投稿日: Dec 2, 2021

世界最大級のヘルスケア企業であるロシュが、研究におけるセキュアなコラボレーションや新たな診断技術の実現に、AWS テクノロジーを採用
患者のケアと臨床アウトカム向上に向けて、医療データからインサイトを引き出す

※本プレスリリースは、2021 年 11 月 30 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(シアトル - 2021年11月30日発表) Amazon.com, Inc. の関連会社である Amazon Web Services, Inc. は本日、ロシュグループが同社のクラウドワークロードの大部分に アマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、医療データの価値最大化に取り組んでいることを発表しました。ロシュは、AWS のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、アナリティクス、機械学習、データベース、ストレージ、セキュリティの機能を活用し、創薬の研究開発を加速し、高品質な個別化医療の実現に向けて医療データの大規模な利活用を進めています。また、AWS プロフェッショナルサービスと連携して同社の IT システムを統合し、患者のプライバシー保護のための法規制やガイドラインを遵守しつつ、社内および社外の学術機関、規制当局、医療機関などの主要ステークホルダーともデータをセキュアに共有しています。

ロシュの個別化医療プログラムは、AWS のセキュアなインフラとサービスポートフォリオで支えられています。多くのバイオ医薬品企業が 過去20 年以上にわたり個別化医療を追求してきました。しかし、データ、アナリティクス、デジタル技術の進歩を経た今、ヘルスケア業界に大きな変革がもたらされようとしています。ロシュでは、Amazon OpenSearch Service(最大ペタバイトサイズのテキストと非構造化データを検索、視覚化、分析する AWS のサービス)、Amazon Aurora (クラウド向けに構築され、MySQL や PostgreSQL と互換性のある AWS のリレーショナルデータベース)といった AWS のアナリティクスとデータベースサービスを利用し、エンタープライズ、研究、臨床開発、デジタルヘルス、リアルワールドデータから、実践的なインサイトを引き出しています。ロシュはまた、AWSを利用して患者の遺伝子構造、総合的な健康状態、医薬品の効果と相互作用に関連する医療データを大規模に検証し、ロシュが患者のプライバシー保護のために匿名化と集計を行った、特定の個人を識別することができない患者情報の構造化されたデータセットを分析しています。こうした取り組みによって、ロシュの研究者は大規模な患者集団における患者の生物学的特性をより詳細に理解することができ、診断や治療手段の開発にとって有効な情報となるパターンと異常値の特定が可能になっています。

ロシュグループの CFO 兼 CIO である Alan Hippe(アラン・ヒッペ)博士は次のように述べています。「データ、アナリティクス、デジタル技術の飛躍的な進歩により、創薬研究や臨床開発の手法と、患者への治療の届け方が大きく変わろうとしています。こうしたなか、AWSは患者の生活の品質向上に向けて、データが持つ力を最大限に活かすための高性能でセキュアなクラウドソリューションを提供しています。AWSによって、医療データをこれまでにない手法で統合し、より効果的かつ効率的に疾病の早期発見、診断、治療、モニタリング、疾患管理が可能になり、患者にとってのメリットにつなげることができます。ロシュは、スイス連邦データ保護法、EU 一般データ保護規則(GDPR)、米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)、中国のサイバーセキュリティ法を含め、個人データのプライバシー保護に関して適用される法規制ならびに標準すべてを遵守しています」

AWS はまた、ロシュのデジタルテクノロジー活用を支援しています。これには、医療従事者が患者一人ひとりにあったケアを提供し、また、患者自身が健康管理の一部を担えるように支援するスマートフォンアプリも含まれます。AWS Lambda(サーバーレスのイベント駆動型コンピューティングサービス)、Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)、Amazon SageMaker(デベロッパーやデータサイエンティストが機械学習モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるサービス)などの AWS サービスを利用することで、ロシュはスマートデバイスで収集した医療データを取り込み、保存・処理して迅速に分析することが可能となっています。例えば、同社独自の mySugr アプリを AWS 上で構築・運用し、糖尿病患者の血糖値などのデータをセキュアに集計・分析しています。このアプリは測定器と連携して自動でデータを取得して分析できるため、患者に治療や薬の服用スケジュールを伝えることにも使用されています。ロシュは、デジタルヘルスケアの幅広いアプリケーションを通じて、継続的にセキュリティを確保しながら患者の医療データをクラウド経由で収集・分析することで、患者と医療従事者の双方が、病状や治療に対する反応をより正確かつタイムリーに把握することを可能としています。

またロシュでは、AWS が提供する拡張性の高いハイパフォーマンスコンピューティング機能を、AWS の コンテナや Amazon Redshift(AWS のクラウドベースのデータウェアハウス)などのアナリティクスサービスと連動させ、世界中の 30 万人を超えるがん闘病者の同意の下、確実にプライバシーを守りながら、数十ペタバイトものゲノムデータを安全に処理してインサイトを抽出しています。このゲノムデータを格納し、迅速に分析をできるようにしているのが、Amazon FSx for Lustre(コンピュートワークロード向けに、コスト効率が高く、高性能かつ拡張性のあるストレージを提供するサービス)です。ロシュは AWS によって、今後の症例をより短期間で特定できるように、がん治療に関するナレッジベースを強化し続けています。

加えて、ロシュは、AWS 上で処理された電子医療記録の蓄積から得られた治療インサイトをもとに、腫瘍プロファイリング検査の価値を高めています。アナリティクス、機械学習、ストレージ、マネージドデータベースの各アプリケーションを AWS 上で運用することで、300 万件を超える電子医療記録から高品質のデータを抽出・標準化し、実在の患者のデータセットを特定の個人が識別されない形で生成しています。これには、ロシュの研究者が研究指針の決定や臨床試験の計画に使用する、腫瘍関連データや保護された治療情報などからなるペタバイトクラスのデータが含まれています。

Amazon Web Services, Inc. ビジネス開発およびインダストリー担当 バイスプレジデント Kathrin Renz(キャスリン・レンツ)は、次のように述べています。「ロシュの研究開発とヘルスケア事業を支える AWS のサービスによって、関連性の高いデータがタイムリーに提供され、科学者はよりセキュアかつ効果的な方法で共同研究を進め、研究者はより効率性の高い臨床試験をデザインし、医療従事者はより正確な判断を行い、患者は自身の健康をコントロールできるようになります。AWS は、ヘルスケア・ライフサイエンス業界が個別化医療の限界を超え、臨床試験にかかる時間とコストを削減しながら、デジタルヘルスを通じて治療の効果を患者に届けられるよう支援しています。AWS の活用により、ロシュは複雑なデータを医療の進歩を妨げる障害ではなく有用なリソースへと転換し、新薬が患者の手に渡るまでの時間を短縮しています」