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2026年1月〜5月の AWS オブザーバビリティ関連リリースまとめ

AWS オブザーバビリティ関連リリースまとめの第1回へようこそ!2026年の最初の5か月間は、AWS オブザーバビリティにとって大きな変革をもたらした期間となり、Amazon CloudWatchAWS X-RayAmazon Managed GrafanaAmazon Managed Service for Prometheus にまたがって40を超えるリリースが行われました。この期間を特徴づける2つの大きなテーマは、統一された計装標準である OpenTelemetry 対応を強化したことと、オブザーバビリティを誰もが利用できるようにする AI 駆動のオペレーション です。

Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) 上でコンテナを実行している方も、複数リージョンにまたがるデータベースを管理している方も、AI 支援のワークフローを構築している方も、ここには役立つ情報があります。さっそく見ていきましょう。

Fig 1. AWS Observability release count by category

図1. カテゴリ別の AWS オブザーバビリティ リリース数

Fig 2. AWS Observability Release Calendar List

図2. AWS オブザーバビリティ リリースカレンダー一覧

OpenTelemetry が CloudWatch にネイティブ対応

CloudWatch OpenTelemetry Metrics(プレビュー)

カスタムの変換ロジックや追加ツールなしで、OpenTelemetry Protocol (OTLP) を使ってメトリクスを直接送信できます。OpenTelemetry メトリクスは、1メトリクスあたり最大150のラベルをサポートし、gauge・sum・histogram・exponential histogram といったメトリクスタイプに対応します。

PromQL と Query Studio(プレビュー)

Query Studio は、PromQL と CloudWatch Metric Insights を単一のインターフェースに統合します。コンソールを切り替えることなく、お好みの言語で AWS 提供メトリクスと OpenTelemetry メトリクスをクエリできます。ビジュアルなフォームビルダーとコードエディタを備えています。米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、アジアパシフィック(シドニー)、アジアパシフィック(シンガポール)、欧州(アイルランド)で利用可能です。

Container Insights with OpenTelemetry for EKS(プレビュー)

OpenTelemetry ネイティブのメトリクス収集が Kubernetes モニタリングに対応し、コンテナのオブザーバビリティをより広範な OpenTelemetry 戦略と整合させます。

クロスリージョンのテレメトリ有効化ルール

単一のリージョンから、複数リージョンにまたがるテレメトリを監査・有効化できます。すべての AWS 商用リージョンで利用可能です。

AI 駆動オペレーション:オブザーバビリティの新しいインターフェース

CloudWatch Pipelines AI 設定

生成 AI を活用し、自然言語による記述でログプロセッサを設定できます。変換ルールを手動で記述する代わりに、意図を記述するだけでシステムが適切な設定を生成します。

AWS Observability Kiro Power

AI エージェント支援のワークフローを Kiro 内で直接利用し、アプリケーションの健全性に関する問題をより迅速に調査できます。これにより、開発者ツールに直接組み込まれた AI ネイティブなオブザーバビリティが実現します。

CloudWatch Logs:より強力に、より柔軟に

クエリ同時実行数が3倍に

Logs Insights QL の同時クエリ上限が30から100に増加しました。アカウント・リージョンごとに、1秒あたり StartQuery API を10回、GetQueryResults API を10回実行できるようになりました。

HTTP ベースのインジェスト

HTTP Log Collector、ND-JSON、Structured JSON、OpenTelemetry プロトコルによるログインジェストを新たにサポートしました。これにより、CloudWatch エージェントや AWS SDK 以外の、より柔軟な選択肢が加わりました。

Infrequent Access(低頻度アクセス)の機能強化

Infrequent Access ログクラスにデータ保護機能と、OpenSearch PPL および SQL クエリ言語のサポートが追加されました。これにより、これまで Standard クラスが必要だったワークロードでも、コスト最適化されたこのクラスが利用可能になります。

テレメトリ収集の自動有効化の拡張

自動有効化が、Amazon CloudFront 標準アクセスログ、AWS Security Hub CSPM 検出結果ログ、Amazon Bedrock AgentCore のMemory・Gateway のログ/トレースに対応しました。

データソース別のマルチアカウント集約

データソースの名前と種類に基づいて、複数アカウントにまたがるログを集約できるようになりました。どのログを中央アカウントに集約し、どのログをローカルに保持するかをきめ細かく制御できます。

CloudWatch Logs Insights の lookup クエリコマンド

lookup コマンドを使うと、クエリ実行時にログデータをルックアップテーブルと結合し、結果を意味のある値で自動的にエンリッチ(拡充)できます。

Logs Insights の JOIN・サブクエリコマンド

JOIN とサブクエリコマンドにより、異なるサービスやロググループにまたがるアプリケーションとインフラのエラーの相関分析、複数サービスにわたるセキュリティイベントの分析、分散システムをまたぐユーザーセッションの追跡など、さまざまなシナリオでのトラブルシューティングを高速化できます。

