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パフォーマンスに妥協なし: Gearbox Entertainment が AWS と Perforce でリモート化を実現
Randy Pitchfordによって設立されたGearbox Entertainmentは、Half-Life、Borderlands、Brothers in Armsなどの大ヒットゲームフランチャイズ向けのゲームを制作していることで知られる、受賞歴のあるゲーム開発スタジオおよびパブリッシャーです。同社のクリエイティブ能力はビデオゲームだけでなく、コミック、アクションフィギュア、アパレル、アートプリント、小説、ノンフィクションの参考タイトル、映画やテレビのメディアコンテンツにも優れています。
2020年、COVID-19の大流行により世界が在宅勤務制限を実施するようになったとき、Gearboxは課題に直面しました。チームを保護しながらビジネスを効果的に継続するにはどうすればよいでしょうか。 すでに AWS との強固な関係を確立しており、そのサービスを活用して最新タイトルである Borderlands 3 を強化し、Amazon S3 を使用して Perforce のバックアップを管理することでビルドパイプラインをサポートしていた事から、Gearboxはゲーム制作をクラウドに移行するために AWS と Perforce の支援を依頼しました。またチームがリモートでコラボレーションして作業できるようにクラウドへの移行をすでに検討していましたが、その移行にはかなりの懸念がありました。
「主な問題は、オフィスにある Perforce サーバーシステム上のソース管理システムを扱うことでした」 Gearbox の IT ディレクター、Jeff Macfee 氏は述べています。「パンデミック前からパフォーマンスと顕著な遅延に関する苦情がすでにあったため、規制がかかってリモート化しなければならなくなった時に問題を悪化させるのではないかと心配していました」
メインクエスト
同社のPerforceサーバーシステムは、テキサス州フリスコにあるGearbox Entertainment本社のオンプレミスデータセンターに設置されていました。チームは遅延や帯域幅調整を行わずに自宅と Perforce との間でデータをスムーズにやり取りできる、信頼性が高くスケーラブルなソリューションを必要としていました。「ソース管理はゲームのコードです。これがなければゲームはありません。なのでソース管理は私たちが維持する最も重要なサービスになります」とMacfee氏は言います。「皆そのような財産を非常に注意深く扱う傾向があり、リスク回避的になりがちです。リスクの観点から、いかなる変更や混乱もすぐに阻止されました。またコストなど AWS クラウドへの移行に伴う通常の課題についても心配していました。システムを移行した翌朝、目が覚めたら200万$の請求書が届いていた、という事は求めていませんでした」
チームは同社が生み出した大量のデータとトラフィック、一貫して最適化されたパフォーマンスの必要性、そしてこれらの要件がクラウドに移行した場合にコストにどのような影響を与えるかを認識していました。「当社のデベロッパーとビルドのワークフローは拡大しており、チームは1日に数100GBを取得する必要がありました。私たちはすでに帯域幅の制限を調整していました。Perforce での開発と自動化への需要に対応するには、分散インフラストラクチャが必要だとすぐに気づきました」 Gearbox Entertainment の DevOps エンジニア Alexander Hollis 氏は説明します。
同社では自動化ワークフローが大幅に増加し、チームは1日に数100GBを取得する必要がありました。全員が同じネットワークにいるため、これらの自動化ツールのプレッシャーとシステムへの要求により、Gearboxはすでに帯域幅の制限に対処していました。また、移行によってソース管理が危険にさらされる可能性があることや、移行によって予期せぬ遅延が発生し、プロジェクトが数週間または数か月前に戻る可能性があるという懸念もありました。「その後パンデミックが発生し、私たちはリモート化しなければならないことがわかりました」と Macfee 氏は言います。「この移行へのリスクとルートはすでに検討していたので、より効率的に移行し、より課題に効果的に取り組むことができました」
戦利品は別腹
Gearbox Entertainment は、この移行の長所と短所を解き明かすのにかなりの時間を費やし、AWS を活用することでシステムへのアクセス、最適化されたパフォーマンス、信頼性の高いバックアップを確保するために必要な俊敏性と拡張性を提供し、信頼できるリモートワークへの安定したルートが得られることに気付きました。AWS リージョンのグローバルネットワークは、チームの生産性を確保するために必要なグローバル接続を Gearbox に提供しました。「AWS のおかげで、パイプの輻輳のリスクを冒すことなく、リソースを安全に公開することができました。開発者がソースコードで作業する際、パフォーマンスは非常に重要です」 Gearbox Entertainment の DevOps エンジニア、 Austin Daelemans 氏は説明しています。「AWS への移行により、パイプをすぐに拡張するために必要なレバレッジが得られました」
