Amazon Web Services ブログ
高品質な動画配信を最速で実現するPLAY VIDEO STORESでのAWSの活用
業界を取り巻く環境
世界的なパンデミックが日本にも影を落としている中、ストリーミングを使ったライブイベントの配信が驚異的な伸びを示しています。2020年の早い段階から、大規模なイベントや対面集会が次々に中止に追い込まれました。オリンピックが延期され、プロスポーツは無観客となりました。企業においても入社式や集合教育、株主総会といったものがソーシャルディスタンスの導入により大きな影響を受けています。この流れの中、ライブイベント配信を支える企業にはこれまで無縁だったビジネスを含め、様々な業界から無数の依頼が舞い込んでおり、その全てに対応するには非常に難しい環境にあります。
お客様のジレンマ
現在では、ありとあらゆる企業においてビデオコンテンツが欠かせないものになっています。しかし、いざビデオを配信しようと考えた瞬間、問題に直面します。無数のビデオ配信サービスや、パッケージソリューションから一体何を選べば良いのか?というものです。世界的に有名なサービスながら、高額でスモールスタートに不向きなもの。無料で気軽に試せるものの、大人数の配信には向かないもの。その上、視聴者様にチケット等を購入し視聴してもらう場合、予期せぬ配信停止は企業のブランドイメージ低下に直結してしまいます。
ここで該当するお客様が、AWSと配信2つの知識を備えたチームをお持ちの場合はどうでしょうか。AWSが提供するAWSメディアサービスとAmazon CloudFrontを組合せ、スモールスタート可能でスケーラブルなシステムを瞬時に構築する事ができてしまいます。しかし多くの場合、ビデオ配信にクラウドを活用するメリットを理解している一方で、自社のみで構築するためのスタッフが不足しているケースに該当してしまっていないでしょうか。また、動画配信以外にも課金システム(都度購入やサブスクリプション)、Chat システム、ターゲットマーケティング等を考慮すると動画配信の他に検討すべき項目が複数ある事に気付きます。
動画配信に必要な機能が揃ったソリューションの利用
「様々なお客様が自社独自の配信環境を持つことができ、共通で必要とされる機能が用意され、スモールスタートから大規模配信まで対応する。」 このような要望をAWSのクラウドを使って実現したサービスが、「PLAY VIDEO STORES」 (以降 PVS )です。PVS は株式会社 PLAY(東京都渋谷区)が提供するサービスです。日本の動画配信の黎明期から数多くの動画配信を行ってきた PLAY は複数の大手 OTT 配信事業者が採用するビデオプラットフォーム 「STREAKS」 や 「LOGICA」 といったサービスも AWS 上で構築・提供しています。
PVSのクラウド・アーキテクチャ
PLAY のOTTサービス事業部長 菅原氏の解説は次の通りです。「動画配信の部分は Amazon CloudFront と Amazon Simple Storage Service ( Amazon S3 ) を活用する事で、スモールスタートから大規模配信までシームレスに対応できる構成となっています。決済やメタ / セッション管理の部分は、運用負荷を軽減できるマネージドサービスに加え、サーバレスアーキテクチャを採用する事で可用性を向上しつつ、運用コストの低減を実現しています。またアーキテクチャを疎結合にする事で、お客様の要望を受けて機能拡張する際、迅速に対応する事ができます。 AWS Fargate や Amazon DynamoDB、 AWS Lambda などのマネージドサービスを採用し運用負荷を抑える事で、弊社エンジニアがお客様からの機能要望に集中して対応できるようになっています。」
PVS を構成するアーキテクチャの概要は以下の通りです。
様々なユースケースのエンドカスタマーとコラボレーション
PVS は2020年8月より提供されていますが、クラウドの俊敏性により、すでに幅広いお客様のワークロードを支えています。 『 劇団四季 』 として有名な四季株式会社様は、感染症の影響により演劇や興行の中止/延期等をせざるを得なかったお客様です。PVS をご利用される事で安全かつ安価に劇団四季ライブチャンネルにてミュージカル公演の動画配信を実施されました。劇団四季によれば、『新型コロナウイルス感染拡大に伴った生活様式の変容を受け、より多くのお客様に作品をお楽しみいただくべく、公演のライブ配信を検討していました。その矢先にご紹介いただいたシステムが、PVS(PLAY VIDEO STORES)です。こちらを利用する事で手軽に動画配信ができる事が分かり、即時導入を決めた次第です。劇団初の試みとなりましたが、「劇団四季ライブチャンネル」で非常に多くのお客様がご視聴くださり、大変好評をいただいております。』との事です。フィットネスクラブの株式会社ティップネス様では、フィットネスジムの利用が制限される中でジムに行くことができない既存ユーザを抱えていらっしゃいました。ユーザ様の付加価値向上、新規ユーザの獲得を目的に利用を開始されました。ジム会員 ID を取得することで、キャッシュバックキャンペーンや特別プランを提供。満足度向上につなげられました。ライブハウス運営を行っておりますオアシス様は、アーティストに自社ライブハウスを活用して頂くため、本サービスを利用したライブ配信を取り入れました。TVOD 型のサービスを用いてアーティストの活動を支援しています。さらに、プロスポーツでも動画配信を利用した観戦スタイルが確立しつつあります。野球を含む国内のプロスポーツ団体でも既に PVS の利用が開始されています。
まとめ
動画配信は業種を問わず、様々なエリアで大きな広がりを見せています。新しい視聴体験によるカスタマーエクスペリエンスの向上と収益基盤の強化がビジネスとして重要になってきています。その中で、視聴者のニーズを汲み取り、アイデアを形にしていくスピードが求められています。そのためにクラウドを利用した仕組みを活用していくことが大きなカギとなると考えています。AWS では、 AWSメディアサービスを軸に、コンテンツの配信を支える設備やシステムに莫大な初期投資をすることなく、スモールスタートで素早く動画配信を始めていただけるサービスを提供しています。また、様々なパートナー様が AWS のサービスを活用しメディア企業向けのソリューションを提供いただいております。本記事が、動画配信ビジネスの立ち上げや改善などを検討されているお客様へのヒントとなれば幸いです。
AWS Media & Entertainment 参考コンテンツ
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
※毎月のメルマガをはじめました。最新のニュースやイベント情報を発信していきます。購読希望は上記宛先にご連絡ください。
本ブログは、AM茂原、SA金目、SA鈴木、BD山口が担当しました。