ロググループのタグによる Logs Insights クエリ

このリリースにより、共通のタグを持つすべてのロググループに対してクエリを実行できるようになりました。ロググループのタグが追加・削除されると、クエリは一致するロググループを自動的に反映するため、環境の拡大に伴う運用負荷を軽減します。

CloudWatch Pipelines:フィルタリング・ルーティング・変換

イベントのドロップと条件付き処理

新しいドロップイベントプロセッサと条件付き処理機能により、パイプライン内でコンテンツに応じたフィルタリング、ルーティング、変換が可能になりました。詳細は Amazon CloudWatch Pipelines のドキュメントをご覧ください。

コンプライアンスとガバナンスの制御

ログパイプライン向けのデータ整合性とアクセス制御の機能がリリースされました。これにより、エンタープライズの監査証跡と制御されたデータフローの要件に対応しました。

メトリクス

Amazon Bedrock の Time To First Token とクォータ消費量

TimeToFirstToken は、リクエスト送信時から最初のトークン受信時までのレイテンシを、ストリーミング API(ConverseStream および InvokeModelWithResponseStream)について計測します。EstimatedTPMQuotaUsage は、すべての推論 API(Converse、InvokeModel、ConverseStream、InvokeModelWithResponseStream)にわたって、キャッシュ書き込みトークンや出力バーンダウンレートを含む、推定 Tokens Per Minute (TPM) クォータ消費量を追跡します。

Direct Connect の BGP モニタリング

仮想インターフェイス (VIF) 向けの3つの新しい Amazon CloudWatch メトリクスにより、Border Gateway Protocol (BGP) セッションの健全性とルート数を可視化できます。ハイブリッドクラウド接続を管理するネットワークエンジニアや運用チームは、カスタムソリューションの構築や API のポーリングなしに、CloudWatch を通じて BGP セッションをネイティブに監視できます。

AWS Private CA の使用率メトリクス

新しいメトリクスは、各 CA が発行した証明書の数と各リージョンの CA の総数を追跡します。これにより、これらのクォータに対する使用状況を監視し、CA のライフサイクルを先回りして管理して高可用性を維持できます。

Amazon S3 Express One Zone のリクエストメトリクス

リクエストメトリクスを使用して、S3 Express One Zone を利用するアプリケーションのパフォーマンスを追跡し、運用上の健全性を監視できます。

Amazon ECS Managed Instances が NVIDIA GPU メトリクスをサポート

新しい GPU メトリクスにより、Amazon ECS Managed Instances の GPU の容量、使用率、メモリ、ハードウェアの健全性、温度状態を CloudWatch で直接監視できるようになりました。

AWS Outposts ラックの LagStatus CloudWatch メトリクス

このメトリクスにより、外部のネットワークツールや他チームとの調整に頼ることなく、CloudWatch コンソール内で Outposts の LAG 接続ステータスを直接監視できます。

Amazon ElastiCache がネットワーク容量計画とエンジン診断向けに13の新しい CloudWatch メトリクスを追加

Amazon ElastiCache のお客様は、ノードベースのクラスター向けの13の新しい CloudWatch メトリクスを使用して、ネットワークスロットリング、メモリの断片化、接続枯渇を検出できるようになりました。個々のノードで INFO コマンドを実行したり、生のバイトカウンターからベースラインを計算したりすることなく、これらのホストレベルおよびエンジンレベルの診断を CloudWatch から直接監視できます。

アラーム、Application Signals、RUM

アラームミュートルール

計画的なデプロイやメンテナンスウィンドウ、業務時間外において、監視の可視性を損なうことなくアラーム通知を一時的にミュートできるようになりました。計画的な変更時のアラート疲れに対する、待望のネイティブソリューションです。

Application Signals の SLO 機能

Service Level Objectives(SLO:サービスレベル目標)向けの3つの新機能をリリースしました。

  • SLO レコメンデーション:過去のパフォーマンスに基づいて適切な SLO ターゲットを提案します。
  • サービスレベル SLO:個々の SLO を集約してサービスレベルのビューを提供します。
  • SLO パフォーマンスレポート:経営層向けの SLO 遵守状況のサマリーを提供します。

欧州ソブリンクラウドでの RUM

CloudWatch RUM が AWS 欧州ソブリンクラウド (eusc-de-east-1) に拡大しました。データがソブリン境界の外に出ることなく、Web アプリケーションのパフォーマンスを監視できます。

RUM アプリモニターの概要画面

改善された概要画面により、フリート全体の健全性、SLO 違反、分散トレーシングのカバレッジを単一のページで把握できるようになりました。

Web アプリケーション向け Amazon CloudWatch RUM セッションリプレイ

セッションリプレイは、フォームのレンダリング失敗やナビゲーションフローの破綻など、誰も報告しないまま静かにコンバージョンやエンゲージメントに影響を与えうるユーザー体験の問題を、開発者が特定するのに役立ちます。

Amazon CloudWatch Database Insights

リージョン拡大(1月20日3月11日

オンデマンド分析がアジアパシフィック(ニュージーランド、台北、タイ)およびメキシコ(中部)に拡大し、続いて AWS GovCloud (US) でも利用可能になりました。この機能は、選択した期間をベースラインのパフォーマンスと自動的に比較し、異常を特定し、具体的な是正アドバイスを提供します。