コストの問題もかなり迅速に解決されました。チームはサービスのコストと、同じサービスをオンプレミスで実行するための文字通りのコストを比較検討し、サポートや規模などの無形の要素に価値を割り当て、これらの物理的資産の管理に費やす時間に追加して、オンサイトでシステムを実行する際の制約を考慮しました。AWS はコスト効率が比較的高いだけでなく、Gearbox に素晴らしいゲーム体験の創出とアーキテクチャのパフォーマンスの最適化に専念する時間を増やしました。それは、会社をより成熟した段階に進め、迅速に拡張および適応できる可能性があります。「私たちは小規模な IT チームで、ビルの中の可能な限りのエリアを使っています。そのため、人、空間、冷却に関する制限に遭遇します。インフラストラクチャへの投資はいいのですが、それは永遠にかかり、それを管理し維持する人材もいません。 AWS ではこれらの問題は解消されます。お金を払った分だけの働きをしてくれ、私のチームには同じ人類がいますが彼らより早く結果を出してくれます」 Macfee 氏は言います。
チームが移行を開始したとき、オンプレミスに 3 台のサーバーがあり、1 台はユーザーとビルドを担当し 2 台がメンテナンスとバックアップを実行していました。すべてがオンプレミスの物理ハードウェアであったため、チームはエッジサーバーを AWS に移行することから始めました。それが成功すると、フェイルオーバーを目標にスタンバイサーバをクラウドに設置しました。これで 1 つのサーバーをオンプレミスで他のサーバーをクラウドに配置することになり、負荷をより均等に分散しオンデマンドで追加のサーバーを起動できるようになりました。
「2020 年 4 月中旬からこの移行の実験を開始し、9 月までに AWS で本番運用を開始しました」と Hollis 氏は言います。「私たちは最初のエッジサーバを迅速に投入し、その後そこから学んだことを利用して、インフラストラクチャ全体のボスであるソース管理を動かしました。当初私たちはリスクについて本当に心配していましたが、一度うまく機能するのを見たので私たちは任せました」
移行に使用されたアーキテクチャには、Gearboxチームがテストとイテレーションのためにすでに使用していた Terraformが含まれていました。これは AWS DataSync によって強化され、チームはバックアップをライブストレージに移行することができました。 Perforce と連携してこの動きを実験し、パフォーマンスと最小限のリスクが優先されることを確認しました。Amazon Elastic File System はファイルデータの共有と保存に適しており、コンピューティングは Amazon EC2 で行われ、チームは Amazon Elastic Block Store を活用してコンピューティングとパフォーマンスを管理しました。
武器はここだ!
「コストは評価の範囲内でしたが、我々は進化に合わせてて適応してきた為、これに伴ってコストも進化しました」と Macfee 氏は言います。「従来のパフォーマンス問題はなくなりました。すべてのビルドプロセスが常時実行され、すべての開発者がそれを使用しようとしている為、開発とビルドの間の競合は消えつつあります。初めからここで働いている人の中にはこれを見たことがないという人もいます。永遠に存在すると考えていた問題は消え去り、これは大きな勝利です」
AWS は Gearbox Entertainment にクラウドでのソース管理を AAA レベルで管理する機能を提供しました。そして今日、Gearbox はより多くのハードウェア、より多くのスペース、および管理コストの増加に多額の投資をすることなく、優れたゲーム体験を大規模に提供し続けています。「インテリジェントな自動化ツールに簡単にアクセスでき、新しいエッジサーバーを作成し、インフラストラクチャをオンデマンドで迅速に拡張することができます」 Daelemans 氏は述べています。「それに加え、信頼性とコストの予測可能性が向上したことで、私たちは拡張、パートナーの追加、システムの正確な適応が可能になっています。また、他のサービスを見回すようになりました。クラウドにソース管理があるので、私たちはより近くでビルドを行え、Perforce のメンテナンスプロセスやスケールにも同様のメリットをもたらすことができるようになりました。パフォーマンス、スケール、コストの最適化に役立つ、きめ細かなインサイトを手に入れました」
翻訳はソリューションアーキテクトの長田が担当しました。原文はこちらです。