Japan 2026 製造業向け展示の見どころ紹介!」で詳しくご紹介しています。

Highlight 展示 — 3 つのデモで体感する未来の製造

① サプライチェーン最適化 — AI エージェントが需要急変に数分で対応

需要変動や供給遅延が発生した際に、AI エージェントが在庫枯渇の予測・生産計画への影響分析・代替調達の選択肢・対応方針案を数分で導き出す一連の流れをデモで体験いただきました。Amazon Bedrock AgentCore と時系列基盤モデル Chronos-2 による多変量需要予測、Amazon Bedrock Knowledge Bases によるサプライヤー情報検索を組み合わせ、従来数時間かかっていた意思決定を大幅に短縮します。詳しくは「AWS Summit 2026 Supply Chainブースのご紹介」をご覧ください。

サプライチェーン

図: サプライチェーン。市場の変化に応じて、生産計画に反映できる需要予測を行う AI エージェント

② 生産ラインの未来(スマートマニュファクチャリング) — デジタルツイン × AI で自律的に最適化

ナレッジグラフと IoT リアルタイムデータを活用し、AI エージェントが生産ラインを自律的に最適化するデモを展示しました。インパクト分析・ボトルネック検出・改善提案を AI が行い、PLC プログラムの修正案まで自動生成。後述のソフトウェア定義工場の展示と合わせて、デジタルツインで検証した上で本番環境に適用するという「生産ラインの CD(Continuous Delivery)」を実現するアーキテクチャをご紹介しました。詳しくは「AWS Summit Japan 2026 ブース紹介 生産ラインの未来」をご覧ください。

生産ラインの未来図: 生産ラインの未来。デジタルツインとナレッジグラフを元に AI エージェントがボトルネックを特定し、かつ、改善案まで実装する

③ ソフトウェア定義型ファクトリー — PLC を仮想化し、生産ラインをコードで制御

物理 PLC を仮想化し「ソフト PLC」として動作させることで、生産ラインの制御ロジックをソフトウェアとして管理するデモを展示しました。AI コーディングエージェントが自然言語の指示をもとにソフトウェア PLC の CODESYS 上の制御プログラム(ST プログラム)を修正し、NVIDIA Isaac Sim を用いた仮想環境でシミュレーション検証した上で実機に適用します。Git リポジトリによるバージョン管理とエッジからクラウドまでの一気通貫アーキテクチャにより、生産ラインの変更を安全かつ迅速に実現できることをお伝えしました。詳しくは「AWS Summit Japan 2026 ブース紹介 ソフトウェア定義型ファクトリー」をご覧ください。

ソフトウェア定義型ファクトリー 図: ソフトウェア定義型ファクトリー。仮想化された PLC の制御ロジックで、物理工場を動かす

Industry 展示 — 「すぐに使える」テクノロジーを実機デモで体感

Product Engineering(製品設計開発)

AI コーディングエージェント Kiro を活用し、自然言語による 3D モデル生成、CAE シミュレーション実行、Physical AI の強化学習トレーニングまでをコーディングなしで実現するデモを展示しました。詳しくは「AWS Summit Japan 2026 ブース紹介 — 生成 AI 時代の製品設計開発」をご覧ください。

製品設計開発図: Kiro で 3D 形状作成 & シミュレーション実行。すべて自然言語で Kiro が生成 — 人間が書いたコードは 0 行

Engineering Development Hub(EDH)

CAD/CAE アプリケーション向けの仮想デスクトップ・HPC 環境を AWS 上で提供するフレームワークです。エンジニアがオンデマンドで高性能コンピューティングリソースにアクセスできる環境を体験いただきました。

Engineering Development Hub
図: Engineering Development Hub。設計開発で使用するワークステーションならびに HPC クラスタ環境を簡単に展開、管理、実行する、AWS CloudFormation ベースのソリューション。

Smart Products and Services(スマート製品開発・運用)

Kiro による AI 駆動ソフトウェア開発の加速と、Amazon Quick を用いたデータドリブンな製品改善サイクルのデモを展示。部門横断のデータ分析を AI が支援し、スマート製品の SDLC 全体を加速するアプローチをご紹介しました。詳しくは「Accelerating Smart Product SDLC with AI Agent Workshop のご紹介」をご覧ください。

 図: AI エージェントによるスマート製品開発の加速ワークショップ

 図: Amazon Quick によるアフターマーケット分析ワークショップ

AWS 認定デバイスウォール

日本で認定された 248 以上の IoT デバイスの中から 10 デバイス実機を一堂に展示。AWS IoT サービスとシームレスに連携するカメラ、ゲートウェイ、産業用 PC などを実際にご覧いただけるエリアでした。IoT 関連の展示全体については「AWS Summit Japan 2026 -AWS IoT サービスを活用した展示の一部をご紹介-」もあわせてご覧ください。

 写真: AWS 認定デバイスウォール

Physical AI(ロボット × AI エージェントの自律オペレーション)

FANUC CRX-20iA/L 協働ロボットと Amazon Bedrock AgentCore 上の AI エージェントを組み合わせ、「調査→判断→復旧」を自律的に完走するデモを展示しました。AI エージェントが現実世界の物理的な操作を伴うオペレーションを遂行する仕組みを体感いただけるエリアでした。詳しくは「Physical AI — AI エージェントが現実世界で「見て、考えて、動かす」自律オペレーションの実現」をご覧ください。
Physical AIブース