RDS PostgreSQL 向けロック競合診断

Amazon RDS for PostgreSQL インスタンス向けのロック競合診断を提供します。この機能により、進行中および過去のロック競合問題の根本原因を数分で特定できます。ロック競合診断機能は、CloudWatch Database Insights の Advanced モードでのみ利用可能です。

Amazon EC2

組織全体での EC2 詳細モニタリング

単一の設定ポイントから、AWS Organizations 全体にわたって EC2 の詳細モニタリングを自動的に有効化できます。

EC2 ビジュアルエージェント設定エディタ

EC2 コンソールに CloudWatch エージェント 向けのビジュアル設定エディタが追加され、JSON を手動で編集する必要がなくなりました。

AWS X-Ray:OpenTelemetry への移行が正式に

X-Ray SDK とデーモンがメンテナンスモードに移行

2026年2月25日、AWS X-Ray の SDK とデーモンが正式にメンテナンスモードに入りました。この日以降、リリースはセキュリティ修正のみに限定されます。

これがお客様にとって意味すること:

  • X-Ray サービス自体は引き続き完全にサポートされます。コンソール、トレース処理、バックエンド機能は変更なく継続します。
  • AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT) を介した OpenTelemetry ベースの計装へ移行してください。
  • Java、Python、Node.js、.NET、Go、Ruby 向けの言語別移行ガイドが利用可能です。
  • ゼロコードの自動計装と手動計装の両方がサポートされます。

Amazon Managed Grafana

AWS GovCloud (US) での提供

政府機関のお客様や規制業界向けに、GovCloud US-West および US-East の両リージョンで利用可能です。

KMS カスタマーマネージドキーによる暗号化

コンプライアンスのため、ワークスペースデータをお客様自身の暗号化キーで暗号化できます。GovCloud を除くすべてのリージョンで利用可能です。

Grafana 12.4 ワークスペースの作成

  • Drilldown アプリ:Prometheus メトリクス、Loki ログ、Tempo トレース、Pyroscope プロファイルを、クエリ不要でポイント&クリックで探索
  • Scenes ベースのダッシュボード:レンダリングパフォーマンスが向上
  • 強化された CloudWatch プラグイン:PPL/SQL クエリのサポート、クロスアカウント Metrics Insights、ログ異常検出
  • 再構築されたテーブルビジュアライゼーション:CSS によるセルスタイリングとインタラクティブな Actions ボタン

Amazon Managed Service for Prometheus

この期間に Amazon Managed Service for Prometheus 単体の新機能はありませんでしたが、2つのエコシステム統合がその価値を大きく高めています。

OpenSearch Ingestion → Amazon Managed Service for Prometheus Sink

カスタムの転送インフラなしに、フルマネージドでエンドツーエンドのメトリクスインジェストパイプラインを構築できます。単一のパイプラインで、メトリクスを PromQL 分析用に Amazon Managed Service for Prometheus にルーティングしつつ、ログ/トレースを OpenSearch に送信できます。

Amazon OpenSearch Service が Managed Prometheus とエージェントトレーシングをサポート

データを重複させることなく、OpenSearch 内でログやトレースと並べて、ネイティブの PromQL 構文を使って Prometheus メトリクスを直接クエリできます。

まとめ

今回のまとめ:3つのポイント

  1. OpenTelemetry への移行を今すぐ始めましょう。CloudWatch のネイティブ OpenTelemetry メトリクス、PromQL Query Studio、そしてメンテナンスモードに入る X-Ray SDK によって、進むべき道は明確です。ADOT が計装レイヤーになります。
  2. AI がオブザーバビリティの新しいインターフェースです。MCP サーバー、自然言語によるパイプライン設定、Kiro 統合により、クエリを書く代わりに監視データと「対話」できる場面がますます増えています。
  3. コスト最適化がより容易になりました。Infrequent Access ログクラスの機能強化、プレビュー期間中の無料 OpenTelemetry メトリクス、無料の Pipeline 機能により、包括的なオブザーバビリティへのハードルが下がりました。

さらに情報をお探しですか?

次の四半期にまたお会いしましょう!

Joe Alioto

Joe Alioto

Joe は AWS の Cloud Operations 担当の Worldwide Senior Specialist Solutions Architect で、オブザーバビリティ、AI 駆動のオペレーション、集中型オペレーション管理を専門としています。20年以上のオペレーションエンジニアリング経験を持ち、直近2年間は AI と AIOps に注力しています。彼は、アプリケーションパフォーマンス、インフラメトリクス、データベースワークロードを結びつけるインテリジェントなオブザーバビリティ戦略の構築を支援しており、AI エージェントと自動化を活用して平均解決時間 (MTTR) を短縮し、オペレーションチームの大規模な働き方を変革することにますます取り組んでいます。

本ブログは 2026 年 5 月 19 日に公開された AWS Observability ICYMI: Jan-May 2026 の日本語訳です。翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの日平が行いました。