はじめに
ゲームなみなさんこんにちは、Game Solutions Architect の Leng (@msian.in.japan) と Game Solutions Architect の小森谷です。
この投稿ではモバイルゲームやオンラインゲームといった運営型のゲームにおいて簡単にゲーム分析データを可視化する手段として Amazon QuickSight での分析ダッシュボードの作成方法についてご紹介します。
本記事でご案内する Amazon QuickSight を Amazon Redshift に VPC エンドポイント経由で接続するための前提として、 QuickSight の Enterprise Edition を使用する必要があります。Enterprise Edition を使用できなかったり、セットアップ方法よりも、QuickSight そのもののサービス概要や操作についての理解を優先されたい方は QuickSight DemoCentral や Amazon QuickSight Gallery といったデモサイトや ハンズオンコンテンツ Amazon QuickSight - Visualization Basics (Japanese) をご確認ください。
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AWS for Games

今回の内容
この投稿は、ゲーム分析に関する Builders.flash シリーズの第 3 弾です。
前回の投稿では プレイヤーの行動ログデータを Amazon Kinesis Data Firehose を介して Amazon Redshift Serverless に取り込み、クエリエディタ v2 を使った簡単な分析を実行して、その結果を棒グラフで可視化しました。SQL の実行結果を棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなどで可視化することができるクエリエディタ v2 は アドホックに分析を行うには便利なツールとなることを感じていただけたのではないでしょうか。
本稿では個々の分析データを一元的に集約して表示するダッシュボードに焦点を当て、AWS のサービスを活用したダッシュボードのセットアップ方法についてご案内します。分析データには前回の投稿で使用したサンプルログデータを使用します。
なぜダッシュボードが必要なのか
ゲーム運営におけるデータ分析にはアドホックな分析に加え、プロデューサーなどビジネスサイドへの定期的なレポーティングも必要です。また、ビジネスサイドだけでなく、ゲームの制作に関わるチーム全員がデータを基にゲームの実情を正しく理解して各種施策を検討することも重要となります。
ビジネスサイドと制作チームが同じデータを共有して、ゲーム運営の意思決定を進めるためには、KPI やプレイヤー行動データを一元的に示すダッシュボードは必要不可欠なツールとなります。

ダッシュボードの例
ダッシュボードの例を次に示します。(参考: KPI ダッシュボードを最速で用意するために:Amazon QuickSight で作るゲームダッシュボード)
こちらのダッシュボードは、DAU や Daily の売上、月間の売上の推移などビジネス KPI をひと目で把握できるように構成されています。こうした代表的な KPI をまずは確認し、トレンドに想定外の変化がみられた場合には詳細情報まとめている別のダッシュボードを確認したり、アドホックな分析を行うことで KPI トレンドの変化に寄与している要因を探ったりという次のアクションをとることができます。

ダッシュボードはどのように構築すればよいか
Amazon QuickSight を活用したダッシュボードの構築
今回は Amazon QuickSight を活用した分析ダッシュボードの作成方法について紹介します。Amazon QuickSight は AWS の BI サービスです。AWS のサービスだけでなく様々なデータソースをサポートしています。また、ダッシュボードを閲覧するだけのユーザーについては、利用しなければ課金されない料金体系になっている点にも特徴があります。
本記事では Amazon Redshift に存在するデータを Amazon QuickSight で可視化する部分に焦点を当て、その手順を紹介します。Aurora MySQL 上にあるトランザクションデータを Amazon Redshift に連携する方法および、行動ログデータを Amazon Redshift に連携する手順についてはそれぞれ、過去記事の「Amazon Aurora と Amazon Redshift の Zero-ETL 統合ではじめるゲーム分析」と「Amazon Redshift を活用したゲームの行動ログ分析」を参考にしてください。
前回までにご紹介した部分と今回ご案内する部分をあわせたログ分析パイプラインの全体像は下図のようになります。トランザクションデータおよび、行動ログデータは随時、Redshift に集約され取り込まれていきます。ここに QuickSight を接続し、Redshift のデータを用いて分析ダッシュボードを構築します。

Redshift と QuickSight の接続部分のイメージ
今回、セットアップする Redshift と QuickSight の接続部分のイメージはこちらの図のようになります。
Redshift はプライベートサブネットに配置されていることを想定し、QuickSight とは Redshift マネージド VPC エンドポイントを介して接続する構成をとっています。QuickSight の設定で VPC 内のリソースにアクセスするためのセットアップを行うことで Elastic network interface (ENI) が構成されます。Redshift マネージド VPC エンドポイントと QuickSight 接続用の ENI はそれぞれ Redshift とは別の VPC に配置することもできますが、今回は手順を簡単にするために同一の VPC に配置しています。
なお、Amazon QuickSight を Amazon Redshift に VPC エンドポイント経由で接続するためには QuickSight の Enterprise Edition を使用する必要があります。QuickSight のサービス概要や操作についての理解を優先されたい方は QuickSight DemoCentral や Amazon QuickSight Gallery といったデモサイトや ハンズオンコンテンツ Amazon QuickSight - Visualization Basics (Japanese) をご確認ください。

セットアップ手順
2. Redshift マネージド VPC エンドポイントの作成
3. Amazon QuickSight の VPC 接続設定
4. Amazon QuickSight でのダッシュボード作成
5. リソースの削除
まとめ
ゲーム分析シリーズの第3回目ではデータ分析におけるデータの可視化に焦点を当て、その一例として Redshift に集められたデータを QuickSight を用いて可視化し、ダッシュボードとしてセットアップする方法をご案内しました。
ゲーム運営の意思決定に役立つデータ分析、ダッシュボードの構築に取り組まれようとされている方の参考になれば幸いです。
筆者プロフィール

小森谷 健太
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト
AWS 入社前は SIer で業務システムのインフラ構築、運用を行っていました。
現在はゲーム、エンターテイメント業界のお客様向けに AWS を活用した技術支援を担当しています。

Sheng Hsia Leng
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト
ゲーム業界に特化したソリューションアーキテクトとしてお客様を支援しております。
RPG とドット絵ゲームが好きです。オフモードの時はインスタでバイリンガル漫画を投稿しています。
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