写真: Physical AI 展示

AWS Summit セッション動画のご紹介

AWS Summit Japan 2026 のセッション動画がオンデマンドで公開されています。製造業に関連するセッションをピックアップしてご紹介します。

  • AWS Summit Japan 2026 オンデマンド動画 AWS Summit Japan 2026 の全セッション動画がオンデマンドで視聴可能です。260 を超えるセッションの中から、気になるテーマを選んでご覧いただけます。
  • 基調講演 AI エージェントが実現できることの限界を押し広げる今、AWS がエージェントの構築・デプロイ・スケーリングをいかに容易にしているかをご覧いただけます。登壇者: 長﨑 忠雄 氏(OpenAI Japan)、歌門 正師 氏(東京海上日動火災保険)、横路 隆 氏(フリー)、デイブ・ブラウン(AWS)、白幡 晶彦(AWS Japan)。
  • 情報を集め、判断し、行動する時代へ:データ基盤・AI エージェント・エッジ AI で変わる製造現場 製造設備や産業用製品が自ら情報を収集し、判断・行動する自律的な仕組みの実現に向けた設計指針と実装パターンを、デモとともに紹介するセッションです。前半では生成 AI を活用した予知保全や品質異常検知のユースケースと、OT/IT シームレス連携を実現するデータ正規化の手法を解説。後半ではエッジコンピューティング上での AI 活用により、プライバシー保護と低レイテンシーを両立するアプローチを紹介しています。登壇者: 深澤 真愛(ソリューションアーキテクト)。
  • Physical AI における学習・運用での AWS 活用方法 ロボットが「見て、考え、学び、行動する」Physical AI を AWS で実現するための実践的アプローチを紹介するセッションです。IoT Core・Greengrass・Strands Agents によるデータ収集と制御から、SageMaker でのモデル学習、実機デプロイまでを解説しています。登壇者: 大前 遼(ソリューションアーキテクト)。
  • クラウドと AI で創る製造業の未来 ― コニカミノルタ × FPT の挑戦 ― 製造業における大規模クラウド移行と AI 活用を成功に導く実践事例を紹介するセッション(FPT スポンサー)です。コニカミノルタ、FPT、AWS のシナジーで技術者不足やナレッジの属人化といった課題を乗り越えたプロセスを解説。さらに共同開発中の次世代 3 層アーキテクチャ自立型エージェント基盤も紹介されています。登壇者: 前野 好太郎 氏(FPT ジャパンホールディングス 執行役員)、岩本 博史 氏(コニカミノルタ FPT ソリューションラボ 代表取締役 CEO)。

AWS Summit New York City 2026 — AI エージェントに「コンテキスト」を与える新発表

6 月 17 日にニューヨークで開催された AWS Summit NYC 2026 では、AWS VP of Agentic AI の Swami Sivasubramanian による基調講演が行われ、AI エージェントの構築・運用に関する重要な新機能が多数発表されました。テーマは「AI エージェントにコンテキストを与え、信頼できる意思決定を実現する」こと。製造業の現場でも、設備データ・品質データ・サプライヤー情報など散在するデータをエージェントが横断的に理解できるかが鍵となるため、今回の発表は注目に値します。

主な発表のうち、製造業に関連性の高いものをピックアップします:

  • AWS Context(Coming soon) — 組織内のデータ間の関係性をナレッジグラフとして自動マッピングし、AI エージェントがランタイムでガバナンス付きのデータ関係・ビジネスルール・ドメイン知識にアクセスできる新サービスです。製造現場では設備マスタ、BOM、品質基準、サプライヤー情報など複数システムにまたがる関係性を AI が理解する基盤として活用が期待されます。Apache Iceberg 形式で公開されるため、既存のデータレイク基盤ともシームレスに連携可能です。
  • Amazon Bedrock AgentCore ハーネス(GA) — エージェントのモデル・ツール・スキル・設定を定義するだけで、オーケストレーションループをコーディングすることなくプロダクショングレードの AI エージェントを数分で構築・実行できるようになりました。Summit Japan の製造展示でも中核技術として活用されていた AgentCore が、さらに使いやすくなりました。
  • Amazon Bedrock Managed Knowledge Base — エンタープライズ RAG パイプラインをマネージドで構築可能に。ネイティブデータコネクター、マルチフォーマット対応のスマート解析、エージェンティックリトリーバーを備えています。製造業の設計文書・作業手順書・品質マニュアルなど大量のドキュメントを AI に活用させたい場合に有効です。
  • Amazon S3 Annotations(GA) — S3 オブジェクトに最大 1 GB のリッチなコンテキストを直接アタッチし、クエリ可能にする機能が一般提供開始。IoT データや設備ログに対してメタデータを付与し、AI エージェントが自律的にデータを発見・理解するための基盤として活用できます。
  • Kiro for iOS(Gated Preview) — エージェント型 IDE「Kiro」のネイティブ iOS アプリが発表されました。スマートフォンからセッションの開始・監視・差分確認・変更承認が可能に。現場を飛び回る製造エンジニアにとって、移動中でも開発状況を確認できるのは嬉しいアップデートです。

詳細は以下のブログをご覧ください:

最後まで読んでいただきありがとうございました。ワールドカップも AWS Summit Japan も熱い夏でしたね。来月も引き続き製造業の皆さまに役立つ情報をお届けしていきます。来月も月刊 AWS 製造ブログをよろしくお願いします。それでは、また来月お会いしましょう!

著者について

Kohei Yoshikawa
吉川 晃平
ソフトウェア開発者およびシステムインテグレーターとして 20 年以上従事した後、2020 年から AWS Japan で活動中。エンタープライズ事業本部で、日本の多くの製造業や SI 事業のお客様の AWS 活用を支援してきた。スマートプロダクトのためのサービス開発に興味を持ち、最近は AI 開発エージェントを用いた製品開発ライフサイクルの加速に取り組んでおり、お客様との会話のネタが尽きない毎日を送っている。趣味は週末のサイクリング、冬はスキー。風を切る乗り物がとにかく好き。

TAGS: AWS Manufacturing Monthly